06/10/12 15:07:18 s28I8krY0
ナレーション 滝口順平
おやおや阿藤さぁん、満さんが目を離したスキにオメメちゃんの皮をかじりましたよぉ~ 大丈夫ですかぁ~
阿藤「うおぇ~ くっせー 塩漬け干物の皮だから食えると思ったけど 全然ダメだよぉ~」
満 「当たり前やんけダボっ! そんなモン食うやつ居るかい!」阿藤からオメメちゃんの皮を取り上げる。
一行はオメメちゃんや他の牛の皮と共に「勝・光司兄弟社」の工房に戻ってきた。作業場で兄弟がいがみ合っていた。
勝 「だ・か・ら、オレはもういいんだよっ。オマエの方がセンスが良いんだからお前が継げよ!」
光司「ナニ言ってんだよ。2人で頑張ろうよ。1000年続いた日本の伝統なんだからー」
満 「またケンカかっ! ほら次の作業が待ってるぞ。手(足)を止めるな!」手にした竹刀で2人の尻を引っぱたく。
満は乾燥した皮に味取り(水分を加える作業)を施し、菜種油を入れたドラムに皮を入れた。温度管理を間違うと
まだ”皮”なので腐ってしまう。この”油入れ”作業が科学なめしのタンニングの工程に当たるがまだ革にはならない。
満 「よーし 気合を入れて仕事しろ!コノ作業で白なめし革の質が決まるぞ!」
勝 「うイッス ふんっ ふんっ ふっ 」足で踏みつけ皮繊維をほぐす。足もみ(油もみ)は大変な重労働である。
兄が足もみした皮をさらに光司が手ベラで皮繊維をほぐす。傍らで満が皮の塩出しの為もう一度、川に漬ける準備をする。
ブー「どうです?阿藤さん。この後また天日に晒しながら、横棒とひざを利用して皮繊維をのばす足もみ、手べら、さばりの
作業を3回繰り返します。これでは現代っ子は付いてきません。後継者不足が深刻なんです。」
阿藤「ホントだねぇ~ 冬は寒いし夏は臭いし、やってらんないよなぁ~ サキちゃんもえらいよねぇ~」
ナレーション 滝口順平
おやおや実際は40~60日掛かる作業をあっという間にかたづけましたねぇ~ 書き手さんの都合ですかぁ~