09/03/26 22:03:40
政府は、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」を公表したことで、長距離弾道ミサイルを実際に発射する可能性は濃厚と分析してきた。
そのため、発射台で設置作業を開始したことは「予定通り」と冷静に受け止めている。発射後は、(1)国連安全保障理事会での決議採択
(2)日本独自の制裁発動--の2段構えで対北圧力を強める方針だが、実現しても実効性の乏しい内容にとどまる見通しで、
手詰まり感も漂っている。
「安保理決議の可能性を含めやっていく。国際社会が一致した形で非難する方向に持っていかなければならない」。
麻生太郎首相は26日夕、首相官邸で記者団に、安保理での新たな決議採択に改めて意欲を示した。
政府は、発射すれば、すべての弾道ミサイル計画に関する活動の停止を北朝鮮に求めた安保理決議1718に
違反すると繰り返し主張してきた。だが、6カ国協議のメンバー国のうち中国とロシアは、北朝鮮が
「衛星の打ち上げ」と主張して発射時期や落下海域まで公表したため、直ちに決議違反との立場は取らない。
このため「安保理で制裁決議まで持っていくのは難しい」(外務省幹部)のが実情だ。政府は、
非難決議の採択を模索して関係国に働きかけているが、メッセージの弱い議長声明にとどまる可能性もある。
独自の制裁としては自民党の拉致問題対策特命委員会がまとめた、北朝鮮への輸出全面禁止が柱の制裁案を軸に
追加制裁の発動を検討している。だが、既に実施した北朝鮮船舶の入港禁止などの制裁で、05年に69億円だった
輸出実績は08年は8億円に激減。「相当な制裁をやっており、これ以上はなかなか難しい」(同)ため、
象徴的な意味合いのものにとどまりそうだ。
政府は、ミサイル発射時の国民への周知にも腐心する。発射が確認されれば、速やかに報道機関などに公表したうえで
官房長官が記者会見する方向で調整している。地方自治体には、内閣官房から連絡を受けた消防庁が消防防災無線を通じ、
全市町村にファクスで状況を伝える体制を取っている。ただ、発射から着弾までは7~8分しかなく、
どこまで国民に情報が伝わるかは不透明だ。【古本陽荘、石川貴教】
毎日新聞
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