09/02/10 02:26 6T/uSG6w
【157話】
『本大会、予選の決勝まで残った女性選手はこの二人のみとなります!それでは、決勝戦!!18号選手、マーリン選手!試合を始めてくださいっ!』
アナウンスがコールされる。
「…いくよ」
18号はそう言って構えを取ると、マーリンも無言で構える。
構えはゆっくりだったが、攻めは突然だった。
「そーらッ!」
18号が掛け声と同時に、猛スピードでマーリンの胸部に右手で殴りかかる。
それをマーリンは5メートルほど大きく跳躍して避けると、18号はすぐさま上方にいるマーリンに向かって連続で無数のエネルギー波を放った。
マーリンがその無数のエネルギー波を、超高速移動でわずかに体を30センチから1メートルほどだけ動かし無駄なくかわすと、18号の放ったエネルギー波は室内闘技場の天井を貫通し、建物がその衝撃で揺れる。
マーリンはすぐさま下を見るが、既に18号の姿はそこにはない。
ヤムチャに言われたとおり、冷静に自分の周りの空気に神経を張り巡らせる。
と、自分の左方の空気がほんの僅かに乱れていたのを感じた。
「そこだッ!!」
武空術で宙に浮いたまま、自分の左側…何もない空間にマーリンがパンチを放つと、ドスッと鈍い音をたてながら、何もない空間に攻撃を仕掛けようとしていた18号の姿が現れた。
「…………ッ!」
18号は攻撃を出しかけていたため、半ばカウンターのような形になったマーリンのパンチがもろに腹部にヒットし、苦痛で表情が歪んだ。
破れかぶれに18号はマーリンにハイキックを繰り出すが、いとも簡単にマーリンに受け止められてしまう。
すぐに次の攻撃を繰り出そうとする18号だったが、それが…この試合の全てだった。
マーリンは一度受け止めた18号の足を、がっちりと強く掴んで離さない。
「…これでもう、身動きは取れない」
「…!な、なんだって!」
マーリンは冷たく小声で囁くと、足を押さえつけた状態で、再び18号の腹部目掛けて拳を下ろした。
ドス…!ゴッ…バキッッ!ドスッ!
「ぐっ……か…はッ……」
身動きが取れない18号はその拳をくらうしか術はなく、マーリンは何度も執拗に18号の体を殴打する。
301:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/10 02:29 6T/uSG6w
【158話】
必死に暴れて足をマーリンの手から外そうとするが、パワーはマーリンの方が遥かに上のため、どうやっても外れなかった。
胸部、背部、腹部、顔面、人造人間とは言え、ベースは人間なので18号に徐々にダメージが蓄積していく。
体力が減らないとは言え、痛みの感覚はあるのだろう、時折胃液を吐きながら苦しそうに18号は遠ざかっていきそうな意識を保とうとしていた。
やがて18号の動きが鈍くなってきたところで、ようやくマーリンは18号の足を離し、更にフラフラの18号に躊躇なく狼牙風風拳のラッシュをかける。
一度崩れた体勢を立て直すのは難しい。
ズガガガガガガッガガッ!
18号は防御する術もなく、空中でサンドバッグのようにマーリンに打ちのめされた。
もうほとんど18号が動けなくなったのを確認すると、マーリンは狼牙風風拳をやめ、高速で18号の後ろに回りこみ、背後から首に手刀を一撃くらわせると、18号の意識は完全に途切れてしまう。
意識がくなったことで武空術が解け、重力で落下しそうになる18号の服をマーリンは片手で掴むと、そのままゆっくりと地面に降りていった。
そして、丁寧に18号を床に寝かせると、黙っている審判に目で訴える。
『……し、失礼しました。18号選手…戦闘不能!マーリン選手の勝利となります……!』
今度ばかりは、観客や選手から歓声は起こらなかった。
余りにも凄すぎる戦闘と、マーリンの冷徹非情な戦いっぷりにに、黙って息を呑むしかなかったのだ。
第一、速過ぎて何が起こっているかよく分からないというのが一般人の本音だろう。
表情を変えずに、無言のまま舞台の階段から降りるマーリン。
その周りには、目には見えないが触れることを許さないような近寄りがたいオーラが出ていた。
302:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/10 02:32 6T/uSG6w
【159話】
「……マーリン」
ヤムチャはマーリンの肩を掴むと、何も言わずに目で語りかける。
「やっぱり…やりすぎたか?」
「普通の人間なら、ありゃ死んでるぞ…」
ヤムチャは大きくため息をつきながら言った。
「お前の仲間は、全員普通の人間ではない」
「いや……まあ、そう言われたら否定はできねーけどさ」
「それに…これはヤムチャから言われた3つのポイントとやらを、全て忠実に守った結果だぞ?」
「俺が言ったポイント…?俺なんて言ったっけ?」
ヤムチャは首を傾げる。
今度は逆にマーリンがはぁ、とため息をついた。
「空気の変化を感じ取れ、相手の動きを止めろ、油断せずにボコボコにぶちのめせ…そうだろう?」
言われてみれば、マーリンの動作は全てヤムチャの言葉に忠実に従ったものであった。
姿を捉えられなくなったら、空気の変化を感じ取って動きを見切り、高速で動かれると厄介なため足を掴んで動きを止め、女だからと言って最後まで油断せずに攻撃をし続けた。
「…まあ、そうかな……うん」
「で、わたしのとった行動は、問題あったの?ないの?」
「……ないです」
「ふふ。分かればいいのだよ、ヤムチャ」
勝ち誇ったかのようにマーリンはかわいく笑う。
先ほどまで非情に徹し、無表情で相手を甚振り続けたのが嘘のような笑顔だ。
だが、ヤムチャはどこか腑に落ちない様子だった。
「っていうかさ…。…ボコボコにぶちのめせ、なんて言ったっけ、俺…」
それは、言ってなかった。
「にしても、余計なアドバイスだったな…全然余裕じゃないか。案外18号も大したことないのか…?」
針小棒大にアドバイスをしたつもりではないし、少なくとも一昔前、悟空たちより強かったのは事実だ。
しかし、先ほどの戦いを見る限り、今のヤムチャには18号が前ほど大した相手ではないように思えてきた。
303:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/10 02:50 6T/uSG6w
>>282さん
ありがとうございます、これを借りてやってみます!
>>283さん
クリリン戦はもうちょっと描写を増やしたかったのですが、
今のヤムチャとクリリンではかなり差があるため一方的になってしまいました。
304:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/10 02:58 6T/uSG6w
・SaiyanKiller2の戦闘力一覧表
URLリンク(age2.tv)
問題点が…
画質を上げるためにビットマップで保存したら容量オーバーになったためJPGに…。
そして、URLをクリックしただけでは縮小されていて見れないです。
カーソルを画像に合わせると、右下に拡大アイコンが出ますのでそれを押して頂ければご覧頂けます。
異論がある方もいるかもしれませんが、私はこの設定でストーリーを書いていくつもりです。
ちなみに、作品が進むことによって戦闘力が上昇(あるいは下降)したりするかもしれないので
まあ、参考程度にでも見ていただければ…m(_ _)m
305:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/10 03:00 6T/uSG6w
1000人のヤムチャたちに期待しつつも、体力の限界なのでお布団入ってきます。
おやすみなさい!
306:Classical名無しさん
09/02/10 03:18 QDUCXbis
怒涛の更新だー。乙です
戦闘力表の ヤムチャの戦闘力=アクセスカウンターというネタが面白いw
307:Classical名無しさん
09/02/12 03:29 ciIhpI7w
ヤムチャと言えば本戦の一回戦で予想外の強さのキャラと戦う宿命だから
一回戦の対戦相手が楽しみだ
308:Classical名無しさん
09/02/14 23:43 7S2KR/nA
携帯から戦闘力表はみれますか?
309:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 00:24 Akahxuyc
>>306さん
ありがとうございます。
たまヤムのサイトのアクセス数が、ただいまのヤムチャの戦闘力となっているのを見て以来、
ずっとこのネタを何らかの形で使いたくてしかたありませんでした(笑)
>>307さん
分かっていますね!
>>308さん
今言われてみてテストしましたが、画像は表示できます。
機種によっては見れないかもしれませんが…。
でも、表示できたとしても、文字が小さすぎて読めないかも…。
さて…明日もお仕事ですが、今からまったりと書いていきますね。
310:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 00:26 Akahxuyc
トーナメント表も作って、アップしようかな。
311:Classical名無しさん
09/02/15 00:41 7ca.uprE
文字が小さくてわかりませんでした。
312:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:00 Akahxuyc
>>311さん
ですよね、申し訳ないです…。
PCで閲覧する方のことしか考慮できていませんでした…。
313:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:14 Akahxuyc
【160話】
「ひゃー…あいつほんとにつええな。見てる限りだと、あれでもてんで本気なんて出しちゃいなそうだし…」
マーリンと18号の戦いを遠くで見ていた悟空が感心したように言った。
「何を言っている、カカロット。あれは相手が弱すぎるだけだ」
ベジータはその発言が気に食わなかったかのように、悟空に反論する。
「そんなことねーよ、ベジータ。18号だって一時期オラたちより強かったじゃねぇか」
「そんな何年も昔のことはどうでもいい。どちらにしろ、あの女を倒すのはお前じゃない。この俺だ」
ベジータは己のプライドの高さのせいか、マーリンを倒すことにかなり固執していた。
1年前…界王神界で魔人ブウと戦っているのさなか、ようやく悟空を越えられないことは認めたベジータだったが、そのプライドの高さは変わっていなかった。
いくらマーリンと戦った当時、ベジータがスーパーサイヤ人になれなかったとはいえ、それは相手も同じこと。
一度負けたとは言え、いつまでもあんな小娘になめられたままでは流石にたまったものではない。
いつの間にか、殺気染みた気を放っているベジータ。
初めて地球に来た時よりは、かなり性格が落ち着いてきたベジータだったが、カッとなると何をしでかすか分かったもんじゃない。
悟空はそんなベジータを宥めるように口を開く。
「まあまあ…ベジータ…熱くなるのはいいけど、勢い余って殺したりすんなよ?別に今はワリィ奴じゃねえんだしさ」
「……ふん、俺の知ったことか。なんせ、こっちは下らん予選会なんてやらされてイライラしているんだ」
それはただの八つ当たりじゃん…と、悟空はベジータに突っ込もうとしたが、これ以上機嫌が悪くなったら面倒なのでやめておいた。
こうして、全ての予選が終了し、本戦に進める8人が決定した。
それから10分後、クジによる抽選で決定された本戦のトーナメント表が大きく貼り出される。
第一試合 ヤムチャ VS 孫悟飯
第二試合 孫悟空 VS マジュニア
第三試合 ベジータ VS マーリン
第四試合 Mrサタン VS Mrブウ
「…何………………これ………?」
そう声を漏らしたのは、もちろん…ヤムチャだった。
314:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:24 Akahxuyc
第26回 天下一武道会 トーナメント表
・URLリンク(age2.tv)
315:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:27 Akahxuyc
【161話】
永遠の一回戦ボーイの異名は伊達じゃない。
過去に3回出場した天下一武道会のトラウマが、少しずつヤムチャの頭に蘇る。
いつもそうだった。
この大会に出るたびに、当時の地球最強クラスの相手が常に初戦の相手となる。
そして、今大会…第26回天下一武道会もその歴史は繰り返された。
「やれやれ…初戦で全宇宙最強の男が相手とは俺もとことんついてないな。今回も一回戦負けか?」
言葉こそ自虐的なものだった……が、その顔は明らかに今までのヤムチャの顔ではなかった。
最強の男である悟飯が相手だというのに、何故かその表情は不安や絶望と取れるものではなく、むしろ自信があるように見える。
「ヤムチャ、気になったのだが…ソンゴクウの息子…ソンゴハンというのはそこまで強いのか?」
マーリンはずっと疑問に思っていたことを口に出す。
「ああ、強いな。はっきり言っちまうと、悟空以上だと思う」
「…なんだと?スーパーサイヤ人3であるソンゴクウを更に上回る戦闘力だというのか!?」
「んーとさ…戦闘力、って要するに気の大きさだよな?それなら、間違いなく悟空以上あると言えるな」
ヤムチャの話によれば、推定戦闘力1億5000万以上のスーパーサイヤ人3・ソンゴクウ……それより更に次元の高いところにその男…ソンゴハンは立っているという。
もはや、それがどの程度のレベルなのか、実際本気で悟空や悟飯が戦っているところを見たことがないマーリンにとっては、見当もつかなかった。
「しかし…どうやってソンゴハンはそこまで強大な戦闘力を手に入れた?ソンゴクウと同じように、スーパーサイヤ人3にでもなれるのだろうか…」
「いや、そうじゃない。あいつのスーパーサイヤ人は2までが限界だった」
「…?なのに、ソンゴクウ以上の強さ…?」
スーパーサイヤ人2と3では、まるで強さの次元が違うのは、2週間前の悟空の変身を見れば明らかだ。
普通に考えれば、変身が一段階多い悟空の方が、悟飯より強い、と考えるだろう。
だが、ヤムチャは孫悟飯の方が間違いなく強いと断言していた。
不思議そうな顔をしながら質問するマーリンに、ヤムチャが答える。
「確かに、悟飯はスーパーサイヤ人3にはなれない…。けど、あいつにはとっておきの変身がある」
316:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:33 Akahxuyc
【162話】
「とっておきの?……変身……サイヤ人……まさか…大猿か!?」
かつて幾多の戦場を駆け回っていたマーリンは、月が新円を描く時に限り、サイヤ人が巨大化した猿に変身するのを極稀に何度か目撃したことがある。
たまに見かけるといっても、既に民族としてのサイヤ人は滅びた後の話なので、その姿はほとんど単体だった。
大猿といえども、パワーや破壊力は物凄いが、群れ対群れで争う戦場においては単体だとそこまで脅威ではなかった。
が、もしあの大猿が何百何千の群れで蹂躙していたら…と思うと未だにぞっとする。
マーリン自身は幼い段階で尻尾を切ってしまい、それ以来生えてこなくなったので一度も変身したことはないが、大猿がどういうものかというイメージはしっかりと頭に入っていた。
「はは、バカ言え。大体あいつには尻尾がないだろ。ちなみに、悟飯がその変身を使っても、外見はほとんど変化がない」
結構まじめに考えたのに、ヤムチャはあっさりとそれを否定する。
外見はほとんど変化せずに、力はスーパーサイヤ人3以上…考えても答えが出ないマーリンに、苛立ちが募ってきた。
「…いったい、何だと言うのだ!もったいぶらずに早く教えろっ!」
「やれやれ…まだ分からないか?悟飯はな……俺たちと同じように、潜在能力を開放されているんだ。あの年寄りの方の界王神様によって」
「………!」
外見はほとんど変化がなく、スーパーサイヤ人3を超える変身…ようやく謎が解ける。
「なるほど…そういうこと…」
「そう。だから、あいつは途轍もなく強い」
ヤムチャは続ける。
「スーパーサイヤ人を“超化”と称するのなら…そうだな、この変身は仮に“究極化”とでも名付けておこうか」
ヤムチャが何故か得意げに、勝手に命名した。
「究極化…か。確かに悪くない響きだが…」
マーリンは難しそうな顔をして頷く。
「だろー!とすると…俺は、アルティメット地球人になるわけね…ハハハ…。ここの【樂】の字、【究】にした方がカッコよかったかな…?」
そんなくだらないことで半分真剣に悩んでそうなヤムチャに、マーリンは呆れたように首を振り、下を向いて右手で顔を覆うのであった。
「ヤムチャさん」
呼びかけと同時に、ヤムチャは後ろから不意に肩を叩かれる。
その振り向くと、ついさっきまで話題にしていた悟飯がいた。
317:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:35 Akahxuyc
【163話】
橙色の胴着を着ていて、首から下だけ見れば、悟空と見分けがつかないような体格をしている。
「お、悟飯か」
「初戦の相手、よろしくお願いします」
そう言って悟飯はヤムチャに握手を求めてきた。
ヤムチャも数秒だけ間を空けて、手を差し出す。
「…ああ、よろしく。あと悟飯、その髪型なかなかイカしてるぜ」
「え…?は、はい…どうも」
ヤムチャは何を思ってか悟飯に向かって軽くウインクすると、悟飯は引きつった作り笑顔を見せて、その場を後にした。
「…今のが、ソンゴハン?」
悟飯が去ってからしばらくすると、マーリンが小声でヤムチャに言った。
「うん。っていうか、お前、前に会ってるぞ」
「そう…なの?」
「悟空と戦う時に、緑色の肌で白いターバン着た奴と、ちっこい子供が遠くで見てたろ。そのちっこい子供が悟飯だ」
思い出すように上を向きながら、マーリンは悟空との戦いの記憶を遡る。
「うーむむ…あまり記憶にない。あの時、わたしはソンゴクウばかりに意識が偏っていたから…」
ふーん、と相槌を打つと、ヤムチャは結んでいた帯を一度ほどき、更に強く結びなおした。
そしてグルグルと肩を回したり、大きく深呼吸をしたりして、落ち着かない様子だ。
「ふふ…ヤムチャ、緊張しているのだな?」
「そりゃ、しない方がおかしいだろ。でもまあ…慣れたかな、どうせいつも初戦はこういう相手だからさ」
ヤムチャは愚痴をボヤくような言い回しでマーリンに言う。
「まあ…よいではないか。遅かれ早かれ、いずれは倒さなければいけない相手なのだし…」
「まあな…」
「それに…いつも修行で、お前の稽古相手を務めている者を、誰だと思っている?」
「………へ、よく言うぜ、こいつ」
ヤムチャはそれを聞いてニヤリと笑う。
マーリンもヤムチャに釣られて笑う。
「さ…そろそろ本戦が始まるぜ。外に出るぞ」
「うん、分かった!」
こうして二人は本会場である外の武舞台に向かって、そして、優勝に向かってゆっくりと歩きだした。
318:Classical名無しさん
09/02/15 01:35 AvrGKdIs
このトーナメント表見るとヤムチャよかサタンを応援したくなってしまった。
サタン!サタン!
319:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:50 Akahxuyc
【164話】
パンパン!…パン!
午後1時過ぎ、雲一つない青空に、3発の花火が上がった。
天下一武道会、本戦開始の合図だ。
『実にぃぃぃぃ…!!約、一年ぶりッ……!皆さま、長らくお待たせいたしました!
これより、世界最強を目指し、ここに終結した者たちの熱い…実に熱い戦い!第回26回、天下一武道会を開催いたしまーーーすッッ!!』
審判、兼ね実況、兼ね解説を全てこなす、黒いスーツにサングラスをしたお馴染のアナウンサーが開会の言葉を述べると、冒頭から会場に異常とも言えるほど大きな歓声が上がる。
世界で一番盛り上がる大会だけあって、観客席はギュウギュウ詰めで明らかに過密化していた。
リングは一昔前と比べるとだいぶ広くなっており、そう簡単に場外負けというのは起こらないだろう。
観客席は武舞台と同じ高さで、前よりかなり低くなっている。
これならエネルギー波などをまっすぐ放っても、高さ的に観客に当たることはない。
1年前、ベジータが観客を数百人殺すという事件が起こったせいで、観客席にも安全が配慮されたようだ。
その事件の記憶は、魔人ブウの記憶を地球人の頭から消す時に、同時に消しているが、“何者かによって観客を大量に殺された”という曖昧な記憶だけは残っていたようだ。
『午後1時を回りましたので、予定通り、早速第一回戦……始めたいと思います!!』
観客席からは先ほどより更に大きな歓声が上がり、アナウンサーの声すらかき消されそうになる。
『えー、…第一試合!!…“蘇る狼”…ヤムチャ選手ー!“戦う学生”…孫悟飯選手!!入場ですッ!』
ざわめきが収まらない中、ヤムチャと悟飯がゆっくり歩きながら武舞台の中央に向かう。
ちなみに、この“蘇る狼”や“戦う学生”というフレーズは、アナウンサーが勝手に定めたものではなく、予選を勝ち抜いた選手たちと直接話して個別に決めさせたものである。
『過去に3度も予選を勝ち抜き、本戦に出場したことがあるベテランヤムチャ選手!
対するは、天下一武道会で優勝したことがある、孫悟空さんの息子、孫悟飯さん!前大会はハプニングがあり、残念ながら試合を見ることはできませんでしたが…その実力は未知数です!!』
両者、開始位置につく。
320:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:52 Akahxuyc
【165話】
「ヤムチャさまーーーーーーーー!!!頑張ってくださーーーい!!」
「おとうさーーーん!頑張れーっっ!!!」
観客席から、一際目立つ、プーアルとシルフの大きな声援がヤムチャの耳に入る。
「はは…ありがとな…プーアル、シルフ…!」
ヤムチャはそう小さな声で呟くと、目の前にいる敵…悟飯の目を睨む。
「よう、悟飯。まともに戦うのは初めてだな」
ヤムチャは緊張をほぐすように、親しげに悟飯に話しかける。
「そうですね、ヤムチャさん…。かつてお父さんのライバルだったそうですから、油断はしませんよ!」
悟飯はそう言うと笑いながらヤムチャに向かって戦闘の構えをとった。
「ははは…過去形かよ、切ないぜ…。ところで、俺考えたんだけどさ、悟飯」
対するヤムチャはまだ構えずに、腰に手を当てながら悟飯に笑い返した。
「…?」
悟飯は神妙な顔つきになる。
ヤムチャは笑いながらも、どこか真剣に悟飯に語りかけた。
「俺とお前がセルや魔人ブウのような闘い…いわゆる、なんでもありの殺し合いをしたら、まず俺はお前に勝てないだろう。やらなくても分かる」
「な…何が言いたいんです?」
じれったく話すヤムチャに、温厚な悟飯の表情も曇ってきた。
「まあ聞けよ。かと言って、武道会のルールに則ってお前に“参った”なんて言わせるのはもっと無理だ。じゃあ10秒ダウンさせる…?そんなことはもっともっと無理だ。俺の攻撃だけでお前がダウンするはずもないだろうしな」
「……」
悟飯は困ったような顔をするが、さすがに少し苛立っているようで、わずかに気が膨らみ始めていた。
321:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:55 Akahxuyc
【166話】
武舞台の外側には、テントで日陰になっている場所があり、そこに出場する選手たちは溜まっていた。
マーリンは嫌がっていたのだが、ヤムチャにここにいるようきつく言われたので仕方なく悟空やベジータたちと一緒に並んで試合を見る羽目になった。
「ヤムチャのやつ…何を考えているんだ。ベラベラと喋りやがって」
悟空の隣で白いマントをたなびかせているピッコロが、武舞台を見ながら言う。
「くだらん。あの地球人と悟飯の試合なんて、やらなくても結果が分かりきっている」
ベジータが馬鹿にしたように言うと、壁に寄りかかっているマーリンが無言でベジータをキッと睨む。
「…なんだ、何か言いたそうだな」
「………」
マーリンはヤムチャに、絶対に喧嘩はするなとも言われていたので、ベジータのことがムカつきながらも無視をする。
「孫、どうした?さっきから黙りやがって」
ピッコロが先ほどから何も喋らない悟空に、不思議そうに問いかけた。
「…いや、なんでもねえんだけど…ヤムチャがちょっと、気になってな」
チラッと一瞬ピッコロの方を向く悟空だったが、再びその視線は武舞台に戻った。
「ヤムチャ?ああ、予選でクリリンに勝ったようだな。だが、実力が上がっていたとして…さすがに悟飯相手では次元が違いすぎる。あいつのパワーはお前以上だ」
ピッコロは切り捨てるように悟空に言った。
だが、悟空は相変わらず難しい顔をしている。
何故そこまで難しく考える必要があるのかとピッコロは悟空を納得しない表情で見ていたが、ピッコロのその心境を察するように悟空が答えた。
「いやさ、ピッコロ。オラも最初はそう思ってたんだ。けど…」
「けど…?」
「オラの勘が正しければ……―」
「なんだ…?なんだと言うんだ」
悟空はそのあとに何かを言い掛けたが、その後の言葉に確信が持てないのか、はっきりとは喋らず口篭らせている。
もしかしたら、言いかけたのではなく何か言ったのかもしれないが、歓声が騒々しくてピッコロに悟空の声は聞き取れない。
322:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 01:58 Akahxuyc
【167話】
『それではァァアァァ!!第一回戦……ヤムチャ選手対、孫悟飯選手!!!試合…開始ぃっ!!!!!!』
アナウンサーの試合開始の声と共に、お坊さんのような格好をした天下一武道会の役員が、大きな鉦を鳴らした。
舞台上の二人に緊張が走る。
だが、まだヤムチャと悟飯は動かない。
いや、あるいは警戒をして動けないのかもしれない。
普通に考えれば、悟飯が一発でもヤムチャに攻撃を与えれば、一撃KO…いや、下手したら死に至るぐらいのダメージは与えられるだろう。
だが、悟飯の中の野生の勘というか、戦いを続けてきた者の独特の直感というか、とりあえずこのヤムチャはいつものヤムチャとは明らかに違うということだけは頭で分かっていた。
それが、“何”を意味しているかまでは分かっていなかったが。
「…悟飯、戦いにおいて、一番怖いものってなんだ?」
ヤムチャは試合が始まっているというのに未だに悟飯に語りかける。
「……なんでしょうね。“怖いもの知らず”という状態が、戦いにおいて一番怖いとぼくは思います」
悟飯はここにきて初めて笑いながら、ヤムチャの問いに答える。
この状況を楽しんでいるのか、もしくはヤムチャを揶揄して笑ったのかは定かではない。
「へえ、なるほど。まさに今のお前ってわけか」
「…ぼくだって怖いものぐらいありますよ」
それを聞いて、ヤムチャもようやく笑う。
しかし、悟飯の笑いとは少し違うものだった。
まるで何か企んでいそうな…どこか不気味な笑みだ。
「…ヤムチャじゃねぇ」
そのヤムチャの笑みを見てやっと確信が持てたのか、悟空はそっと独り言を呟く。
その声にピッコロがすぐさま反応した。
「ヤムチャじゃない、だと?ヤムチャじゃないとしたらあれは誰なんだ」
「いや…ちげぇんだ、ピッコロ。あれはヤムチャだけど…ヤムチャじゃねぇ。オラには分かる…」
323:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:05 Akahxuyc
【168話】
ここで、ようやくヤムチャが構えを取る。
そして、若干早口になりながら続けた。
「悟飯…お前は確かに強い。気だけを比べたら、俺なんか比較にならないし、悟空以上のパワーをお前は持っている。だが……かと言って、お前は俺に絶対勝てると言えるか?」
その言葉を聞き、悟飯は数秒ポカンとしたような顔をしたが、やがてすぐに先ほどの表情が戻る。
「面白いことを言いますね。…ぼくが、ヤムチャさんに絶対勝てると言えるか、って?……」
悟飯はそう言ってジワジワと体の力を解放していく。
「…やっと、気を解放し始めたな」
かつて、少なくとも魔人ブウをも余裕で倒せるだけはあった、あの途轍もないパワーが悟飯の体にグングンと宿っていった。
魔人ブウを悟空が倒してから修行はしていない悟飯だったが、1年経った今でもそのパワーは未だに圧倒的だ。
「はぁぁぁ………」
悟飯の気はどんどん大きくなっていく。
気を溜め始めてから間もないとは言え、既に戦闘力に換算して、3000万以上のパワーが悟飯の体に溢れていた。
しかし、ヤムチャはこの瞬間…気を溜めるときに、体が無防備になるのを狙っていたのだ。
「…今だ!お前の力を見せてやれ、ヤムチャ!」
寄りかかっていた壁から離れ、拳を強く握りながらマーリンがそう叫ぶのとほぼ同時に、ヤムチャの口も動く。
「んじゃ、ボチボチこっちから仕掛けていくかなッ!」
ボフゥゥゥゥンンンンンッッッ!!!!!
