村上春樹的にワールドカップを語るat WC
村上春樹的にワールドカップを語る - 暇つぶし2ch400:名無しが急に来たので
10/10/13 00:48 .K8qMhSI
配られたユニフォームのタグには羊男と書かれていた
鼠が送ってきた手紙にもタグに書かれてある羊男と同じマークの消印
図書館のサッカーに関する資料によれば
羊男のタグについてそれほど詳しくは載ってはいなかった
町はクリスマス。電飾のきらめきに頭痛がする
ふと声をかけられ振り向くと☆のかたちをしたメガネフレームの
女が羊男について知りたいならついて来てというではないか
あまり乗り気ではなかった。頭痛のせいで早く家に帰りたいが
羊男についてはこれを逃すと後が無い気がした。いわゆる感というやつだ
女の言うままについていくことにした。

401:名無しが急に来たので
10/10/13 17:19 /qhNIhxI
その時、日本人達が大きな身振りで、猛烈に声をあげているのがみえた。
どうやら、僕に何かを抗議しているようだった。
そうはいっても、僕はパスタを茹でている途中だったし、
アルデンテの時間をのがしてまで、彼らの話を聞くつもりはなかった。
ようするにそれは、どうでもよい事だった。

402:名無しが急に来たので
10/10/13 18:52 7vJTROko
中村スンスケでよろぴく

403:イビチャ・オシム
10/10/22 22:59 jLCB2MFg
「走るんだよ」
「オンプレーの間はとにかく走り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?走るんだ。走り続けるんだ。
何故走るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。
一度足が停まったら、もうチームは何もできなくなってしまう。プレッシング・サッカーの戦術はもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。
そうするとボールの支配率はどんどん下がる。どんどん相手のパス回しに引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。
ベストを尽くすんだよ。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも走るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く走るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから走るんだよ。プレーの続く限り」
ハシルンダヨ。プレーノツヅクカギリ。

404:永井謙佑
10/10/30 19:40 coEmQYDk
   「ねえ、神戸を愛してる?」
   「もちろん。」
   「入団したい?」
   「今、すぐに?」
   「いつか・・・・・・もっと先によ。」
   「もちろん入団したい。」
   「でも私が訊ねるまで第一志望は名古屋だって言ってたわ。」
   「言い忘れてたんだ。」
   「・・・・・背番号は何番が欲しい?」
   「7か10。」
   「トップ? 二列目?」
   「基本CFでたまにウイング。」
   スカウトはコーヒーで口の中のパンを嚥み下してからじっと僕の顔を見た。

   「嘘つき!」
   とスカウトは言った。
   しかし彼女は間違っている。僕はひとつしか嘘をつかなかった。


405:蛸の消滅
10/10/30 19:59 coEmQYDk
蛸のパウル君の消滅を経験して以来僕はよくそういう気持ちになる。
何かをしようとしてみようという気になっても、その行為を回避することによってもたらされるはずの
結果との間に差異を見出すことができなくなってしまうのだ。
僕はあいかわらず便宜的な世界の中で便宜的な記憶の残像に基づいて、サッカーを観戦し、試合結果を予測している。
おそらく人々はワールドカップという大会の中にある種の統一性を求めているのだろう。
強豪国レベルの統一、戦術の統一、プレースタイルの統一。
新聞にはもうほとんどパウル君の記事は載らない。人々はかつてドイツの水族館の蛸がワールドカップの
試合結果を予測していたことなんてすっかり忘れ去ってしまったように見える。
パウル君の水槽には新しい蛸が入れられ、あたりには既に冬の気配が感じられる。
予言蛸のパウル君は消滅してしまったし、2010年の南アワールドカップの熱は
もう二度とはここに戻ってこないのだ。

406:フランコ・バレージ
10/10/31 21:40 paeMy9O2
これは実話であり、それと同時に寓話である。
そしてまた、我らが1980年代のフォークロア(民間継承)でもある。

僕は1960年に生まれた。1974年にACミランのプリマヴェーラに入り、1978年にトップチームに昇格した。
そして、80年の賭博スキャンダルによる降格騒ぎの中でチームの主役になった。
だから僕は文字どおり80年代の子供たち(エイティーズキッズ)であった。

