09/06/25 12:12:21
ロシア南部のロストフ州。車に乗り3~4時間走っても地平線しか見えない広大な平原。ここの農村
地域にパク・ドミトリーさん(53)とキム・イェカチェリーナさん(51)の夫婦が、22歳の娘と2歳の孫とともに
暮らしている。夫婦にはロシア国籍がない。無国籍の身分は娘を経て2歳の孫にまで続いている。
娘は高校を卒業しているが卒業証書はない。国籍がないので国が卒業を証明することができず、大学
にも進学できなかった。正社員の職を得ることはほとんど不可能だ。歳を取っても年金はもらえない。妻は
「娘」「母」という単語が出るたびに泣いた。
19世紀末の日本の強占期まで多くの韓民族がロシア沿海州に移住した。経済的問題と「独立運動」
という政治的理由のためだった。1937年冬、ソ連のスターリン政権は沿海州に住んでいた高麗人17万
人をすべて中央アジアに強制移住させた。
1991年冬。高麗人はまたも厳しい季節を経験する。ソ連が崩壊し、高麗人は自分の意志とは関係
なくそれぞれ別の国住むことになった。この過程で多くの人は国籍を取得できなかった。ウズベキスタンが
故郷のパクさん夫婦も同様だ。
旧ソ連地域にはパクさんのような「無国籍高麗人」が5万人に上ると推定される。53万人の高麗人の
10%程度だ。彼らを指して外交通商部のシン・ガクス次官は、「わが民族が不幸だった時代、列強に
挟まれた弱小国が生んだ悲劇の産物」と述べた。
政府は高麗人強制移住60周年を迎えた2007年から、無国籍高麗人支援事業に着手した。現地
国籍取得のため外交的努力と法律的支援をしている。しかし各国の法律と文化的な壁に阻まれ大きな
成果は上げられていない。
こうした状況の中、最近無国籍高麗人の解決策が作られ始めた。ウクライナが「無国籍高麗人に国籍
を回復させる創意的モデル」を提示したのだ。同国のルツェンコ内務相は本紙とのインタビューで、「(高麗
人実態調査の)アンケートに参加した無国籍高麗人は、『自らの身元を証明できないとしても』追放する
ことはできないという長官命令を全国に出した」と明らかにした。
ルツェンコ内務相は特に、「高麗人について調査したところ、私の在任期間中に問題を起こしたことは
なかった。高麗人はすでわが国の人だった」と話した。ルツェンコ内務相は以後、韓国大使館とこの問題を
解決するための接触を始めた。150の民族で構成されたウクライナでひとつの民族に特恵を与える内容を
盛り込んだ長官命令は前例がないものだった。
破格の措置はこれにとどまらない。イーゴル移民局長は、「ウクライナ国籍がない高麗人の身分を、
「韓国大使館」が証明すれば国籍回復手続きを手助けできる」という意志を明らかにした。「他国(韓国)
が自国の領土で行政手続きを踏めるよう配慮する」という意味だった。朴魯壁(パク・ノビョク)駐ウクライナ
大使は、「ソ連時代から何代にもわたりこの地域で暮らしてきたこと、高麗人は歴史的被害者だという
事実をウクライナが認め始めた」と説明した。
高麗人支援に関する法律を推進しているハンナラ党の李範観(イ・ボムグァン)議員は、「法をあるがまま
に適用すれば、無国籍高麗人はすべて不法滞在者なだけだ。しかし歴史認識を通じて彼らに関する
新しい観点を提示できるだろう」と強調した。
本紙はロシア、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタンの4カ国で20日間にわたり無国籍高麗人を取材
した。しかし正確な実態調査も行われておらず、どこにどれだけ多くの無国籍者がいるのかも把握するのは
困難だった。
URLリンク(japanese.joins.com)