ヤムチャがそう言って、一瞬だけ歯を食いしばると、ヤムチャの周囲50メートルほどの範囲に突風が吹く。
悟飯とは、比べ物にならない速度でヤムチャの気は一瞬にして膨れ上がる…!
「な……?!」
悟飯や悟空たちには今まで感じたことがないほど、爆発的なまでにヤムチャの気が上昇した。
少なくとも、このヤムチャの気は、まだ完全に気が入っていない悟飯を明らかに超えている。
そして、どことなく悟飯と似ている気だった。
324:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:09 Akahxuyc
【169話】
「ば…バカな……!!?」
ピッコロは信じられない光景を目の前にし、思わず声が裏返る。
ベジータもヤムチャの変化を感じてか、見向きもしなかった武舞台をやっと見始めた。
そして、これを既に予知していたのか、大して驚かなかった悟空だったが、その表情は強張り、冷や汗が垂れる。
「気ぃつけろ悟飯!!そいつはいつものヤムチャじゃねぇ!絶対油断すんなっ!!」
「え…!?あ、は、はい」
焦りながら受け答えする悟飯だったが、悟飯はそのヤムチャの変化に驚き、一時的に気を練るのをやめてしまっていた。
だが、そんな悟空の忠告は逆に裏目に出る。
悟空の声に一瞬でも気を取られてしまった悟飯を、ヤムチャの中の狼は見逃さなかった。
―ドンッッッ!
大きな打撃音の直後、悟飯の体が奇妙な体勢で数十センチ上に浮いたのが見えたコンマ数秒後に、赤いオーラを纏ったヤムチャの姿が悟飯の前に現れた。
その衝撃で、地面が揺れる。
「…気を溜めるときに体が隙だらけになるのは悪い癖だ、直したほうがいい」
「―あ…ぐ……いッッ…!!?」
悟飯は気を完全に込めていなかったのに加え、油断もしていたので意識が飛びそうになるぐらいの激痛が腹部に走った。
ヤムチャは一瞬で悟飯との距離を詰め、悟飯のみぞおちに強烈なアッパーパンチをお見舞いしていたのだ。
宇宙一の戦闘力を誇る悟飯とはいえ、完全に気を込めていない状態で今のヤムチャのパンチをみぞおちにくらったとあれば、さすがにノーダメージとはいかない。
「気のコントロールが遅いな、お前は。マックスパワーを溜めるのにどれだけ時間がかかるんだ?」
ヤムチャは厳しい目付きでそう言うと、腹部にめり込んだ拳を離し、今度は逆の拳で悟飯の顔面を強打を繰り出す。
悟飯はそれを咄嗟に見切って腕でガードし、直撃は免れるが、勢いを殺しきれなかったのか、グラグラと後ずさりをするような形になった。
ヤムチャの攻撃を防ぐために、受け止めた腕がズキズキと痛む。
ガードの上からでも、決して小さくはないダメージが悟飯の体に蓄積していた。
このままではまずい。
そう思って慌てて本気で気を高めようとする悟飯だったが、初っ端のみぞおちへのダメージが大きく、体に上手く力を入れられないでいた。
325:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:11 Akahxuyc
【170話】
悟飯は決して油断したつもりはなく、最低でもヤムチャに“負けは絶対にない”だけの気はあの時点で溜めてあったはず。
あれだけの気を溜めれば、ヤムチャを圧倒できる…どこかそんな先入観があった。
もちろん、つい最近までのヤムチャから現在を推測すれば、悟飯の読みは間違っていない。
むしろ、戦闘力3000万なら以前のヤムチャを葬り去るぐらいなんともないほどの気だ。
だが、そんな勝手な決め付けこそが、悟飯の油断そのものだった。
体勢が立て直せない悟飯に、ヤムチャは追い討ちをかける。
「…狼牙…風風拳ーーーッ!」
「くっ…!!」
「ハイハイハイハイハイーーっ!」
既に、悟飯とヤムチャの姿は肉眼では見ることができずに、会場には衝撃音と、ヤムチャの掛け声だけが聞こえる。
何十何百発とヤムチャの拳が繰り出され、時折その拳は悟飯の頬や体をかすめた。
「……いつまでも…調子に乗らせないぞ!…っらぁあ!」
悟飯がガードの最中にほんの僅かなヤムチャの隙をつき、鋭いパンチを放った。
ズンッッ!
ヤムチャの胸部に悟飯のパンチが突き刺さる!
その攻撃をくらったせいか、ヤムチャの攻撃がようやくとまった。
「手ごたえ…あったぞ……!」
そう言って、悟飯はにやけながらヤムチャの顔を見る。
だが、そこに映ったのは悟飯以上ににやけたヤムチャの顔だった。
「…これは、パンチのつもりか?悟飯」
「……!?」
ヤムチャはガードもせず、その胸で悟飯のパンチを受け止め、悟飯の放った拳を指差しながら言った。
「今はお前より俺の気の方が高い状態だ。なのに、そんな腰も気持ちも入っていない当てるだけのパンチで、俺を倒せる気でいたのか?」
驚いたことに、ヤムチャはほとんどダメージをくらっていない。
326:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:15 Akahxuyc
【171話】
いくら自分が全力の気ではないとは言え、このヤムチャの強さは明らかにおかしい。
悟飯はその不気味さに思わずまた体が硬直してしまった。
「……どうなっているんだ…一体…」
「悟飯ーーーー!!何やってる、早くヤムチャから距離を取れ!!そして気を溜めろっ!!!このままだと負けっぞ!!」
悟空が再び悟飯に向かって叫ぶ。
だが、ヤムチャはその悟空の言葉を聞いても全く動揺しておらず、むしろ悟飯が距離を取るのを待っているかのように何も手を出さなかった。
「は……はい!」
悟飯は後ろに大きくバックステップし、ヤムチャから十二分に距離を取る。
ヤムチャとしては、離脱した悟飯に本来追い討ちをかけたいところだったが、何故かそうしない。
意図があってのことなのか、それとも悟飯をなめているのか…少なくとも、この試合を見ている者には誰も真意は分からなかった。
少なくとも、マーリン以外の者には。
「はぁ………はぁ………」
悟飯は腹部を押さえながら大きく呼吸を繰り返すと、ようやくヤムチャに先制攻撃された腹痛が多少治まってきた。
多少治まったとは言っても、完全にダメージが消えるのには今しばらく時間がかかるだろう。
早くても、この試合中…ヤムチャと戦っている間は消えそうにない。
「フルパワーまで気を高められれば…絶対に負けないっ!」
悟飯は腹を押さえながら悔しそうにそう声を出し、万全ではない状態ながらも、再び気を溜め始めた。
先ほどと同じことにならないよう、ヤムチャへの警戒は当然忘れずに。
「ちっ…やっぱり狼牙風風拳は、格上に通用しないかよ」
ヤムチャはこの技に拘りがあるのか、試合の流れとしてはヤムチャが押しているというのに、どこか悔しそうな表情を見せていた。
「だが、先制攻撃が思った以上に効いたようだな…」
そして、ヤムチャはバッと手の平を顔の前に上げる。
「悟飯、お前が気を溜めている間に、こっちも存分にこの時間を使わせてもらうぜ!」
そう言ってヤムチャは手の平に気を集中し始める。
327:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:22 Akahxuyc
【172話】
悟飯は、覚えていた。
父とマーリンが戦っている最中、ピッコロとその戦いを観戦していた自分に、マーリンが使っているフワフワした気弾を自在に操るの技について、ヤムチャが目の前で解説をしてくれたことを。
その情景が、ふと悟飯の遠い記憶から蘇ってきた。
「…あのモーション……そ、繰気弾かっ!」
悟飯が気を溜めながら叫ぶ。
「へえ…覚えていてくれたんだな。一回しか見せてねえのに、さすが優等生」
そう言って、より一層手に気を集中するヤムチャ。
数秒後、ヤムチャの手の平の上にボッと音をたてながら、白い気弾が現れた。
「さて…こっからが勝負だぜ、悟飯」
試しに、その気弾をビュンビュンと自分の体の近くで操作するヤムチャ。
「完璧に思い通りに動く。なかなか調子がいいみたいだ」
ヤムチャはそう言いながら、勢いよくテスト操作していた気弾を、自分の手の平のすぐ上に戻し、状態を落ち着かせる。
だが、そんな様子を見ても悟飯は一切動揺しなかった。
「…へへ、ヤムチャさん…繰気弾で時間をかけたのは失敗でしたね。ぼくに気を溜めさせるチャンスを与えてしまったんですから」
「……かもな…。だが、この繰気弾はちょっと特別でね。だから、まだ作るのにちょっと時間がかかるんだよな」
「…。そんなハッタリ染みた事が、この試合で通用すると思いました?」
「…そうかい。なんとでも言うがいいさ」
両者の距離は30メートルといったところ。
悟飯の気は、既にヤムチャの気を大きく上回っており、例え繰気弾が悟飯にまともにヒットしたとして、大きなダメージを与えることは難しいだろう。
悟飯の気がヤムチャより小さい状態の時に、そのまま試合を続けていればまだ勝敗は分からなかったかもしれないが、既にヤムチャの気は悟飯に劣ってしまっている。
まともに打ち合っては、ヤムチャに勝ち目はなかった。
328:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:27 Akahxuyc
【173話】
「あの地球人の馬鹿、不意打ちでいい気になりやがって…あの勢いで攻め続ければ結果は分からなかったが、どうやら勝負あったようだな」
ベジータが馬鹿馬鹿しそうにそう言うと、ベジータを無視していたマーリンがようやくその言葉に反応する。
「さっきから鬱陶しい。黙って見ていられないのか?気が散るのだよ、お前のような奴がそばにいると」
マーリンはうざそうにベジータをあしらう。
「ほう、俺の言っていることが何か間違っていたか?」
そのマーリンの煽りに対して、嫌味とも取れるような言葉を薄ら笑いを浮かべながら返すベジータ。
だが、マーリンは逆にベジータを笑った。
「ふ…一つだけ言わせてもらうとすれば、馬鹿なのはヤムチャではなくベジータ、お前だったようだな」
「な…なんだと!」
「騒ぐな。試合を見ていろ、そのうち分かる」
マーリンとベジータがそんなやり取りをしているうちに、悟飯の気は最大近くまで溜まっていた。
「はぁぁぁあぁぁあっぁあぁぁぁぁあぁぁ!!」
見た目に変化はないが、悟飯の気の上昇は止まらない。
既に悟飯の戦闘力は2億近くまで上がっていた。
星のひとつやふたつ程度なら、簡単に破壊できてしまえるレベルの気が悟飯の体に充満している。
「悟飯の奴…ムキになっちまってんな…」
悟空が険しい表情をして言う。
「ソンゴハン…本当に凄い男だ。ヤムチャが言ってた通り、ソンゴクウ…お前のスーパーサイヤ人3以上のパワーを感じる」
そばにいたマーリンも悟空の言葉を聞いて口を出した。
「ああ…気はオラより悟飯の方がつえぇ。それだけに、この試合が心配だ…悟飯の攻撃をくらって、ヤムチャが無事ならいいんだけどよ…」
悟空はヤムチャの身を心配していた。
だが、マーリンはそれを聞いて笑いながら言い返す。
「ふふ…一つ訊くが、何故ヤムチャは先ほど追撃出来る場面で敢えてそれをしなかったのか、説明が出来るか?」
「……繰気弾を作るためじゃねぇのか?」
「…ふふふ」
マーリンはただ笑うだけで、悟空にその答えは話さなかった。
329:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:31 Akahxuyc
【174話】
一方、ヤムチャは悟飯から離れているというのに、ビリビリと肌がしびれる様な感覚に陥る。
「凄い気だな…マジで。こんな奴の攻撃一発でもくらっちまったら、体がただじゃ済みそうにないぜ…」
ようやくヤムチャの顔に焦りの色が見え始めた。
ツー…と、頬にある十字の傷に沿うように、一筋の冷や汗が伝う。
「今更後悔しても、もうぼくは手加減するつもりはありませんからね…ヤムチャさん」
「そうやって油断しちまっていいのかな?俺には繰気弾があるんだぜ」
そう言いながら、ヤムチャはわざとらしくそれを見せ付けるように、再び身の回りで気弾を高速操作する。
「…その技で、ぼくを倒せるとでも……?」
悟飯は念のため、ヤムチャが操作している気弾の気を探る。
気弾からは、それほど大きな気を感じられない。
直撃しても、精々かすり傷が残る程度だろう。
悟飯は状況考察を終えると、ヤムチャに対して久しぶりに余裕の表情を見せる。
「一時は、どうなることかと思いましたが…ヤムチャさん、油断したのはあなたの方でしたね」
「……」
押し黙るヤムチャに、悟飯は続けた。
「あなたの攻撃では、もうぼくを気絶させることなんて出来っこない。そして、ぼくが降参なんてするはずもない。つまり、何をしてもあなたはぼくには勝てない…違いますか?」
「……大した自信だな、悟飯」
ヤムチャはなおも繰気弾を自在にビュンビュンと自在に飛ばしながら言う。
悟飯はそれを警戒するように、宙に舞う気弾とそれを操作している地上のヤムチャをチラチラと交互に見る。
そして、何かを閃いたように悟飯の表情が変わる。
「あんな弾に気を取られずに、ヤムチャさん本人にダメージを与えればいい…簡単なことじゃないか」
悟飯はヤムチャに聞こえないぐらい小さな声で言うと、そっと足に力を込めた。
しかし、ヤムチャはすかさずそれに気付く。
330:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:39 Akahxuyc
【175話】
そして、気弾をさりげなく今まで操作していた場所より上空へと動かし、そこに停止させる。
「…今、足に気を集中したな?隙を突いて一瞬で突っ込んでくる気か?そうだろうな…お前はそうするしかない」
分かりきっているかのように言うヤムチャに、悟飯は数秒驚いたような表情を見せるが、それは“驚異”であって、”脅威”ではなかった。
「さすがに長年武術をやりこんでいるだけあって、気を読む能力は素晴らしいですね。でもさ、ヤムチャさん。頭では分かっていても、体の動きがその判断に追いつかなければ何の意味もないんですよ」
嫌味っぽくそう言うと、悟飯の気の上昇がようやく止まる。
推定戦闘力2億以上…まさに最強の肉体を誇る悟飯の筋肉が、気の上昇が止まった数秒後に一瞬…ピクリと動いた。
それと同時にヤムチャは神経を悟飯の気に集中させる。
そして……会場から悟飯の姿が消えた。
「――だッッ!」
高速、いや、光速とも言えるほど素早い動きで、悟飯の右の肘がヤムチャの顔面に迫る―!
