09/03/30 09:11:48
「密輸容疑で韓国の警察に捕まっている」。今年1月、横浜市内の女性のもとに、音信不通
になっていた息子から突然、手紙が届いた。
インターネットで知り合った男たちにだまされ、中身を知らないまま、覚せい剤の入った
荷物を運ばされたことが記されていた。息子をだました男たちとは、何者なのか。その実態
が、先月、東洋大学の学生が覚せい剤を密輸しようとしたとして逮捕されたのをきっかけに
明らかになろうとしている―。
「母さんへ 心配かけてごめん」。1月初め、横浜市港北区の女性の自宅に、そんな書き
出しで始まる手紙が届いた。手紙の主は、昨年10月末に連絡が取れなくなっていた大学生
の長男(25)で、韓国・仁川市の拘置施設から出されていた。そこには携帯電話のサイト
を見たのをきっかけに、韓国で逮捕されるまでの経緯が説明してあった。
長男が、携帯電話のアルバイト紹介サイトで「海外旅行して稼げる仕事」という書き込みを
見つけ、投稿者に連絡したのは昨年10月初め。都内の飲食店に呼び出されると、5~6人
の男たちがいて食事をごちそうになった。その後も何度か食事に誘われ、家庭の事情で学費
を稼がなければならないことなど、親身になって聞いてもらった。
「これからは生活の面倒をみてやる」。リーダー格の男からそう言われたのは同月中旬。
マレーシアから韓国に「荷物」を運ぶアルバイトをすれば30万円を支払うと言われ、成田
空港で引き合わされた20代前半の女性と2人で出国した。
マレーシアでは携帯電話で指示を受け、白人の男からスーツケースを1人一つずつ受け取っ
た。その日のうちに韓国に渡ったが、仁川空港の税関で、スーツケースの二重底に覚せい剤
が隠されていることを指摘され、そのまま2人一緒に逮捕されたのだという。
長男からはその後も、手紙が届き、仁川空港で逮捕された日本人が数人いることも書かれて
いた。実際、東京・練馬の女性の家にも今年1月、韓国旅行に出たきり連絡が取れなくなっ
ていた長男(24)から同様の手紙が届いた。
捜査関係者によると、問題のサイトに書き込みをしていたのは、元東洋大生の渡辺恭被告
(20)=覚せい剤取締法違反罪で起訴。事件発覚後、退学処分=だった。渡辺被告は、こ
の書き込みを見て連絡してきた無職の男(25)を使い、マレーシアから覚せい剤を密輸し
たとして先月、大阪府警に逮捕され、今月には、同様に2人の運搬役にトルコから覚せい剤
を密輸させたとして、警視庁に逮捕された。
渡辺被告は「15人ぐらい海外に行かせた」と供述。警察当局は、このうち横浜市の女性の
長男も含め、少なくとも3人が韓国で逮捕されたことを確認した。
渡辺被告が、サイトに書き込みを始めたのは昨年9月頃から。知り合いのホステスに紹介さ
れた男と、月30万円の報酬をもらう約束を取り決めていた。この男も密輸組織の末端にす
ぎないとみられ、関係都府県の警察は組織の割り出しを進めている。
(池亀 創)
YOMIURI ONLINE/読売新聞 2009/03/30 07:03
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事件構図
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