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備蓄石油:市場放出の訓練実施へ 供給不安受け今秋にも
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経済産業省・資源エネルギー庁は30日、国が危機時に備えて蓄えている原油
(国家備蓄)を市場に放出する訓練を今秋にも行う方針を明らかにした。差し迫った
供給不足の恐れがない平時の放出としては初めてという。最近の原油価格高騰の
背景には、供給不足への懸念があると見られているが、同庁は、放出訓練を通じて
備蓄制度を広くPRし、供給不安の芽を摘みたいとしている。
デモンストレーション目的の備蓄原油の放出は、同日の総合資源エネルギー調査会
石油分科会石油部会(部会長、庄山悦彦日立製作所社長)がまとめた報告書に
盛り込まれた。時期や放出量、買取先の入札など作業の具体的な詳細は今後同庁で
詰める。
同報告書は、現在、国内消費量の70日分と義務付けている民間備蓄を60~65日に
引き下げ、減った分は国家備蓄を増やすことも盛り込んだ。負担軽減を求める石油業界
の要望に応えた。来年の通常国会で石油備蓄法の改正案を提出する。
石油備蓄は、戦争やテロなどで海外からの原油輸入が途絶える事態になっても経済
活動や国民生活に支障をきたさないよう石油を蓄えておく制度。国内消費量の約90日分
を国が原油で備蓄している。
過去に放出されたのは、第2次石油ショック(79~80年)と湾岸戦争(91年)の際の
2度だけ。今回は、原油価格は高騰しているが、供給不足は発生しておらず、同制度が
備蓄原油放出を認める緊急時にはあたらない。しかし、緊急時の訓練として放出する
ことで、国民に安心感を与える狙いがある。【小島昇】
毎日新聞 2005年8月31日 3時00分