当然、肉眼では見える速さではない。
だが、その宇宙一のスピードに、ヤムチャの集中力は勝っていた。
「…!………っぶねぇ!」
そう言いながら、ヤムチャは足を動かさずに体の腰から上を数十センチ左にずらすと、紙一重でその肘打ちを回避する。
悟飯の肘打ちは空を切り、それによって生じた突風により、肘打ちの先にあった武舞台のレンガが粉々になり、激しくその破片がぶっ飛ぶ。
避けられたのが計算外だったのか、悟飯は歯を食いしばるが、すぐに次の攻撃に転じようと、体を捻ってグググと右手に力を溜めた。
「…らぁぁッ!!」
悟飯は突進した勢いを武空術で停止させると、その場にまだ突っ立っているヤムチャにそのままの体勢で力を込めた裏拳を放つ。
「……っ!」
再び、拳は空を切った。
ギリギリとは言え、それすらも見せ付けるようにバック転をしながら華麗に避けるヤムチャに、悟飯はイライラし、攻め方が雑になる。
331:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 02:54 Akahxuyc
【176話】
「…ダッ!ダッ!ダッ!だらァッ!うるァァッ!!おるァアァァッッ!ダァァァァッ!!」
その後も悟飯はパンチや蹴りの強打を数発放つものの、やはりヤムチャに攻撃は当たらない。
ヤムチャも避けるのにいっぱいいっぱいで、余裕がない表情をしている。
悟飯の攻撃は余裕で避けられているわけではなく、紙一重のギリギリの差で避けられているため、惜しい事は惜しいのだが、そもそもそんなこと自体がおかしい。
ヤムチャの気の大きさでは、あんな攻撃避けることも、受け止めることも無理なはず。
理解できない現実に、悟飯はこれが悪い夢じゃないかとすら思い始めていた。
「ばかな……あ、当たらないはずがない……!!」
「…どうした悟飯!攻撃が止まったあとの足元がお留守になっているぜ!!」
そう言いながら、ヤムチャは悟飯に向かって足払いをかける。
「…っ小癪な!」
悟飯は慌てたようにそれをジャンプして避けると、ヤムチャはその隙に武舞台のコーナーまで逃げるように高速で移動し、悟飯との距離を取った。
「っふう……!危ない危ない!あんなの一発でも当たってたら体が弾け飛ぶだろうな…」
ヤムチャはそう言って額の汗を拭う。
「クソ…ありえない…!……ぼくの攻撃が…当たらない…なんて…!」
悟空やベジータと違い、修行を続けていなかったため、当て勘が鈍っているのもあるかもしれないが、それだけでは説明がつかないあのヤムチャの避けっぷりに悟飯はワナワナと震えていた。
「…あいにく、ここ最近は“お前と同じような奴”とこっちは毎日修行してたんだ。おかげで体の感覚というか反応が、かなり鋭くなっているから、避けるだけならギリギリなんとかなるんだな、これが」
そう言ってヤムチャは笑いながら、試合を見ているマーリンに向かって目線を送った。
マーリンはそれを見て微かに笑い返す。
そう、ヤムチャは界王神界から地球に戻ったあと、毎日マーリンと組み手を行っていた。
圧倒的に自分より気が大きいマーリン…当然、スピードもパワーもヤムチャよりは上をゆく。
そのおかげか、ヤムチャの体の反応は以前より遥かに研ぎ澄まされ、どうにか自分より数段階強い相手の攻撃を避けれるレベルにまで達していたのだ。
332:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 03:04 Akahxuyc
【177話】
それにしても、まさか悟飯の攻撃を避けれるレベルにまで達していたとは、ヤムチャ自身が想像していた以上の上達っぷりだった。
ということは、それだけマーリンの実力も凄まじかった…ということになる。
だが、ヤムチャにとってこれは綱渡りのようなものであって、命懸けとも言える行為だ。
はっきり言ってしまえば互角に戦えている“ように見える”だけに過ぎない。
気の大きさは当然何倍も悟飯の方が大きい為、一撃でもクリーンヒットを許してしまったら…それこそ、ヤムチャは致命的なダメージを受ける。
骨が折れる、などといったレベルではない。
以前、サイヤ人が地球に攻めてきた時、ナッパの攻撃を受け止めた天津飯の腕が簡単に?げてしまったのを、ヤムチャはあの世で見ていた。
もし、悟飯が少しでも加減を誤れば、下手したら死に至るレベルの大ダメージを受けることになるだろう。
少なくとも、気が全開の状態である今の悟飯の攻撃を、一発でも食らってしまったら…それはヤムチャの負けを意味する。
「ま……これ以上速くなるってんなら、さすがに無理かもしれないけどな」
ヤムチャはリストバンドで額の汗を拭いながら言った。
しかし、そのヤムチャの言葉を聞いて悟飯の口元が緩む。
「……これ以上、速く動けないとでも思っているんですか?」
悟飯は精神的に追い込まれているのか、顔は笑っているが、その声は笑っていなかった。
「…なんだと…!?あれで全力じゃないのか?」
「意識すれば、まだスピードは上がりますよ。言うまでもなく…それに比例して、当然…攻撃が当たった時のダメージも大きくなりますがね」
「……マジかよ」
ヤムチャはようやくここにきて初めて本気で焦ったような半笑いの表情を見せる。
「ヤムチャさん、次の攻防で勝負は終わる…意味が分かりますか?」
「…あいにく、物分りが悪くてね」
「じゃ、丁寧に教えてあげますよ…その体、直々にね!!」
「……いいだろう。来い、悟飯!」
333:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 03:13 Akahxuyc
ふー、かなり書いた気がします!
とりあえず、今夜はここまでとしたいと思います。
>>318さん
そういえば、まだサタンは名前だけチラホラ出ているだけで、話には登場をさせていませんでした(笑)
サタンの扱い、どうしようかな…と、ちょっと悩み中です。
それでは、おやすみなさい。
334:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/15 03:20 Akahxuyc
見落としていた…>>332の訂正です。
>>天津飯の腕が簡単に?げてしまったのを
↓
>>天津飯の腕が簡単に捥(も)げてしまったのを
天津飯さん、すいませんでした。
ランチさんと末永くお幸せに。
ちなみに私は金髪のほうが好きです。
では、今度こそおやすみなさい。
335:Classical名無しさん
09/02/15 16:07 R1hWrvkw
1000人ヤムチャ、サイヤンキラー作者UP乙かれさまです
続き楽しみにしてます
336:Classical名無しさん
09/02/16 08:19 VF2XN0Z.
サイヤンキラー2作者さんアップお疲れさまです。
ヤムチャどうなるんだ!ハラハラしながら読んでいます。
今回のヤムチャは足元がお留守じゃないから大丈夫だとは
思うけどそれでもちょっとドキドキします。
337:Classical名無しさん
09/02/17 19:37 1WsCb.tk
復讐の狼の続き誰か書いてくれませんか?
338:Classical名無しさん
09/02/19 08:50 VAFZDI.6
保守
339:Classical名無しさん
09/02/22 00:09 es8c7IAQ
ヤムチャガンバレ!
340:Classical名無しさん
09/02/23 20:33 1A3v19LM
保管庫が更新停止しているとはいえ、あそこに載らないのも寂しいな・・
341:Classical名無しさん
09/02/23 20:54 APY2D0cI
クラウンだからスレがdat落ちしたら倉庫にいかずにそのまま消滅だしなぁ
342:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/02/23 23:18 QZWJ.TaQ
>>335さん
ありがとうございます!
>>336
気の強さでいったら圧倒的に悟飯が強いので、ヤムチャは常にKO負けと隣り合わせ…
そんな緊迫した感じが伝わって頂ければ嬉しいです
>>340さん、>>341さん
すみません。
続きをじゃんじゃん書きたいのですが、
月に休みが一日あるかないかという状態で、
なかなか時間が取れないものでして…!
かといって、雑には仕上げたくはないので、
なかなか思うように進みません。
私以外にも、定期的に小説を投稿してくださる方がいればよいのですが…。
343:Classical名無しさん
09/02/24 16:55 fiGY/nDg
テイルズ・オブ・ヤムチャ 君とヘタレあう小説
テイルズ・オブ・オルス 僕の足元がお留守な小説
勢いでタイトルを書いた。反省はしていない。
344:Classical名無しさん
09/02/25 17:39 uU0lFJo6
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345:Classical名無しさん
09/02/25 23:21 CGhRxBTw
ウルフハリケーン!
346:Classical名無しさん
09/02/27 12:34 VTII8H6k
どこかに保管出来ないかな?dat落ちしたらそのまま消滅なんてもったいない
347:Classical名無しさん
09/02/28 22:36 h5Qs1sss
__,,,,、 .,、
/'゙´,_/'″ . `\
: ./ i./ ,,..、 ヽ
. / /. l, ,! `,
.| .,..‐.、│ .| ビクビクッ
(´゛ ,/ llヽ |
ヽ -./ ., lliヽ .|
/'",i" ゙;、 l'ii,''く .ヽ
/ ...│ ゙l, l゙゙t, ''ii_ :.!
ビクビクッ : /.._ / ヽ \\.`゙~''''''"./
.|-゙ノ/ : ゝ .、 ` .`''←┬゛
l゙ /.r ゛ .゙ヒ, .ヽ,  ゙̄|
. | ./ l ”'、 .゙ゝ........ん
l / ヽ .`' `、、 .,i゛
.l| ! ''''v, ゙''ー .l、
|l゙ .il、 .l .ヽ .¬---イ
.ll゙, ./ ! ,!
