09/04/04 20:49 rpXaXdyY
面白いです・
401:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:16 PnjJosqM
11話 天秤
悟空が神殿を飛び立とうとしたとき悟飯は意識を取り戻したところだった。
「…ん」
もぞり、と体が動くのを見逃さなかったヤムチャ。
「よう悟飯!目が覚めたか?」
自分が気絶させておいてどの面さげてこの男はこんなことが言えるのだろう。
「…え、あ、あの…」
そこに立っていたのは間違いなく自分と仲間たちを気絶させた人物、ヤムチャであった。
バッ、と体を起こして二、三歩飛び退き、身構えた。
「おいおい…俺はなにもしてねえだろうが…」
ヤムチャは傷ついたようで地面を指でいじっていた。
悟飯は自分のいる場所を確認した。
広大な砂漠、しかし、自分たちのいる場所だけ、草木が茂っている。
――ああ、ここはオアシスなのか、そう思いホッとする悟飯。
しかし…さっきこの男が言っていた言葉を思い出した。
――よう、悟飯!目が覚めたか?
間違いない。この男は自分の名前を知っている。
しかし…悟飯はこの男の名前を知らない。一体何者なのか。
気を開放し、カイオウケンという技を使って仲間全員を気絶させるほどの気なのだ。
「ところで悟飯よぅ」
ヤムチャに声をかけられ、悟飯の思考は急停止した。
しかし、ヤムチャが言ったのは意外なことだった。
「お前、強くなりたいか?」
ヤムチャは悟飯の本心に聞いていた。
確かに僕は学者になりたい、それははっきりと思っている。
―しかし、地球と天秤にかけると地球のほうに傾いた。
その瞬間、悟飯の気持ちは決まっていたのだ。
「強く…なりたい…です」
その言葉を聞いたヤムチャは安心した。
いくら信じやすい子供とはいえ、気だけでみんなを気絶させてしまったのだ。
言い訳は印象を悪くしそうなので質問に変えた。そして効果があったことにヤムチャはほくそ笑んだ。
一方悟空は猛スピードで悟飯たちのところに迫っていった。
402:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:16 PnjJosqM
12話 狼牙風風拳
「ちーと時間ねぇからな、一番簡単なのいくか」
ヤムチャはそういってサッと構えた。
狼牙風風拳の構えである。
天津飯を倒した技である。悟飯の体は固くなった。
「よし、この構えとってみろ」
悟飯はしぶしぶ構えをとった。とらないとなにをされるか分からない。
「そして、アチョーハイハイ、うぉりゃあブルァだ」
身振り手振りで教えようとしていたがまったく伝わっていない。説明が下手なせいだ。
実は天津飯を倒したときの狼牙風風拳を見ていた(見えていた)ので真似はできたのだがあえてそれは言わない悟飯。
そして技を見せればいいのに気づかずに口で懸命に伝えようとするヤムチャ。
悟飯はそんなヤムチャが悪い奴ではないのでは、と思い始めていた。
「よっしゃ、分かったな!さあ、打ち込んで来い!」
ヤムチャは自分の説明が下手なことを知ってか知らずか攻撃してくるように指示した。
悟飯は構えをとった。ゆっくりと。
「おっ、なかなか様になってるじゃねえか!さあ、打ち込んでこい!」
構えをとったときから、悟飯の闘争心はメラメラと燃えていた。
――そう、狼のように。
ヤムチャは痛いほど研ぎ澄まされた闘志に、少なからず焦っていた。
「お、おいおい…れ、練習だぜ?そんなに闘志を研ぎ澄まさなくて―
言いかけでやめた。風の向きが変わった…悟飯が動いたのだ。
「うっ!?は、はぇえ!!」
ヤムチャは急いで一歩飛び退いた。
――しかし、悟飯の手はナメック星人であるかのように伸びてきた!もちろん、ヤムチャの目の錯覚であったのだが。
ヤムチャは冷静さを欠いていた。自分の技であるというのに。
そうか、足だ!足払いを…
ヤムチャがそのことを思い出してももう遅かった。
「狼牙風風拳!」
後ろから悟飯の声が聞こえ、後頭部の辺りに痛みが走った。
お前は油断する悪い癖がある。ああ、誰かにそう言われたっけ。
そのことを思い出しながら、ヤムチャの意識は闇に落ちていった。
403:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:18 PnjJosqM
13話 悟空到着!あれ?ヤムチャは?
「オラの子供をけぇせ!」
悟空の第一声がそれだった。
しかし…ヤムチャはボクシングで1R.K.Oされたように伸びていた。
「ご・・悟飯、おめぇがやったんか?」
悟飯は頷きもしない。ただただ悟空のほうに向かってくるだけである。
・・殺気を漲(みなぎ)らせながら。
「い!?ご、悟飯!?どうしちまったんだ!?」
悟飯はゆっくりとこちらに向かってくる。こう言ってはなんだが悟飯より悟空のほうが弱いのだ。
しかも悟飯は獣のようになってしまっている。
「ど、どうすりゃいいんだ…」
悟空はかなり焦っていた。
一方ヤムチャに気絶させられた面々たちは――
「おい、クソソソ!どういうこった!カカロット一人で行かせただと!?」
バーダックがクソソソ、否、クリリンに掴みかかる。
この親父に凄まれたらどんな奴だって逃げ出しそうだな――フリーザ以外。
クリリンはそんなことを考えていた。
「そ、そそそそそそりゃ、りゃ、りゃりゃ、と、止められる雰囲気じゃなかったんですよ!」
噛みすぎだろう、後ろで隠れて見ていたラディッツはそう思った。
「カカロットはどこに向かった!」
気が探れないのは不便なものだな、とクリリンは思っていた。…口に出したらどうなるかは大体分かっていたので言わなかったが。
「えーと、南に…」
そう聞くや否やバーダックは仲間を連れて飛び立とうとした。
どの仲間を連れて行くか、バーダックは瞬時に頭の中で考えた。
一番あの男に近い場所にいたターレスは約1日、目が覚めないだろう。そしてカカロットはいない。
バーダックの出した答えは当然だったが、意外でもあった。
「おい、ラディッツ!行くぞ!」
404:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:19 PnjJosqM
14話 主役はオレ、ヤムチャ
「いやだ」
即座にラディッツは拒否した。
「ぶん殴「行きます」
途中までしか言っていない。しかし、ラディッツは行く、とは答えた。
「おい、クソソソ!ターレスと三つ目ハゲと白いハゲを見とけよ!」
いつになったら名前を覚えてもらえるのだろう…クソソソ、否、クリリンは肩を落とした。
さて、バーダックたちが仲間割れ(?)を起こしている間に、悟空は危機に陥っていた。
「や、やべぇ…無駄な動きがあっけど、悟飯凄げぇ速えぇ…」
すさまじい悟飯のスピードに心底驚いている悟空。顔や体には傷がある。
悟空はちらり、とヤムチャのほうを見やった。
「危険な賭けになっけど、これしかねぇ!」
悟空はヤムチャに向かってエネルギー弾を放った。
ヤムチャに着弾するまでの間、コマ送りの映画みたいに見えたことを悟空は後に話していた。
「俺は宇宙最強だあ…あ、そんな…体が砂に…ゲッ!?」
ヤムチャに悟空の放ったエネルギー弾が着弾。
ヤムチャはそれに反応して体を起こして叫んだ。
「誰だ、俺の悪夢を邪魔した奴は!」
どうやら悪夢でも邪魔はされたくないらしい。困った奴だ。
「…?悟飯?そうか、お前が…許さん…許さなぁーい!!」
寝ぼけ眼で気を全力開放しようとするヤムチャ。
しかし、腰が抜けたようだ。
「い、痛い…ぎっくりしちゃった、ぎっくり」
なんとも情けない主役である。
「あいつ、オラより若く見えっけど、なんか年寄りくせえ」
悟空はそんなことを誰に喋るでもなく言っていた。
「お、お前なんてかめはめ波で、…あっ!踏ん張れねえ!」
ヤムチャが一人で漫才を繰り広げている間に、着々と悟飯は気を溜めていた。
さすがにヤムチャはまずい、と思い出した。このままではただのヘタレである。
「そ、そうだ!踏ん張らずに出せる技があった!」
ヤムチャはようやく自分の持っている技を思い出したようであった。
405:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:22 PnjJosqM
就職活動やらなんやらがあってあちこちを飛び回っていたとは口が裂けても(ry
>>399-400
感想ありがとうございます。
えー…なんつーか、ヤムチャが悟空たちの立場に立って恐怖して情けなくなるのが伝わればな、と思ってたりしています。
406:Classical名無しさん
09/04/08 22:14 d9dE4KOM
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407:Classical名無しさん
09/04/10 06:10 k37UharU
新しいサイトは?教え下さい
408:Classical名無しさん
09/04/12 19:54 gzLIB9.w
すっごく面白いです、続き楽しみにしてます。
409:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 04:57 02D.auo.
15話 決めろ!繰気弾!
「繰気弾があった!」
ヤムチャは繰気弾のことを思い出したようであった。
もう少し早く思い出せなかったものか。
「ヘッヘッヘ、悟飯、お前はもう終わりだ!」
勝機が見えるととたんに強気になるのがヤムチャクォリティ。
「くらえ!特大の繰気弾だ!」
特大、といっても赤ん坊の握りこぶし程度。看板に偽りアリ。
そして悟飯はきれいに繰気弾を回避する。
しかし、操作できるのが繰気弾の特徴。ヤムチャは指を使い繰気弾を操作し始めた。
寝っ転がって操作するのは結構しんどいので、体を起こして操作することにした。
しかし、指を動かすたび、なぜか腰に激痛が走る。そしてギエェ!と叫ぶヤムチャ。
こんな情けない奴が強いのか、と悟空は死ぬ気で繰気弾を操作しているヤムチャの顔をしげしげと見た。
バキッ、と繰気弾が悟飯にマグレ当たりした。悟飯が吹っ飛び、気絶する。それを見るとヤムチャは得意げに言った。
「ハッハッハ!戦闘力10億の俺に勝とうなんて無駄なんだ!」
サバをよむヤムチャ。まあここまでインフレしてしまえば5億くらいサバをよんだってどうってことないのかもしれない。
しかし、一語一語口から言葉を紡ぎだす度に腰に激痛が走る。かなり重症のようだ。
「おめぇ強えぇなー」
そう言って目の前にヌッ、と出てきたのは悟空だった。ヤムチャは動けない。(腰が痛くて)
「おめぇはそんなにわりぃ奴には見えねえ。どうだ?オラたちの仲間に入いんねえか?」
この男はなにを言っているのだろう。自分たちを気絶させて、悟飯をさらったのは紛れもなく、このヤムチャ様だ。
なにか裏があるのではないか?とヤムチャは目を数回瞬(しばた)かせた。
ただ、自分はこの状態だ。気を開放することもできない。
ああ、こりゃやばいな、ヤムチャは本能的に感じていた。
拒否→動けない戦士など必要ない!→ヤムチャ終了のお知らせ
了承→バーダック&ターレス&天津飯にボコボコ→ヤムチャ終了のお知らせ
「ああ、なるなる、仲間になる」
とりあえず深くは考えないことにした。下着姿でうろついたら、また捕まりかねない。
それに腰も痛い。ヤムチャは何も変わらずに、ヘタレの道を歩んでいた。
410:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 05:15 02D.auo.
16話 ラディッツ無残
ヤムチャは悟空の仲間に入った。いや、改めて入ったと言った方が適切だろうか。なにせ前の、ヤムチャがいた世界では悟空たちの仲間だったのだから。
…ブウ戦で空気にされたのはともかくとして。
しかし、そんなヤムチャが仲間として悟空に認定されたのだ!感激もひとしおであろう。
さあ、視点は神殿へと向かうヤムチャ(悟空に担がれている)からバーダックへと変わる。
「この辺りか…?」
スカウターがないバーダックは手探り状態でヤムチャを探していた。なによりヒントが少なすぎる。南だけで分かれというのが無茶である。
同時についてきたはずのラディッツは迷子になっていた。助けるのもめんどくさかったバーダックは先へと急いだのだ。
「…クソソソの野郎!あいつ、気を探れるじゃねえか!」
そう、クリリンには正確なヤムチャのいる場所が分かっていた。気を探れないバーダックに普段の仕返しをしてやろうと黙っていたのだ。
「上等じゃあねえか、クソソソ…さてと…」
バーダックはボキボキと骨を鳴らしていた。
ちなみに、バーダックはサイヤ人の中では仲間思いであるが、それはあくまでサイヤ人の中では、である。悟空もサイヤ人だがそこは置いておこう。
「あれは…戦闘の跡!?」
バーダックは焼け焦げたオアシスだったと思われるものを見つけ、それに歩み寄った。
「間違いねぇ…戦いがあったみたいだな…」
そこにはヤムチャが繰気弾をうまく操れずに倒した木があった。
「カカロット…あいつを倒したのか…?」
語尾に疑問符がついた。まあ無理もない。気だけで気絶させられるような輩を自分よりも弱い悟空が倒せるはずがないからだ。
「おーい、親父ぃ…」
情けない声でラディッツが飛んでくる。バーダックはラディッツの声で思考がプッツンと切れ、クリリンのせいでパンパンになっていた堪忍袋、それの緒が切れた!
「うぉらぁ!」
バーダックのフルパワーのエネルギー弾にラディッツは反応できず、クリティカルヒット、そしてラディッツはバタリと倒れた。
「まあいい、神殿に帰るか」
ラディッツを放置してバーダックは飛び立った。
411:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 05:17 02D.auo.
