09/05/30 20:00:23
「われわれのビジネスにとって、今の中国は場所よし、タイミングよしだ。ぴったりなんだよ」
深センのレストランで麻婆豆腐を何杯も平らげながら、テレンス・ヤップ氏は言った。彼の
会社の株価は米国からの投資が逃げ出したおかげで、昨年一年間で58%も下げていたが、
それも問題がないというのである。
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北京の人民大会堂前に広がる天安門広場。6月4日で「事件」から20年を迎える(ブル-ムバーグ)
38歳になるヤップ氏が経営するCSST社のビジネスというのは、中国政府に隠しカメラ
などの監視用器具を納入するというものだ。経済が停滞し、失業率が上がり、社会不安が悪化
するとともに、中国政府は警備に力を入れるようになっている。経済危機は、CSST社に
とって絶好のビジネス・チャンスなのだ。
「わが社の業務内容は、心の平安を客に提供することにある」と、ヤップ氏。そして現在、
中国の指導者が求めてやまないものといえば、心の平安以外にありえない。温家宝首相は、
都市部に出稼ぎに来た農民のうち3000万人もが職を失いかねないという事態に直面して、
社会的安定を公約した。
「われわれは、断固として公共の安寧を確保し、法と秩序を維持するつもりである。そのた
めには、あらゆる努力を惜しまない」
温首相は、3月5日の全人代でそう宣言している。中国社会科学院によれば、中国全体の
失業率はすでに9.4%に達しているということだが、これは3月に中国政府が発表した
都市部の正規労働者の失業率4.3%の倍以上だ。
しかも、今年だけで600万人の大学生が卒業して、就職市場になだれこんでくる。上海で
行われた就職フェアでは、葬儀業界の400人の求人に対して、5000人の学生が殺到
したという。
とはいえ、金融危機で打ちのめされた世界の中では、中国経済の成長ぶりは目を見張る。
2008年の成長率9%というのは、主要国中トップの実績だ。今年の第1四半期にGDP
成長率は6.1%まで落ち込んだが、世界不況で輸出が伸び悩んでいることを考えれば、
相当な好成績といえる。国際政治の場でも、中国の存在感は日ごとに増すばかりだ。
>>2以降に続きます
フジサンケイビジネスアイ 2009/05/30
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