407:フランコ・バレージⅡ
10/10/31 21:42 paeMy9O2

人生のいちばん傷つきやすく、いちばん未成熟で、それ故にいちばん重要な時期に、
1980年代ののっぺりしていて焦燥感に満ちた空気を吸い込んで、
そして当然のことながら、宿命的にそれに酔ってしまったのだ。
点取り屋のマルコ・ファン・バステンから中盤のダイナモであるフランク・ライカールト、
当時史上最高額の移籍金でアヤックスから移籍してきたルート・フリットまで、
オランダトリオもばっちりそろっていた。

1980年代のミランというクラブには、確かに何か特別なものがあった。
いかに大人たちが「ベルルスコーニの汚れた金で強豪の座を買った」と広く謳っていたとしてもだ。
今、自分の自己分析のためにこうして思い出してもそう思うし、その時だってそう思っていた。
この時代のミランには、何か特別なものがあると。

408:名無しが急に来たので
10/11/01 13:21 vYqD0llo
>>406-407
これは傑作。
80年代のミランと「我らの時代のフォークロア」がこんなにマッチするとは。

409:名無しが急に来たので
10/11/14 21:43 4AZULLlk
彼は一月前の新聞の地方版でスペインのクラブへの移籍を知った。
そして一ヶ月間、自分がゴールするに相応しい試合の到来を待ち続けていたのである。
しかし、そんな試合はなかなかやってはこなかった。
ある試合では足が痛かった。次の試合でもやはり足は痛かった。
その次の試合ではゴールが小さかったし、それに続く二日間は嫌な監督が出場させなかった。
ある試合では嫁の虫歯が痛み、ある試合ではPKを譲らねばならなかった。
そんな風にして一ヶ月が過ぎた。

410:名無しが急に来たので
10/11/22 00:50 S1WeU9EE
「本田圭佑くん、僕らフットボーラーの人生にはもう後戻りができないという移籍がある。
それからケースとしてはずっと少ないけれど、もうこれから先には進めないという移籍がある。
そういうクラブに移籍したら、良いことであれ悪いことであれ、僕らはただ黙ってそれを受け入れるしかない。
僕らはそんなふうに生きているんだ」

「世界の注目はチャンピオンズリーグだ。本田圭佑くん」

411:名無しが急に来たので
10/11/23 11:01 u6CCrxU6
湘南はマリの向かい側に腰を下ろし、思い出したようにマリに尋ねる。
「ちょっとのあいだJ1にいてていいかな。観光したらすぐ行っちゃうから。持ち合わせがないんだ」
マリは少しだけ顔をしかめる。「そういうことって、まず最初に尋ねるものじゃないの?」


412:名無しが急に来たので
10/11/23 21:23 scJ0zQPI
「ねえ、まだ神戸の残留可能性は生きてるかな?」と電車の中で彼女は僕に訊ねた。
「生きてると思うよ。だって死んだっていう記事が出ないもの」
「得失点差で、実質降格決まったかもしれないわよ」
「それにしても記事は出るさ」
「入場者水増しで勝ち点剥奪がでるんじゃないかしら」
「神戸が?」
「まさか。大宮がよ。奥の暗い部屋で勝ち点剥奪されないよう頑張ってるんじゃないかしら」
女の子というのは実にいろんな可能性を思いつくものだと僕は感心する。
「なんだか、この機会を逃すと二度とJ1の神戸を見られないような気がするのよ」
「そんなものかな」
「だってあなた、これまでにすぐにJ1に戻った神戸を見たことある?」
「いや、ないな」
「これから先、みるだろうって自信ある?」
「どうだろう。わからないよ」
「だから私は心配してるのよ」