見直しをしていませんので誤字脱字、そのほかあったら指摘お願いします。
412:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/15 19:39 miKoACXI
17話 老婆痛風拳
ヤムチャは悟空に担がれて神殿へと向かっていた。
しかし…ヤムチャは担がれている最中で仙豆という便利なものがあることをしっかりと思い出していた。
「あ、そうだ、悟空」
舞空術で飛んでいながらヤムチャを担いでる悟空は不思議そうな顔でこちらを見た。
「あり?おめえに名前教えたっけな?」
そう言って悟空は頭を掻いた。もちろん、頭を掻くには手が必要である。
担ぐときには(必ずしもそうでないが)両手を後ろに回して支えなければならない。
――そう、支えがなくなったヤムチャは落ちる!
「ぎゃあああああ!!」
この男、ヘタレにつき。ヤムチャまっさかさま。
「お、そういやぁ、悟飯が老婆痛風拳っちゅう技を使ってたぞ?お前がやったんか?」
ヤムチャが落ちたことも分からず後ろに喋り続ける悟空。重さがなくなったんだから気づくだろ普通…しかも狼牙風風拳が老婆痛風拳になってやがる…
ヤムチャの心の叫び(&突っ込み)も空しく、悟空は落下していくヤムチャに気づくことはなかった。
ぐんぐんと地面が近づいてくる。300.250.200.150.100…もうだめか…あ!
「体を気で支えれば腰は痛くなくなるぜ!」
ヤムチャは叫んだ。今更気づいたところでどうということはない。あ、悟空に声が届いた。ああ、もう遅いよ、悟空…。
次の瞬間…ヤムチャは腰を地面に激しく打ち付けて、あまりの痛みに気絶していた。
「お~い、大丈夫か?」
悟空はヤムチャに向かって叫ぶ。ヤムチャ、気絶して動かない。
「あり?うごかねえぞ?」
ヤムチャは下着姿、薄いシャツではとてもではないが衝撃を緩和できない。しかも指を動かしたり喋ったりするだけで激痛が走るのだ。
式にして説明すると
X(腰の痛み)+Y(落下した距離)×Z(落下速度)×1.5(腰直撃)
こういう式が出来上がる。腰直撃の痛みはどれほどか不明だが1.5にしておく。
簡単に説明するとヤムチャはとても痛かったというわけだ。
悟空は地面に降り、頭を掻いている。
「めぇったな…まあいいか」
楽観的にそう言うと、悟空はヤムチャを担ぎ神殿に向かって飛び立った。ヤムチャの口からは泡が出ていた。
413:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/15 19:40 miKoACXI
18話 そろそろ服着ようぜ
悟空は神殿に降り立った。風が吹き、雲が流れ、悟空の黒髪が風になびく。。
――しかし、いつものことなので別段なんとも思わない悟空。
そしてヤムチャを地面に下ろし、建物に入っていく。
「お~い!神様~!」
建物に響く声で叫ぶ悟空。そしてさっさと建物に入る。えらく無遠慮で、およそこの清潔な建物には似つかわしくない。
悟空は廊下を曲がり、一つの部屋に入った。
「仙豆ねえか?」
開口一番がそれだった。神様(ネコ)はいつものことなのか慣れてしまったのか、小さく笑い声をあげながら仙豆を渡した。
「じゃが…誰に使うつもりじゃ?」
さっきとは声色が変わっている。しかし悟空はその言葉を軽くスルーした。
「そういえばクリリンたちみあたんねえな」
話を特にあわてる様子もなく、話を摩り替える。
「バーダックとラディッツはまだ帰って来ておらんよ。ターレスと天津版は客室で治療をしておる。クリリンと餃子は二人の手当てじゃ」
つらつらと文章を読み上げるように話す神様。ニコニコしている表情からは感情が読み取れない。
「おお、そうだったんか!」
ちなみに治療を受ける原因を作ったのはヤムチャだと悟空はすっかり忘れていた。
「ああ、それと、カリン様」
いきなり名前で呼ぶ悟空。カリン様は別段驚く様子もなかった。
悟空はいつもこうだった。まるで猫の目を見ているようだ。
「なんじゃ?」
カリン様がゆっくりと聞き返す。
「道着、一着あっか?」
悟空はいつもタメ口である。いや、訛りのせいでタメ口に聞こえるだけかもしれない。
第一道着は亀仙人に頼んだほうがいい。悟空はニートだから分からないとかそういうのではない。
カリン様は道着を取り出した。それを受け取り、部屋から出て行く悟空。
道着をくれというのはさすがに下着姿じゃまずいだろ、という悟空なりの計らいであった。
「さあて!仙豆ももらったし届けっか!」
悟空の元気な声が神殿じゅうに響いた。
414:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/15 19:41 miKoACXI
19話 ヤムチャ・始動!
タッタッタ、と男がヤムチャのほうへ向かって駆けてくる。悟空だ。もっともヤムチャは気絶して見えないが。
駆ける悟空に向かって子供が飛び出した。その子供は砂漠で気絶していたはずの悟飯だった。
「い?ご、悟飯…お前、一人で戻ってこれたんか?」
「これでもお父さんの子供ですから…」
悟飯は自分よりヤムチャを優先したことを怒っているのか、口を尖らせて返事をした。…もっとも悟空は悟飯がいたことをヤムチャに目がいっていて忘れていただけだった。
「わ、わりぃわりぃ…今度から気をつけっからよ」
悟空はひたすら謝っている。話を聞いているとどっちが親かはまるで分からない。
第一その『今度から』というのはどういう意味だろう。悟空の心は海のように透き通っているので常人には分からない。…最近は海洋汚染が進んでいるが。
「ほら、お父さん。早く仙豆を…」
悟飯もボロボロであるが、顔でヤムチャに仙豆をやれ、と合図した。こんないい子はいないだろう。なぜ大人になって「勝てんぜお前は」になったのかはストレスが原因であろう。
「ほれ、仙豆だ!」
ヤムチャの口に仙豆を押し込む悟空。よもや腰の痛みで仙豆を使っているとはカリン様は思いもしていないだろう。
仙豆をヤムチャの口に押し込んでから数秒、ヤムチャは目を開け、飛び上がった。
「うおわっ!あれ?腰、痛くない…」
「ほれ、道着!」
間髪入れずにヤムチャに亀仙流の道着を渡す。カリン様がなぜ持っていたのかは不明である。
そのときのヤムチャの目は虚ろだった。しかし、しっかりとした意思を持っているように悟飯は見えた。
「あ、ありがとう」
さっきまでの自分の無礼が恥ずかしくなるほど親切な二人。なにやら裏があるのでは?ヤムチャは怪訝そうな顔をしようとしたが目の前に恩人がいるのにそれはまずい。
この場はどんな言葉を言えばいいのか、ヤムチャさんが見せてくれるようです。
「………」
何も思いついていなかった。
415:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/15 19:43 miKoACXI
さあ、保守係が現れましたよ
原文より地の分を減らしております。
2つに分けるのが面倒とかそういう理由じゃありません、決して。
416:Classical名無しさん
09/04/15 23:11 Epld6Lmg
いつの間にかスレが復活してるとは。
とりあえず5億の人応援してる。
417:Classical名無しさん
09/04/16 01:39 pj5UarUs
5億ヤムチャはめちゃくちゃで面白い
418: ◆TANPanX3xc
09/04/16 02:24 Bjma6ZJk
舐めてもらっても困るのだが・・・
がろう、ふぅふぅ拳!!!!><
しかも、真!!!!
繰気弾だ!!!!
ゴクウ。。。。
419: ◆TANPanX3xc
09/04/16 02:30 Bjma6ZJk
魔「ちょw待てよwww」
痰「はい?w」
魔「大体だ。」
痰「えぇ。」
魔「ヤムチャが、繰気弾作れた時点でなんか・・」
痰「無粋だぜ。」
魔「そうだと思ったが、一応な♪」
420: ◆TANPanX3xc
09/04/16 02:35 Bjma6ZJk
普通ー
ヒトは空とか飛べないし、
サイヤ人3とか、無理なのでw
アホかと、馬鹿かと・・・・・・・
421:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:42 scKR4xnw
20話 ヤムチャ+悟空+悟飯=稽古
ヤムチャは改めて自分の置かれている状況、そしてなにをしたのかを整理していた。
天津飯ボコる→気でみんな気絶させる→悟飯さらう→悟飯に繰気弾ぶつける
ああ、俺は悪役だなあ、ヤムチャはやったことを思い出していた。
あ、悟飯を強くなりたいか聞いて無理に修行させたっけ。それもプラスだな。
しかし、悟空の言葉は意外なものだった。
「悟飯に稽古つけてやってくれねえか?」
しばしの静寂。悟飯もポカンとしている。
耳が痛いほどの沈黙を破ったのはヤムチャだった。
「いいぜ」
ヤケクソとはこのことを言う。ヤムチャはそう思いながら了承した。
そりゃあ自分の子供をさらった誘拐犯に自分の子供を預けると一緒のことだから当然といえば当然、おかしいと思う。悟空は海のように透き通った心を持っているので気にしないんだろう、たぶん。
悟飯に構えを教えたのはこのヤムチャだった。基礎の能力は悟飯のほうが悟空より高かったため、修行をせずとも大丈夫だった(もっともチチに勉強しろ!と押し切られたのが原因でもあるが)。
いくら構えを教えてくれたといってもそれだけで稽古をつけてほしいとはまず思わない。普通の人間なら。
ただ、この親にしてこの子供あり、悟飯はそれをあっさりと受け入れる言葉を言った。
「わかりました」
その言葉に驚いたのはヤムチャだ。ヤケクソで同意はしたが、悟飯が拒否すれば万事OK、そう思っていた。師匠になる大変さは悟飯の狼牙風風拳をくらって大体わかった。
殴られるのか、いや、殴るのか。やばいって、ヤバイッテ…ヤムチャは頭の中で同じような言葉を繰り返していた。
だが、悟空が次に言う言葉はヤムチャに更なる衝撃を与えた。
「じゃあ今から稽古つけてやってくれ」
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
ヤムチャは口にこそ出さなかったがそう心の中で叫んでいた。
「あ、オラにも稽古つけてくれ」
工工エエエエェェェェ(´д`)ェェェェエエエエ工
だめだ、この親子…早く何とかしないと…
ヤムチャはそう思うしかなかった。
422:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:43 scKR4xnw
21話 ラディッツ覚醒?
どのくらい時間がたったのだろう。その人は目を覚まさずにずっと、砂の上で横たわっていた。
父親の一撃受けてから、依然として起き上がらない。
彼の周りにカラスが不適に鳴いている。命の炎が消えるのを待っているのだ。
ピクリ、とも動かない。うっとおしそうなほど長い黒髪。それを体に絡めながら横たわってる。
「う…あ…お、親父…殺さないで…」
死ぬ前のうわごとだろう。なにやら呟いて…
「うわあっ!」
一つ訂正があった。彼はピンピンしている。ガバッ、と体を起こした。
その彼とは、そう、第二のヘタレ、ラディッツである。
「し、死ぬかと思った」
もう一つ訂正があった。彼はピンピンしていない。ボロボロである。
しかし、ラディッツは死の淵から生き返ることによりパワーアップを遂げた。死の淵といえるほど大袈裟ではないが。
戦闘力1500から5500に。このぐらいパワーアップしても戦闘力のインフレに飲み込まれれば役立たずになるのだろうが。
戦闘力が増えたよ!やったね、ラディちゃん!ラディッツが自分の戦闘力に気づいていたらこう脳内でやり取りしていただろう。後日、自分の戦闘力に気づき、ビビって腰を抜かしたのはまた別の話。
ともかく、悟空より強くなってしまったラディッツ(もっともこの世界の悟空は悟飯より弱い)。
ラディッツ先生の次の戦闘にご期待ください。
「えーと、どこだったっけ、神殿のある場所は」
駄目だこれは。帰るのに何日かかるやら。
「まずは北に行ってみるか」
ビンゴ、ピッタリ。16方位の中でよくぞそれを引き当てました!褒美としてドラゴンボール エボリューションを購入する権利をやろう。なに、1800本の売り上げを伸ばすためだ、怖がることはない。
ラディッツは立ち上がり、北へ向かって飛び立った。同時に今まで見ていたカラスたちも慌てて飛び立った。
砂の上にはラディッツの形が残っていた。
423:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:44 scKR4xnw
22話 怯えるヤムチャ
はあ…受けるんじゃなかった。そもそもこの世界に来るんじゃなかった。ヤムチャは悟空と悟飯に稽古をつけているという普通ではありえない状況である。ありえない状況の相乗効果か倦怠感が増してくる。めんどくさいので悟空たちには修行を指示しておいた。
時間的には夕方か。腹減った。いや腹減ってない。ここから抜け出す口実を考えるヤムチャ。
大体、悟飯だけならともかく何で悟空まで…ヤムチャはそう思い、心底うんざりした。
そこへ、この状況を変える(未来を変える?)救世主、バーダックが現れる。
神殿に降り立ったバーダック。ヤムチャは慌てて後ろを向く。
「おい、カカロット、それに…悟飯」
悟空と悟飯に話しかけるバーダック。
ちらり、と亀仙流の道着を着た男(ヤムチャ)に目をやったが、悟空に視線を戻した。
悟飯は狼牙風風拳の練習をし、悟空は基礎の稽古をやっている。ヤムチャの指示。ちなみに悟空たちにまだ名前を教えていない。というより聞かれてすらいない。師匠の名前を聞くのは礼儀だと思うんですが。
「お前らはなにをやっている…」
呆然として自分の息子と孫の行動を見ているバーダック。
悟飯の練習している技の欠点をとりあえず指摘する。
「おい悟飯…足元ガラ空き…」
「おじいちゃん、僕にはまだ無理だけど…速く動けば足元の欠点もカバーできるって…」
しばらくバーダックは悟飯の構えを見ていた…そして思い出した。
「おい!その技…あの三つ目ハゲがやられた技じゃねえか!」
ヤムチャの背中がビクンとかすかに動く。
まずい、気づかれた…おじいちゃんってことは悟空の父ちゃんか、ヤバイって…。
バーダックの威圧感のある声だけでビクビクするヤムチャ。ヤムチャのほうが強いのに…。
「誰にその技を?」
「そこのお兄さんです」
ああ、よかったあ。お兄さんだ…この体はまだ十代だからな。いや違う違う、悟飯口軽っ!
