【映画】「男はつらいよ」の奥深さ…姜尚中氏「『車』という名字は韓国にも多い。出自に悩む寅さんは、在日ではないのかと思える」[7/20]at NEWS4PLUS
【映画】「男はつらいよ」の奥深さ…姜尚中氏「『車』という名字は韓国にも多い。出自に悩む寅さんは、在日ではないのかと思える」[7/20] - 暇つぶし2ch1:諸君、帰ってきたで?φ ★
09/07/13 22:30:12
 こないだアエラ編集長の尾木さんと葛飾柴又を散歩してきました。このコラムの100回突破を記念して、近くムック本を出版することに
なったので、その表紙撮影もしてきました。幸い天気にも恵まれ、ほんとうに良い休日になりました。

 実は柴又というロケーションは私が指定しました。学生時代は友人が多く住んでいて、よく通いましたし、江戸川沿いが好きで、いまも
その上流に住んでいます。だから、落ち着いて過ごせる場所のひとつなのです。

 柴又と言えば、映画「男はつらいよ」シリーズの舞台ですよね。「フーテンの寅」こと車寅次郎が主人公の、戦後を代表する名作です。
若いころ、私は「陳腐な家族礼賛映画」という印象を持っていました。しかし、最近、知人から全作分のDVDをもらい、自宅で鑑賞している
うちに、この映画の深さに気づきました。寅さんは勝手気ままに漂泊と定着を繰り返します。「とらや」は彼にとって宿木のように存在し、
ときどきやってきては共同体的なしきたりや価値観をひっくり返したり、ちゃかしたり、ずらしたりする。それは民俗学的に言う「まれびと」
に似たところがあります。

 柴又に集まる登場人物もおもしろくて、みんな出自にあいまいなところがあります。寅さんとさくらは腹違いの兄妹という設定ですが、
2人に限らず、死別、離婚、蒸発、勘当など「わけあり」の人間ばかりが「とらや」に集います。そして擬似家族のように寄り添って暮らす。
これは戦後の家族のあり方、その勘所をうまくつかんでいます。つまり、「家族とは何か」という疑問を投げかけ、血縁を伴わない家族の
可能性までも示唆しています。それを喜劇に仕立て上げたのはお見事ですね。

 なんといっても絶妙なのは寅次郎とリリーの関係です。2人とも流浪の身だけど、寅さんは柴又に行けば、さくらが待っている。それを
見て、身寄りのないリリーはいつも複雑な気持ちにさせられます。第15作の「寅次郎相合い傘」では、メロンをもらえずに騒ぎ出す寅次郎に
リリーがこう啖呵を切るシーンがあります。

 「ろくでなしのアンタをこんなに大事にしてくれる家がどこにあるかって言うんだい、私、うらやましくて涙が出ちゃうよ」

 「わけあり」どうしが何度も結ばれそうで、結局は成就しない様子は高度成長後の日本の一風景をうまく描いています。私もそのころ、
家出息子のように熊本を飛び出して、東京の下町をさまよっていたから、寅さんが他人とは思えないのです。

 車という名字は韓国にも多い。むこうでは「チャ」と発音します。だから私のレンズを通すと、熱い性格で、出自に悩み、ふるさとを追い
求める寅次郎は在日ではないのかとも思えてしまいます。そこまでの隠されたメッセージがあるのかわかりませんが、私は柴又には
何かの縁を感じずにいられないのです。

ソース(AERA 7/20号 40P 「姜尚中 愛の作法」)


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