.!!...!! ,,゙''''ー .|
l.",! .リ |
l":| .~''' ,. │
l; :! .|'" ...ノ,゙./ │
l: l「 ! . ゙゙̄ / !
.| .| ! ,i│ |
:! .l. } ,i'./ |
:! .| :| . / .|
:! | ;! " .|
:! ! │ │
:!:| ,! i ,!
348:Classical名無しさん
09/03/01 19:18 HYbnW6as
復讐の狼は名作
349:Classical名無しさん
09/03/03 00:54 BuO7q556
>>1
part26はクラウンに建っていたスレッドだからログが残っていない
つまりURLがわかっていても閲覧できない
だから、もしもpart28が建つことになっても前スレを入れる必要は無い
つまり>>1のテンプレは前スレのURLが掛けている欠損テンプレに見えるが
実は不備無しの完成されたテンプレなのだ!
350:Classical名無しさん
09/03/05 16:51 fSuhZcww
保守
351:Classical名無しさん
09/03/07 00:00 jWjc7jU6
ほ
352:Classical名無しさん
09/03/07 02:58 S6bMRUEY
自分でよければ新しいまとめサイト作りますよ。
ダット落ちしたら消えるなんて勿体ないし
これからもいろんな人に小説書いて頂きたいし…
新しいサイト作ったらオッケー!て問題じゃなかったらごめん
353:Classical名無しさん
09/03/07 07:25 PLwk/O6w
>>352
お願いします
354:Classical名無しさん
09/03/07 17:34 jWjc7jU6
>>352
お願いします
355:Classical名無しさん
09/03/07 21:02 SnO/cWdg
お願いします。できれば携帯でみれるように。
356:Classical名無しさん
09/03/08 21:07 pOaT/QWE
ヤムチャ28万ヒットおめ
357:Classical名無しさん
09/03/09 09:57 F7i/dmrE
>>352
もしできるのなら非常に嬉しいです
358:Classical名無しさん
09/03/09 14:34 UZjGMeKk
第十一話「どうした孫悟空 ついでにヤムチャもどうした648人+(320人)」
悟空と人造人間19号の凄まじい戦いを見てヤムチャ達はあせった。
「お、俺が1000人になった意味は…?」
唖然としているヤムチャ達。そこに悟飯とクリリン、そして他のヤムチャ達がおりたった。
だがピッコロがある事に気づく。「数が減ってないか?」それに悟飯が答える。
「あぁ、ここに来る途中ヤムチャさんは6人ほど戦闘力5のおばさんに射殺されましたよ」
なんで戦闘力5のおばさんに射殺されるんだよとヤムチャは言ったが
悟飯は足元を撃たれて多量出血で死んだんですと答えた。
「あぁ、それなら納得だ」とヤムチャ達。
「納得すんなよ」天津飯が言った。
ピッコロはその事を無視し悟飯に語りかけた。
「お前も気づいたか悟飯?」
「え?あ…はい」
「なにがだ?ピッコロちゃんよ」
それにヤムチャ達も何故かピッコロを挑発しながら反応した。
「貴様は黙ってろ!!」ピッコロはキレた。
次話「繰気弾と気功砲。ヤムチャ達962人」に続く
359: ◆sQwulvD0ZI
09/03/09 14:34 UZjGMeKk
第十二話「繰気弾と気功砲ヤムチャ達962人」」
「孫悟空はなぜか勝負をあせっている…すでに全力に近いとばしかただ…
それなのにあのザマはなんだ……」
「あ…あのザマ?あのザマだと…!?なにをいってるんだ。圧倒的に悟空がおしてるんだぞ…!」
ピッコロの発言に驚きながら天津飯はこの前買ったカツラをかぶった。
「あんなもんじゃない。超サイヤ人になった悟空の力は
もっととてつもないはずだ。そりより天津飯、カツラはもう1着あるか?あったらよこせ」
「すまん。これ1着しかないんだ」
「そうか」
そこに一人のヤムチャが口を開いた。
「もしかして、あいつら気を吸収するんじゃ…」
Z戦士達の空気が重くなる。
その時!悟空がかめはめ波をうつ。だが19号はそれを吸収した。
「やっぱりそうだ!俺って天才?はははは!」
ヤムチャはうかれて天津飯のカツラを繰気弾で燃やした。
「気功砲!」天津飯の攻撃でヤムチャ達15人が死亡した。
次話「ウザいヤムチャ達947人」に続く
360: ◆Nt3ni7QiNw
09/03/09 14:47 UZjGMeKk
第十三話「ウザいヤムチャ達947人」
「気を吸い取る…?じょ…じょうだんじゃねえぜ…」
悟空は絶望した。そして、段々とやられはじめた。
「ちっ…ちくしょう…!!ハアッハアッ…ハアッハアッ」
「お、おい。あいつかなりつらそうだ…そ…そんなに気を吸い取られちまったのか?」
「てゆうか悟空!ハアッハアッじゃなくてハァハァハァハァハァハァハァハァ(*´Д`)だろーが!」と変体のヤムチャ。
もちろんこのヤムチャも悟飯の手によってすぐにお亡くなりになりました。
「お父さんは病気なんだよ…心臓病の!!」
悟飯の発言にみんなが驚いた。
「あのとき未来から来たヤツのいっていたウイルス性の心臓病か!?」
「バ、バカいえよ!そいつは特効薬もらってとっくになおしたんだろ!?」
(く、苦しい…どうなっちまったんだ。オレの体…)
「悟空、仙豆だ。食え―!!」
クリリンは袋から仙豆を取りだし悟空に向かって投げた。
仙豆は悟空の前を通りがかった1人のヤムチャの体を貫き悟空の元についた。
体を貫かれたヤムチャは泣きながら死んでいった。
「サ、サンキュー…た、助かったぜ…」
悟空は仙豆になんか血がついていたけど我慢して食べた。
次話「悟空やられる!ヤムチャはやられてる946人」に続く
361: ◆Nt3ni7QiNw
09/03/09 14:47 UZjGMeKk
第十四話「悟空やられる!ヤムチャはやられてる946人」
「せ、仙豆が効いてない…?」
仙豆を食べたにも関わらず悟空は19号にやられまくっている。
「そうか!ヤムチャさんの血がついてるから仙豆の力が無効に!」
そう言う悟飯。だがピッコロは心臓病だろとツッコんだ。
クリリンがどういう事か悟飯に聞くと悟空は心臓病にかかってなかったらしい。
なので今、心臓病が出始めたのだろう。
そして、とうとう悟空は超サイヤ人じゃなくなり普通の状態に戻ってしまった。
19号は悟空の首を掴みエネルギーを吸い取りはじめた。
その状況をみて3人のヤムチャが「あれって、気持ちいいのかな?」と思った。
ここに3人の血迷ったヤムチャが現れたのである。
悟飯はとりあえずそのヤムチャ3人を跡形ねなく粉々にした。
次話「悟飯の恐怖!脅えるヤムチャ943人」に続く
362:Classical名無しさん
09/03/09 14:48 uCJUQyDE
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
363:Classical名無しさん
09/03/09 14:49 UZjGMeKk
第十五話「悟飯の恐怖!脅えるヤムチャ943人」
ピッコロはヤムチャ達の事をさすがにウザくなってきたようである。
「まずいぞ。エネルギーを吸い取られる!助けに行け、ヤムチャ!」
ヤムチャ達に向かってピッコロが言った…というより命令だある。
だがヤムチャ達は切れた。「いや、今それどころじゃねーんだよ!」
「こ、こいつらまたDSをやりはじめてる…」クリリンが呆然としながら言う。
それを見て悟飯はヤムチャ達に近づいた。
「ヤムチャさん。にぎり潰されたいですか?」
なにを!?そこにいた全員が思った。
いや実は分かっているのだがあまりにも恐ろしい事なので思いたくないだけなのだ。
ヤムチャ達もどういう事か分かりとりあえず土下座をして悟空を助けに向かった。
次話「ば、馬鹿な!残像拳じゃない!全員本物のヤムチャだ!」に続く
364: ◆Nt3ni7QiNw
09/03/09 14:52 UZjGMeKk
あー、間違えてばっかだ。馬鹿だ、俺はorz…
>>258-261>>263は俺です。あと、>>259のカツラ1着ってのは1個の間違いです。
>>252
よろしくお願いします。
365:Classical名無しさん
09/03/09 15:04 IwZXROwc
レス番号100ずれているよw
乙、これから読ませてもらいます
366: ◆Nt3ni7QiNw
09/03/09 15:25 UZjGMeKk
あ~、またかよ。
>>365
ご指摘ありがとうございます。
訂正
>>358-361>>363は俺です。そして、>>359のカツラ1着ってのは1個の間違い。
>>352
頼みます。
ふう。てかっ、間違いばっかで嫌になるよ…
367:Classical名無しさん
09/03/09 19:54 uCJUQyDE
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
368:Classical名無しさん
09/03/09 23:00 LdiIGfm6
まだ900人以上いるのかw
369:Classical名無しさん
09/03/11 23:41 6o0LldA6
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
370:Classical名無しさん
09/03/14 06:18 Hxptf.B2
サイヤンキラーは?
371:Classical名無しさん
09/03/14 11:47 Kaq61wBc
レス遅くなってすみません。>>352です。
了解ありがとうございました。では新まとめサイト管理させて頂きます。
このサーバーはダメとか要望とかここに書き込んでもらう形でいいかな?
とりあえず携帯でも閲覧可能なサイト了解しました。
372:Classical名無しさん
09/03/14 12:22 Hxptf.B2
ありがとうございます。
373:Classical名無しさん
09/03/14 13:44 Sjw5v7fI
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
>>1-10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
374:Classical名無しさん
09/03/16 07:08 pcWY5XzI
保守
375:Classical名無しさん
09/03/19 06:21 m.3DZBzs
サイヤンキラーの続きはどうしたのかな?
376:Classical名無しさん
09/03/23 04:05 yWTWuPik
忙しくて執筆の時間取れないって作者さん言っていたね
続きはのんびり愉しみながらまとうw
377:Classical名無しさん
09/03/27 03:29 FcUP8yag
あまりにもサイヤンキラーが面白くて一気に読んでしまった
保守
378:Classical名無しさん
09/03/27 18:10 CuaZAno2
今日変な夢を見たんだ。
大筋だけ書くと
ヤムチャ、ドラゴンボールで願いをかなえてもらう(戦闘力5億にしやがれ、若返らせろ、ここじゃない別の世界に飛ばせ)
しかし気を全力開放すると自身が死んでしまうという制約がつく。
続きの話は自分で考えてみたけどさすがに需要ないよなw
379:Classical名無しさん
09/03/29 00:06 0T2uTCgg
>>378
> 今日変な夢を見たんだ。
> 大筋だけ書くと
> ヤムチャ、ドラゴンボールで願いをかなえてもらう(戦闘力5億にしやがれ、若返らせろ、ここじゃない別の世界に飛ばせ)
> しかし気を全力開放すると自身が死んでしまうという制約がつく。
>
> 続きの話は自分で考えてみたけどさすがに需要ないよなw
それよみたい
380:Classical名無しさん
09/03/29 05:06 OCMEZ3tk
>>379
まさか需要があるとは思わなかったぜw
381:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/29 05:33 OCMEZ3tk
1話 ヤムチャの思いつき
その男は洞穴の中で寝そべっていた。
死んでいない、生きている。たまに寝返りをうつだけで、それがなかったら死んでると間違えられてもおかしくない。
男の頭上には青い猫がフワフワと飛んでいる。
みなさんお気づきだと思うがこの男が戦闘力のインフレに飲みこまれてお荷物になった男、ヤムチャである。
ヤムチャはいきなり体を持ち上げた。
「ま、またこの夢かよ…」
彼の額には汗が浮かんでいる。
そこで青い猫…プーアルが声をかけ質問をする。
「一応聞いておきますけど…どんな夢だったんですか?」
ヤムチャは物凄い早口で答えた。
「足元がお留守、金的ぶつける、サイバイマンに自爆される、が重なったんだ!」
プーアルはまたか、と思ったが口には出さない。
いやな思い出の夢だというのに、いきいきとして(そう見えた)話す彼を見て、実はこいつMなんじゃないのか、さらにそう思った。
「それで…一つ思いついたんだ!」
ああ、いきいきと話してたのはこの『思いつき』があったからなんだな…プーアルは思った。
「なんでしょう?」
ヤムチャの目はキラキラと輝いている。たとえるなら一昔前の少女マンガのように。
「ドラゴンボールだ!そうすればこんな夢に悩むことはなくなる!」
プーアルは愕然とした。この人はこんなことに願いを使うつもりなのか。
「いいか、俺を強くしてもらって、俺を若返らせてもらって、ここじゃない過去へ飛ばしてもらうんだ!」
プーアルはもうヤムチャの話を聞いていなかった。
382:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/29 05:34 OCMEZ3tk
うわ…最終修正してねえ…
変な文がありますがご容赦を
383:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/29 15:09 OCMEZ3tk
2話 善は急げ
「プーアル?おい、聞いているのか?」
ヤムチャの言葉を右から左に受け流していたプーアルは我にかえった。
「あ…ヤムチャ様、どんな話でしたっけ?」
やれやれ、という風にヤムチャは首を振った。
それから話し始めた。
「いいか、俺を強くしてもらって、俺を若返らせてもらって、ここじゃない過去へ飛ばしてもらうんだ!」
さっきにもまったく同じ台詞を言っていたのだが、聞いてなかったプーアルは驚愕した。
若返らせる?なにを言っているんだ?ヤムチャは若返っても弱い。
強くしてもらう?できるはずがない。神龍だってお手上げだ、
ここじゃない世界に飛ばしてもらう?なにを言っているんだ?