つかつかとバーダックが歩み寄ってくる。
そして、ヤムチャの顔が見える正面に来る。顔を見られる前に後ろに向く。それを十回ほど繰り返す。しかしこのままではバーダックがキレかねない。ヤムチャは恐る恐るチラリ、とバーダックのほうを見た。
ああ、怒ってる。そう見えた。ヤムチャはあまりにも怖くて動けなかった。
424:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:46 scKR4xnw
23話 演技力劣化
「お前、気を探れるか?」
あれ?聞くところそこじゃなくね?こいつらの家族全員ズレてね?ヤムチャ、ホッとする。それと同時に当然の疑問が湧き上がる。突っ込んだら負けだと思っているので突っ込みはしないが。
「はい」
ヤムチャ>バーダックのはずなのに敬語。地震雷火事親父、ヤムチャはそれら全部大嫌いだった。だって怖いし。
「よし、探り方を教えろ」
ヤムチャは固まった。この親父とマンツーマンなんて命がいくつあっても足りない。いや、ヤムチャはバーダックの27777.7777777777777777777777777(以下略)倍強いのだが。
さあ、ヤムチャはバーダックの頼みを断れるのか。ピコーン、とヤムチャの中で豆電球が光る。(古い)バーダックの頼みを断る方法が思いついたようだ。
「うおー、おれはわるものだぞー、わるいおれさまがおしえるわけないだろうがっはっはっは(棒読み」
ひどい棒読みである。警官にしょっ引かれそうになったときの演技力は何処へやら。
バーダックは棒演技をしているヤムチャの首筋を叩いた。ヤムチャ、あっさり気絶。
「俺はこいつに気の探り方を教えてもらう」
勝手に話が進んでいる。ヤムチャに一切の拒否権はない。
所詮ヤムチャはヤムチャ、つまり力は成長しても精神面は…
まるで成長していない…(by地球の前の神様&亀仙人)ということだ。
「カカロット。水汲んでこい」
「うっひゃ~人使い荒れぇな」
そんなことを言っているが悟空は苦笑ではない、笑顔だ。慣れたんだろう。ヤムチャも慣れればどうにかなるのかもしれない。
そういえば天界に水道なんてあるのか。いや川から汲んでくるから大丈夫か。
悟空が飛び立った。
そしてすぐに悟空がフラフラとした舞空術で飛んできた。疲れが出ているのだろう。しかし、さすが悟空。水を汲んでくるのが早い…
「父ちゃん、バケツねぇか?」
汲んでこれなかったようだ。
425:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:48 scKR4xnw
24話 悪夢
「ならいいぜ、こいつをそのまま水につける」
さらりと怖いことを言ってくれる。ヤムチャは意識を失っているはずなのに時折体がピクピク動く。しかもバーダックの脅しにあわせて。
ヤムチャはしばらく夢の世界にいた。赤い髪…ポニーテール…4本の剣…ヤムチャはうわごとでそう呟いていた。どうせ前の恋人の夢でも見ているのだろう。帯刀した恋人はいないと思うが。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
いきなりヤムチャが叫んだ。悪夢だったんだろう。
ヤムチャさんはいやな予感がしてたんだ…そんな栽培マン戦のときのようなことは避けたい。
「く、くそ…戦闘力2兆なんて反則だろ!」
ヤムチャは夢の中の出来事を口に出す。2兆?ありえねーよ、と笑うバーダック。それもそのはず、この世界の人間は最強の合体戦士でも9000億。そんな人間はありえない。
…この世界なら、の話かもしれない。別の次元の戦士はもっと強いかもしれないのだ。嫌な汗がヤムチャの体を流れる。ヤムチャの話では一般人が3万もの戦闘力があるとのこと。まあ夢なので何でもいいんだが。
「さあ、気の探り方を教えろ」
一難去ってまた一難。バーダックに凄まれるヤムチャ。神龍の力なしのリクームクラスの力のヤムチャに戻ってしまったように見えた。
「イ…Yes, it is」
かなり英語が変である。この場合はitではない。
ただ悟飯以外は気づいていない。ヤムチャ、幸運である。
「じゃああっちへ行くか」
バーダックがそう言った。ここで指導すればいいと思っていたヤムチャは驚いた。
「え?」
呆けるヤムチャを無理に引っ張っていくバーダック。
「おい!行くぞ!」
「た~す~け~て~」
ズルズルと引っ張られていくヤムチャ。救いの手を差し伸べる者はいない。
そういえば敵のはずが一転して味方になっているので混乱しないんだろうか。いや、孫一家だからか。
ヤムチャはあっさり自己完結した。
426:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/16 18:50 scKR4xnw
いや、次回作への伏線を引くとかそんな真似はしてませんよ、ええ。
この話ですら書けるかどうか怪しいですから。
さあ、そろそろフリーザたちが襲来してきます。そのつもりです。
427:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/17 18:47 jf2N9Xpk
25話 ヤムチャの発見
ヤムチャが戻ったとき、辺りはすっかり夜であった。
ヤムチャは天界に戻って、神殿に入ろうとした。バーダックはスジがよく、2時間ほどで覚えられた。ただ、ヤムチャはボロ雑巾、いやボロクズのようになってしまったが…。
汚いから片付けておけよ、そのボロクズをと言われなかっただけマシか。
ただ、彼は孫一家以外の人と話してはいない。ヤムチャはいまだ恐怖の対象なのだ。
「おい、ヤムチャ」
訓練のときに名前を教えておいた。ついでにバーダックの名前も教えてもらった。
呼び止めたということは用があるのだろう。ヤムチャはバーダックのほうへ体を向けた。
「明日、組み手頼む」
ガシャーン!!ヤムチャの中で何かが崩れた。ああ、俺はここで死ぬのか。わが人生に、100ほどの悔いあり…そう思うヤムチャ。しかし大袈裟すぎるリアクションだ。
「ああ、ついでに俺が状況を説明して誤解を解いてやる」
その言葉で再び自分がなにをしたのか思い出したヤムチャ。
物凄い形相になるヤムチャ般若がおびえたような顔だと言えばわかりやすいだろう。
しかし、意外にもバーダックは仲間思いなのか。
「あ、ありがとう、ございます」
また敬語。もう敬語はデフォかもしれない。
「よせ、堅苦しい。普通に喋れ、普通に」
ああ、いい人だ…ヤムチャは殺されるだとか俺は死んだぁーーーだとか心の底で叫んでいたのが恥ずかしくなった。
「フリーザとの戦いでは戦力がいる…その為だ。お前の為じゃねぇ」
冷たくあしわれた…ようにはヤムチャは聞こえなかった。
温かみのあるような声。ああ、父親ってこんななんだな、ヤムチャは思った。
「さて、おとなしく待ってろ。カカロットと悟飯に稽古つけとけよ」
付け加えられた一言をヤムチャは聞こえないフリもできずしぶしぶと悟空と悟飯のところへ向かっていった。
するといきなり背後から風切る音と声が聞こえた。
「狼牙風風拳!」
間一髪、ヤムチャはそれをかわした。後ろを振り向くと悟飯がいた。悟飯は気まずそうに頭を掻いていた。
428:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/17 18:48 jf2N9Xpk
26話 説得完了?
「あのなあ…悟飯」
悟飯に呆れた口調でヤムチャは言う。
「なんでしょう?」
ヤムチャは一つ咳払いをして、闇が染み渡っている夜空を見上げてから口を開いた。
「いきなり殴りかかってくるんじゃない!」
ピッコロが師匠だったらこんなことはなかったのだろうか。ヤムチャは深いため息をもらした。
建物から何か聞こえる。バーダックが説得してくれているのだ。
「というわけであいつはそんなに悪い奴じゃねぇ」
そこだけがはっきり聞こえた。
「いいいいいや、ででででででも、ああああああぶないですよ!」
それに答えるクリリンの声は震えている。これ以上自分を脅す奴が増えてはかなわないからであろう。
バーダックはそんなクリリンを睨みつける。睨みつけただけで野良犬ぐらい焼き殺してしまいそうなほど…怖い。
「はい、わかりました」
ニヤリ。と笑みを浮かべるバーダック。そして餃子に視線を移す。
「おい、白いハゲ、クソソソは許可したからお前が許可すりゃあ終わりだ」
かなりドスのきいた声。もはや脅迫である。聞こえてくるだけなのに体をガタガタと震わせるヤムチャ。
「う、うん」
あっさりと折れる餃子。ヤムチャはもう聞くも恐怖、語るも恐怖。
そして、次に今まで聞こえなかった声が聞こえる。
「おい、バーダック」
ターレスが目覚めたようである。悟空のifの存在。って百科事典に書いてあったことをヤムチャは思い出した。
あれ?そういえば約一日目が覚めないって悟空の親父は言ってなかったか?半日ほどで目が覚めたじゃないか。むしろ天津版のほうが長い間ダウンしてる。クリリンはそんなことを思っていた。
429:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/17 18:49 jf2N9Xpk
27話 フリーザ軍襲来!
クリリンはヤムチャを仲間に入れなくてもいい可能性を見出したようでターレスのほうに熱い視線を送る。ターレスはそれに気づかない。
そう、クリリンはターレスが拒否すればヤムチャを仲間に入れなくていいと思ったのだ。拒否できるのはターレスだけだろう。ラディッツや天津飯など一睨みで了承してしまう。
しかし、そんなクリリンの目論見は脆くも崩れ去った。
「あいつを仲間に引き入れるのか?いいぜ…」
あっさりと了承するターレスをまじまじと見るバーダック。失神してしまったクリリン。
「なんだ?そんなじろじろ見て…今はフリーザを倒すのが先だ。もっともその後はどうするかわからないがな」
外で話を聞いていたヤムチャはすくみあがっていた。
「お兄さん?どうしたの?」
ああ、悟飯はまだ俺の名前を知らないんだったな。
「俺の名前はヤムチャ、ロンリーウルフ・砂漠のヤムチャだ」
相変わらず歯の浮くような台詞をほざくヤムチャ。そのヤムチャの言葉に不思議そうな顔をして悟飯は聞いた。
「ヤムチャさん、なんで裁くじゃないのに砂漠のヤムチャなんですか?」
そう聞かれてヤムチャは間抜け面をした。
まさか盗賊時代のことを明かすわけにもいかない。
「それはな…」
ヤムチャが口を開いたそのときだった。悟空が叫んだ。
「お~っなんだありゃあ!流れ星…にしちゃあでっけえし…」
悟空のほうへ駆け寄るヤムチャと悟飯。そこで見えた光景に驚き、絶叫するヤムチャ。
「あ、ありゃあ宇宙船じゃねえか!」
神殿の中から一同が出てくる。天津版も目が覚めている。
「とうとう来やがったか…」
「ああ、そうみてぇだ…」
納得した様子のバーダックとターレスに一同は困惑する。
「な、なにが…なにが来たんだ!」
ヤムチャはビビリながら語調を強める。
「フリーザだ」
バーダックの重い一言。
ヤムチャ は めのまえが まっくらに なった。
おこづかい 1ゼニーを かっぱら われた。
430:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/17 18:50 jf2N9Xpk
28話 ラディッツ覚醒!
ラディッツはいまだに神殿についていない。なぜなら…北へ行く、と言ったが南に飛んでいったのだ。相当な方向音痴である。
「ここ何処だよお……」
ラディッツは涙目である。地球を一周すればいいんだがそんなことを思いつかないラディッツ。
そこへフリーザ軍の宇宙船が!
