09/04/12 00:08:05
- 北朝鮮―閉鎖国家の不安な行く末 -
とりあえずは無事、職務に復帰したと見せたかったのだろう。北朝鮮の国会にあたる最高人民会議の
議場を金正日総書記がしっかりとした足取りで歩き、拍手する姿を伝える映像が、世界に流れた。
昨夏、脳卒中で倒れたとされて以来、多くの写真は公表されてきたが、こうした映像がその日のうちに
放映されたのは初めてだ。
金総書記は「国家の最高職位」という国防委員会の委員長に3選された。その委員会も、これまでは
長老のメンバーが多かったが、新たに労働党や軍で実権を握る有力幹部が加わり、国家の中枢機関
としての性格を強めた。
だが、深刻な経済難など北朝鮮が陥っている苦境は変わらない。北朝鮮は、先の弾道ミサイル発射実験
を「衛星打ち上げ成功」と宣伝し、金氏の国防委員長3選の慶祝とも位置づける。食糧難にあえぐ国民を
思えば、何ともむなしい国威発揚である。
今回の最高人民会議に際して、金氏の健康状態とともに、後継問題が世界の大きな関心を集めた。
映像で見る限り、その姿にはやつれが目立った。絶対的な独裁者だけに、権力構造に何らかの変化が
起きているのかどうか、気になるところだ。
国防委員会の拡充、強化はおそらくそこに関係していよう。トップの健康に異変があっても、統治が乱れ
ないような態勢を築いておく。さらに後継者が決まれば、それを支える基盤として機能させるつもりなのだろう。
閉鎖的な国だけに、後継をめぐる具体的な動きはなかなか見えてこない。ただ、いずれ権力は交代する。
日本をはじめ周辺国は、その時に備えて様々なシナリオを描きつつ、注視していかねばならない。
急ぐべきは、ミサイル実験に対する国際社会の行動だ。国連の安全保障理事会で、日米は決議の形で
北朝鮮を非難するよう働きかけてきたが、中国やロシアの反対で難航している。
一致したメッセージを迅速に送る必要があるのに、安保理内に亀裂を生むようでは逆効果になりかねない。
米中は議長声明の形で打開を探る方向だ。国際社会としての一致した、明確な態度表明を優先すべきでは
ないか。
日本政府はきのう、北朝鮮への独自制裁を1年延長した。送金規制の強化も検討する。同時に、河村
官房長官は北朝鮮が懸案解決へ行動する場合「いつでも(制裁の)一部または全部を終了できる」と述べた。
この柔軟さは評価したい。大事なのは、硬軟織り交ぜたダイナミックな外交だからだ。
核をめぐる6者協議を再起動し、拉致問題など日朝間の懸案解決の作業も急ぐ。そういう交渉に早く北朝鮮
を引き出さねばならない。
ソース : 朝日 2009年4月11日(土)付
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