たまにはヤムチャが活躍する話を考えようぜPart27at ENTRANCE2
たまにはヤムチャが活躍する話を考えようぜPart27 - 暇つぶし2ch150:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 15:42 lcU.ccGE
【53話】
(いつも思っていたけど、どうしてスーパーサイヤ人3って眉毛がなくなるんだろう…)
この変身を見慣れているヤムチャは、悟空のは気の変化云々より、そんな些細なことに突っ込みを入れていた。
「…これが今のオレに出来る最高の変身だ。…この変身でも、ゴテンクスや悟飯を吸収した魔人ブゥには到底敵わなかったけどな」
「何…?今のお前でも、敵わない敵がいたというのか?」
「ああ、敵わないな。まぁそいつはもう元気玉で消滅しちまったが…」
その悟空の話を聞いて、ヤムチャが絶望し、悟空たちに追いつこうという闘志を失ったのも頷けるとマーリンは思った。
普通のスーパーサイヤ人の状態ですら、反則に近い強さであるのに、そこから更に二段階も変身できる悟空。
それに対し、界王拳で強さを倍化させることの出来るヤムチャだが、素の状態での戦闘力が違う上に、強さが何百倍にも膨れ上がる変身が可能な悟空には、到底及ぶはず

がない。

フッ、と悟空の変身が解け、元の黒髪の状態に戻る。
顔付きも前の穏やかなものになり、緊張感が一気に緩んだ。
「…とまあ、今のオラはこんなもんだ。どうだ?少しはやる気出たか?」
さすがに戦意喪失するだろうと思っていたヤムチャは、マーリンを横目でちらりと見た。
だが、そのマーリンの目は諦めた目でもなく、以前自分や悟空に見せた時の、燃えるような闘志が宿った目だった。
「……ああ、俄然やる気が出た。わたしの目標はやはり…ソンゴクウ、お前を倒すことにあるみたいだ」
マーリンの予想外の反応に、ヤムチャは驚く。
実力の差が分からないはずもない。
今から2週間では、どう修行しても追いつけるはずもない。
なのに…彼女のあの何かを信じて揺るがない、断固たる意志が感じられる目つきはなんなのだろう?
先ほどまでマーリンは震えて動くことすら出来なかったように見えたが、その震えは武者震いだったのだろうか?
今のヤムチャには到底理解できなかった。
「ははっ、そうかぁ!やっぱりおめぇはなかなか骨があるなぁ!オラ、期待してっぞ!あ、ヤムチャにもな」
「あ、ああ…って俺にも?」
ノリで受け答えするヤムチャだが、すぐさま悟空に突っ込む。

151:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 15:43 lcU.ccGE
【54話】
悟空の眼中にないと思われていたヤムチャだったが、悟空はしっかりとヤムチャを見ていた。
「ヤムチャ、オラは知ってるからな。ヤムチャが隠れて長年ずっと修行してんのは」
「…!…そ、そうか…」
悟空は気づいていた。
自分が修行していたことを。
だが、それは同時にヤムチャにとってに恥ずかしいことでもあった。
ずっと修行をしつつも、全く縮まることなく離れ続けていく実力差。
努力を認められ、評価されても、結果として現れなければ意味がない。
“ヤムチャはがんばった”
“ヤムチャはやるだけやった”
言葉では何とでも言える。
だが、今のヤムチャにはそんな評価なんて必要ない。
欲しいのは――皆をあっと言わせるだけの実力…ただそれだけだった。
ヤムチャは悟空を厳しい目で睨み返す。
「悟空…俺もお前を倒すつもりで今から修行に励むことにした。お前を倒さずして、優勝はないだろうからな」
「…ああ。けどヤムチャ、オラだって負けねぇからな」
「お前と戦えるのを楽しみにしているぞ、悟空」
「良い試合になるといいな…ヤムチャ」
二人はかつてのライバルだった時のように、腕と腕を合わせる。
悟空はこの時、内心本気でヤムチャに期待をしていた。
同じ時期に武術をはじめたもので、今も毎日修行に励んでいるのはヤムチャと悟空ぐらいなものだった。
この男は絶対に何か仕掛けてくる…自分の想像できない何かを…。
そんな胸に秘めた思いを募らせながら、悟空はヤムチャと距離をとった。
「…んじゃ、オラはそろそろ戻るとすっかなぁ…腹も減ったことだし。そのちっこいおめぇらの子供にもよろしくな」
ヤムチャはこくりと頷く。
マーリンも無言のまま悟空を見つめている。
そして、右手の人差し指と中指で額に手をあてながら、左手で自分たちに2、3回手を振ると、瞬間移動で跡形もなく消えてしまった。

152:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 15:45 lcU.ccGE
【55話】
…悟空が消えただけで、やたら空気が静かになったように感じる二人。
「…まあ、座ろうぜ…マーリン」
ヤムチャはそばにあったちょうど良い高さの石に腰をかける。
その隣にマーリンも腰掛ける。
「……さて、俺たちはどうしようか」
悟空が去ってからしばらくの沈黙の後、ヤムチャはそっとシルフを地面に寝かせると、マーリンに向かって話し掛ける。
「……ヤムチャ、ソンゴクウの戦闘力は…今数値で言うとどれくらいなのだ?」
マーリンはヤムチャに訊ねる。
「わ、分かるわけねーだろ…そんなの。お前の持ってる機械でさっき測ればよかったじゃないか」
「…あれは、わたしとヤムチャが組み手をする前に既にバッテリーを抜いてある。500万までしか計測できないのでな」
「それを超えるとどうなるんだ?」
「おそらく、電子回路がショートしてチップが故障し、二度と機能しなくなると思う…」
「へー…」
(測定不可能な値になった程度で故障するなんて、なんてデリケートな機械なんだ…)
ヤムチャはスピードガンで野球の球の速さを測るような感覚で物を考えていた。
気を察知して数値化する際に、大量に電力消費でもするのだろうか。
「前のように想像で構わない。ヤムチャ、わたしと最後に地球で戦った時のソンゴクウが500万だとすれば…今はどのくらいだ?」
「うーん…そうだな……うーん……どんなもんだろう…あれから結構経つからな」
ヤムチャは長考を始める。
「多分だけど…スーパーサイヤ人3の状態で、1億5000万以上はあるんじゃないかな…悟空は」
「…いちお…く…ごせんまん…?」
ある程度の数値は覚悟はしていたが、想像した単位と桁すら違っていたことにポカンとするマーリン。

153:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 17:16 lcU.ccGE
【56話】
1億5000万…前のソンゴクウが500万だとしたら、その30倍強くなっているということになる。
「ああ、本当に想像でしかないけど…。お前と戦った時と比べたら、遥かに強くなっているのは分かったろ?」
マーリンもヤムチャの言葉を聞き、マーリンは唸りながら下を向いた。
「……ヤムチャの言っていることが正しければ、普通に修行しては、孫悟空には到底追いつけないことは分かった…」
「はは…さすがのお前もお手上げか」
ヤムチャが笑いながら言うと、マーリンはキッとヤムチャを睨む。
「そうじゃない!ソンゴクウに勝つためには、“普通ではないこと”をする必要があるということだ」
「……例えば…?」
「……。……それは、今考えている」
はぁ、とため息が出る二人。
やる気はあるのだが、どうしていいかが分からない。

しかし、ふとヤムチャが何かに気づいたかのように立ち上がる。
「そういえば…マーリン、お前スーパーサイヤ人になれるのか?」
マーリンは立ち上がったヤムチャの顔を見上げると、やれやれといった表情で答える。
「いや…。誰でも簡単になれるものでもないだろう」
伝説の戦士と言われているスーパーサイヤ人。
彼女は、孫悟空が特別な存在であり、そう易々スーパーサイヤ人になれるものではないと思っていた。
自分がサイヤ人の血を引いているのにも関わらず、スーパーサイヤ人になろうという発想すらなかった。
だが、ヤムチャは意外そうな表情を浮かべる。
「いや…地球のサイヤ人たちは今や全員スーパーサイヤ人になれるぞ…」
ヤムチャのこの言葉に、マーリンも思わず立ち上がった。

154:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 17:20 lcU.ccGE
【57話】
「な…なんだと!?ヤムチャ、それは本当か…?」
「ああ、シルフと同じぐらいの小さなサイヤ人と地球人の混血の子ですら、スーパーサイヤ人になれてるからな」
信じられない表情を浮かべるマーリンだったが、やがて落ち込んだように再び地面に座り込んだ。
「くっ…では、わたしは何故なれないのだ……」
俯いて悔しがるマーリン。
「スーパーサイヤ人は強さ云々じゃなくて、怒りをきっかけに変身できるようになるって聞いた。だからいくら強くても、きっかけがなければずっとなれないんだ…タブン」
ヤムチャは得意げに語るが、どこか信憑性に欠ける感じだ。
「怒り?」
「…悟空の例で話すと、悟空はフリーザに親友を目の前で殺された怒りがきっかけで、スーパーサイヤ人に目覚めたんだ」
「……そうなのか」
「だからマーリンもとりあえず……怒れ!そうすればお前も絶対なれる、スーパーサイヤ人に!」
ヤムチャにそう叫ばれるマーリンだが、困ったような顔をする。
「だが、怒れと言われても…己の感情を自由自在に操るのは難しいぞ…」
「じゃあ、目を瞑って、俺やシルフが誰かに殺されたことを想像してみろ」
「……やってみる…」
マーリンは言われたとおりに目を瞑り、想像を始める。
が、当然ながらなかなか本気で怒ることができない。


「…っ……!」
「…だめか?」
うーんうーん…と唸りながら、1時間ほど目を瞑り続けたマーリンだったが、やがて心が限界にきた。
「…すまない、少し休みたい」
ヤムチャはマーリンの顔色を見る。
少し青白くなっており、あまりいいとは言えない。
体を酷使するより、心を酷使する方が疲れるのだろうか。

155:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 17:22 lcU.ccGE
【58話】
「分かった。こればかりはあんまり無理しても無意味だろうし、少し休むか…」
マーリンがそれに頷くと、ゴロンと二人は横になる。
目の前には、青い空が広がるのみだった。
「ヤムチャ…」
寝転がった状態でマーリンが不安げな声でヤムチャに話し掛ける。
「ん」
ヤムチャは再会してから初めて漏らす、彼女の震えた声に耳を傾けた。
「わたしは…いや、わたしたちはソンゴクウに本当に勝てると思う…か?」
常に強気な彼女にしては意外な質問だったが、ヤムチャは答える。
「勝つか、負けるか…選択肢があると思うか?もう勝つしかないんだよ、俺たちは。少なくとも俺は勝つことしか考えてないぜ。お前もそうだろ?」
「………うん」
ヤムチャが笑顔で答えてくれたおかげで、マーリンも少し安心した。
この男についていけば、間違いなく勝てるはず。
前回もそうだった。
自分に出来るのは、ヤムチャを信じることと、自分の力を信じることだけだ。
二人は再び空を見つめなおす。
「…マーリンは、今までずーっとこの空の先にいたんだよな」
「……?ああ、そうだが…」
「そんなお前が、この宇宙から見たらホコリみたいなちっぽけな星に偶然降り立って、偶然俺と会って、戦って…そんな二人がこうやって隣で寝そべってるんだなーって

考えるとなんか凄いよな。宇宙は広いのにさ」
「…?えっと、何が言いたいんだ」
何が言いたいのか分からないヤムチャに、マーリンは首をかしげながらヤムチャを見つめる。
「……。…とにかく、会えてよかったよなってことだ!」
「そうだな…。自分の運命を憎み続けていたわたしだが、ヤムチャと出会えたことだけは運命に感謝しなければならない…」
マーリンは空を見つめながら素直な気持ちを語る。

156:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/21 17:29 lcU.ccGE

【59話】
戦うことしか出来なかった自分に、ヤムチャは戦いを通じて様々なことを教えてくれた。
そのおかげで、今の自分がある。
ヤムチャが思っている以上に、マーリンはヤムチャに心から感謝していた。
「マーリン」
ボーっとしていたマーリンだったが、ヤムチャの声に気がつくと、自分の顔のすぐ前にヤムチャがいることを確認する。
そして、いつの間にか口と口が静かに重なり合っていた。
「…ん」
二人は、ようやく久しぶりのキスを交わす。
思わず他の事に手が出そうだったヤムチャだが、シルフもそばで寝ていることだし、さすがに自重した。
っていうか、こいつマーリンに似て寝すぎだろ…とキスの最中に心の中でヤムチャはそっと思う。
対照的にマーリンはなんとも言えないこの胸に高鳴りに、自分がどうにかなってしまいそうな気さえしていた。
ほんの10秒ぐらいの時間だったが、マーリンにとってはもの凄く長く感じた。
「…さて、マーリン、気を取り直して特訓だ!スーパーサイヤ人への道はまだ遠いぜ」
「…そ、そ…そうだな。はじめるか」
キスで調子を狂わされたと思っていたマーリンだったが、先ほどよりずっと心が楽になっていることに気づいた。
ヤムチャが自分を安心させてくれたおかげなのだろう。
もしかしたら、それも計算してヤムチャは自分にキスをしたのだろうか?
そうだとしたら、実に凄い男だ…と彼女は再び思った。
「…ありがとう、ヤムチャ」
「何がだよ」
「…ふふ、いろいろとな」
「ふうん…」
マーリンはニヤリと笑う。
ヤムチャも釣られて笑う。
そして二人はマーリンをスーパーサイヤ人にするため、再び特訓に励むのだった。
特訓と言っても、ヤムチャは隣でアドバイスを送るだけだが…。

157:Classical名無しさん
08/12/23 07:15 O04vnwwk
更新乙です。やっぱりおもしろいな

158:Classical名無しさん
08/12/25 10:31 ShTPL/Z2
Meri-kurisumasu

159:Classical名無しさん
08/12/25 21:22 gPU1qno.
サイヤンキラー無印の頃から悟空が悪役に見える

160:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:44 eRGZjAqU
メリークリスマス!
たくさんのコメントや支援書き込み、ありがとうございます。
皆さんからの応援があるから頑張って書いていけます><

>>159さん
それは私も思いましたw
あくまでSaiyanKillerはヤムチャとマーリンが主役なので、
悟空やベジータなどにはそっち路線に行ってもらったほうがストーリーが展開しやすい気がします

161:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:46 eRGZjAqU

【60話】
一方、ピッコロは占いババの元を訪れていた。
神と融合したあとのピッコロには、ちょっとした未来予知能力のようなものが備わっている。
その能力により、ピッコロは具体的に何が起きるかは分からないが、近い将来“悪い何か”が起きると予知をしていた。
そう、セルの出現を地球で一番早く予知していた神のように…。
つまり、ピッコロはその“悪い何か”を占いではっきりさせるために、占いババの元へと単独で乗り込んだのだ。