「ゲッ!」
サッと飛び退くラディッツ。危うく潰されかけていた。
着陸し、そして宇宙船からワラワラと出てくるフリーザ軍の兵士たち。
「うわああああああ!!」
叫ぶラディッツ。1対25ぐらい。勝てるわけがない。
そして地球に降り立つフリーザ軍兵士。そしてラディッツの姿を確認する。
「おい、こいつ弱虫ラディッツだぜ」
「よっしゃあ!かわいがってやるか」
こんなやり取りをするフリーザ軍兵士たち。
フリーザ軍兵士の戦闘力は約3000。ラディッツは1500(本当は5500)。勝てるわけがない。
「おい、お慰みにスカウターで戦闘力計ってやろうぜ」
カチカチ、とスカウターを操作するフリーザ軍の兵士。
次の瞬間フリーザ軍の兵士は驚愕する。
「バ、バカな!?弱虫ラディッツが5500だと!?」
白々しい嘘つきやがってこの野郎。もうヤケクソでぶちかましてやる、ラディッツはそう心に決めた。
「俺の最後の一撃をプレゼントしてやる!」
そう叫び、ラディッツは巨大なエネルギー弾を放った。フリーザ軍の兵士たちは一瞬にして壊滅した。
「え?あ…まさか5500ってマジ?」
自分の戦闘力が5500まで上がったことを本当だと感じるとラディッツは腰を抜かしてしまった。
「あり?兵士たちの気が消えたぞ?」
悟空は不思議そうな顔をした。
「事故ったか…」
バーダックはラディッツが兵士たちを全滅させたとは夢にも思っていなかった。
というか存在を忘れていた。
431:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/17 18:51 jf2N9Xpk
また変な夢を見た、ピッコロが多くのナメック星人と同化し、ヤムチャと戦う夢。
あ、作中ではやりません。ありえないシチュエーションを楽しんでいただければと思っていますがさすがにそれはちょっと
432:Classical名無しさん
09/04/17 19:40 NvDN4WAo
いったいどこからストーリーをもってくるんだw 才能が羨ましい。
頑張ってください
433:Classical名無しさん
09/04/18 01:57 TchR.NZw
いくら強くなろうとヤムチャはヤムチャなんだなって感じがしていいな
434:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/18 07:02 fJzLZRxs
>>429
×裁くじゃないのに
○砂漠じゃないのに
うわあ・・致命的ですね、まいったな
435:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/18 07:09 fJzLZRxs
>>429
×天津版
○天津飯
確認しとけばよかったorz
>>432
主に夢から。私の書く小説の題材は大抵夢からです。
>>433
そのつもりで書きました。ただどんどん成長していくので最終的にヤムチャらしくなくなるかも…
436:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:33 hrauPXzE
29話 作戦会議
「安心するな…」
次に口を開いたのはターレスであった。
重苦しい口調である。
「くたばりぞこないは放っておいても大丈夫だろう。だが…」
バーダックは次の言葉を察知した。
「ドドリアとザーボンか…」
ドドリアとザーボン―地球へ逃亡するときに戦ったのだ。バーダックは瀕死の重傷を負い、ラディッツはクソの役にも立たなかった(バーダック談)。
どうにかこうにかターレスはドドリアとザーボンを倒し、3人は脱出した。
ターレスがいなかったらくたばっていた、バーダックは後にそう語っていた。
ラディッツの話題が出たのに誰一人気づかないZ戦士たち。
「ふっ、なら…俺がそいつらと戦わせてもらおうか!」
ヤムチャが髪をかき上げながら言った。
しかし、一同はスルーして作戦を練っていた。
「ザーボンの戦闘力は21000、ドドリアの戦闘力は22000…」
一同にスルーされ悲しいヤムチャ。かまってほしいので石を投げてみる。一同、きれいにスルー。
「とりあえず悟飯とカカロットと三つ目ハゲとクソソソと白いハゲが雑魚を片付け…」
悟飯はゴクリ、と唾を飲み込んだ。悟飯戦闘力2000。雑魚にも負けそうである。
ただ、そのほかのメンツはもっと悲惨な有様であった。
悟空戦闘力1700、クリリン600、天津飯750、餃子500。
これはひどい。フリーザ軍の兵士の戦闘力は約3000。普通ならまず勝てない。
ただ、悟空と悟飯は主要キャラ補正がかかるので大丈夫であろう。
問題は足手まとい、もといお荷物三人組。どう考えても主要キャラ補正を受けられなさそうなメンツ。
「ラディッツは…ラディッツ…ラディッツがいねえ、逃げたか?まあいい。いなくても支障はねえ」
今更ラディッツがいないことに気づくバーダック。しかしそれを軽くスルー、作戦を練り直している。
「ヤムチャは補佐を頼む」
よかった…忘れられてなかった…ヤムチャは心の中で狂喜していた。
437:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:35 hrauPXzE
30話 休息
「休息をとってとけ、2隊目が来るのには時間がかかるはずだからな」
ターレスの言葉でZ戦士たちはチリヂリに散っていった。
ヤムチャはしばらくの間空を見上げていた。
無防備なヤムチャにターレスが駆け寄る。
「よう…」
その声に驚くヤムチャ。バーダックや悟空と同じ声、だが冷たい声…
自分に仕返しに来たのか?ヤムチャは身構え、こわばった声で言った。
「なんの用だ…」
やれやれ、とターレスはおどけた様子である。
「なんもしやしねえよ…」
神経を逆なでするような声色。ヤムチャはイラッとした。
「で?なんか用があって俺に話しかけてきたんだろ?」
――そうでないと俺に話しかけるはずがない…その言葉を飲み込んだ。
しばらく沈黙が流れる。
「…驚いたな。お見通し、ってわけか」
なめるなよ、お前より長く生きているんだぜ?ヤムチャはそう口に出しそうになった。
「気の探り方からカイオウケンから…聞きたいことはかなりある」
ヤムチャは顔を強張らせた。それらを聞かないなら一体なにが目的なんだ…?
ターレスは不敵に笑い、こういった。
「お前…今度の戦いに勝てると思うか?」
なんだ?なにを言っているんだ?こいつは…ヤムチャはそう思っていた。
無理もない。『宇宙の壊し屋』ターレスがヤムチャに向かって、こんな不思議なことを言っているのだ。
ターレスの問いに対するヤムチャの答えは決まっていた。
「勝てる、いや…勝たなきゃいけない」
無理に虚勢を張ってみせた。
―もっともターレスには見透かされていたようで、声を上げて笑いながら神殿に入っていったが…
「なんだよ…あいつは…」
ヤムチャは15年ローンのことを思い出し、さらに不快になった。
438:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:36 hrauPXzE
31話 ヤムチャ出陣
「ギャー!!画鋲踏んだ!」
深夜のシリアスキャラから一転、ヤムチャはギャグキャラに戻ってしまった。
悟空がヤムチャに向かって駆けてくる。
「大丈夫か?」
心配そうな顔をしている。本心かは不明。
「あ、ああ…All rightだ」
なにやら英語交じりで話している。カッコつけているつもりなのだろうか。
さて、視点はヤムチャからラディッツへと変わる。
「どこだ…ここ」
幾許か余裕もできて、腰も治ったのでラディッツは飛び回っていた。
しかし…雲行きが怪しい。ラディッツは雨男なのだろうか。おまけにここは砂漠である。滅多に雨は降らない。
しばらく神殿を探し、飛び回るラディッツ。しかし…
「?なんだあれは?ちょ、落ちてくる!」
神回避でギリギリ避けるラディッツ。
さあ、その落ちてきたものの正体とは…フリーザ軍の宇宙船であった。
「よ…よし…雑魚ぐらいなら俺でも…」
ヴィーン、機械音が響く。その宇宙船から出てきたものは…そう、ドドリアとザーボンであった。
どうやらターレスの見立ては正しかったようだ。
さて、困るのがこのラディッツである。意気込んで敵が出てくるのを今か今かと待っていたらこのような結果である。ラディッツは顔と体勢をそのままに凍り付いていた。
―さて、視点は戻ってヤムチャサイド。
なにやらでかい物が落ちてきた。宇宙船だ。
ハッハッハ!俺の本領を発揮するときとうとうがきたか!…いや、というより…この世界に来てから一度もいい目にあったことがないな…
おっ、バーダックが出撃の合図を出したな。
おい!クリリン!天津飯!餃子!俺より先に行っているんじゃねえ!
アッー!また画鋲踏んだ!靴履いてこればよかった!
まあいい、主役は遅れて登場してそれまで死者が出ないと決まっている!
のんびり行こうか…
ドドリアだろうがザーボンだろうがこのヤムチャ様がたちまち消滅させてくれるわ!
あ、バーダックが呼んでる…ハイハイ、行きますよっと。
439:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:36 hrauPXzE
32話 ヘタレたち涙目
さて、視点は再びラディッツに移る。
――とりあえず俺はドドリアさんとザーボンさんにボコボコにされている。あ、さんは要らないか。まあ、遊んでいるかのように弱い力で殴ってくるので致命傷にはなっていない。
「む?でかい力の奴が来るぜ?」
スカウターを遊ぶように操作しているドドリアさ…ドドリアが呟いた。
「ならば、そちらを始末してくるか、ドドリア」
そのザーボンさ…ザーボンの問いに対し、ドドリアさ…ドドリアはヘッ、と言うだけで何も言わなかった。
ただ、ドドリアさ…ドドリアははその『力のあるほう』へ飛んでいったので、ドドリアさ…ドドリアがなにを言おうとしたのかは大体分かる。
「さあ、続きとしようか」
ザーボン(ようやく慣れた)は逃げようとしている俺をあっさりと捕まえた。
ああ、SUPER ITABURARE TIMEが再スタートするのか…俺は憂鬱になった。一部英語ではないが気にしないでほしい。俺の勉強不足だ。
さて、視点を戻しヤムチャサイド。
無言で進む俺たち。無駄話をすると体力が減るからだそうだ。なにもそこまで…
そう俺はぶつくさ言いながら宇宙船のほうへ飛んでいっていた。
「………ドドリア!」
しばらく無言だった俺たちに衝撃が走った。紛れもない、バーダックの叫びのせいだった。
「よう、久しぶりだな…バーダック」
よし!ここは俺の活躍のチャンス!そう察知し、繰気弾を作り出す。
「フリーザ様に楯突くサルどもが!」
さあ、ドドリアが無駄話をしている間に繰気弾を作ったぜ!
俺、一世一代の見せ場、いや、魅せ場到来!
「くらえ!繰気弾!」
虚をつかれたドドリアは俺の繰気弾に直撃する!
「ぐあああああ…」
ハッハッハ!戦闘力5億の俺に勝てるはずなかろう!今の一撃は5000分の1の力だったがな!
「よし、先に進むぜ」
え?スルー?みんな、ちょ、待て、待てって!何で軽くスルーしちゃうんだよ、なあ!
440:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:37 hrauPXzE
33話 ヤムチャ再び気絶
さて、視点を元に戻そう。
ヤムチャは自分の活躍をスルーされ、不満のようだった。
しかし…悟飯がいろいろな感情が混ざった視線でヤムチャを見ていたことを彼は知らない。
「…ラディッツの気か!?」
一応は親、バーダックはしっかりラディッツの心配をしているのではないか、一同はそう思った。
しかし…そういうわけではないようだ。
「チッ、時間稼ぎにもなりやしねえ、遊んでやがるな、ザーボンの奴…」
酷い言いようであった。時間稼ぎにもならない。まあ実際はそうである。
ただ…実に幸いなことにフリーザ軍の雑兵は今回送り込まれてなかったのだ。だからどうしたってわけでもあるが。
「急いだほうがいいな…」
ターレスの言葉で一同は加速した。・・・・お荷物三人組を残して。
さて、ラディッツはどうなっているか、というと…
「ひいいいいい!!」
「くそっ!ゴキブリ並みの生命力め!」
どうにかこうにか生きていた。
ザーボンは徐々に力を出し始めていたが、まだラディッツは無事であった。あくまでも『まだ』。
そこへ主人公、ヤムチャが現れる。ようやく主人公らしくなったなあ、と咽び泣いていたところ、悟空に悪いものでも食ったか、と言われたのはまた別の話。
「さあ!俺の仲間を放すんだ!」
正義の味方のお決まり的な台詞を吐くヤムチャ。
「おめぇは黙ってろ!」
ターレスのエルボーがヤムチャのみぞおちにきれいにヒット!ヤムチャはまた気絶かよ、と薄れゆく意識の中で思っていた。
「ほう…その男、君たちの中では実力者のようだが…眠らせてよかったのかい?」
えらく上から目線なザーボン。ヤムチャの意識があったら一瞬でチリになっていただろう。
「うるせぇな…すぐに黙らしてやる」
バーダックは戦闘体勢をとった。
「な、なにが起きているんだ…」
ラディッツは状況を把握できていなかった。
441:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:38 hrauPXzE
34話 ザーボンVS.バーダック
「お前らはそこで見ていやがれ」
バーダックの「黙らせてやる」というのはそういう意味が込められていた。
その意味を感じ取ったのかその場にいる悟空、悟飯、ターレスは見守っているだけだった。
「じゃあ始めるとするか…」
その言葉を発した途端、ザーボンに殴りかかるバーダック。
「おっと…顔を狙うとは下賎な奴だ…」
ザーボンは顔を狙ったパンチを受け止める、そしてバーダックの腹めがけエネルギー弾を放った!
「ちっ…」
バーダックは舌打ちをし、回避運動に移る。左に高速で移動する。
「甘い!数歩先まで読めている!」
ザーボンのエネルギー弾がバーダックに着弾する!
「ぐっ」
苦痛に呻くバーダック。隙ができているバーダックにザーボンが殴りかかる!
しかし、バーダックはすんでのところでその攻撃をかわした。
2人のどちらが有利かは誰の目にも明らかだった。ザーボンは息も切れていない…対してバーダックは酸素不足に喘いでいる…
「もらった!」
巨大なエネルギーを手に収束させ、撃ち出すザーボン、掌から一筋の光が迸る!
「この言葉を知っているか…危機は最大の機会だ!」
サッ、とその攻撃を避け、ガラ空きのザーボンの体にラッシュを叩き込むバーダック。
「クソッ、下衆が!」
手を振り回し、反撃を試みるザーボン。しかし、大振りになったその攻撃はいともたやすくバーダックにかわされ、更なる反撃を生む!
