09/04/02 00:35:33 KbgKufmb
259 :名無しに対する愛情はないのか!?:2007/01/22(月) 10:45:54 ID:URMdqoM6
北朝鮮の飢えた人民に読ませてあげたい文章。
なお、「K」は日本人の砂防技師、「区長父」は現地の朝鮮人有力者です。
僕が荒廃地現況調査に出張中T面S里での出来事の一つ。
(中略)
「若し砂防工事がS里で始まれば施工後は保安林に編入されますか」
と僕に質問した。僕は直ちに
「林野保護の上から見てどうしても保安林に編入する必要があります」
と答へた。
区長父「保安林に編入されたら薪はとれなくなりますね」
K「さうです」
区長父「それではS里は砂防工事をやつて貰はなくてもよいから調査せずに帰つて下さい」
僕は苦笑した。何と答へ様かと思つたがすぐに
「S里は大分荒廃が進んで居りますから、何れ砂防工事をやらなければとても治りません。
この分では一年増しにひどくなつて、最後には一本一草も止めぬ赤禿山になるのみか
年々山から流れ出る砂の爲に次第に田畑は埋没されて行きますがね」
区長父「赤禿山にならうが、田畑が埋没されやうが、私は一向構ひません。
そんな理窟を云はずに早く帰つて下さい」
K「赤禿山になれば勿論薪はとれなくなります。
田畑が埋没されて行けば年々お米の収穫が少くなるのみならず、
豪雨の際は、家や人の命までも脅かしますがそれでもいゝですか」
つづく・・・
274 :名無しに対する愛情はないのか!?:2007/01/22(月) 10:52:37 ID:URMdqoM6
>>259の続き
区長父「貴方はまだそんな理窟を云ふ。私はもう五年六年は愚か明日にもわからない命だ。
私が生きてゐる間だけ薪がとれて田畑が作れゝば結構だ。孫子の代までも考へる必要なんか無い。
私さへ生きられゝばそれで満足だ。山が禿げやうが田畑が潰れやうが、そんな先の事はどうでもよい。
理窟は云はずに早く帰りなさい。
私は貴方の顔を見ると、すぐにでも砂防工事が始まる様な気がして頭が痛くなる。
一刻も早く帰つて下さい。もう私は貴方に用は無い。先に帰る。」
区長の父はかく言ひ残してさつさと下山して行つた。
僕はこの時故山地白雨氏の
はげ山の あか土山の 山つゞき 哀しきくにを 作れるものかな
の句を思ひ出した。
『山潮』 第24号、1933(昭和8年)。49-50頁。