ここに人がいたら間違いなくこう考えるだろう。?と、なにを考えているんだが浮かんでは消える。
もちろんプーアルとて例外ではなかった。ポカンと口をあけてボーっとしていた。
「というわけでドラゴンボールを集めようと思う、善は急げだ!じゃあな!」
理由もなにも言わずないヤムチャ。もちろんプーアルが問わないせいもある。
言い忘れていたがヤムチャは下着姿だった。着替えていないので当然といえば当然である。
パジャマ?なにそれ、おいしいの?byヤムチャ
ヤムチャは下着姿で飛んでいった。
プーアルは二重に驚くことが重なり呆然としていた。
ちなみに善と言うほどいいことでもない。
プーアルはしばらくしてようやく我にかえって呟いた。
「ヤムチャ様…寒いところもあるんですから…ドラゴンレーダー…どうするつもりなんだろ…まさかブルマさんのところにあの格好で…」
数時間後ベジータにボロボロにされたヤムチャが戻ってきたのは言うまでもない。
しかし、その手にはしっかりとドラゴンレーダーが握られていた。
プーアルはヤムチャの根性に思わず涙した。
しばらくプーアルはヤムチャが起きるのを待っていた。
「ハァハァ、プーアル…よう…」
荒い息遣いでヤムチャが目を覚ました。
もうなにも言うまい…プーアルは密かにそう思っていた。
「ヤムチャ様、今日は眠ってください」
プーアルが懇願したがヤムチャは傷だらけ、痣だらけで飛び出していった。しかも下着姿。
プーアルは改めて嘆いた。
384:Classical名無しさん
09/03/30 06:31 CbQVOoec
おもしろいよ。
385:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/31 18:24 69IvfQ5o
3話 前置きはいい加減にしろってことを見せてやるぜ!
「よし、ドラゴンボールを7個集めたぜ!」
洞穴に帰ってきたヤムチャの第一声はそれだった。
そんなにあっさり見つかるものではないのでは?プーアルは思った。
「さあ、神龍を呼び出すぜ!」
なぜ別の過去に飛ばせ、とヤムチャが言うのかはいまだわからずじまいである。
洞穴から出るヤムチャとプーアル。
そしてヤムチャはゴクリ、と生唾を飲み込んだ。
生唾を飲み込んだかと思うとヤムチャはいきなり咽(むせ)び泣いた。
ギョッとしてプーアルはヤムチャのほうを見た。
するとこんなことを言っていた。
「うっうっうっ…俺みたいな脇役キャラが神龍を呼び出せるなんて…オーイオイオイ」
ヤムチャはさらに大きな声で泣き出した。
さすがにこのままでは時間を食いすぎる。プーアルはヤムチャをこういって急がせた。
「ヤムチャ様、早く願いを言わないとドラゴンボール、盗られてしまいますよ」
ヤムチャはハッとして泣くのをやめた。
「ああ、そうだな、じゃあ…イでヨシェンろん!」
ところどころ声が裏返っている。だから脇役なんだよ。まったく関連性がないのにプーアルはそう思った。
「どんな脇役の願いでも、3つかなえてやろう」
「俺を強くしてくれ!」
引っかかることを言っているのにヤムチャ様は気にならないんだろうか…密かにそう思うプーアル。
「具体的な数字を言え…」
低い、神龍の声が響く。
「戦闘力…5億ぐらいでいいや」
ずいぶん適当に答えるヤムチャ。神龍がこう返した
「お前の肉体はヘタレすぎる。全力に近い力を出すと生命が削れるが…いいか?」
ポカンとしたプーアルをよそに、ヤムチャはいいぜ、と相槌を打った。
「それで…何%の力までならOKなんだ?」
「80%までだ…それ以降の力を出すと体が悲鳴を上げる…もって10分だろうか…」
満足げにヤムチャは頷いた。なにが満足なのかは彼にしかわからない。
「よっしゃ、交渉成立!で、つぎの願いだけど…」
交渉ではない。しかもすぐに次の願いを切り出すヤムチャをプーアルはあっけにとられて見ていた。
386:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/31 18:25 69IvfQ5o
4話 ムチャクチャヤムチャ
「次の願いは、俺を若返らせてくれ!」
その願いに神龍は茶々を入れず、願いをかなえてくれた。
若返ったヤムチャを見たプーアルは懐かしい気持ちでいっぱいに・・・ならなかった。
第一に短髪である。第二に下着姿である。第三に傷がある。
長い間ヤムチャと居ただけにその3点は懐かしさを失わせるには十分だった。
「三番目の願いはな…」
とうとうあの願いを言うのか…プーアルは静かにヤムチャの口から言葉が出るのを待った。
「俺を…ここじゃない別の過去に飛ばしてくれ!」
「了解した!」
神龍の低い声が響いた…眩い光に包まれたヤムチャ。プーアルは固く目を閉じていた。
プーアルが再び目を開けたとき、ヤムチャは『そこ』にはいなかった。
「願いは叶えてやった…ではさらばだ!」
神龍の声が響く。そして神龍が飛び去り、ドラゴンボールが飛び散った。
そこにはプーアルだけが残された。
「…さようなら、ヤムチャ様、どうかお元気で」
しばらくはそこの周りを飛んで、ヤムチャが帰ってこないか見ていた。
しかし、当然ながら一向にかえってくる気配はない。
プーアルは涙ぐみながらヤムチャがよく歌っていた歌を口ずさんだ。
「クールなまなざしホットなハート
俺が噂のナイスガイ…ヤムチャさ
めっぽう強いが女にゃウブい 花も恥らう夢を見る
愛のブーケに酔いしれて いつも君だけじっと見つめていたのさ
振り向かないでいてくれよ 君の瞳に弱いから
ロンリーウルフ砂漠のヤムチャ
星の痛みが胸を打つとき
ロンリーウルフ風が泣いても俺の足跡残るのさ…
ヤムチャ様!!返って来てくださいー!!
プーアルは地平線に向かって叫んだ。
ヤムチャが歌っていた、ウルフハリケーンが聞こえたような気がした。
387:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/03/31 18:29 69IvfQ5o
これで夢で見た分は全部です。――しっかり覚えてなくてあやふやな部分もあります。
続きの展開は考えているんですが文章にしていません
Q.あれ?プーアル最後のほうキャラ変わってね?
A.ツンデレです。そういうことにしてくださいorz
Q.結局ヤムチャがここじゃない過去に行く理由ってなによ
A.自分の力を試したいから。作者が言うのもなんですがこれしか思いつきません。
Q.面白くねーよクズ氏ね
A.努力してみますorz
388:Classical名無しさん
09/03/31 20:10 BWqCOSmo
ワロタ
最後にヤムチャのテーマソング歌うのかよ
389:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/01 19:29 OC98iIdc
5話 変態ヤムチャ
さて、プーアルが号泣しているとき、ヤムチャは『ここではない過去』の西の都にそっくりな場所にいた。
「ひゃー…懐かしいな~俺の知ってる中ではサイヤ人が来たときの西の都に一番似てるかな~」
ヤムチャはしばらく思い出に浸っていたが、栽培マンが出てくるあたりで我に返った。
「そうだ、悟空の気を探って悟空たちに合流するかな」
『ここではない過去』というのをヤムチャはすっかり忘れていた。
気を探り出すヤムチャ。
気を探っている途中で自分の気の調整は0(気を消す)か1(一般人に手加減)か100(全力)しかできないという事を気づいて苦笑した。
「うーん…気が向いたら練習しとくか」
いつ気が向くのだろう。そう突っ込むプーアルはここにはいない。
そんな事も忘れヤムチャは気を探り出した。
「おお、神様の神殿のほうに中くらいの気2つと小さい気たくさんあるぞ!やっぱし神殿か…よーし、悟空と三つ目ハゲと面食いハゲ、待ってやがれ!」
大声で叫んだヤムチャ。彼の周りにいつ出来たのか人だかりが。
「あ…うるさかったですか?すいませ…
「変態だぁー!!!」
人々は大声で叫んだ。警察がやってくる。
な、何故だ!?叫んだだけで変態だと!?ああ、そうか、そんな法律なんだな、間違いない。
いやまてよ?でもこいつらも叫んでただろ?いや、独り言がアウトなのか?
ヤムチャは必死で思いを巡らせていた。…自分の格好に気づかずに。
そう、彼は神龍に願いをかなえてもらう前から、下着姿なのだ。
寒くないか、という突っ込みはこの際なしにしよう。
「しかし、このままお縄につくほどこのヤムチャ様はバカじゃないぜ!
ヤムチャは騒ぎを起こさずに捕まらない方法を考え付いたのだ!
「母が危篤なんです!急がないと死んでしまうかもしれないんです!」
ヤムチャはいろいろなアルバイトをしていた経験を活かし、演技をした。
周りの人からは気の毒な目(ああ、こいつ病んでしまったのかの意)を見せ、去っていった。
「やったぜ!俺の演技大成功!ふはははははははは」
白き虚空にヤムチャの高笑いが響いていた。
――警察の事も忘れて
390:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/01 19:31 OC98iIdc
6話 あれ?5話過ぎたけど戦闘力5億出してないんじゃね?
「さあて、神殿に向かうとするか!」
ヤムチャは舞空術で飛んだ。シャツがひらひらと風になびく。まるでスーパーマンのようだ。…下着姿だが。ヤムチャの黒い短い髪が風になびく。
「♪ロンリーウールフー砂漠のヤームチャー」
ウルフハリケーンを口ずさみながら神殿に向かって飛んでいるヤムチャ。
しかし、ヤムチャよ。まずは服を着たほうがいいと思うんだ。
「いだっ…舌噛んだ…」
いっそ噛み切ればよかったのに、と風が言っているようで無性に腹がたつヤムチャ。
そして風を殴る、殴る、殴る!
見えない敵とヤムチャが戦っているうちに神殿についていた。
「よーし、着いたな。戦闘力5億の俺の力を見せてやるぜ!」
意気揚々と乗り込むヤムチャ。
一方神殿のみなさん。
「何者かが神殿に向かってやがる…」
そういう三つ目ハゲ。
「たいしたことない気だな。おれでも勝てそうだ」
大口をたたくそばにいたもう一人のハゲ。
「久しぶりの戦けぇでオラワクワクしてきたぞ!」
「お父さん…」
そう言っているのは道着を着ている青年。青年の子供だと思われる少年は何かを言おうとしていた。
「油断はするな、カカロット、フリーザの手の内のものかもしれん」
「お、親父、俺隠れてていいかな?」
スカウターと戦闘服を着けた男が長髪の弱気な発言をした男をにらんだ。
長髪の男は下をうつむいて小さくなっていた。
「まーあ油断しなきゃやられることはねえだろ…バーダック」
そう言った男はバーダックと呼ばれていた男に酷似していた。
――戦闘服のタイプが違うことと色黒なこと以外は。
そこへ何も知らない、ヤムチャが現れる。
「おっ、いるいる。おーいみんなー」
ここではない世界だというのも忘れてヤムチャは叫んだ。
そして、バーダックと言われていた男が指示を出した
「いくぜ!攻撃開始だ!」
391:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/01 19:32 OC98iIdc
7話 服ぐらいは着ようぜ
一気にいろいろなものが飛んできてなにが起こったのかわからずじまいでヤムチャは落ちていった。そして地面に叩きつけられた。
かめはめ波、どどん波、天さん、僕の超能力が効かない!などが聞こえた。
服を着ていない上、気を開放していないヤムチャはボロボロになった。
「許さん…許さんぞ貴様ら!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!」
その時ブワッと一瞬ヤムチャは気を全力開放してしまった。
「っと…いけね、寿命が縮んじまう」
すると神殿にいたバーダックと長髪の男、色黒の男のスカウターがパリンと割れた。
「スカウターが割れちまったな…」
「じょ、冗談じゃねえ!」
「このスカウターは戦闘力100万まで計れる…それ以上ってことか」
なにが起こったのか飲み込めてない、カカロット…孫悟空は手始めにバーダックに話しかけた。
「どーした?とーちゃん、なんかわりぃもんでも食ったんか?」
バーダックは汗をぬぐっていた。
「いいか、カカロット。このスカウターはどういうものかっつーのは話したな?」
キョトンとした顔で悟空は考え出した。
そして思い出したのか手を、パン、と叩いた。
「ああ、戦闘力っちゅうのが計れんだろ?」
そうだ、とバーダックは相槌を打った。
「3人のスカウターが一度に割れるなんて考えられねえ。計れる数値以上の敵が出てきたってこった」
「そんなつぇえんか?オラワクワクしてきたぞ!」
やれやれ、という風に首を振るバーダック。
「カカロット、お前の戦闘力はラディッツより少し上程度だターレスや俺よりも低い」
そのとおり、と言ったのはターレス。
「バーダックは18000ある。お前はその10分の1程度だ」
ターレスが話すと悟空は身構える。
「おいおい、地球に神精樹の木は植えねえよ。いくらなんでもそこまでバカじゃねえ」
おどけた調子が混ざっているが、それは本当のようだ。
「グチグチ話してる暇はねえ…来るぞ!」
バーダックの声で一同は身構えた。
392:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/01 19:33 OC98iIdc
7-2話 ヤムチャの世界の相違点
プーアルは占いババの館に来ていた。
「占いババさま」
占いババはこちらを向く。
「おお、客かい。100万ゼニー」
素っ気なく占いババは言った。
「は、はい」
おもむろにプーアルは100万ゼニーを渡した。
ヤムチャはゼニーを置いて行った。その額110万ゼニー。
「なにを占ってほしいんじゃ?」
そう言われ、キュッと結んでいた口を開くプーアル。
「あの、ヤムチャ様の行った世界のことを教えてください!」
「お安い御用じゃ」
水晶球を覗き込む占いババ。
そして文字が浮かんできた。
仲間→ベジータ、ピッコロいない=神様はナメック星人ではない
事件→ピッコロ大魔王、サイヤ人襲撃なし=ピッコロ大魔王がいない=ピッコロいない(悟空あんまり強くない)
神様→カリン様
サイヤ人たちについて→バーダック、ラディッツ、ターレスがフリーザを裏切り、逃げてくる。
悟空、尻尾切れてない。
ターレス性格変わってます、あしからず。
バーダックの口調おかしいです、あしからず。
ラディッツへタレです、あしからず。
フリーザについて→地球に襲来してくることをサイヤ人たちから伝えられる。
「ということじゃ」
プーアルは言われた意味がわからなかった。しかし、お礼を言って占いババの館を後にした。
「ヤムチャ様…どうか死なないで…」
プーアルはそう切に願っていた。
393:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/01 19:35 OC98iIdc
登場人物カオスに。あーあ、もうなんでもいいやみたいな感じになっています
夢の話だけでよかったんや!続きなんか最初っからいらんかったんや!
