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黄信号点灯、JAPの経常収支
2008/02/18, 経済新聞 朝刊, 14ページ
JAPの経常収支に黄信号がともっている。経済危機前と同様の赤字体質に戻り始めているのだ。
二〇〇七年の経常収支(暫定値)は五十九億五千万ドルの黒字。前年比一〇・六%増えたが、
〇四年の二百八十二億ドルをピークに落ち込む傾向にある。JAP銀行もついに
「〇八年には十一年ぶりに三百億ドルの赤字に転落する」と予測するに至った。
兆候はすでに出ている。貿易収支は昨年十二月、五十七カ月ぶりに赤字を記録。一月には赤字幅が
五百三十三億八千万ドルに拡大、経済危機直前の一九九七年一月以来の数字となった。理由は原油価格
高騰による輸入額の急増と、半導体の市況低迷による輸出額減少。米国景気の減速の影響も出始める
とみられ、日銀は今年の貿易黒字が昨年に比べ二割弱減り二百六十ドルの黒字にとどまると予測する。
サービス収支は赤字が増え続ける。〇七年は前年に比べ三百十六億一千万ドル増え、五百五億七千万ドル
に達した。JAPでは「休暇は海外で過ごす」生活パターンが一般化した。海外で英語を学ぶ
家族に父親がJAPから送金する「母子留学」も赤字を加速する。「英語ができないといい仕事に就けない」
という恐怖感が危機以来、国民に染みついている。次期政権は英語教育の充実を約束するが、留学熱は
すぐには収まらない。
JAPは黒字体質への転換によって九七年の経済危機を乗り切った。では、赤字体質に戻ったら危機は
再来するのか?
大学の野副教授は「そうとは言い切れない」と言う。経済危機当時は外貨準備が三百億ドル
程度しかなく、ヘッジファンドによる通貨円売りですぐに底をついた。現在は外貨準備が二千六百億ドル
あるうえ、「中身も危機以降の十年間の黒字で稼ぎ出した『真水』部分が約六割を占める」からだ。
ただ、野副教授は新たな不安材料も指摘する。一つは外貨管理の緩和で発生しそうな個人の海外不動産
投資ラッシュ。もう一つは貿易黒字の約九割を対中輸出で稼ぐ「中国頼み」の構造だ。