413:名無しが急に来たので
10/12/11 16:12 Hg6K4CP.
駄目になったクラブの裏手にはきれいな練習グランドがあった。
とてもきれいな練習グランドで、選手なんかもいっぱいいる。
芝もはえていて、選手たちはその上で練習して暮らしている。
選手たちは、クラブが駄目になろうがどうしようが関係ないと考えている。
そりゃそうだ。
選手にとってはJ1だろうがJ2だろうが、そんなもの何の関係もないのだ。
移籍だってしないし、減給だって飲まない。
「そんなの俺たち関係ないもんね」と彼らは考えている。

僕は練習グランドに足を運んだ。
練習グランドの風は冷たくて、ちょっと顔を向けていると赤くなった。
練習グランドからは駄目になったクラブのクラブハウスとガスミュージアムが見えた。
クラブハウスにはまだ二色旗が立っていて、風にぱたぱたと揺れていた。
練習グランド辺りを通る人々はみんなその旗を見た。
そしてこう言った。
「ほらごらん。あれが駄目になったクラブの旗だよ」と。

414:名無しが急に来たので
10/12/12 19:02 yAR2amBc
テスト


415:名無しが急に来たので
10/12/13 01:24 aNpNCiB.
さようなら、ガスチーム。駄目になったチーム。
書いているのはカズさんなのか。

416:名無しが急に来たので
10/12/13 01:43 mePPTh76
僕は射精した。


417:名無しが急に来たので
10/12/20 23:22 MBGJvbr2
ねえ東京ガスさん、あなたにはきっとわからないと思うな。
十七位の京都サンガが真夜中にはだかで、
月の光の下でぽろぽろと涙を流しているときには、
たとえどんなことだって起こっちゃうんですよ。
そうだよ。

418:名無しが急に来たので
10/12/24 22:16 1ypL69Z2
うん、さっきからずっとみんなの体験談を聞いてるとさ、そういったタイプの話にはいくつかの
パターンがあるんじゃないかって気がするんだよ。
まずひとつはこちらにJリーグの世界があって、あちらに欧州リーグの世界があって、
それをテレビで見るってタイプの話だね。たとえばスカパーとか、そうゆうの。
それからもうひとつは三次元的な空間を超えたある種の移動や滞在が介在するってことだね。
つまり現地観戦とかパブリックビューイングとかね。
大きく分けるとそのふたつに分類できると思うんだ。

で、そういったのを綜合してみるとさ、みんなどちらか一方の分野だけを集中して経験してるような気がするんだな。
つまりさ、Jを見てる人はしばしばJはみるんだけど、欧州リーグを見ることはまずないみたいだし、
欧州リーグをよく見る人はJって見ないんだね。
どうしてだかはよくわかんないけれど、そうゆうのに対する向き不向きというのは、どうもあるみたいだね。
僕はそう思う。

419:名無しが急に来たので
10/12/24 22:17 1ypL69Z2
それから、もちろんどちらの分野にも適さないって人もいる。例えば僕がそうだね。
僕はもう三十何年生きているけれど、サッカーなんて一度も見たことがない。
天皇杯とかチャンピオンズリーグとか、そういうこともない。

420:名無しが急に来たので
11/01/01 03:56 VE7YPqMk
ヒースロウ空港は豪雪のため、閉鎖されているという機内アナウンスがあった。
飛行機はフランクフルト空港に向かうという。ぼくの旅は最初からドイツと
かかわりがあるのだと悟るのに、時間はかからなかった。
「フランクフルトまで、2時間ありますが、そのあいだに話を聴けますかね」
成田から同乗してきた若い新聞記者がぼくの席に来て、まるで、あらかじめ
このトラブルを予想していたかのような口調で言った。ぼくは18歳ではあるが、
マスコミとのかかわり方については、すでに多くのことを学んでいた。
「今、日本時間の朝なんだ、ちょっと眠らせてください」
不安がないと言えばうそだった。しかし、プレミアリーグという、子供のころから
の憧れていたリーグと契約したからには、少しばかり居直ってみよう、という
気持ちの方が強かった。18歳で、飛行機の中に閉じ込められて、
時差ぼけと格闘し、マスコミに追いかけられて、明かりさえ見えないこの瞬間、
これもいつかは過去になり、その過去は「正しかった選択」か「間違った選択」
かというたったふたつの言葉でしか語られなくなるのだ。


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