07/10/16 12:51:48 j48y9ReN
>>45
「実は私は、外務大臣のときに次官以下の幹部の諸君に宿題を出したのですよ。まず、こう問いました。
日本は憲法によって戦争の放棄を宣言し、どこの国とも仲良くするということを外交方針にしていると、私は考えているのだが、間違いはないか、とね。
げんに、憲法の前文に『諸国民の公正と信義に信頼して……』と書いてあるのですよ。
みんな、間違いない、その通りだと答えました。
そこで私は言ったのです。
もしも、どこの国とも仲良くするということを、実際に行うとこれは大変にモラリティの無い外交にならざるを得ない、とね。そうでしょ」
-わかりません。どうして、です?
「どこの国とも仲良くすると言うことは、たとえ、どんなひどい、
不正や非人間的な事が行われていても、その国に対して、制裁行動は起こさないで仲良くするというこでしょう。
これはモラリティの無い外交ではないですか」
宮沢氏がイランやソ連の行動を指しているのだろう、とは、容易に推察できた。
-非人間的なことが行われていれば、やはり、それに抗議すべきじゃないのですか。
「抗議してやめてくれれば良いのですが、もしも改めなかったらどうするのです」
宮沢喜一氏は、逆に問うた。
「口先でいうくらいじゃ抗議にもならない。まるで効果はない。といって、日本は武力行使はダメ、
威圧もダメ、十字軍を出すこともできない。一体、どうすればよいのです」
どうすればよいのか、と、私は宮沢氏の言葉をそのまま口にするしかなかった。
「結局、日本はモラリティのない外交しかできない。
また、国民も本心ではそれを望んでいるのではないですか。
一切の価値判断をしない外交。
しかし、これは、ごまかし外交でしてね。
価値判断と言えば損得勘定だけでしょうな。
価値判断がないのだから、何も言えない。言うべき事がない。
ただ、頭を叩かれれば引っ込める。
世界の空気を眺めて大勢に従う。日本はこれまでそれでやってきたのですよ。
念のために言っておきますが、日本の外交、いかにあるべきか、という宿題の解答は外務省の諸君からいまに到るももらってません」