09/06/24 17:09:48.20 IQHt5EzB0
何かがおかしい気がする。
早朝ハイキングと言っても過言ではない坂道を登っている途中、俺はそんな違和感を覚えていた。
それと何か大事なことが抜けているような……そんな奇妙な感覚。何だろうかこれは。
「キョンくーん、起っきろー!」と楽しそうに騒ぎながら俺の布団に乗って飛び跳ねる妹に、もう五年になるんだからもう少し大人になれないのかと思いつつ、ハンガーにかかった新しい制服に袖を通し、なんとなくいつもより念入りに鏡をチェックして外に出る。
そしてこのクソ長い坂を歩いている自分になんだか既見感を覚えていた。もちろんこの道を歩くのだって初めてなはずだ。
まぁ人生の中ではよくあることだ。あれ? この光景どこかで……なんて事はな。
今回もそれに過ぎないだろう。変な夢でも見たのかもしれん。
目的地に着くと俺はもうそんな違和感のことも忘れていた。
県立北高校、今日から俺がお世話になるであろう高校だ。結構年期の入ってそうな校舎が桜の花と一緒に俺を迎え入れてくれた。