09/04/22 12:04:55
「“トランスナショナル(超国家的)人文学”とは、米国同時多発テロや世界的な金融危機を受け、
各国で台頭しつつある盲目的なナショナリズムに知識人たちが巻き込まれることなく、
国家間の対立を乗り越えて新たな方策を模索しようという試みだ」
今月20日、東国大慶州キャンパスで行われた「トランスナショナル人文学国際学術会議」に出席した、
米コーネル大の酒井直樹教授(63)は、最近各国で感情的なナショナリズムが台頭している中で、
「過去を省みる」という姿勢が失われつつある、と警告した。「フランス国会は数年前、アルジェリアの
植民地支配が“アルジェリアに肯定的な影響をもたらした”という法案を成立させ、また日本では最近、
従軍慰安婦問題について言及すらできない状況だ」と酒井教授は指摘した。
その上で「最近、(“新しい歴史教科書をつくる会”が執筆した)自由社発行の中学校用歴史教科書が
文部科学省の検定で合格したことは、ナショナリズムが台頭する日本の現実を物語るものだ。
まさか認定されるとは思わなかったため、あきれるばかりだ。極右勢力は着実に目的を達成しているが、
日本国民の反発は次第に弱まってきている。北朝鮮がミサイルを発射したことで、一番恩恵に
あずかっているのは日本の極右勢力だ」と述べた。日本の極右勢力は、北朝鮮の核問題や
日本人拉致事件を背景に力を取り戻し、植民地支配に対する謝罪や反省もなく、
危機意識を強調しているというわけだ。
また、酒井教授は「日本は植民地支配で行った非人道的な犯罪に対し、
責任者を自ら処罰したケースがまったくない」と指摘した。
植民地支配で行った犯罪に対し、何も考えず、何もしようとしない日本国民の責任は大きいというわけだ。
一方で酒井教授は、米国の責任についても言及した。「(昭和)天皇の戦争責任を不問にしたのは米国だ。
現実的な統治における必要性を重視したため、戦争責任がある天皇を訴追しようとしなかった。
日本が米国への依存から抜け出すためには、自らの手で戦犯を処罰しなければならない」と主張した。
東京大哲学科を卒業後、米シカゴ大で博士学位を取得した酒井教授は、東アジア思想史と比較文化理論の専門家だ。
1996年には多言語による文化誌『痕跡(こんせき)』を創刊した。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ギチョル記者 教科書:「自由社版の合格、日本の現実を物語る」 コーネル大酒井教授、各国のナショナリズム台頭を批判
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