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★人民元で「安全」買え 中国「ドル限界論」唱え通貨スワップ拡大
基軸通貨ドルの安全性に懸念を高める中国は、貿易相手国が人民元建ての取引をしやすくするために、
複数国との間で通貨スワップ協定の締結を進めている。ＷＴＯ（世界貿易機関）によると中国はドイツに
次ぐ世界第２位の輸出国。７４００億ドル（約７３兆円）の米国債を保有している。
中国人民銀行（中央銀行）はアルゼンチンやベラルーシ、香港、インドネシア、マレーシア、韓国の中央
銀行との間で、２国間通貨スワップ協定を結び、総額６５００億元（約９兆３９２５億円）を供給することに
合意した。人民銀行は、さらに締結国を増やす予定だとし、相手国の輸入業者は中国製商品の代金を
米ドル建てで決済しなくても済むと説明した。
１９８３年以降、米ドルとのペッグ制を導入する香港では、大規模スーパーのパーキン・ショップから宝飾
店に至るまで、人民元での決済を受け入れている。インドネシア中央銀行のサルウォノ副総裁は１日、
「輸入業者はドルを使う必要がなくなり、輸入代金を直接人民元で決済できる。ドル為替相場への圧力が
軽減し、為替レート安定化に寄与するだろう」と語った。
≪混乱から自国守れ≫
昨年９月の米大手証券リーマン・ブラザーズ・ホールディングスによる経営破綻（はたん）から始まった
金融危機で、米ドルに対する懸念は高まった。中国社会科学院世界経済政治研究所の研究員、張明氏
は先月３１日の取材で、「われわれはこれ以上米国発の混乱の影響を受けることのないよう、自国経済が
守る必要がある」と語った。
人民銀は、通貨スワップはドルの供給量が足りない発展途上国が「現在の危機に対処する」のを支援する
ためのものだと強調している。
中国政府高官らは２日にロンドンで開催された主要２０カ国・地域（Ｇ２０）金融サミットを利用して、米ドルの
役割縮小と新たな国際準備通貨の創設を求めた。ＩＭＦ（国際通貨基金）の特別引き出し権（ＳＤＲ）の活用
範囲を広げ、国際準備通貨を創設するという周小川人民銀総裁の提案について、Ｇ２０加盟国のロシアと
インドネシアは、各国の外貨準備の変動を抑えるものとして支持している。
ＩＭＦによると、昨年末時点で世界各国が保有する６兆７１００億ドルの外貨建て準備資産のうち６４％が
米ドル建てだったが、０１年６月の７２．７％からは大幅に目減りしている。
≪強含む可能性≫
ただ、人民元は国際兌換（だかん）通貨ではないため、準備通貨には採用されない。
ペンガナ・キャピタルの資産運用担当、ダイアン・リン氏（シドニー在勤）は「ドルの代わりになるとの考え方
は極めて早計。人民元はゆくゆくは国際的な兌換通貨になるだろうが、５年越しでの話だ」と語った。
米アパレルのギャップやリーバイスの縫製を請け負う香港の長江製衣の陳永棋会長は、「さらに多くの国
や地域との貿易決済で人民元を使用許可するというのが次の段階になるだろう」と述べ、「人民元が米ドル、
ユーロ、英ポンド、日本円よりも強含む可能性が高まっていると確信している」と語った。
中国本土からの観光客が急増している香港の各店舗では、元建て決済を歓迎する向きが高まっている。
香港小売業協会（ＨＫＲＭＡ）のキャロライン・マック会長は、「観光客の多くは買い物をするための現金以
外何も持たないから、商売人として元を受け入れざるを得なかったわ。宝飾店でさえも今はもう皆、人民元
を受け入れているのよ」と語った。（Ｂｏｂ Ｃｈｅｎ）
ソース：Bloomberg[2009/4/3]
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