03/07/24 02:38
イチローに学べ イチロー「勝利の方程式」(永谷脩著)より
天才は努力で作られるものである!
球界には、かつて天才児といわれるプレーヤーが何人もいたが、持って生まれた
素質を切り売りしていた人が多かった。人並みはずれた筋力や体格を持っていたり、
地肩が強靱だったり…。だが、そういう選手たちは概して努力をしない。逆にいえば
人並み以上のものを持っていたから、それほど努力する必要もなかったわけだ。
ところが、イチローは違う。人並み以上にすぐれているのは動体視力ぐらい。
体そのものは硬いし、上背もそれほどあるわけではない。パワーもあるとは思えない。
だが、イチローほど入団当初の体つきから大きくたくましく変わった選手も珍しい。
子供の体から大人の体に変わったとさえいえるかもしれない。
イチロー自身はこう言う。
「自分の体は、それほど恵まれたものだとは思っていない。トレーナーの先生には
筋肉は軟らかくていいと言われていますが、体そのものは硬い。だから、
ホームラン・バッター向きではないかもしれない。ダイエーの秋山さんや小久保さん
なんか、体が軟らかいと思う。でも、恵まれていない体だからこそ、鍛えがいがある
と思うんです」
「今の体だったら、投手でもやっていけるように思うんです。高校時代の写真を
見るのが恥ずかしいくらいですから」
イチローがまだ鈴木一朗を名乗っていたプロ入り1年目、ドラフト1位の同期、
田口壮の裸を見た時、イチローは愕然としたという。
「高校と大学出という年齢の違いはあっても、同じ土俵でやっていかなくちゃならない。
これでは並大抵のことでは勝てない。よほど頑張らないと、という気持ちになった」
その時受けたショックが、そのまま素直に自らの肉体改造を実行させる原点になった。
この時から、ウェイトトレーニングは欠かしたことがない。遠征の時でも、海外に
出かけた時でも、三度の食事をするかのように、ごく自然にやってのける。本人は
「当然のこと」とこともなげに言うのだが、このたゆまぬ鍛錬が、現在のイチローを
作りだした。