04/10/09 03:02:18
放射線を当てるだけだから放射能汚染は無い、なんて言うけど、
要するに放射線で細菌の遺伝子の分子構造を破壊するから
細菌(細胞)が代謝や増殖ができなくなって死滅する、だから衛生的、
…という理屈な訳で。
放射線による殺菌は、細菌に限らず肉や野菜の細胞を構成する
蛋白やらアミノ酸やらまでもが、高い確率で破壊されている訳ですよ。
雑菌だけに選択的に働くなんていう、都合の良い放射線なんて存在しないからね。
一般的な加熱による殺菌は、蛋白の熱変性による化学的特性の変化から
細菌の代謝の阻止を狙うものであって、人類はそうやって何万年も食物を加工してきた
歴史があるから、まあ少なくとも臨床的にも知見は積み上げられてはいると。
一方の放射線によって細胞をズタズタに破壊するといういささか暴力的な殺菌は、
たかだか半世紀ほどの歴史もない。臨床的に本当に安全なのかどうかもまだわからない。
破壊された蛋白くずの分子塊に、病原性ブリオンのような病原性が無いという保障なんかどこにもない。
さらにミクロ的に言えば、物質に放射線を当てて破壊するということは、
確率的にその物質の放射化(放射性物質化)を招くということでもある。
これは強烈な放射線に晒される原子炉やその周辺の構造物に顕著に見られるし、
商業発電に耐えうる核融合炉の開発が素材面で進まない理由の一つでもある。
これらは強力な放射線を長期間にわたって放射されるから放射化も急速に進む訳だけど、
確率的には食品に放射線を当てても放射化は起き得るわけで。
それも一食や二食程度ならば環境放射線に埋もれる誤差程度の差しか無いだろうけど、
何日も何年も食べ続けた場合の安全性なんて、さすがにどこの誰も知らない。