09/03/27 11:36:00
地域が中学生の心を支えている。
体育館に集まった参加者の資料の最初には「見た目って、大切?」と記されていた。
京都市立陶化中学校(南区)で住民と中学1年生が、分かれて話し合う「ふれあいトーク」。
議論のきっかけになるように用意されたテーマは、神奈川県の県立高校で、服装や態度に問題のある
受験生が不合格になった問題だった。
「トーク」は今年度が5年目。府内の他の中学校でも取り組む学校はあるが、陶化中では「道徳」として
行う点に特徴がある。2月3日に行われた今年度は、70人余の中学生と50人ほどの大人が12の
グループに分かれ、肩を寄せ合って1時間半、話し合った。大人は保護司、自治連会長、少年補導委員、
子育てサークル代表など、子供たちに縁のある人が多い。
校区は、井筒和幸監督が映画「パッチギ!」で描いたような在日コリアンの多い地域でもある。地元で
保育園長を28年も務め、共生の大切さを訴えてきた崔忠植(チェチュンシク)さん(71)も、その1人。
校長の助言者である学校評議員として「トーク」に参加した。「茶髪はどう思う?」「ちょっとかっこいい」
「でも指導されれば守ると思う」……。こんなやりとりがあった。
多くのグループで総じて生徒のおとなしさが際だって見えたが、普段の生徒を見ている1年の学年主任、
井戸利明教諭(46)の目には「予想よりよくしゃべってくれた」と映った。
確かに「十分に自分の意見が発表できたか」という事後アンケートの問いに、否定的な答えが過半数を
占めたが、満足度はまずまず。気持ちを漢字で表す設問に「楽」と書いた生徒も目立った。
地域の目の温かさは、昨年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)でも表れていた。
「今住んでいる地域が好き」という答えが47・9%と、全国平均より11ポイントも高かったのだ。
離婚などで、地域に戻らざるを得ない事情もあるようだ。だからこそ、「トーク」ではこれまで「家族愛」という
テーマにこだわってきた。道徳主任の中島一郎教諭(46)は「私自身、道徳の時間に、このテーマで授業をす
ることが多い。親の気持ちを家庭で聞くことが少ないから、大人の話をもっと聞きたいと求める傾向が強い」という。
校長時代にこの催しを始めた市教委生涯学習部首席社会教育主事の古田義久さん(58)は「生徒たちに人間
力のシャワーを浴びせるのが狙い。地域の人同士のつながりができる効果も大きい」と説明する。
陶化中の廊下の壁には、次のような言葉が張ってある。
「心が変われば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば
人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる」
そこには「過去は変えられないが、未来は変えることができる」という教員の思いが込められている。(中西茂)
「パッチギ!」 1960年代後半の京都を舞台に、在日朝鮮人の女子高校生にひと目ぼれした日本人高校生と、
周囲の若者たちを描いた青春映画。2005年に公開され、キネマ旬報ベストテンで1位となったほか、毎日映画
コンクール日本映画大賞なども受賞した。「パッチギ」は韓国・朝鮮語で「突き破る」「乗り越える」「頭突き」の意味。
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
ソース:読売新聞
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