09/04/12 14:33:09
朝鮮半島に伝わる歌や踊りを継承する福岡朝鮮歌舞団の在日3世の団員4人が、市民団体と
の出会いを機に、在日社会から活動の枠を広げている。24日には初のディナーショーを
開催。市民との取り組みが「在日」として生きる団員の心の垣根を取り払おうとしている。
(国際部・藤崎真二)
祖母の鼻の傷あとは痛々しかった。「幼いころ日本人に石を投げつけられたとか。日本人は
信じられないと思って育ちました」。そんな金妙穂(キムミョス)さん(22)たち団員の
主な舞台は同胞の結婚披露宴やイベント。プロの芸術家として年間約70回こなす公演も、
日本人の目に触れる機会は限られていた。
2007年末、韓流好きの藤井いつ子さん(60)=福岡市南区井尻=との出会いが転機に
なった。藤井さんは知人と訪れた歌舞団の公演に感激、団員に支援を提案した。
「何か魂胆があるのでは」。団員は当初、警戒さえした。「心を開いて飛び込んで」との
言葉を信じて08年6月、初めて市民が主催した公演に出演した。今回のショーは第2弾だ。
厳しい現実もある。同歌舞団は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)福岡本部に所属。北朝鮮
のミサイル発射で、注がれる視線は険しい。
「逆境だからこそ支える。芸術へのひた向きな姿勢を見ると応援せずにはいられないんです」。
藤井さんは、長年ファンとして公演に携わってきた岡林信康さんを紹介した。一時代を築いた
「フォークの神様」のコンサート。「なんて自由な音なんだろう」「歌の力ってすごい」。
コンサートを見た団員は、涙が止まらなかった。岡林さんの1つ1つの言葉を胸に刻み、
あらためて音楽について考えた。
公演でも「自由」な舞台を表現したい。和太鼓とのコラボ、自分たちの素顔も見てもらい、
感じるままに音楽を楽しんでほしい。何よりも「人と人として、心を開いてふれあいたい」。
取り入れた岡林さんの歌がある。彼が以前、韓国人ミュージシャンから教わった朝鮮半島の
民謡。自ら詞を付け、20年来大切にしてきた作品だ。「舟唄(ふなうた)(ペンノレ)」。
今回の舞台を新たな船出にしよう。そんな思いで歌いたい。
「もっと もっと遠くまで 果てなどないこの旅に 響け舟唄」と。
◇ ◇
ディナーショーは午後7時から、市民団体「福岡チングの会」など主催。料金は1万円。
(場所割愛、確認したい方はソース元確認ください)
西日本新聞朝刊 2009/04/12
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