「悟飯…見えっか?」
悟空が悟飯に聞く。
「す、少ししか…」
バーダックは10発近い攻撃をザーボンに浴びせる。
しかし…ザーボンはボロボロになってはいたが、余裕を見せていた。
「フ…私の勝ちだな…お前の攻撃には決定力がない」
いくらラッシュを放っても、地力ではザーボンのほうが勝る。このままでは…
そのとき、バーダックの頭にあることが閃いた!
「!!そうか!カカロットォ!!技を借りるぜ!!」
バーダックが閃いたこととは…?
442:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:39 hrauPXzE
35話 バーダックの執念
バーダックは掌と掌を合わせ、その合わせた掌に空間を作り、手を後ろに引いた。
「かめはめ波ぁー!!!」
そう叫び、手を前に出し、手を開いた。手から閃光がザーボンに向かって伸びてゆく!
「くっ…」
ザーボンは完全に虚をつかれた。回避をしようにも行動に入るのが遅かった。
「うおおおおお!!」
ザーボンはエネルギー波で応戦した。気弾と気弾のぶつかり合い。しかし…バーダックはいかんせんかめはめ波を使いこなせてなかった。ジリジリと、しかし確実に…バーダックのほうへと気弾は向かっていった。
その時、バーダックの脳内に、ある会話が再生された。
「バーダック…惑星ベジータの…サイヤ人の仇をとってくれ…フリーザを…」
それは…同僚たちの声だった。
「バーダック…」「バーダック…」「バーダック…」「バーダック…」
その瞬間、バーダックの中でなにかが弾けた。
「俺はこんなところで…くたばるわけにはいかねーんだよ!!」
かめはめ波に送り込む気を一段と強める。
「バ、バカな…押されている!?」
サーボンは自分が押されていること、急に強くなった力…すべてに驚いていた。
「とどめだぁーー!!」
バーダックは力を振り絞り、気を送り込んだ!
ザーボンの顔には恐怖の表情が映っている。
そして…二つのエネルギーはザーボンに着弾した。
「やりました!おじいちゃんやりましたよ!」
その様子に嬉々として喜ぶ悟飯。
「おお、やったな!」
元気よく返事をする悟空。
「お、親父…すげぇ」
ラディッツは呆然としている。ちなみにここは砂漠…被害はほとんどない。
「残念だったな…」
嬉々としている一同の前に、ザーボンが現れた。さっきの美男子とは想像がつかないほどの…化け物の姿となって。
「この姿を見たものは死、あるのみだ」
ザーボンの言葉に殺気がこもっていることを一同は感じ取った。
443:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:39 hrauPXzE
36話 空気が読めないヤムチャ
「おーおー、随分と男前になって」
バーダックは茶化すように言った。だが、彼に余裕がないことは誰の目にも明らかであろう。
ジャリ、と砂漠の砂を踏みしめるバーダック。
「2倍にして返してやるぞ!」
ザーボンのその言葉に身構えるバーダック。
しかし…次の瞬間バーダックは血を流し、虫の息で倒れていた。
「俺は…まだ…くたばる…わ…け…に…」
「悟飯!仙豆持って来い!」
悟空が間髪入れずに悟飯に指示をする。悟飯はあたふたしていてとても判断が出来るような状況ではない。
「さて、次は誰が餌食になるのかな?グフフフフ」
さっきの美形だった面影はまったく残っていない。
笑い方までが不潔だ。
「なら俺が相手「繰気弾!」
ターレスの声に重ねるように誰かの声が響く。ヤムチャだ。繰気弾を使えるのはヤムチャしかいない。
それにしてもこの男、空気が読めない。
「な、なんだ?」
ザーボンが突如出てきたエネルギー弾に戸惑いを示している。そのエネルギー弾を普通にヒラリ、とかわすザーボン。しかしヤムチャの操作によりザーボンの体に繰気弾が直撃、ザーボンはあっさり逝ってしまう。
「ふははははははは」
いいとこどりである。
それにしても、ヤムチャはいまだまともな戦闘をしていない。
「悟飯!仙豆だ!」
悟空の怒鳴り声。早くしろと要求しているのだ。
「仙豆、仙豆…」
おろおろとしている悟飯。無理もない、子供だ。
「あ?仙豆?」
ヤムチャは口を開いた。
「俺の食いかけあるけど…どう?」
やはりこの男、空気が読めない。
444:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/20 18:48 hrauPXzE
えーとQ&Aっぽいものを。
Q.バーダックが悟空からかめはめ波を借りるって言ってるけど亀仙人の技じゃね?
A.バーダックは悟空の技だと思ってたんです、たぶん、きっと。
Q.かめはめ波撃つときの描写分かりにくいんだけど…
A.自分の文章力ではこれが限界です。第一構えが複雑すぎます。
Q.バーダックがザーボンに打ち合いで勝ったけどこれってお約束じゃね?
A.お約束をやってみたかったんです、スイマセン。
Q.ヤムチャてめえしゃべんな、むしろシリアスシーンに出てくんな
A.一応「たまにはヤムチャが活躍する話を考えようぜ」スレなので了承ください。
445:Classical名無しさん
09/04/20 22:05 1YgZ3RCk
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
446:Classical名無しさん
09/04/20 22:31 eYayeLRM
強いのに雑魚みたいな扱いのヤムチャにワロタ
447:Classical名無しさん
09/04/20 23:29 dUqZnavQ
劇場版ドラゴンボールに、無理やりヤムチャをねじ込んだような不条理な展開がなんとも言えずつぼw
続き楽しみにしてます。
サイヤンキラー2作者さんと1000人ヤムチャ作者さん、そして保管サイト作るって言っていた人はどうしたんだろう
現在スレッド容量458kb、あと40kbで容量オーバーになっちゃうし見ていてくれたらいいんだけど……
448:Classical名無しさん
09/04/22 21:57 TDfBWEJg
5億という大雑把すぎる数字が面白い
449:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/24 18:53 4A5FFYCA
うわあ…風邪をひいてだいぶ間が空いてしまった…スレ容量的に投下は自重しておきます。
朦朧とする意識の中で書いた37-42、3話はかなりひどい出来になっているので要添削です。
450:Classical名無しさん
09/04/25 10:57 50TwT4Ak
続き読めるのは嬉しいけど、無理して書くこと無いよw お大事に
451:Classical名無しさん
09/04/29 10:16 Tql3fyZ6
狼牙保守保守拳!
452:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/01 19:19 olTU5Tuc
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『俺は戦闘力5億のヤムチャを書こうとしていたらウルフボールGT(ごめんなさい 鳥山先生)
という作品の第一話とプロローグが出来上がっていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとかヤムチャ乙だとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
すいません、マジ話です。しばし本当にもう少しお待ちください…
453:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/01 19:22 olTU5Tuc
うわあ、>>452の後半部の日本語がおかしいですね…まいったな
454:Classical名無しさん
09/05/02 01:59 XUwhJ9JA
毎度ながら、どこからそんなストーリーを持ってくるんだ?w
455:テスト
09/05/02 10:38 gulCdMgs
>>324
456:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:00 YM8VYGF6
ウルフボールGT(ごめんなさい 鳥山先生)
プロローグ
俺を…ここから出せ…俺を…ここから…!
俺は必死で体を動かす。何百年、何千年もの間こうやってきた。しかし、ここから出られる気配はない。
コツコツコツコツ…足音が聞こえる。外側から俺の姿は見えないが内側から外の光景は見える。
…人間が来た…頬に傷のある男だ…
この俺を…出せ!
再び宇宙を壊すのだ!
457:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:02 YM8VYGF6
うわあ…こっちじゃありませんね…たまげたな
もう勢いでウルフボールも書きあがっている一話まで出しますね…
458:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:03 YM8VYGF6
1話 きっかけは些細なり
神殿の個室に一人の男が入ってくる。
頬に傷があり、黒く短い髪、多少老けたが整った顔立ち。
――そう、この人は間違いなくヤムチャであった。
彼はキョロキョロと辺りを見回している。
「神殿で迷うなんて夢にも思わなかったぜ…」
その言葉通り、彼は見事に道に迷っていた。
デンデ…いや、神様が必要以上の部屋を教えなかった、というのもあるのだが。
「…ん?なんだこりゃ」
ヤムチャはその『個室』にある二つのボールを見つける。
そのボールには狼の体と胴体が描かれていた。
「ドラゴンボール?いや…なんか違うんだよなあ…」
ヤムチャはその二つのボールを手にした。
459:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:05 YM8VYGF6
紫がかった色…不思議とヤムチャはそのボールに釘付けになっていた。
もし、これがドラゴンボールなら…ヤムチャは息を呑んだ。
「って、そんなわけないよな、なにを考えてるんだ俺は…『強くなりたい』って…自分がなってこそ初めて…ん?」
ヤムチャは言葉を止めた。その手に取った2つのボールが急に光りだしたのだ!
そしてそのボールの1つから狼が飛び出す!
「フハハハハ!!その願い、かなえてやろう!」
呆然とするヤムチャをよそに、個室にその叫びが反響する。
そして眩いばかりの閃光がヤムチャを包む。
ヤムチャはその光を受け、体が溶けてしまいそうだった。体に急激な負担がかかり、体が悲鳴を上げる。
「ぐああああ!!なんなんだ、これは!!」
ヤムチャは手にしたボールを落とした。しかし、地面に着く前にもう片方のボールから人間が飛び出した。
460:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:06 YM8VYGF6
「礼を言うぞ、優男!」
その言葉を残し、天井を突き破り、空へと飛び立った。
ヤムチャは外から与えられた『力』と戦っていた。
「ぐっ…うおおおおぉぉお!」
ヤムチャの叫び声が部屋に反響する。眩い光が去ったとき、ヤムチャは光に包まれていた場所に立っていた。
分割しなければ入らないというシリアス小説を書いたときのジレンマ。
ひょっとして文字数制限厳しくなりました?
461:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/02 19:08 YM8VYGF6
37話 戦力
ヤムチャが悟空に手渡した仙豆はまさに『食いかけ』といった感じである。
仙豆の4分の3は齧られており、本当に『欠片』である。
「背に腹はかえらんねぇ…父ちゃん!食え!」
悟空がバーダックの口に仙豆を入れる。いや、ねじ込む。
バーダックの口に入り、仙豆を飲み込んだ瞬間みるみる傷は治って…いや、中途半端に治った。
そして…バーダックの意識が戻る。
「カ、カカロット…」
バーダックは意識が戻るなり起き上がろうとした。しかし…かなりキツそうである。
「父ちゃん、無理すんな。しばらく寝ててくれ」
悟空は優しくそう言った。悟空だからこその思いやりである。
462:Classical名無しさん
09/05/07 01:02 jEHPDUfA
ウルフボールは面白くなりそう。今後の展開に期待してます。
戦闘力5億のヤムチャはフリーザを瞬殺できる強さのはずなのにヘタレなところが面白い
463:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/10 19:43 sRAbSQZM
「い、今起こったことをありのまま話すぜ!『カカロットよりも強くなっているのに空気にされた』
な、なにを言っているのかわからねえと思うが俺もなにをされたのか分からなかった…あ、頭がどうにかなりそうだった…
愛情度だとか、主人公補正だとか、そんなチャチなもんじゃ断じでねぇ!」
ラディッツはこんなことを口走っていたがバーダックは軽くスルー、辺りを見回し、ザーボンの死体に気づく。
「ザーボン…誰が倒した?」
ヤムチャはずい、と体を前に出し、胸に手を当てながら…自慢げに言った。
「そりゃあモチのロンでこのヤムチャ様ですよ!」
えらく古臭い言葉を言っているような気がする。まあヤムチャだしいいか。
悟空に睨まれて口を噤むヤムチャ。さすがは親子、怖い。
「なあ、父ちゃん。しばらく寝ててくれ」
464:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/10 19:45 sRAbSQZM
悟空が心配そうな表情でその言葉を囁く。
しかし、バーダックはその言葉を無視し、話し始めた。
話の内容は、ギニュー特戦隊、というドドリア、ザーボンより数段強い連中が待ち受けている、というものだった。
言葉を発するバーダックの叫びが砂漠に響いた。
間髪いれずにバーダックはさらに続ける。
「これ以上戦力の差が開いていたらとてもじゃないが戦えねぇ!自分の技を磨く努力をしろ!」
バーダックの言葉はそこで終わった。それと同時に意識を失った。
――一方お荷物三人組はとっくに神殿に戻っていた。
465:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/05/10 20:02 sRAbSQZM
見事に連投規制に引っかかってしまったので遅れての続きです。
文字数がかなり厳しいな…と思ってたらいつの間にか自分のホームページが出来ていた。なにをされたのか(ry
…自分の小説で大分スレの容量喰ってるんでちょっと自サイトにて出していきます。面白くもない自分の小説で容量喰うのはあまり喜ばしいとは言えないので…
音沙汰がないのでまとめサイトも作ってみようかな…とかは思ってませんよ、断じで。
URLリンク(www37.atwiki.jp)
466:Classical名無しさん
09/05/12 01:38 98yhzJsk
面白く読ませてもらってます。サイト開設乙!
467:Classical名無しさん
09/05/15 23:23 Jk17kgN6
サイト開設乙です
468:Classical名無しさん
09/05/16 06:52 viQMXYuY
みんなどうしたのかな?
469:Classical名無しさん
09/05/21 19:35 5usshPD2
保守&支援
470:Classical名無しさん
09/05/26 06:41 H/6Da4dU
サイヤンキラー復活祭!!