もう書いてて反省しっぱなしでした。もはや打ち切ったほうが自分のためにも皆様のためにも(ry
394:Classical名無しさん
09/04/02 08:54 w2zdHDMA
>>393
そんなことないですよ。
楽しく読ませていただいています。
自分のペースで頑張って!
395:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/02 19:01 MG7CyrN2
8話 最初の生贄三つ目ハゲ
スタッ、と神殿に降り立つ一人の男。
「スカウターをつけてねえな、フリーザ軍の奴じゃねえのか?」
ぼそり、と呟くバーダック。
バーダックが言葉を発してから喋る者はいない。
そしてヤムチャの様子を伺いながら身構える戦士たち。
張り詰めた空気が神殿を覆う。
「俺が貴様の相手をしてやろう」
そう真っ先に名乗り出たのは三つ目ハゲこと天津飯だった。
「おっ、三つ目ハゲからか…もとの世界の復讐をさせてもらうぜ…」
ヤムチャは密かにほくそ笑んだ。
大体ブウ戦ではヤムチャは登場機会すらないに等しかったのにこいつはあった。差別だ!
そしてその差別された鬱憤をこの世界の天津版で晴らそうというわけだ。まったく外道な男である。
最初に攻撃を仕掛けたのは天津版だった。胴体、頭に1発ずつ、足に2発の4連撃を放った。しかしヤムチャはすべてをかわしてみせた。
「フハハハハハハ!トロ過ぎてくしゃみが出るぜ!」
思いっきり悪役笑いをして、あくびをくしゃみと間違える間抜けさを披露。
しかし、Z戦士たちにはかなりの衝撃が走った。
戦闘力たった700程度の天津飯だがその攻撃をたやすく避けてしまったのだ。ましてやクリリンや餃子はそれ以下の戦闘力である。無理もない。
「それではお返しといこうか。50万分の1の力で戦ってやる、安心しな」
ヤムチャはかめはめ波の構えをとろうとした。しかしここで自分が亀仙流だとばれてしまうとまずい。自分のとりあえずの目標は仲間と認めてもらうことだ。
はっきりいってここで亀仙流だと言ったほうが溶け込みやすいのだが、天津飯に仕返しをしたい気持ちもあり、狼牙風風拳の構えをとった。
「あの構えは!?」
天津飯は『なにかやってくる』と思い身構えた。しかし…もう遅かった。
天津飯の顔に次々と拳が入っていく。
「ぐは…ぁっ」
天津版の呻き声が漏れた。
そしてバタリ、と倒れる。
「さぁて…と、次は誰がやられたいんだ?」
ヤムチャは感動が入り混じった声で言った。
一方Z戦士たちはヤムチャの強さに戦慄していた。
396:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/02 19:03 MG7CyrN2
9話 パワー全開!ヤムチャの力
「それなら…おれが行かせてもらおうか」
みんなの衝撃が冷めないうちに名乗り出たのはターレスだった。
どこから取り出したのか神精樹の実をかじっている。
そうだ、こいつにも借りがあったな。ヤムチャは思い出した。
~回想~
ターレス軍団が地表に穴を開ける為に爆発させる→15年ローンの飛行機が破壊→ターレス軍団のカカオと闘う。負ける。
~終了~
「うおおおおおおおおお!!!俺の15年ローン返せええええええ!!!!!!」
いきなりターレスに殴りかかるヤムチャ。しかし軽々とかわされる。
天津飯との戦いのときの気のままのせいである。ちなみにターレスの戦闘力は平常時28000。神精樹の実をかじることで50万に跳ね上がる。
「うおおおおおおお!!15年、15年!!!!!!!!!!!!!!」
ヤムチャはそんなことを考えもせず、ただ15年と連呼して殴りかかっている。
いきなり猛攻を仕掛けてきたのに驚いて受けに徹していたターレスだったが、やがて落ち着きを取り戻し、カウンターを仕掛ける。それは足払いである。
「おいおい…足元がお留守だぜ…」
ターレスはあきれた口調で言った。
その言葉にヤムチャはとうとうキレた。
「チリも残さず消してやらぁ…持つのは10分だったな…上等だ…」
妖しさをおびるヤムチャの声。ターレスは思わず身を固くした。
ヤムチャはどんどん気を開放していく。なかなか全部出ない。全開放までの間しばらくターレスに殴られ続けていたが、1分で殴られても痛みを感じなくなった。
そして…ヤムチャの気が全開になったのである。そこにいた一同は恐怖を感じていた。
そう、ヤムチャでさえも。
「すげぇ…自分でも怖くなるくらい…すげぇ…」
押しつぶされんばかりの気にその場にいた一同はたじろいだ。
「さらに…界王拳…20倍だ!!」
急速にヤムチャの体は悲鳴を上げる。そして戦闘力は100億と跳ね上がった!
Z戦士たちは意識を保つことができなかった。
そう、まるで鬼神のようなヤムチャの気に押しつぶされ。
「はあはあ…ゆっくりと…気を放出するぜ…」
ヤムチャ自身も自分の気に押しつぶされそうになっていた。
397:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/02 19:03 MG7CyrN2
10話 人質or弟子?
ヤムチャはゆっくりと気を放出していった。
「な、なるほどな…10分しかもたないって理由が分かったぜ…」
気を放出してヤムチャは汗を拭った。
そしてキョロキョロとあたりを見回すヤムチャ。
「後継者とか育てとけば老後も安心だな…誰にするか」
どうやらヤムチャは死ぬまでここで暮らすつもりらしい。彼のことだからすぐ気は変わるだろうが。
「悟飯、君に決めた!」
どこかのテレビアニメの受け売りの恥ずかしい言葉を言ってみる。突っ込んでくれる奴がいないから余計に恥ずかしいヤムチャであった。
なぜ悟飯なのか。一つ目に若い。二つ目にピッコロがいない世界のようだから師匠になれる。三つ目に悟飯は宇宙最強の戦士になる!
三つ目、と言ったときに天津飯を思い浮かべて少し鬱になるヤムチャであった。
さてこうしてヤムチャは人質(本人曰く弟子)を手に入れたのである。
「…ううっ」
最初に目を覚ましたのは悟空だった。
倒れている仲間を見るとさっきのことを思い出していた。
人は倒れ、建物は瓦礫となったさっきのことを。
そこで悟空は気がついた。
――悟飯がいない。
急ぎ悟空は神殿から飛ぼうとした。
「待てよ、悟空!」
そこに立っていたのは意外な人物…そう、クリリンであった。
このメンツの中では餃子に次いで弱い。彼が他のみんなより早く起きるのは奇跡としか言いようがないというほどに意外だった。
「みんなが起きるまで待てよ、悟空」
クリリンのほうを振り向いて悟空が険しい表情で睨む。
「悟飯はあいつにつれてかれちまったんだぞ!」
だからこそ、と言おうと思うクリリンだったが険しい表情で口を開けなかった。こいつを止められるのはこいつの親父だけだ、そう思った。
398:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/02 19:09 MG7CyrN2
うっわ、急にシリアスになってるよ、意味わかんねー
…たぶんそうでしょうね、自分でもそうです。
勝手にヤムチャが動き回って自分に指図するんですよ、夢の中にまで出てきて(w
ヤムチャ「おい、見せてやるからこう書けよ、なるべくかっこよくな」
実際にヤムチャが夢の中でやってくれたおかげでスラスラかけたわけですがなんか納得いかない仕上がりに。
>>394
ありがとうございます。…尻叩く人がいてくれてよかった…
399:Classical名無しさん
09/04/03 09:26 OHsYxzaU
>>398
どういたしまして。
更新が早くて、毎日楽しみにしています。
400:Classical名無しさん
09/04/04 20:49 rpXaXdyY
面白いです・
401:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:16 PnjJosqM
11話 天秤
悟空が神殿を飛び立とうとしたとき悟飯は意識を取り戻したところだった。
「…ん」
もぞり、と体が動くのを見逃さなかったヤムチャ。
「よう悟飯!目が覚めたか?」
自分が気絶させておいてどの面さげてこの男はこんなことが言えるのだろう。
「…え、あ、あの…」
そこに立っていたのは間違いなく自分と仲間たちを気絶させた人物、ヤムチャであった。
バッ、と体を起こして二、三歩飛び退き、身構えた。
「おいおい…俺はなにもしてねえだろうが…」
ヤムチャは傷ついたようで地面を指でいじっていた。
悟飯は自分のいる場所を確認した。
広大な砂漠、しかし、自分たちのいる場所だけ、草木が茂っている。
――ああ、ここはオアシスなのか、そう思いホッとする悟飯。
しかし…さっきこの男が言っていた言葉を思い出した。
――よう、悟飯!目が覚めたか?
間違いない。この男は自分の名前を知っている。
しかし…悟飯はこの男の名前を知らない。一体何者なのか。
気を開放し、カイオウケンという技を使って仲間全員を気絶させるほどの気なのだ。
「ところで悟飯よぅ」
ヤムチャに声をかけられ、悟飯の思考は急停止した。
しかし、ヤムチャが言ったのは意外なことだった。
「お前、強くなりたいか?」
ヤムチャは悟飯の本心に聞いていた。
確かに僕は学者になりたい、それははっきりと思っている。
―しかし、地球と天秤にかけると地球のほうに傾いた。
その瞬間、悟飯の気持ちは決まっていたのだ。
「強く…なりたい…です」
その言葉を聞いたヤムチャは安心した。
いくら信じやすい子供とはいえ、気だけでみんなを気絶させてしまったのだ。
言い訳は印象を悪くしそうなので質問に変えた。そして効果があったことにヤムチャはほくそ笑んだ。
一方悟空は猛スピードで悟飯たちのところに迫っていった。
402:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:16 PnjJosqM
12話 狼牙風風拳
「ちーと時間ねぇからな、一番簡単なのいくか」
ヤムチャはそういってサッと構えた。
狼牙風風拳の構えである。
天津飯を倒した技である。悟飯の体は固くなった。
「よし、この構えとってみろ」
悟飯はしぶしぶ構えをとった。とらないとなにをされるか分からない。
「そして、アチョーハイハイ、うぉりゃあブルァだ」
身振り手振りで教えようとしていたがまったく伝わっていない。説明が下手なせいだ。
実は天津飯を倒したときの狼牙風風拳を見ていた(見えていた)ので真似はできたのだがあえてそれは言わない悟飯。
そして技を見せればいいのに気づかずに口で懸命に伝えようとするヤムチャ。
悟飯はそんなヤムチャが悪い奴ではないのでは、と思い始めていた。
「よっしゃ、分かったな!さあ、打ち込んで来い!」
ヤムチャは自分の説明が下手なことを知ってか知らずか攻撃してくるように指示した。
悟飯は構えをとった。ゆっくりと。
「おっ、なかなか様になってるじゃねえか!さあ、打ち込んでこい!」
構えをとったときから、悟飯の闘争心はメラメラと燃えていた。
――そう、狼のように。
ヤムチャは痛いほど研ぎ澄まされた闘志に、少なからず焦っていた。
「お、おいおい…れ、練習だぜ?そんなに闘志を研ぎ澄まさなくて―
言いかけでやめた。風の向きが変わった…悟飯が動いたのだ。
「うっ!?は、はぇえ!!」
ヤムチャは急いで一歩飛び退いた。
――しかし、悟飯の手はナメック星人であるかのように伸びてきた!もちろん、ヤムチャの目の錯覚であったのだが。
ヤムチャは冷静さを欠いていた。自分の技であるというのに。
そうか、足だ!足払いを…
ヤムチャがそのことを思い出してももう遅かった。
「狼牙風風拳!」
後ろから悟飯の声が聞こえ、後頭部の辺りに痛みが走った。
お前は油断する悪い癖がある。ああ、誰かにそう言われたっけ。
そのことを思い出しながら、ヤムチャの意識は闇に落ちていった。
403:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:18 PnjJosqM
13話 悟空到着!あれ?ヤムチャは?
