09/06/15 19:47:06
内需よりも輸出に期待してきた韓国の輸出依存型経済モデルが、重大な岐路を迎えている。韓国と並び
「アジアの四小竜」と呼ばれてきたシンガポールが、今年第1四半期にマイナス11.5％（前年同期比）という
衝撃的な経済成長率を記録したことで、内需基盤が弱い韓国経済も輸出だけに頼ってきたシンガポールの
轍（てつ）を踏むのではないかと懸念されている。
韓国の貿易依存度はシンガポールに比べ低いものの、中国や日本といった競争相手国よりは高い。2008年
の世界銀行の統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易額を国内総生産（GDP）で割った貿易依存度は、
韓国が83.5％で日本の28.8％の約3倍、中国の68％と比べてもまだ高い。
韓国の輸出は、今年に入りマイナス20％から30％へと急減傾向を示している。それでも現在までショックが
表面化していないのは、ウォン安のお陰でウォンに換算した輸出実績が依然として良いからだ。
関税庁によると、今年3月の輸出額は360億ドル（現在のレートで約3兆5700億円、以下同）で1年前に
比べ22％減少したが、ウォンに換算すると41兆3260億ウォンとなり、1年前より19％増加した。昨年は1ドル＝
1000－1100ウォンだった為替レートが、今年は1400ウォン台に急落したからだ。為替レート下降の効果が
輸出減少のショックを隠す「錯視」現象が起こっているというわけだ。
中国や日本は足早に内需拡充のための対策強化に乗り出し、世界的な経済危機の長期化に備えている。
中国政府が昨年11月に編成した4兆元（現在のレートで約58兆1296億円）規模の景気浮揚策は、内需
強化に焦点を合わせている。経済成長が遅れている内陸地方の開発や社会間接資本の拡充に、経済対策
の54.3％に当たる2兆1700億元（約31兆5353億円）を投入した。
四川大地震などの災害も、内需基盤を構築する契機となっている。災害復旧のためのインフラ（社会間接
資本）投資に25％、農村の基礎建設および低所得層のための住宅建設に約17％が投入された。都市と
農村の所得格差、劣悪な住居環境、過度の輸出と貧弱な内需など、中国経済が抱える慢性的な「病」を
この機会に改めよう、という試みだ。
日本は今年4月10日、GDPの3％相当の15兆4000億円に達する史上最大規模の景気浮揚策を発表
した。このうち40％（6兆2000億円）は、低炭素革命や21世紀型インフラ整備といった中・長期的な成長戦略
に使われる。LG経済研究院の呉文碩（オ・ムンソク）常務は、「中国と日本の景気浮揚策は短期的な景気
浮揚だけでなく、危機の後に備えた経済の体質改善までを念頭に置いたもの」と評価した。
反面、韓国の内需産業活性化は依然として空念仏に過ぎない。内需基盤強化の核心に挙げられてきた
営利医療法人設立などのサービス業先進化案は、政府部局レベルですら合意を見出すことができないまま、
漂流している。「内需強化戦略」を総括する組織も不在だ。教育産業は教育科学技術部、医療は保健
福祉家族部、ほかの一般産業は知識産業部と、管轄が分かれている。
専門家らは、経済構造を輸出依存型から「輸出－内需均衡経済」へと方向転換しなければ、韓国経済
の安定的成長を期待するのは難しいと指摘する。キム・ジョンソク韓国経済研究院長は、「内需を伸ばし、
輸出に依存する脆弱な経済体質を改めていかなければ、韓国経済はジェットコースターのごとく、繰り返し
危機にさらされ続ける可能性がある」と語った。
URLﾘﾝｸ(www.chosunonline.com)
参考：韓国とシンガポールのFTA
9．韓国・シンガポール自由貿易協定（KSFTA）
2005年8月にFTAを締結したが、（2006年1月20日現在）未発効。発効後、シンガポール側は全ての輸入
品目に対し関税を即時撤廃し、韓国側はシンガポール製品約75％について関税を即時撤廃する。
品目ごとに個別の原産地規則が設定されている。
URLﾘﾝｸ(www.jetro.go.jp)