471:Classical名無しさん
09/06/01 03:31 qVA3wrHg
保守
472:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/06/01 04:23 pFFccgBg
いや~皆さんお久しぶりですw
急な海外出張でインターネットが出来ない環境でしたw
また頑張って書いてみようかなと思っている所ですが、久々すぎて雑になりそうですw
まあ…まだ忙しさは変わらないので、時間があるときにでもゆっくり書いていきますねー。
473:Classical名無しさん
09/06/01 06:06 qVA3wrHg
無事でよかった、お帰りなさい
楽しみに待っています
474:ダークオ
09/06/01 08:39 j9CnuCPI
楽しみに待ってます
475:Classical名無しさん
09/06/06 18:12 3kvxJmqs
プーアル「保守」
476:Classical名無しさん
09/06/10 08:50 /WlK5llo
ヤムチャ「ふっ、住人がお留守だぜ!!」
477:Classical名無しさん
09/06/11 14:32 TkGzaLi6
「ドラゴンクエスト5改 天空のプーアル」を書いてたんだがあまりの文章力のなさにビックリしちまったぜ
478:Classical名無しさん
09/06/15 21:23 n1.t2ovw
サイヤンキラー2を一気に読んでしまった。返す刀で保管庫の1を最初から読んでしまった。
1はリアルタイムで見ていたが、まとめて読むと、つくづく良く出来た話だと感じた。
そして、そのまた返す刀で、このスレの2を最初から読み直すという、まるでサイヤン蟻地獄w
1も2も、マーリンというキャラがよく出来ている。よく描けているのが最大のポイントなんだろうなと思う。
いわゆるツンデレに属するタイプというか、ドラゴンボールの世界観にふさわしくない「萌えキャラ」で
ありながら、なぜかそれほど違和感がない。
こういうSSにはあまりお目にかかった事が無い。オリキャラといえば「俺の考えたキャラ最高! 最強!」
的な描き方か、あるいは逆に空気の両極端なのが多いなか、マーリンはDBの世界観にしっかりと
溶け込めていながら、なおかつ異質感をも漂わせている。だから存在感や印象が強く感じられるんだろう。
479:Classical名無しさん
09/06/15 21:33 n1.t2ovw
また、DBのテーマや根底にあるものとして、「ひたむきさ」というのがある。DBのキャラは悟空を
はじめとして、表面や善悪はどうあれ、みんな真っ直ぐでひたむきだ。そしてそれはマーリンも同じだ。
だからマーリンはオリキャラでありながら、DB世界の住人として受け入れられた、溶け込めた。
マーリンはある意味で、誰よりもDBらしいキャラなのだと思う。そしてその性格を2の作者さんも
しっかりと受け継いで描いている。別人とはにわかには信じられないほど、特徴を掴んで描写している。
本当は1の作者さんなのではと今も少し疑ってるぐらいだw 文体も良く似てるし。って、これは
誰も触れてないが、もしかしたらタブーなのかな……?
……ともかく、一気読みでテンションが上がってしまい、ムダに長文を書いてしまった。スマソ。
願わくば2の作者さんにも、いつになっても構わないので、最後まで書き切ってもらいたい。
そして俺をまたサイヤン蟻地獄に落としてもらいたい。お願いします。
480:Classical名無しさん
09/06/18 15:39 FYNymHmA
悟空「三沢のことかーー」
481:Classical名無しさん
09/06/19 02:35 imxzc6qg
ヤムチャ「くらえっ!エメラルド・フロージョン!!」
482:Classical名無しさん
09/06/20 13:01 EGEFUFDY
>>479
>本当は1の作者さんなのではと今も少し疑ってるぐらいだw 文体も良く似てるし。
どちらかと言うと急襲のヤムチャの人と書き方が似てる気がする。
483:Classical名無しさん
09/06/21 03:19 bmWfb12Q
なるほど
484:Classical名無しさん
09/06/26 17:13 ym/CmPxM
やっとこさ追いついたーと思ったらサイヤンキラー2は休止中か。
でも作者さん帰国したみたいなんで期待保守。
485:鬼ヤムチャ
09/06/26 22:54 qFWSOaKQ
プロローグ
一人の長髪の男が空を突き抜けるほどにそびえ立つ塔を登っている。
蒼く澄み渡る空に朱色の胴着が映える。男の表情は希望と緊張がないまぜになった、
進学や就職を控えた青年のようだ。
荷物は小さな袋を背中に携えているだけ。
男は汗を流し息切らせながらひたすら塔の頂上を目指す。
しかし、男の真の目的は塔の頂点ではなく漢の頂点。
そう、天下一武道会優勝。悲願達成へ――。
486:鬼ヤムチャ
09/06/26 22:55 qFWSOaKQ
其の一
(俺はとうとう野球選手になってしまった――)
球場のロッカールームでユニフォームに着替える男は心の中で呟いた。
男が着替え終わるとチームメイトが近づき、笑顔で握手をした。
「お前がテスト入団で入ってきたヤムチャか。何でも化け物並みのフィジカルを
持ってるらしいじゃねぇか」
「なぁに・・・俺なんかあいつらと比べればプリント用紙さ」
「んん?お前以外にもっと凄いやつがいるっていうのかよ」
その時、他のチームメイトが会話に加わり、
「こいつはこの前の天下一武道会でベスト8だったらしいぜ」
「えっ!?あのピッコロ大魔王が参加して街もろともぶっ壊したっていう、あの?」
「・・・よしてくれよ。過去の話さ」
ヤムチャは照れを隠すように右手をさっと上げ、ロッカールームを後にした。
「って言ってもよ・・・あれって一年前だよな?」
チームメイトのひとりがぼそっと呟いた。
487:鬼ヤムチャ
09/06/26 22:57 qFWSOaKQ
其の二
ヤムチャのプロデビュー戦は8回裏に代走で出場したが、足元がお留守であることが
災いして牽制球でアウト。ほろ苦いデビューであった。
チームメイトたちは「ヤムチャの能力を生かすにはスタメンで4番ファーストしかない」
と監督へ申し出たが、実績のない者をいきなり4番にするわけにはいかないとして却下。
ヤムチャもアルバイト感覚で入団したのでそんな責任の重いポジションはゴメンだと
思った。
ヤムチャは同僚の食事の誘いを断り、帰路に着くべく車に乗り込もうとしたとき、
「ヤムチャさん!」
背の低い坊主頭の男が声をかけてきた。
「おお!クリリンじゃないか!試合見に来てくれたんだな」
「ええ。ヤムチャさんの勇姿、しっかり目に焼き付けましたよ」
「そうか。それはうれしいな。・・・どうだ、これからメシでも食いにいくか?奢るぜ!」
「本当ですか!?ヤムチャさん、ゴチです!」
クリリンは嬉々として車のドアを開け助手席のシートに潜り込んだ。
488:鬼ヤムチャ
09/06/26 23:01 qFWSOaKQ
其の三
ヤムチャが選んだのはカウンター10席ほどの小さなすし屋。しかし、その店は知る人ぞ
知る隠れた名店なのだそうだ。隠れ家へ招待され狂喜するクリリン。
一通り食事を終え、雑談を繰り返す内に話は盟友である孫悟空の話題になった。
「なぁ、クリリン。悟空に子どもができたそうだな」
「ええ」
「時が経つのは早いよなぁ・・・つい最近までガキだった悟空がな」
「そうですね。美人の奥さんゲットして、しかも世界の救世主ですよ」
「あいつはいつも俺たちの一歩先を行ってるよな。スタートラインは一緒だった
はずなのに」
ヤムチャはそう言うとグラスに残っていたビールを一気にあおった。
489:鬼ヤムチャ
09/06/26 23:04 qFWSOaKQ
其の四
「持ってるモノが違うんでしょう。悟空、しっぽ生えてますし」
おどけた調子で応えるクリリン。
「だよなぁ・・・あいつが大猿に化けた時は殺される!と思ったもんだよ。けれどなぁ・・・」
ヤムチャは空いたグラスを見つめ、当時の情景を思い出している。
「・・・ひょっとしてヤムチャさん。差が開いたのは天界の修行があったからだと・・・?」
「・・・いや、悟空は人一倍努力しているとは思うが・・・しかし、仮に俺たちも悟空に
同行して天界で修行していたらと思うと・・・」
「そうですねぇ・・・いや、止めましょう。現にピッコロを倒せたのは悟空だけでしたし、世界を平和にした。あいつがナンバーワンですよ」
クリリンのその言葉を最後に店を出た二人。クリリンはお礼を言い、二人は店先で別れた
ヤムチャの後ろ姿を見送るクリリンの目にはその背中がいつもより大きく感じた。
ヤムチャはひょっとして天界へ行くつもりなのか――しかしクリリンは瞬時にその
着想を振り払った。背中が大きく見えたのはヤムチャの決意の為ではない。俺にご馳走
してくれたからだ、と。
490:ダークオ
09/06/27 07:09 zogZznGg
おもしろくなりそうな・・・。期待します!
491:鬼ヤムチャ
09/06/27 19:45 JATZ/vos
其の五
かつて武術の神と謳われた亀仙人の家(通称:カメハウス)にクリリンは居た。
世界は平和になり、特に武術の修行をするモチベーションもなかったが、
他に行く当てもなかったので居候をしている。
ヤムチャがプロ野球選手として活動すると聞いて以来、クリリンはテレビで試合を
必ずチェックしている。
しかし、デビュー戦の日に食事をしてから一ヶ月、試合でヤムチャを見ることはなかった。
まだレギュラーで活躍するのは難しいのだろう、と思っていた矢先、ヤムチャの恋人
ブルマがカメハウスを訪れた。
「ブルマさん、お久しぶりです。あれ?今日はお一人ですか?」
クリリンの挨拶を聞くと、ブルマは曇った表情になり
「ここじゃないのね」
「えっ?どういうことですか?」
「・・・実は一ヶ月前にヤムチャったらこんな手紙を残して姿を消したのよ!」
ブルマはバッグから茶封筒を取り出しクリリンに渡した。
492:鬼ヤムチャ
09/06/27 19:46 JATZ/vos
其の六
ブルマへ
オレはしばらく留守にする。
このままではオレはきっとダメになる。
いつかお前を失う予感がしてならないんだ。
お前にふさわしい漢になって絶対に戻ってくる。
再びナンバーワンになる為に――
ヤムチャ
「これって・・・」
言葉を失うクリリン。
「・・・ヤムチャさん、ナンバーワンになったことないような・・・」
クリリンは亀仙人のペットの海ガメと目を見合わせ軽くため息をついた。
493:鬼ヤムチャ
09/06/27 19:47 JATZ/vos
其の七
「これはヤムチャの矜持の問題じゃな」
それまでリビング奥のロッキンチェアーでくつろいでいた亀仙人は、おもむろに
立ち上がり二人と一匹に近づいた。
「そう言われてみれば・・・ヤムチャの奴・・・」
ブルマが何かを思い出して言葉をつなぐ。
「オレはサッカーで例えれば日本代表だ。アジアでは強豪でも欧州南米の強豪には
まるで歯が立たない。せめて世界に通用するフィジカルと技術があればオレも
天下一武道会でベスト4になれる!って言ってたわ」
「そうだ!この前一緒に食事した時も、悟空が強いのはひとりだけ天界で修行したからだ、
というようなことを言っていたような・・・(それ言ったの俺だったか?)」
ブルマの発言に呼応して、クリリンは一ヶ月前のすし屋での一部始終を語った。
「まぁ、あれじゃな。ヤムチャは修行に出たんじゃな。平和な世の中なのにご苦労な
こったのぅ」
亀仙人は手を自身の肩にやり、コリをほぐしながら再びロッキンチェアーに座った。
494:鬼ヤムチャ
09/06/27 19:49 JATZ/vos
其の八
「ということですから、ブルマさんも心配なさらずに・・・」
クリリンはヤムチャの失踪が修行目的であることを確信し、ブルマを慰めた。
「心配なんかしてないけど、野球チームからの電話がしつこいのよ。期待のホープ
だから早く復帰して欲しいって・・・まったく、やっと世間で居場所が見つかったと
思ったらこれだもの。呆れちゃうわね!」
ブルマは一気にまくし立てると、出されたアイスコーヒーを口にした。
その頃、友人や恋人の心配(?)をよそに、ヤムチャは仙人が住むと言われるカリン塔の
頂上にいた。
カリン塔の主である仙人カリンはヤムチャの天界行きの要請を拒み続けていた。
「しつこい奴じゃのぅ、おぬしも。世界の危機でもないのにむやみに人間を上へ
やってはいかんのじゃよ」
「・・・カリン様。確かに今は平和な世の中かもしれません。しかし、いつピッコロを
超える悪が世界を蹂躙するとも限らない。準備は怠らない方が良い。俺は超神水も
飲んだ。きっと神様との修行にも耐えられる!」
495:鬼ヤムチャ
09/06/27 19:51 JATZ/vos
其の九
「おみゃーさん、あの水飲んだ後すぐに気持ち悪ぃ、気持ち悪ぃ言うて吐き出した
でしょうが。あれは飲んだ内に入らんでしょう」
ヤムチャがカリン塔に来てからというもの、毎日このやりとりを見せられている
ヤジロベーという名のカリン塔に住み着いている青年は呆れつつも毎度のつっ込みを
ヤムチャに入れた。
「わかってないぜヤジロベー。肝心なのはあの味を知っているのは俺と悟空だけだと
いうことさ」
「・・・味見した程度で強くなれるなら神様に修行してもらわんでも充分でしょうに」
ヤジロベーは一歩も引かないヤムチャへ哀れみと諦めを込めた目を向けた後、
「いい加減こいつを天界に上げさせてやったらええでしょう?」
カリンの下あごを撫でながらヤジロベーも天界行き許可を懇願した。
「んん、まぁ、なんじゃな。あまりにもしつこいし、一度神様に掛け合ってやらん
こともないかな」
喉をごろごろと鳴らしながらカリンは観念したように目を瞑った。
496:Classical名無しさん
09/06/27 21:06 1DWNKUK2
ブルマに宛てた手紙が格好良かったです。
497:鬼ヤムチャ
09/06/28 19:23 GDMxv4uE
其の十
ヤムチャが天界の神殿にある「精神と時の部屋」と呼ばれる一室に入り早3日が経った。
筋力トレーニングや座禅といった基礎的なメニューをこなすが、なにより食料庫、ベッド、
バストイレ以外何もなく、空気が薄く寒暖差の激しいだだっ広い白い風景が精神を圧迫する。
神様が「孫悟空でさえ一ヶ月しかもたなかった」と言っていたのを身でもって理解した。
――お主とは以前下界で手合わせして以来、気にはなっていた。
――では神様、改めて稽古をつけていただけるのですね!?