「オラの子供をけぇせ!」
悟空の第一声がそれだった。
しかし…ヤムチャはボクシングで1R.K.Oされたように伸びていた。
「ご・・悟飯、おめぇがやったんか?」
悟飯は頷きもしない。ただただ悟空のほうに向かってくるだけである。
・・殺気を漲(みなぎ)らせながら。
「い!?ご、悟飯!?どうしちまったんだ!?」
悟飯はゆっくりとこちらに向かってくる。こう言ってはなんだが悟飯より悟空のほうが弱いのだ。
しかも悟飯は獣のようになってしまっている。
「ど、どうすりゃいいんだ…」
悟空はかなり焦っていた。
一方ヤムチャに気絶させられた面々たちは――
「おい、クソソソ!どういうこった!カカロット一人で行かせただと!?」
バーダックがクソソソ、否、クリリンに掴みかかる。
この親父に凄まれたらどんな奴だって逃げ出しそうだな――フリーザ以外。
クリリンはそんなことを考えていた。
「そ、そそそそそそりゃ、りゃ、りゃりゃ、と、止められる雰囲気じゃなかったんですよ!」
噛みすぎだろう、後ろで隠れて見ていたラディッツはそう思った。
「カカロットはどこに向かった!」
気が探れないのは不便なものだな、とクリリンは思っていた。…口に出したらどうなるかは大体分かっていたので言わなかったが。
「えーと、南に…」
そう聞くや否やバーダックは仲間を連れて飛び立とうとした。
どの仲間を連れて行くか、バーダックは瞬時に頭の中で考えた。
一番あの男に近い場所にいたターレスは約1日、目が覚めないだろう。そしてカカロットはいない。
バーダックの出した答えは当然だったが、意外でもあった。
「おい、ラディッツ!行くぞ!」
404:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:19 PnjJosqM
14話 主役はオレ、ヤムチャ
「いやだ」
即座にラディッツは拒否した。
「ぶん殴「行きます」
途中までしか言っていない。しかし、ラディッツは行く、とは答えた。
「おい、クソソソ!ターレスと三つ目ハゲと白いハゲを見とけよ!」
いつになったら名前を覚えてもらえるのだろう…クソソソ、否、クリリンは肩を落とした。
さて、バーダックたちが仲間割れ(?)を起こしている間に、悟空は危機に陥っていた。
「や、やべぇ…無駄な動きがあっけど、悟飯凄げぇ速えぇ…」
すさまじい悟飯のスピードに心底驚いている悟空。顔や体には傷がある。
悟空はちらり、とヤムチャのほうを見やった。
「危険な賭けになっけど、これしかねぇ!」
悟空はヤムチャに向かってエネルギー弾を放った。
ヤムチャに着弾するまでの間、コマ送りの映画みたいに見えたことを悟空は後に話していた。
「俺は宇宙最強だあ…あ、そんな…体が砂に…ゲッ!?」
ヤムチャに悟空の放ったエネルギー弾が着弾。
ヤムチャはそれに反応して体を起こして叫んだ。
「誰だ、俺の悪夢を邪魔した奴は!」
どうやら悪夢でも邪魔はされたくないらしい。困った奴だ。
「…?悟飯?そうか、お前が…許さん…許さなぁーい!!」
寝ぼけ眼で気を全力開放しようとするヤムチャ。
しかし、腰が抜けたようだ。
「い、痛い…ぎっくりしちゃった、ぎっくり」
なんとも情けない主役である。
「あいつ、オラより若く見えっけど、なんか年寄りくせえ」
悟空はそんなことを誰に喋るでもなく言っていた。
「お、お前なんてかめはめ波で、…あっ!踏ん張れねえ!」
ヤムチャが一人で漫才を繰り広げている間に、着々と悟飯は気を溜めていた。
さすがにヤムチャはまずい、と思い出した。このままではただのヘタレである。
「そ、そうだ!踏ん張らずに出せる技があった!」
ヤムチャはようやく自分の持っている技を思い出したようであった。
405:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/05 08:22 PnjJosqM
就職活動やらなんやらがあってあちこちを飛び回っていたとは口が裂けても(ry
>>399-400
感想ありがとうございます。
えー…なんつーか、ヤムチャが悟空たちの立場に立って恐怖して情けなくなるのが伝わればな、と思ってたりしています。
406:Classical名無しさん
09/04/08 22:14 d9dE4KOM
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407:Classical名無しさん
09/04/10 06:10 k37UharU
新しいサイトは?教え下さい
408:Classical名無しさん
09/04/12 19:54 gzLIB9.w
すっごく面白いです、続き楽しみにしてます。
409:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 04:57 02D.auo.
15話 決めろ!繰気弾!
「繰気弾があった!」
ヤムチャは繰気弾のことを思い出したようであった。
もう少し早く思い出せなかったものか。
「ヘッヘッヘ、悟飯、お前はもう終わりだ!」
勝機が見えるととたんに強気になるのがヤムチャクォリティ。
「くらえ!特大の繰気弾だ!」
特大、といっても赤ん坊の握りこぶし程度。看板に偽りアリ。
そして悟飯はきれいに繰気弾を回避する。
しかし、操作できるのが繰気弾の特徴。ヤムチャは指を使い繰気弾を操作し始めた。
寝っ転がって操作するのは結構しんどいので、体を起こして操作することにした。
しかし、指を動かすたび、なぜか腰に激痛が走る。そしてギエェ!と叫ぶヤムチャ。
こんな情けない奴が強いのか、と悟空は死ぬ気で繰気弾を操作しているヤムチャの顔をしげしげと見た。
バキッ、と繰気弾が悟飯にマグレ当たりした。悟飯が吹っ飛び、気絶する。それを見るとヤムチャは得意げに言った。
「ハッハッハ!戦闘力10億の俺に勝とうなんて無駄なんだ!」
サバをよむヤムチャ。まあここまでインフレしてしまえば5億くらいサバをよんだってどうってことないのかもしれない。
しかし、一語一語口から言葉を紡ぎだす度に腰に激痛が走る。かなり重症のようだ。
「おめぇ強えぇなー」
そう言って目の前にヌッ、と出てきたのは悟空だった。ヤムチャは動けない。(腰が痛くて)
「おめぇはそんなにわりぃ奴には見えねえ。どうだ?オラたちの仲間に入いんねえか?」
この男はなにを言っているのだろう。自分たちを気絶させて、悟飯をさらったのは紛れもなく、このヤムチャ様だ。
なにか裏があるのではないか?とヤムチャは目を数回瞬(しばた)かせた。
ただ、自分はこの状態だ。気を開放することもできない。
ああ、こりゃやばいな、ヤムチャは本能的に感じていた。
拒否→動けない戦士など必要ない!→ヤムチャ終了のお知らせ
了承→バーダック&ターレス&天津飯にボコボコ→ヤムチャ終了のお知らせ
「ああ、なるなる、仲間になる」
とりあえず深くは考えないことにした。下着姿でうろついたら、また捕まりかねない。
それに腰も痛い。ヤムチャは何も変わらずに、ヘタレの道を歩んでいた。
410:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 05:15 02D.auo.
16話 ラディッツ無残
ヤムチャは悟空の仲間に入った。いや、改めて入ったと言った方が適切だろうか。なにせ前の、ヤムチャがいた世界では悟空たちの仲間だったのだから。
…ブウ戦で空気にされたのはともかくとして。
しかし、そんなヤムチャが仲間として悟空に認定されたのだ!感激もひとしおであろう。
さあ、視点は神殿へと向かうヤムチャ(悟空に担がれている)からバーダックへと変わる。
「この辺りか…?」
スカウターがないバーダックは手探り状態でヤムチャを探していた。なによりヒントが少なすぎる。南だけで分かれというのが無茶である。
同時についてきたはずのラディッツは迷子になっていた。助けるのもめんどくさかったバーダックは先へと急いだのだ。
「…クソソソの野郎!あいつ、気を探れるじゃねえか!」
そう、クリリンには正確なヤムチャのいる場所が分かっていた。気を探れないバーダックに普段の仕返しをしてやろうと黙っていたのだ。
「上等じゃあねえか、クソソソ…さてと…」
バーダックはボキボキと骨を鳴らしていた。
ちなみに、バーダックはサイヤ人の中では仲間思いであるが、それはあくまでサイヤ人の中では、である。悟空もサイヤ人だがそこは置いておこう。
「あれは…戦闘の跡!?」
バーダックは焼け焦げたオアシスだったと思われるものを見つけ、それに歩み寄った。
「間違いねぇ…戦いがあったみたいだな…」
そこにはヤムチャが繰気弾をうまく操れずに倒した木があった。
「カカロット…あいつを倒したのか…?」
語尾に疑問符がついた。まあ無理もない。気だけで気絶させられるような輩を自分よりも弱い悟空が倒せるはずがないからだ。
「おーい、親父ぃ…」
情けない声でラディッツが飛んでくる。バーダックはラディッツの声で思考がプッツンと切れ、クリリンのせいでパンパンになっていた堪忍袋、それの緒が切れた!
「うぉらぁ!」
バーダックのフルパワーのエネルギー弾にラディッツは反応できず、クリティカルヒット、そしてラディッツはバタリと倒れた。
「まあいい、神殿に帰るか」
ラディッツを放置してバーダックは飛び立った。
411:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/13 05:17 02D.auo.
見直しをしていませんので誤字脱字、そのほかあったら指摘お願いします。
412:戦闘力5億のヤムチャ ◆VFBLT7jV.s
09/04/15 19:39 miKoACXI
17話 老婆痛風拳
ヤムチャは悟空に担がれて神殿へと向かっていた。
しかし…ヤムチャは担がれている最中で仙豆という便利なものがあることをしっかりと思い出していた。
「あ、そうだ、悟空」
舞空術で飛んでいながらヤムチャを担いでる悟空は不思議そうな顔でこちらを見た。
「あり?おめえに名前教えたっけな?」
そう言って悟空は頭を掻いた。もちろん、頭を掻くには手が必要である。
担ぐときには(必ずしもそうでないが)両手を後ろに回して支えなければならない。
――そう、支えがなくなったヤムチャは落ちる!
「ぎゃあああああ!!」
この男、ヘタレにつき。ヤムチャまっさかさま。
「お、そういやぁ、悟飯が老婆痛風拳っちゅう技を使ってたぞ?お前がやったんか?」
ヤムチャが落ちたことも分からず後ろに喋り続ける悟空。重さがなくなったんだから気づくだろ普通…しかも狼牙風風拳が老婆痛風拳になってやがる…
ヤムチャの心の叫び(&突っ込み)も空しく、悟空は落下していくヤムチャに気づくことはなかった。
ぐんぐんと地面が近づいてくる。300.250.200.150.100…もうだめか…あ!
「体を気で支えれば腰は痛くなくなるぜ!」
ヤムチャは叫んだ。今更気づいたところでどうということはない。あ、悟空に声が届いた。ああ、もう遅いよ、悟空…。
次の瞬間…ヤムチャは腰を地面に激しく打ち付けて、あまりの痛みに気絶していた。
「お~い、大丈夫か?」
悟空はヤムチャに向かって叫ぶ。ヤムチャ、気絶して動かない。
「あり?うごかねえぞ?」
ヤムチャは下着姿、薄いシャツではとてもではないが衝撃を緩和できない。しかも指を動かしたり喋ったりするだけで激痛が走るのだ。
式にして説明すると
X(腰の痛み)+Y(落下した距離)×Z(落下速度)×1.5(腰直撃)
こういう式が出来上がる。腰直撃の痛みはどれほどか不明だが1.5にしておく。
簡単に説明するとヤムチャはとても痛かったというわけだ。
悟空は地面に降り、頭を掻いている。
「めぇったな…まあいいか」
楽観的にそう言うと、悟空はヤムチャを担ぎ神殿に向かって飛び立った。ヤムチャの口からは泡が出ていた。