05/02/05 00:00:39 pXxyTIzQ0
ある日のこと 私が柱時計の修理をしている時、その知人はやってきた。
久しぶりに見る彼は青白い顔がさらに血色を失っていた。
テーブルを囲み彼は私に話し始めた。それはとても信じられない話だった。
彼はある薄暗い山奥で異国風のホテルを見つけそこに泊まることにした。
彼以外宿泊客はいないようだった。彼は4階の部屋を選んだ。
そして4階の部屋へいく廊下に掛けられていた絵に何かを感じて立ち止まった。
薄暗い廊下に掛けられたその絵は2匹の黒豹が爛々と目を輝かす不気味な絵だった。
彼はその絵に興味を引かれながらも自分の部屋に入った。
夕日が沈む頃、彼が飲み物を買いに部屋から出、その絵の前を通り過ぎた。
その時、グゥル・・彼は獣のうめき声を聞いた。まさか?・・彼は恐る恐る振り返った。
そこには本物の二匹の黒豹が今にも彼に襲い掛からんとしていた。
うわぁー 彼は必死で逃げた。追いかけてくる黒豹。階段を駆け上がって5階に逃げた。
彼は後ろを振り返る。黒豹の姿はなかった。・・・幻覚だったのだろうか?
しかしその時彼はある旅人が書いた詩を思い出した。
薄暗い森を抜けると 古い洋館がそびえ立つ
壁絵に描かれた 2匹の黒い獣
夕暮れ時 獲物を求め徘徊す
は! このホテルのことか?彼は思いをめぐらす。いやこんなことはあり得ない。
ここまで話を聞いて、私は彼がおかしくなったと思った。
彼のいうホテルは私も知ってる。静寂な雰囲気で古い洋風のホテルだ。
確かに似つかわしくない2匹の黒豹の絵はあった。しかし詩は聞いたことがない。