――そうしてやりたいのはやまやまなのだが、神というのはこれでも中々多忙なのだよ。
現に、孫悟空の修行はミスター・ポポにまかせっきりだった。
――そうだったのですか・・・
――ミスター・ポポは今病気療養中で相手は無理・・・ヤムチャよ。お主、
「精神と時の部屋」に入ってみてはどうだ?
ヤムチャはふと天界に初登頂したときのことを思い出し、再び瞑想にふけるのであった。
498:鬼ヤムチャ
09/06/28 19:25 GDMxv4uE
其の十一
「精神と時の部屋」の話を神様から聞いた時、不安よりも先に部屋の中での環境に耐え
られる、という確信がヤムチャの心の中で湧いた。
豪華な食事も綺麗な女もいらない。俺は砂漠の狼なんだ、と。
天下一武道会で優勝し、絶対にナンバーワンになる。この一心のみがヤムチャを
過酷な修行へと駆り立てるのであった。
―ヤムチャが天界へ修行に行ってから4年が経過した―
実際にはヤムチャが天界で修行した期間は「精神と時の部屋」で過ごした2日だけで、
その後の消息は不明。
ブルマの元へも戻らず、カメハウスに立ち寄った形跡もない。
クリリンはじめ友人たちは「きっと居心地が良くて天界に住み着いているのだろう」と
思っていた。
そんなある日、一人の長髪の男がカメハウスを訪れた。
しかし、それはヤムチャではなかった。
499:鬼ヤムチャ
09/06/28 19:26 GDMxv4uE
其の十二
鎧を身に着けた黒ビキニ姿の長髪男はラディッツと名乗り、孫悟空の息子である孫悟飯を
人質にとり姿を消した。
圧倒的な気(戦闘力)を持つラディッツ。悟空より先にラディッツと対面していた
ピッコロ大魔王(以下ピッコロ)は悟空と手を組めばラディッツを倒せると主張し、
それに同意した悟空と共にラディッツの元へと向かった。
その頃ラディッツは――
悟飯を宇宙船の中に閉じ込め、食料を確保しようと出発するところであった。
自身の持つスカウターが悟飯の戦闘力を700近く計上するというアクシデントに
見舞われたが、何のことはない、スカウターの故障だろうと気持ちを落ち着かせた。
その時であった。
一人の男がラディッツの前に立ちはだかった。
500:鬼ヤムチャ
09/06/28 19:29 GDMxv4uE
其の十三
「地球人にしてはありえない気を察知したから見に来てやったぜ」
亀仙流の胴着を身に包んだ男は自信に満ちた表情でラディッツを一瞥した。
「その服装、カカロットと同じだな。大方奴に援軍を頼まれたのだろう」
ラディッツは不適な笑みを浮かべてスカウターのスイッチを押した。
「戦闘力・・・177。この星の者にしては高い方だな。ハハハッ」
「カカロットだ戦闘力だワケのわからんことを言っているが、悪さをする奴は
月に代わってお仕置きだぜ!」
「フン!こんな辺鄙な星、元から興味なぞない。カカロットさえ連れて帰れば
それで良いのだ」
「そうかそうか。その願い叶うといいな。しかし、貴様が悪さをしないという
保障はどこにもない。念には念を入れてこの俺の力を少しだけ見せてやろう」
亀仙流の男は気を開放した。
501:鬼ヤムチャ
09/06/28 19:33 GDMxv4uE
其の十四
「なっ・・・何だと!戦闘力がどんどん上がっていく。1000・・・2000・・・」
驚愕の表情で男を見つめるラディッツ。受け入れ難い現実を目の当たりにし、
ラディッツは怒りと焦りを抑え切れなかった。
「はっはっはっ!真の漢(おとこ)の力をしっかり見ておくがいい!」
亀仙流の男はさらに力を入れた。
「戦闘力・・・4649!・・・嘘だ。スカウターの故障に決まっている!」
「ヨロシクか・・・洒落てるな、オレ」
「うおおおおっ!」
ラディッツは雄たけびをあげると、電光石火のスピードで男の懐に近づき右の拳を
男の左頬に撃ちつけた。
微動だにしない男。
「それは君の故郷の挨拶かな?では私も」
男はラディッツの右腕を己の右手で掴むと、勢いよく2~3回上下に振った。
「うわぁっ!腕がもげるぅ!」
「そいつは失礼」
男は笑顔で手を離した。
502:じゅん
09/06/28 19:55 zgq/dRQU
いいねっ!
503:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:01 GDMxv4uE
其の十五
「はぁはぁ・・・貴様は一体?・・・」
息切らせ腕に手を遣るラディッツ。
「オレか?・・・俺が誰であるかすでにお前も知っているだろう。武術の王にして
漢(おとこ)の中の漢、ヤムチャとは俺のことだ。気の狂うような修行を経てオレの
存在は神をも超えた。想像を絶する力を手にしてしまったので隠遁生活をしていたが
骨のありそうな奴の存在を察知したので来てやったまでさ」
ヤムチャは得意満面の笑みで語ると、腕を組み空を見上げて遠くを見つめている。
(馬鹿な!地球にこんな実力を持つ者がいるとは!・・・誤算だ。しかし待てよ・・・)
恐怖と後悔が交錯する心の中でラディッツは一計を思いついた
504:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:03 GDMxv4uE
其の十六
「いやぁ、もちろん知っていますとも。ヤムチャさんを訪ねる為にはるばる宇宙から
やって来たんですから」
ラディッツは精一杯作り笑いをし、揉み手をしながら言葉を続ける。
「我々は宇宙各地から選りすぐりの戦士を募集しています。色々と手広くやっていますが
ヤムチャさんなら即戦力でご活躍いただけるかと・・・」
「おだてはいい。俺は地球から出る気はないからな。とっととカカ何とかを連れて
くに(故郷)に帰るんだな」
ヤムチャは対峙したラディッツの実力が予想の域を出なかったので、もうここにいる
必要もないと言わんばかりに足早に去っていった。
505:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:04 GDMxv4uE
其の十七
(た・・・助かった)
ラディッツは安堵の表情で近くの岩に腰を下ろした。
するとまもなく悟空とピッコロがやってきた。
――死闘の末――
ラディッツ退治に成功はしたが、孫悟空というかけがえのないヒーローを喪った。
ピッコロは悟飯を預かり、来るべき一年後に備えることにした。
しかし、ピッコロにはひとつ気になることがあった。
ラディッツの元へ向かう途中、ラディッツの他にもうひとつ、短い時間ではあったが
巨大な気があったことを。
悟空も同様に察知したが、気のせいだろうと言ってその場は治まった。
が、やはり気になる。
探し出して協力を仰ぐべきか――
ピッコロ大魔王ともあろうものが得体の知れないもに近づき頼み事をしようなど
堕ちたものだ、とピッコロは苦笑し、その存在を忘れることにした。
506:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:05 GDMxv4uE
其の十八
天界には悟空の盟友たちが集っていたがヤムチャの姿はなかった。
神様から以前ヤムチャが修行に来たことを告げられたが、全員そのことはヤジロベーから
聞かされていたので驚かなかった。
ヤムチャは相変わらず誰の前にも姿を見せない。
ラディッツの遺したスカウターで捜索してみるものの、ヤムチャは完全に気を消している。
しかし、神様だけは知っていた。ヤムチャのその真意を。
「精神と時の部屋」に耐え切った漢が得た力。
全てを凌駕するその力を悪用することされることを畏れ隠遁する決意をしたその心意気。
ヤムチャこそがナンバーワンである。
あの世で修行し帰還する予定の悟空との対戦を天下一武道会で見てみたいものだ。
神様はそのことを想像するだけで少年のように心が躍るのであった。
507:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:07 GDMxv4uE
其の十九
そして、神様は一行を「精神と時の部屋」へ案内した。
しかし、全員一ヶ月もたなかった。
神様は諦めて直々に稽古をつけることにした。
仲間たちはヤムチャが「精神と時の部屋」に入ったことにより一気に老け込んでしまった
ので姿を消したのだろうと噂した。
一年後
ついに二人のサイヤ人が地球に降り立った。
髪を逆立てた小男とスキンヘッドの大男。
大男は挨拶代わりに街をひとつ消し去った。
二人は悟空を待ち受けるべく戦闘に適した場所へと移って行った。
508:鬼ヤムチャ
09/06/28 22:08 GDMxv4uE
其の二十
サイヤ人の元へ次々と到着するZ戦士達。しかし、ヤムチャは来ない。
大きい方のサイヤ人は一行を見渡すとピッコロを指差し、
「おい、ベジータ。あいつナメック星人だぜ」
相方へ言葉を投げかけた。
「なるほど。ということは貴様がヤムチャだな」
ベジータは一年前にスカウターで傍受していた内容を思い出しピッコロを睨んだ。
「何のことを言っているのかさっぱりわからんな」
ナメック星人であるという指摘よりもヤムチャに間違われたことに怒りを隠せないピッコロ。
ナメック星人の説明をベジータから受けても、Z戦士達はそのことより何故ベジータと
いう男はヤムチャのことを知っているのか?その方に驚きを隠せなかった。
Z戦士達のどよめきをよそに大男のサイヤ人は小瓶を取り出すと中身の種を地面に埋めた。
509:Classical名無しさん
09/06/29 02:34 Ivdz8eH.