「ここか…。出て来い、占いババとやら!」
ピッコロが建物の外から叫ぶ。
すると、薄黒い建物の中から、水晶球に乗り、フワフワと宙に浮かびながら占いババが姿を現した。
「なんとまあ…これはこれは、珍しい客がおいでなすった…」
占いババは驚いたようにピッコロに向かって言った。
「…貴様、占いが出来るんじゃないのか?俺が来ることぐらい占いで分かっているものだと思っていたが」
ピッコロはそう言うと、腕を組みながら占いババに向かって近づいていった。
「ふぉふぉ…ここに誰が来るかなどを頻繁に占ったりはせんのでね」
「そうか」
ピッコロはつまらなそうに言葉を返す。
「それにしても、まさかおぬしが単独でたずねてくるとはのう…」
占いババはピッコロが怖いのか、少し距離を置きながら喋っている。
「俺もまさかこんな胡散臭い所に、一人で来るとは思わなかった。…ダラダラ喋るためにここにきたわけではない。手短に言う、地球の近い未来を占え」
ピッコロは真剣な面構えで、淡々と占いババに向かって喋る。
「地球の…未来?お主ともあろうものが、地球の未来が心配なのかね?」
「……つべこべ言ってると後悔することになるぞ。もう一度言うが、俺はダラダラ喋るためにここにきたわけではない」
「わ…分かった!占えばええのじゃろ、占えば!」
ピッコロの威圧感により、占いババはびびってすぐさま占いを開始する。

162:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:46 eRGZjAqU
【61話】
占いババは水晶球から地面に降りると、それに向かって手の平で何かを念じ始めた。
それを黙って見つめるピッコロ。
「ほほほーいほほーいほいホーイ…」
占いババが奇妙な呪文のようなものを唱えると、水晶球に変化が現れる。
透き通っていた水晶球が、白く濁り、何も見えなくなったのだ。
「これ…は………」
占いババは小さく声をあげる。
その頬に、わずかな冷や汗を浮かべて。
やがて、水晶球の濁りは消え、元の透き通ったただの球に戻った。
その水晶球をしばらく見つめていた占いババだが、元からシワだらけだった顔が更に歪む。
「終わったみたいだな。…どうなんだ?」
その表情を見て、ピッコロはただごとではないと思い、占いババに結果を問う。
「……こりゃ…とんでもない事が起きるかもしれん」
「かもしれん、では困る。具体的に何が起きるのか話せ」
ピッコロが強い口調で占いババに結果を話すよう催促すると、占いババの顔は深刻そうなものになり、しばらく間を置いて口を開く。
「…“具体的”には分からん。何も映らんのじゃ」
その呆気に取られるような結論に、ピッコロは占いババに突っかかる。
「なんだと…?ふざけているのか?」
だが、占いババは微動だにもしない。
ピッコロも気付いていた。
こいつはただ単に、ふざけているわけではないということを。
「…ピッコロとやら、よく聞け。今わしは地球の未来をこの水晶球を使って占った。…じゃが、この水晶球に、地球の未来が映らんかった。…この意味が分かるかね?」
「分からん。どういう意味だ」
占いババは青ざめながら、ゆっくりと言った。
「どういう経緯かは分からんが、このままいけば………地球がなくなる…ということじゃ」

163:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:48 eRGZjAqU
【62話】
しばらくの沈黙が流れる。
ピッコロは目を大きくさせながら、占いババを見つめていた。
占いババはそれ以上何も言わずに黙り込んでいる。
「貴様、何を言っている……?」
重い空気の中、ピッコロが沈黙を破る。
「……こんな事が本当に起きるだなんて、わしじゃって信じたくないわい」
この様子だと、占いババが嘘を言っているとは思えない。
そして、ピッコロの中の予想は、確信へと変わって言った。
「…やはり、あの娘……マーリンとやらは、何かしでかしやがるのか……」
占いババに聞こえないように呟くと、ピッコロは続ける。
「おい、貴様。貴様の占いと言うものは確実に当たるんだろうな?これは今から何日後の話だ?」
「今から3週間後ぐらいじゃと思う…。未来予知に関しては、“一番確率の高い未来”を映し出すようになっておる。じゃから、100%とは言いきれないが…地球がやばいことに変わりはないじゃろうな」
「…そうか、分かった。助かったぞ、占いババとやら。悟空たちには俺から伝えておく」
「ああ…そうしてくれ。わしは近いうちに、地球以外の場所に避難するとするかのう…」
「…好きにしろ」
ピッコロはそう言うと、宙に飛び上がり、高速で悟空たちの家へと向かっていった。。
「…チッ。だがどうすればいい……悟空に言ったところで、何が起きるか具体的には分からんのでは、手の打ちようが…」
ピッコロは高速で移動しながら、独り言を呟く。
その目には、明らかな焦りの色が浮かんでいた。

164:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:49 eRGZjAqU
【63話】
そして、ここはパオズ山。
孫家は天下一武道会に備え、ちょうど今日から本格的に修行を始めようとしているところだった。
「今日は日曜日だから、一日中修行が出来ますね。父さん」
悟飯が家の中で私服から胴着に着替えながら、悟空に話しかける。
「そうだな、悟飯。とりあえず、着替え終わったら準備運動すっか。にしても…昨日悟飯がデートなんてしなけりゃ昨日から修行できたのによー」
悟空は屈伸しながらニヤニヤして悟飯に言う。
「す、すみません…ビーデルさんが忙しくて昨日ぐらいしか時間とれなかったもので…」
その率直過ぎる言葉に、顔を赤らめる悟飯。
「ぼくも一緒に修行するー!少年の部はなくなったから、一般の方で出るんだ!」
悟天は腕立て伏せをしながら、気合十分といった感じだ。

スタッ!

