09/04/07 18:33:52
【上海=河崎真澄】米インターネット検索サービス大手グーグルが先月、中国で110万曲
以上の楽曲が無料で検索できる斬新なサービスに踏み切ったことが論議を呼んでいる。利用者
は携帯型音楽プレーヤーなどに大半の楽曲を無料でダウンロードできるため、地元メディア
は「(新サービスで)人類が音楽の天性に回帰」などと誇張ぎみに伝え、歓迎ムード一色に。
一方で「著作権に対する中国人の感覚がまひする」との批判もくすぶりだした。
米グーグルとの提携により楽曲の無料ダウンロードを始めた中国の「巨鯨音楽網(Top100.ch)」
同サービスはグーグルが中国の楽曲配信大手「巨鯨音楽網(Top100.cn)」と提携
し、先月30日からスタートさせた。香港などを除く中国本土内のネットユーザーが対象だ。
中国人歌手のほか当局が「表現に問題なし」と認定した海外アーティストの楽曲のみが検索
できるという。
米ユニバーサル・ミュージックや英EMIなど、楽曲を提供するレコード会社には検索サイ
トの広告収入を分配する仕組み。違法コピーが横行する中国で、CD販売や有料ダウンロー
ドなど従来型の著作権収入に代わる“苦肉の策”だ。
地元紙は「谷歌(グーグルの中国語表記)」を相次ぎ絶賛しているが、このことは「中国
当局の意向を反映した」(日中関係筋)との見方もある。中国当局も手をこまぬいてきた
違法コピー問題に、グーグルの新サービス導入が一定の歯止めとなるとみている。違法
コピーを制度的に合法化すれば違法行為ではなくなる、との理屈だ。
一方、グーグル側にも事情がある。米国を上回る3億人のネットユーザーを抱える中国だが、
グーグル傘下の動画共有サイト、ユーチューブが先月、チベット関連画像をめぐって突然ア
クセス不能となったほか、当局のサイト検閲問題もあって苦戦。検索シェア首位で地場の百
度(Baidu)に大きく水を空けられているのが実情。グーグルは新サービスを中国市場
開拓での切り札にしたい考えだ。
だが、匿名を条件に取材に応じた上海の学識経験者は、「グーグルの新サービスで中国人は
ますます著作権とは何か、なぜ著作物に代価を払わねばならないのか、理解しなくなる」と
語り、世界的な知的財産権の保護の動きに逆行すると警鐘を鳴らした。グーグルは巨大市場
への参入と引き換えに、表現の自由を制限する中国当局の要求を受け入れたとの見方も可能
で、さらに論議を呼びそうだ。
C-NETJapan 2009/04/07 17:39
URLリンク(japan.cnet.com)
米グーグルとの提携により楽曲の無料ダウンロードを始めた中国の「巨鯨音楽網(Top100.ch)」
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