09/04/01 23:47:34 tO093mEg
ニューズウィークでも取り上げられていたが
この映画は非常に面白い映画であるようだ。これは無数の悲劇が
発生し続ける恐慌状態の下で、命の危険を感じながら、いかにして
人々が「自分の中のなけなしの正義」を実行していくか、という
ドラマだ。
ラーベにしても「彼は善人か」と問われれば、それは断言できない。
忠実なナチス党員であることは「善人」とは両立しない。だがしかし
その年の冬の南京で、彼が「普通の人間」としてはまれに見るほどの
勇気をもって多くの人を救おうとしたことは動かしようがない。
「善人」とも「悪人」とも言いがたい人間が、時に涙の出るような
りっぱなことをする。そして一方では永久に記憶から消せないような
醜いことをする者もいる。人間は純白でも黒でもなく、いつもグレーなものだ。
南京で中国人を殺した俺の祖父は「悪人」だったか。おれはそうとも
思わない。農民だった祖父は、身重の妻を故郷に残して中国大陸に
兵士として送り込まれた。祖父はこの戦争の勝利には懐疑的だったが、
戦闘が始まれば冷静ではいられない。命令に従い捕虜を何人も水路に
沈めて溺死させた。手足を縄や針金でしばり水死させる方法は、南京の
各所で行われていた効率的な殺害方法だ。こうした無数の虐殺の
存在そのものは、戦友交流組織の偕行社ですら認めている。
たとえ恥ずべき歴史であっても、本当に「日本を愛する」という者なら
それを直視してしかるべきであろう。「愛」というのは盲従や狂信では
なく、欠点も含めてすべてを受容することなのだから。