09/07/13 16:31:37
見事なまでに、根元からボキッと折れたように横倒しになっていた。上海市で先月２７日、建設中の
マンションが倒壊し作業員１人が死亡した事故は、市民のマンションに対する安全性への不安をかきた
てた。市民からは「手抜き工事」の疑念がわき起こった。
現場は地下鉄駅から徒歩１０分ほどのマンションが建ち並ぶ住宅街。市中心部への交通利便性が
高く、倒壊したマンション群「蓮花河畔景苑」は、１平方メートル当たり１万７０００元（約２３万円）相当
の値が付く人気の物件だったという。倒壊したのは建設中の１１棟のうちの７号楼（１３階建て）。マンション
群を見渡せる橋は見物客であふれる。対岸の公園前では７号楼をバックに写真を撮る市民もいた。
「どうすればいいんだ」。公園前で３０代の男性が嘆く。７号楼４階の２室を３００万元（約４０００万円）
以上で購入した。事故後、現場に駆けつけると４階の窓ガラスは割れていなかった。今は現場に入れず、
連日近くまで来ては途方に暮れる。友人が「倒れても割れないガラスなら高く売れるよ」と慰める。男性は
「解約したいが、見通しが立たない」とつぶやく。事故後、購入者４００人以上が契約破棄などを求め
開発業者に殺到した。５日には購入者への法律相談が行われた。
市の調査では当時、建物北側に建設残土が高さ約１０メートルまで積み上げられ、南側では地下
駐車場工事のため地面が深さ４・６メートルまで掘削され、南北で地盤のバランスが崩れて倒壊したという。
市は「設計や資材に問題はない」と手抜き工事の可能性を否定。作業員は「現場では残土の積みすぎ
の危険性を訴えていた」と明かす。
不安の広がりは上海以外にも波及した。中国人権民主化運動情報センター（香港）によると、先月
２９日には上海の事故をきっかけに、浙江省桐郷市のマンション住民ら約５００人が市政府に押しかけて
警察当局と衝突し、１０人が負傷した。住民らは開発業者の資金難により、一部の工事が終了して
いないと安全性への不安を訴える。
上海では下落していたマンション価格が再び上昇する兆しを見せていただけに住宅業界には痛恨の
事故と言える。来年、万博を迎える上海にとっても大きなイメージダウンだ。市は安全管理強化の取り
組みを強調する。ネット上である市民が訴えていた。「構造に問題のないマンションが倒壊するなら何を
基準に買えばいいんだ」。市民の不安は尽きない。（上海支局）
URLﾘﾝｸ(mainichi.jp)
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