鬼ヤムチャさん面白いです
510:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:01 KRuE7u0c
其の二十一
「この星の土は良質だから強えーサイバイマンができるぜ」
大男は種を6粒埋め終えるとビンの液体を土に撒いた。
すると、6体の生物が次々と土からかえった。
大男曰く、パワーだけならラディッツに匹敵する能力だとか。
最初に天津飯がサイバイマンと対決し、実力者の名にたがわぬ圧倒的な差で
サイバイマンを1体撃破した。
その時であった。
ひとすじの光が遠方よりこちらへ向かってきた。
「ヤムチャさん!」
クリリンは思わず裏返った声を発した。
511:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:02 KRuE7u0c
其の二十二
「みんなお揃いで何をやっているんだ?」
ヤムチャは現場へ着陸するとさわやかな笑顔をZ戦士達に振りまいた。
「何をって・・・今までどこにいたんですか!みんな心配してたんですよ!」
クリリンは久しぶりの再開を喜びヤムチャに抱擁した。
「すまなかったなクリリン。邪悪な気を感じたんで来てみたんだが、どうやら
非常事態のようだな」
「貴様がヤムチャか。へへへ、ちょうどいいや。俺が相手してやるぜ」
大男は自分の顔を両手でパンパンと叩き気合を入れるとヤムチャに向かって歩き始めた。
「待てナッパ!そいつを侮るな。まずはサイバイマンに戦わせろ!」
ベジータは大男を制止した。
「けどベジータよぅ・・・たしかあいつの戦闘力は5000近かったじゃねぇか。
サイバイマンじゃ勝てねぇだろ」
ナッパは歩みを止めてベジータに振り返った。
512:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:03 KRuE7u0c
其の二十三
「地球人は戦闘力を自在に変化させることができる。あの時の数値が奴の
限界かどうかもまだわからん。まずは様子見だ」
「・・・ちぇっ」
ナッパは軽く舌打ちをすると、あごでしゃくってサイバイマンに指示を出した。
「何が何だかわからんが、奴らは相当貴様を警戒しているようだな」
ベジータとナッパのやり取りを見たピッコロはヤムチャを得体の知れないもののように感じた。
「何でだろうな・・・ああ!あの鎧・・・あの時の奴と同じ・・・」
ヤムチャは全てを悟るとサイバイマンの方へ歩き出した。
と同時にヤムチャの独り言を聞いたピッコロも全てを理解した。
「あの人・・・前にどこかで見かけたような・・・」
悟飯は記憶の糸をたどり寄せている。しかし思い出すことはできなかった。
513:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:05 KRuE7u0c
「懲りずにまた来たようだな。いいだろう、少しだけ稽古をつけて差し上げよう」
ヤムチャは気を開放し亀仙流の構えをとった。
周辺で野草をつまんでいた小鳥たちはヤムチャの気に気圧されるように
一斉にその場を飛び立った。
それを合図にサイバイマンの一体が猛然とヤムチャに襲いかかる。
ヤムチャは涼しい顔でサイバイマンの攻撃をかわすと、溜めの少ないかめはめ波を
放ち一蹴した。
かめはめ波をまともに喰らったサイバイマンは、勢いよく吹き飛ばされると仰向けに
倒れ込んだ。
「ヤムチャさん凄い!」
勝利を我が事のように喜ぶ餃子。クリリンとハイタッチをした。
「さぁ、次にお仕置きして欲しいのは誰かな?」
ヤムチャは残りのサイバイマン4体に向かってにじりよる。
すると――
倒されたはずのサイバイマンが急に起き上がり猛スピードでヤムチャの背後に抱きついた。
514:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:06 KRuE7u0c
其の二十四
「なんだとっ!」
不意を喰らったヤムチャであったが、すぐに冷静を取り戻し
「おイタがすぎるぜ」
サイバイマンを振りほどこうとした時であった。
「何をボケっとしてんだ!お前たちもやれ!」
ナッパは大声を張り上げて4体のサイバイマンに指図した。
すると、残りのサイバイマンたちは一瞬躊躇したものの一斉にヤムチャに飛びついた。
「まずい!」
ピッコロが叫ぶと同時に5体のサイバイマンは大爆発をした。
大量の砂埃が宙を舞う。
Z戦士達は唇を噛みしめながら砂埃の舞う一点を凝視していた。
515:鬼ヤムチャ
09/06/29 21:10 KRuE7u0c
其の二十五
爽やかな春風が砂埃を彼方へ運ぶと、そこにはくの字になって倒れているヤムチャの
姿があった。
「くそっ!」
悔しさのあまり血が出るほど拳を握り締める天津飯。
「自爆に巻き込まれる奴は・・・“不運”(ハードラック)と“踊”(ダンス)っちまったのさ」
ベジータは起き上がる気配のないヤムチャを不遜な笑みを浮かべて見ている。
「これでカカロットが来るまで存分に遊べるってもんだ」
舌なめずりをするナッパ。
「ヤムチャさん!」
クリリンは一心不乱にヤムチャの元に駆け寄り、心音と脈を確認した。
「・・・・・・生きてる」
「何だとっ!」
クリリンの一言に唖然とする一同。
「気絶しているだけみたいだ」
「野郎・・・俺がとどめを刺してやる!」
いきり立ったナッパはヤムチャに飛びかかろうとした。
516:Classical名無しさん
09/06/29 22:28 0VWPX5Hg
ヤムチャのことだからどうせ……
そんな風に思いつつもおもしろいと思っちまう。
517:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:06 KRuE7u0c
其の二十六
「そいつはほっておけナッパ!」
気の短い相方に若干苛立ちを覚えながらベジータは叫んだ。
「何故だベジータ!」
「奴が目覚めた時に死んでも消えることのない恐怖を見せてやるのさ」
「・・・へへっ、アンタも相当ワルだぜ」
「そういうことだ」
ベジータとナッパは顔を見合わせると下衆な笑い声を発した。
ヤムチャが気絶している間に餃子と天津飯が絶命した。
結果としてヤムチャは己の力を過信し油断したことによって救えたはずの命を救うことが
できなかった。
518:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:11 KRuE7u0c
其の二十七
ヤムチャは正気を取り戻すとひとつのことに気がついた。
――あれ?そういえば悟空がいないぞ
今まさにナッパとの戦闘を開始しようとしていたピッコロ、クリリン、悟飯の
三人に恐る恐る近づくヤムチャ。
「オホン!・・・さっきはすまなかったな、みんな。でも、もうあんなヘマは
しないぞ!」
ヤムチャは咳払いをし、照れを隠しながら威勢よく復活宣言をした。
「フン!貴様がしっかりしていれば餃子と天津飯だけでなく孫悟空も無駄死にせずに済んだものを」
ピッコロは軽蔑の目を遠慮なしにヤムチャへ向けた。
その発言を不得要領に聞き入るクリリンと悟飯。
「意外に早いお目覚めのようだな」
4人のやり取りを確認するとベジータは、
「ヤムチャ!貴様にも真の恐怖を味わせてやろう!」
ベジータはナッパとピッコロ達より少し離れた場所へヤムチャを誘導した。
519:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:14 KRuE7u0c
其の二十八
「お前にヤムチャ呼ばわりされる筋合いはないぜ」
これから踏み入れる未知の領域を前に興奮を極めたのだろう、ヤムチャは見当違いの
発言を対峙するベジータに放った。
それをさらりと無視してベジータは
「カカロットが来るまでだ。たっぷりかわいがってやるぞ」
「おい!そのカカ何とかって奴は何者なんだ?」
「ん?・・・貴様、仲間から何も聞いていないな?まぁ、何者か知る前に貴様は
息絶えるわけだがな」
「どちらが息絶えるかはやってみなければわからんさ」
ヤムチャはぼろぼろになっている胴着を引きちぎると、持てる力を全て開放した。
520:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:15 KRuE7u0c
其の二十九
これが神をも超越した漢の力か――大地は震えおののき空間は熱気のあまり歪んでいる
ようにみえる。その圧倒的な威圧感は少し離れたピッコロ達にもひしひしと伝わった。
「戦闘力14800か。少しは楽しめそうだな」
ヤムチャの戦闘力を測り終えると、ベジータは乱暴にスカウターを投げ捨てた。
――そして戦いが始まった。――
この戦いが一人の女性をめぐる恋の戦いの幕開けでもあったことなど当時のふたりには
知る由もなかった。
521:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:16 KRuE7u0c
其の三十
両者の攻防が文字通り火花を散らす。しかし、戦闘力において上回るベジータが次第に
リードを広げていった。
「はぁはぁ・・・何ということだ・・・「精神と時の部屋」で俺は遥かにウデを上げたというのに」
ヤムチャは息を切らせ己を凌ぐ実力者を前に悔しさをあらわにした。
「さて、そろそろお仕舞いにするか」
疲労を一切見せていないベジータは右手に力を込めてエネルギー波を打つ構えをとった。
「・・・しかたがない。とっておきの“アレ”を使うか」
ヤムチャも右手に気を集中させ繰気弾を作った。
「死ね!」
「繰気弾!」
青春の血潮とでも呼ぶべきふたつのエネルギーの塊が激しい勢いで衝突した。
522:鬼ヤムチャ
09/06/29 23:20 KRuE7u0c
其の三十一
ふたつのエネルギーは相撲のように力比べをしたが、やがてヤムチャはベジータのエネルギー波に
力負けしてしまうことを悟ると、繰気弾を素早く上空へ操りエネルギー波を避けようとした。
しかし、エネルギー波のスピードはヤムチャに近づくにつれて加速し、まもなく
ヤムチャを直撃。ピッコロ達のいる方へ弾き飛ばされた。
「ヤムチャさん!」
ヤムチャの体はちょうどクリリンの前で横たわった。その姿を見て今度こそヤムチャは
終わった、とクリリンは直感した。
「向こうは終わったようだぜ」
厄介者が片付いたことに嬉しい様子のナッパは一気呵成に出た。
523:鬼ヤムチャ
09/06/30 00:25 nbeJ6dAk
其の三十二
その後――
ピッコロが命を落とし、絶体絶命かと思われたZ戦士達であったが悟空が到着。
紆余曲折あったものの悟空はナッパとベジータを撃退した。
ピッコロが死亡したことにより、神様とドラゴンボールも失ってしまったZ戦士達。
しかし、ナメック星のことを思い出した一同はミスター・ポポとブリーフ博士の尽力で
ナメック星へ行くという一縷の望みを手にした。
まず、クリリン、悟飯、ブルマの三人が旅立った。
ベジータとの戦いで重症を負った悟空は全快した後に追うこととなった。
524:鬼ヤムチャ
09/06/30 00:26 nbeJ6dAk
其の三十三
一方、我らがニューヒーローヤムチャは――
ベジータとの死闘で一命は取り留めたものの、恐怖によるものなのだろうか、
記憶喪失にかかっていた。
しかし、全てを忘れたわけではなく、修行を決意したこと、「精神と時の部屋」でのこと、
サイヤ人達との決戦という一番重要な出来事が頭の中からすっぽりと抜け落ちていた。
ヤムチャの強大な力はナメック星へ行くには絶対に必要だ、とクリリンと悟飯は
必死に説得したが、ヤムチャはそれを単なるおだてであり、自分が同行しても
足を引っ張るだけだ、留守を預かる方が適任だとして固辞した。
そう、ヤムチャは己の実力が前の天下一武道会の時のままであると思い込んでいるのだ。
ヤムチャは時折この4年の月日を細部にいたるまで思い出そうと記憶の底をまさぐってみる。
が、そうすると決まってベジータの影がヤムチャに襲い掛かり脱力する。
その度にヤムチャは言い知れぬ不安と隠遁していた期間を埋めるかの如くピンク街へと
出向き女体をむさぼるのであった。
525:鬼ヤムチャ
09/06/30 00:26 nbeJ6dAk
其の三十四
悟空がナメック星へ旅立った翌日、ヤムチャは行きつけの風俗店でお気に入りの嬢から
ある話を耳にした。
「それでね、廃墟になったその街にはまん丸の乗り物があって・・・」
「ふ~ん、そんなのがあるんだ」
行為を終え、服に着替えているヤムチャは気のない返事をしている。
「そうだ!その写真が載ってる雑誌があったっけ」
嬢はスキャンティ姿で立ち上がると奥の棚から一冊の雑誌を持ってきた。
「ね?消えた街に不思議な乗り物!これは宇宙人が地球を・・・」
ページを開き記事に見入るふたり。
呆然とその写真を見つめていたヤムチャだったが、ふと脳髄の奥から電撃が一閃
ほとばしる感覚が走った。
「・・・俺も行かなきゃな」
「え?イク?もう一回やるの?」
「また会えるといいな」
ヤムチャは嬢を軽く抱擁すると足早に店を出て行った。
「鬼ヤムチャ」サイヤ人編完
526:Classical名無しさん
09/06/30 02:12 kqU4WmN2
スキャンティってwww
あんた歳いくつだよw
527:ダークオ
09/06/30 06:34 eBPql3io
期待どおりおもろい!展開も速いしいいできでした。次回作も期待します!
528:Classical名無しさん
09/06/30 11:06 6x9z6pxQ
ラストのヤムチャかっこよかった
乙です!
529:Classical名無しさん
09/06/30 20:10 nbeJ6dAk
全国のヤムチャファンの皆様こんばんは。
「鬼ヤムチャ」を投稿させていただいた者です。
何の気なしに始めたのですが、やりだしたら止まらなくなりました。
続きを書いたのでお付き合いよろしく。
530:ノー・エクスペクテーション
09/06/30 20:12 nbeJ6dAk
其の一
ナッパの乗ってきた宇宙船を利用しナメック星へ向かうヤムチャ。
長い時間座り続けていたのでエコノミー症候群になってしまった。
カリンから貰った仙豆は2粒あったが治療の為に1つ消費した。
――ようやくたどり着いた――
宇宙船を降りるとそこは雪国であった。昼の空が黒くなった。
気を探るが全く気配がないので、場所を間違えたのか?とあせり始めたその時だった。
「今さらここへ来てなんのつもりじゃ」
仁王立ちする一人の初老の男がヤムチャを睨みつけていた。
531:ノー・エクスペクテーション
09/06/30 20:12 nbeJ6dAk
其の二
「すみません。俺はヤムチャと言います。ここはナメック星ですか?」
「ん?違うが・・・君はフリーザ一味ではないのか?」
「フリーザ?いいえ違います」
「そうか・・・あの宇宙船を見て、てっきり奴らかと・・・」
ヤムチャは老人から、この星がフリーザという悪者に狙われていたこと、
フリーザ軍との激しい戦争の末に文明も環境も滅んでしまったが、一人生き残り
たまに迷ってやってくる旅人相手に商売していることを語った。
「というわけで・・・ここはよろず屋じゃ。何の用かの?」
→買いにきた
売りにきた
やめる
532:ノー・エクスペクテーション
09/06/30 20:14 nbeJ6dAk
其の三
ヤムチャはせっかくなので並べられた商品を見定め、
→やくそう 8G(ゼニー)
ひのきのぼう 5G(ゼニー)
はんにゃのめん 3G(ゼニー)
さとりのしょ 100000G(ゼニー)
「さとりのしょ」を手に持ったが、
「残念じゃがお金が足りないようじゃの。他に用はあるかね?」
しかたがないので、ひのきのぼうとはんにゃのめんを購入した。
533:ノー・エクスペクテーション
09/06/30 20:15 nbeJ6dAk
其の四
よろず屋に宇宙船の知識が多少あったので(どのようにして覚えたのかは不明)、
行き先を登録しヤムチャは一路ナメック星へ向かった。
――今度こそたどり着いた――
邪悪で強大な気を感じる。ベジータか?いや、それはベジータを遥かに上回る。
嫌な予感を感じながらも気を消してそれを避けるようにドラゴンレーダーが反応する方へ向かった。
そこには大きな宇宙船が留まっていた。外に二人の人間がたむろしている。
一人は見覚えがないが、もう一人はヤムチャが最もよく知る人物だった。
「待たせたな、悟空!」
ヤムチャは悟空の元へ歩み寄ると再開を喜び、握手を求めようとすっと右手を差し出した。
すると、悟空は握手をかわしヤムチャの頬を思い切りひっぱたいた。