09/05/04 11:17:10
【 >>1 からの続き】
一方で韓日両国が、歴史的に見てこれほどまで緊密な関係であったにもかかわらず、両言語の
関係については一部の学者たちがアルタイ語系だと主張している以外には概して両言語が各々
独自に発展してきたと見られていることに、著者は疑問を抱く。
ひときわ言語に関心が高かった著者は、海外勤務地で多くの外国語を接する中で、言語の生成
や言語が生活に及ぼす影響、そして文化の形成過程などに格別の関心を持つようになり、何より
長年の日本生活を通じて日本語の根が韓国語にあることを自ら体験した。「両言語の形態や構文
に類似性があるのは認めるが、固有語の面で同一語族に属すると言えるほどの類似性が十分で
はなく、同系語とは言えない」という主張に対して、筆者は同語族だという直接の根拠を捜すため
に、日本語の中に隠された韓国語を一つ一つ発掘し始めて20余年、誰の助けも受けないで一人
で打ち込んできた努力と研究と探索の結果として、2005年秋に『日本語の中の韓国語 - 韓日
固有語比較辞典』が世に出た。
著者は単なる好奇心や言語学上の語族研究のためではなく、両国間の歴史的な真実を明らか
にして、これを土台に歪曲された歴史を正し、未来の歴史を正しく設計するのに役立つことを希望
してこの本を書いた、と述べている。
著者が歴史を正そうとする努力は、「天皇中心に成り立った日本歴史の舞台に、韓半島・韓国人
は少しも近接することができず、何らの影響も与えることができなかった」という歴史認識、即ち
日本固有の皇国史観が根深く横たわっている日本の意識の目を覚まさせる点にもある。日本の
学者の大部分が、いまだにヤマト政権が新羅を征伐して任那日本府を設置して韓半島を支配した
と主張しており、その韓半島支配説が単なる歴史記録にとどまらず後に彼らが意図したとおりに
日本の対韓半島宗主国史観にまで至り、日本の歴史の中心に位置づけられているというところに
問題がある。
こうした歴史観は、後に豊臣秀吉の朝鮮侵略、李朝末期の征韓論者らによる韓日併合を正当化
する歴史的根拠になり、ついには韓半島のみならず満洲までも日本の植民地支配下に置くことで
彼らの長年の領土的野望を一時的にでも満たした、今日もなお千数百年前からの主張をそのまま
広げている彼らの姿を見て、著者はその底意が尋常でないことを感じるという。
この本は、韓日古代語比較辞典の形式を取っており、見出し語を日本語の五十音図に基づいて
配列している。言語学では言語間の関係を明らかにするに当たって、何よりもまず音韻対応が重
要な役割をする。そこで本書では、韓日両言語の間の異音関係が偶然や恣意的ではないことを
示すために「解説篇」で音韻対応の法則を設定し、これに基づいて見出し語とそれに対応する韓
国語との相互関係を詳しく説明している。また「辞書篇」では、両言語が共有する形態論上・統辞
論上すなわち文法論上の類似性を音韻・意味・語彙で提示している。
【おわり】