そこへ静かにピッコロが降り立つ。
「え?ピ…ピッコロさん!?どうしてここに?」
降り立ったピッコロの元に、悟飯が一番に駆けつける。
「オッス、ピッコロじゃねぇか。天下一武道会に備えて、オラたちと修行する気になったのか?」
悟空も遅れてのそのそと歩み寄る。
「…武道会なんぞに興味はないが、話があってここまで来た」
「なんだ?改まって」
「実はだな……――」
ピッコロは占いババから仕入れた情報を、全て悟空、悟飯に話す。

165:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:53 eRGZjAqU
【64話】
「―という訳だ。マーリンという娘が鍵を握っているだろう。俺の嫌な予感が始まったのが、ヤツが地球に来ると知った辺りからだからな」
「地球が…なくなるって…本当なんですか?ピッコロさん…」
悟飯はいきなり突きつけられた最悪な未来にうろたえる。
悟空はそれを聞いてもあまり驚いた表情は見せず、ただ下を向いて何かを考え出した。
「占いババとやらがそう言っているんだ。ただ、もっとも確率の高い未来というだけであって、100%地球がなくなるというわけでもないらしいが…」
「なくなるにしろ、なくならないにしろ、ばっちゃんがそう言ってんならどっちにしろ地球がやべぇことに変わりはねぇ。けどよ、それだと抽象的過ぎて解決法がねぇんじゃねーか?」
「その通りだ。俺が今のところ思いつくのは、非道かもしれないが…取り返しがつかなくなる前に、マーリンとかいう小娘を始末するという方法ぐらいだな…」
ピッコロは提案を出すが、その提案に、悟空や悟飯が賛成するはずもなかった。
尤も、ピッコロも本気でそんなことをするつまりなんて更々ない訳だが。
「ピ、ピッコロ…さすがにそりゃねぇよ…。第一、今は別にワリィことしてねぇのに手ぇ出すってのはオラにはできねぇ…」
「そうですよ!それはあんまり過ぎます。ぼくたちと一緒にもっと他の方法を考えましょう、ピッコロさん!」
「…チッ…相変わらず甘いな、貴様ら親子は」
ピッコロは一回舌打ちし、続ける。
「それでは孫、お前はどうすればいいと考える」
ピッコロは意見を悟空に求めた。

166:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:54 eRGZjAqU
【65話】
「難しいことはよくわかんねぇけどよ…もしマーリンが原因なら、マーリン以上にオラたちが強けりゃ問題ねぇんじゃねぇか?」
ピッコロの問いに悟空はすぐさま答えた。
「ぼくもそう思います…。それに、果たして本当にマーリンさんに原因があるのでしょうか?」
悟飯も悟空の意見を肯定する。
そして、その言葉にピッコロはハッとした。
「…確かに、俺の勘違いだということもあり得るな。だが…もし原因がヤツではないとしたら一体他に何が……」
「さっきチラッとあいつを見てきたけど、オラや悟飯の方が、だいぶパワーは上だったぞ。あいつが元凶とは思えねぇな」
「…忘れたわけじゃあるまい。10年ほど前、ヤツが1ヶ月という短期間で前のお前並みの強さに伸し上ったことを。今の強さは参考にならん」
「……まあな」
悟空、悟飯、ピッコロの3人は同時に深く考え込む。
悟天も最初は耳を澄ませて聞いていたが、会話についていけず、暇そうに腕立て伏せを再開していた。

「で…ピッコロ、地球がなくなる時期ってのは今からどんぐれぇ先の話なんだ?」
悟空がピッコロに質問する。
「役3週間後…だと聞いた。そう遠い話ではないぞ」
「そうか、じゃあ天下一武道会の後ってことだな…」
悟空はそう答えると、再び屈伸を始めだした。
「おい、孫…」
能天気にも見受けられる悟空の行動に、ピッコロは何かを言いかける。
だが、悟空はピッコロの言葉を気にせず準備運動を続けていた。

167:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:55 eRGZjAqU
【66話】
「考えたってはじまらねぇさ。オラはとりあえず、うんと修行する。そして誰にも負けねぇぐれぇの強さになる!それじゃだめか?」
悪く言えば楽観的過ぎ、良く言えばとてもポジティブな悟空ならではの結論に、ピッコロの口元が緩む。
「……ケッ、貴様らしい結論だな。やはり、そうするしか手はないか」
「ピッコロさんも一緒に修行しましょうよ、せっかくですし!」
悟飯は一大事だと言うのに、ワクワクしているように見える。
やはり、このへんは悟空の血を引いているのだなとピッコロは思った。
「…フン、いいだろう。だが勘違いするな、俺は別にお前らと修行がしたいわけでは―」
「ピッコロー、そうツンツンすんなってー!それよりとっとと始めようぜ!」
こうして、孫家とピッコロの修行が始まった。
ピッコロが感じ取った“悪い予感”とは一体何なのか?
地球危機の原因は本当にマーリンなのか?
元凶は分からないまま、彼らはひたすら修行に打ち込みはじめた。

168:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:57 eRGZjAqU
【67話】
「くっ……ぎっ…」
それから更に1時間経っていた。
動いてもいないのに、マラソンをした後のようにマーリンの体から大量に水滴が滴り落ちてゆく。
「だめだだめだ!ただ単に気を上げてどうする!それじゃあ疲れるだけだぞ」
ヤムチャの厳しい指摘が入る。
「いいか?気を上げることはさほど重要じゃない。それより何かにブチ切れるんだ。その怒りがお前をスーパーサイヤ人にする」
ヤムチャはさっきから何度も同じことを言っていた。
スーパーサイヤ人に関する知識が、それくらいしかないからだ。
だが、大よそ間違っているわけでもない。
「分かっている…!分かっているのだが……っ…」
マーリンは全神経を集中して怒ろうとしているが、特に憎く思っている相手もいないため、非常に難しいものだった。
「………よし!とりあえず休憩だ。髪の毛がゾワって一瞬逆立つときがあったから、多分もうちょいだな」
ヤムチャから休憩の合図が出ると、マーリンはバタリと倒れた。
「お、おい…大丈夫か?」
「…問題ない。それより一秒でも早くスーパーサイヤ人になれなければ…まだ続けるぞ、ヤムチャ!」
「無茶だ。とりあえず今は休め、体の傷は治るが、心が壊れちまったら取り返しつかないぞ」
ヤムチャはそう言いながらマーリンの背中をぽんぽんと叩いた。

169:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/25 23:59 eRGZjAqU
【68話】
さっきまで寝ていたシルフは既に起きていて、両親が行っている不可解な修行をジッと見つめていた。
ただ目をつぶりながら何かを考えている母と、その隣で腕を組みながらそれを見守っている父。
余りにも不可解なため、何をしているか質問したのだが、『ソンゴクウを倒すための修行』としか教えてくれなかった。
悟空よりマーリンやヤムチャの方が絶対に強いと信じてやまないシルフにとっては、当然納得のいくものではない。
「ねー、お父さん。修行しなくてもあいつに勝てるのになんでこんなことしてるの?」
シルフが健気にヤムチャに質問する。
「…そ、それはなあ…」
父としては、子にここまで信じられたら、自分は悟空より弱いだなんて中々言い出しづらい。
それを聞いたマーリンは、乱れていた髪をかきあげるとシルフに近づいていった。
「シルフ、ソンゴクウはお前の想像している以上に強い男だ。今のままでは、わたしもヤムチャも勝てない。だからこうしている」
「え……お母さんたちが…あの男に勝てない?…どうして?」
「……ソンゴクウは、お前が生まれる前に、わたしが辛うじて倒したという話をしただろう?」
マーリンはシルフの前にしゃがみこみ、目線を合わせて言った。
「うん、でもお母さんはその時よりぜんぜん強くなったって…」
「確かに、わたしはその時より遥かに強くなったが、ソンゴクウはそれ以上だった。ヤツは前あった時より30倍ほど強さが増している…この意味が分かるな?」
シルフはそれを聞くと、驚いた顔になる。
「だって…だって…いろんな星を回ったけど、お母さんより強いヤツなんて一人も今まで……」
「シルフ…宇宙は広い。今までわたしが倒してきた者など、ただの雑魚に過ぎなかったということだ。少なくとも、この星の視点からだとな…」
残念にするシルフを見て、心が締め付けられるような思いがしたヤムチャ。
「そっか……でも、最後の勝つのはきっとお母さんかお父さんだよね?」
「それは、約束しよう。そのためにも、わたしたちは一秒たりとも無駄に出来ないんだ…」

170:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:04 Vq.Wea2g
【69話】
マーリンはそう約束をすると、拳を強く握り締め、打倒ソンゴクウを誓うように空を見上げた。
「…うん!がんばってね…お母さんも、お父さんも!応援するから!」
やはり、シルフは自分たちを信じきっている。
この純粋な期待を裏切るわけにはいかない…絶対に。
黙って会話を聞いていたヤムチャだったが、そう心の誓った。

それに…ヤムチャを心から応援してくれる者は、シルフだけではない。

「―様ー!ヤムチャ様ぁー!」
少し遠くから声が聞こえる。
3人はまっすぐと飛んでこちらに向かってくる者に一斉に視線を向けた。
当然ながら、ヤムチャはすぐにその声の主の正体に気付く。
「プーアル…!」
ヤムチャは思わずその正体の名を叫んだ
「プーアル……?知り合いか?ヤムチャ」
マーリンがヤムチャの言葉に反応し、ヤムチャに尋ねた。
「知り合いも何も、俺と長年ずっと一緒に過ごしてきたパートナーだ、あいつは」
自慢げにプーアルのことを語るヤムチャだったが、マーリンの表情はあまり穏やかではなかった。
「パートナー…恋人?」
マーリンは少し声のトーンを落としながらヤムチャに言った。
「ば、ばか!どう見たって恋人じゃないだろ…そもそも地球人じゃなくて猫だし」
「そういう意味だと、わたしも地球人ではないが…」
マーリンは不信そうな表情を浮かべ、ヤムチャを睨むようにして立っていた。

171:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:05 Vq.Wea2g
【70話】
「……あのなあ」
「ヤムチャ様ぁーー!今戻りました!」
プーアルは飛んできた勢いで、小さな体ながらそのままヤムチャの顔面にに抱きつく。
「ご、ご苦労だった、プーアル…」
抱きついてきたプーアルの頭をよしよしと撫でるヤムチャ。
しばらくしてからプーアルがヤムチャの顔から離れる。
「あれ…ヤムチャ様、そちらの女性とお子さんは…一体?」
プーアルは今気付いたのか、ようやくその話題に触れた。
「ああ…紹介しようプーアル。こっちは俺の嫁さんでマーリン。で、これが俺たちの子供、シルフだ」
「……!?……え…?ヤムチャ様、結婚されてたんですか!?」
ヤムチャの言葉を聞いて、思わず目が点になるプーアル。
それもそのはず、長い間ヤムチャと共に過ごしてきたのに、ヤムチャに奥さんがいることに全く気付かなかったからだ。
だが、プーアルが気付かなかったのも無理はない。
「ほら、前に話したろ、人造人間との戦いに備えて俺が一人身で修行していた時に出会った女の子の事。それがこのマーリンってわけだ。で、昨日ドラゴンボールを使っ

て地球まで呼び寄せた」
「あ…!そんな話ありましたね。ボクはその場にいなかったからいまいち記憶が曖昧で…でもお子さんは…いつ…?」
「んーと…なかなかプライベートな質問だな。まあ、その時に精神と時の部屋で…ちょっとな」
自分が知らなかったヤムチャを取り巻く事実を告げられ、プーアルは素直に驚くしかなかった。
だが、その驚きの表情もやがて喜びに変わる。
なんせ、結婚とは長年主人であるヤムチャが追い求めていた夢だったのだから。

172:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:09 Vq.Wea2g
【71話】
「そうなんですかぁ……。ヤムチャ様、おめでとうございます!やっと結婚できましたね!」
「あ、ああ…はは、ありがとな。式は挙げてねーけど…」
「さっそく結婚式あげましょうよー!ボクが手続きとかは全部やりますから!」
プーアルはまるで自分のことのように張り切っていた。
「そうだな…天下一武道会が終わったら式でも挙げてみるか」
ヤムチャは呟くように言った。
「え、ヤムチャ様…天下一武道会に出られるんですか?」
「ああ、今回は出るつもりだ」
「それじゃあ、いっそう修行に身を入れるしかないですね!」
マーリンとシルフは、ヤムチャとプーアルの話の内容自体はあまり気にしていなかったが、いきなり現れたこの青い猫がヤムチャとやたら親しげで、なんともいえない複雑な心境だった。
あの猫はどう見ても戦士ではないが、一体ヤムチャのなんなのだろう?
そんな疑問がマーリンには募る。

「で、プーアル。カプセルコーポレーションに修理を頼んだアレはどうだ?直ったのか?」
「あ…!そうでした、今日はこれを届けに来たんですよ」
そう言いながらプーアルはカプセルを取り出すと、ボタンを押下して地面に放り投げた。
すると、砂煙が舞い、何もなかった荒野に、カプセルの何千倍はあろうかというかなり大きな宇宙船のようなものが姿を現す。
「……す、すごい…!」
昨日ヤムチャからカプセルを見せてもらったマーリンはさほど驚かなかったが、シルフは口をあけながらその宇宙船を見つめていた。
「随分と綺麗になったな。大きさも前より大きくなって中も広そうだ。最大重力は何倍って聞いている?」
「えっと、重力はヤムチャ様の希望で一応1000Gまで設定できるみたいですが…とても心配していましたよ、ブリーフ博士」
「お、ようやく1000Gか。確かに今の俺では立って居られるかすら微妙なところだけどな…」
ヤムチャは顔を顰めるが、どこか嬉しそうにも見える。

173:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:10 Vq.Wea2g
【72話】
二人の会話を黙って聞いていたマーリンだが、ヤムチャのそばまで歩み寄ってきた。
「ヤムチャ、これはなんだ?一見宇宙船のように見えるが…」
マーリンは宇宙船を手で軽くコンコンと叩きながらヤムチャに尋ねる。
「これは重力発生装置だ。まあ、元々宇宙船だったんだけど、今は宇宙船としての機能はついていない。純粋に重力を発生させるだけだ…最大1000倍のな」
「なるほど。…1000倍……ヤムチャとわたしが修行したあの不思議な部屋で、確か10倍だったような…」
「でも、あの時はそれとは別に錘(おもり)もつけていたし、体感重力は100倍ぐらいだろうな」
昔、ヤムチャとマーリンは精神と時の部屋で修行をしたことがある。
その時は、10倍だけの負荷じゃ足りないと思い、手足に錘もつけて修行を行っていたのだ。
「それでは、ボクはこれで……」
プーアルは用が済んだからか、その場を去ろうとした。
「ちょっと待て。どこに行くんだ?」
逃げるようにこの場から離れていこうとするプーアルを、ヤムチャが引き止める。
「…西の都にでも、戻ろうかなーって…思いまして……」
「どうしてだよ、プーアル。ここにいろよ」
「そうしたいのは山々なのですが、なんというかその……いいんですか?」
申し訳なさそうな表情を浮かべるプーアルに、ヤムチャは笑いながら言った。
「はは、いいんですかって…何言ってるんだお前。まさか俺がマーリンたちと一緒にいるからって、気を遣っているのか?」
「……ええ、その方がいいのかなと思いまして…」
「水臭いぞ、プーアル。むしろ俺はマーリンたちにお前のことを知ってもらいたいし、お前にもマーリンたちのことを知ってもらいたい。ちょうどいい機会だし、お互い自己紹介しようか、ほら」
ヤムチャはプーアルを捕まえると、マーリンたちの前に座らせた。

174:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:16 Vq.Wea2g
【73話】
「…えっと、初めまして、マーリンさん、シルフさん。ボクはプーアルと言います。特技は変身です」
「ぼくはシルフって言うんだ。よろしく、ぷーあるさん」
「…マーリンだ。ヤムチャが世話になっている」
さっそくシルフはプーアルの頭を撫でたりしてかわいがっていた。
マーリンは腕を組みながらプーアルを見つめる。
その様子を見て、うんうんと一人で頷くヤムチャ。
「ちなみに、プーアルは俺の古くからの親友だ。悟空たちと会う前から一緒に居たからな」
「あはは!シルフさんくすぐったいですよー!」
プーアルはシルフに擽られて笑い転げていた。
その様子を見てヤムチャは腹を抱えて笑っている。
息子はすっかりプーアルとなじんだみたいだが、マーリンは、未だに複雑な気分だった…。

シュビッ!

「……!」
ヤムチャたちは、再び後ろに大きな気を感じた。
だが、この気は悟空とは違う。
振り向くと、そこには明らかに異世界の人間と思われる人物が立っていて、こちらを見ていた。
悪い気ではないので、悪人ではないと思うが…一応警戒を始める二人。
はしゃいでいたプーアルとシルフも途端に静かになる。
変わった服装のその男は、二人に向かってしゃべり始めた。

175:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 00:51 Vq.Wea2g
ふう…。
誤字脱字が確認しただけで2箇所ありました。
疲れているのかもしれません。

続きはまた明日にでも!

176:Classical名無しさん
08/12/26 01:40 e3VqxY06
初めて書き込ませていただきます。SaiyanKillerを以前読ませていただいて、続編があればいいのにと
思っておりました。書いている方が違うということですが、SaiyanKiller2もとても
おもしろいです!楽しみにしてますので、がんばってください!!

177:Classical名無しさん
08/12/26 19:12 sFDI0N2k
>>176
ageてるのは故意なのか?それともsage方が分からないんですか?今度から気をつけてください。

それとマーリンがスーパーサイや人3の悟空を超えるのも無理ではないか?
老界王神に潜在能力を開放してもらって悟空を超えるのなら分かるが
悟空は何年もかかってスーパーサイヤ人3になれたのに
マーリンはそれを短期間で超えるってのはおかしいよ。
悟空を超えるのはかまわんけど悟飯やゴテンクスは越えないでくれよ。
悟天とトランクスは元々すごくてフュージョンしてさらにとびっきりの戦士になった。
だから短期間でスーパーサイヤ人3になれたのは分かるけどマーリンはフュージョンもしないで悟空を超えられるか?
悟飯は潜在能力がたくさんあってそれを限界以上に老界王神に引き出してもらってゴテンクス以上になったんだし・・・
だから普通の修行では悟飯とかを超えないでくれよ。潜在能力を開放してもらうってのは分かるけど。

なんか悪く聞こえたらすみません。これだけは言いたかったので
悪く聞こえたら無視していいので頑張って下さい。

178:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 20:59 Vq.Wea2g
【74話】
「…そんなに驚かないでください。怪しい者ではないですから。はじめまして、ヤムチャさん、マーリンさん。あなたたちの今日の行動、ずっと見させてもらいましたよ」
「やれやれ、今日はやたら背後に人が現れる日だな」
ヤムチャはそう声を漏らすと、やけに丁寧に話す男に、半信半疑ながら近寄っていく。
「俺たちの名前を知っていてくれて光栄だ。だが、まずあんたは誰だ?俺の知り合いには見覚えないぜ」
「…今の技は瞬間移動か…?いきなり背後に気配を感じたが…只者ではなさそうだな」
ヤムチャとマーリンは同時に質問すると、男は申し訳なさそうに答える。
「申し遅れました。わたしは東の界王神です。そしてマーリンさん、あなたの言うとおり今の技は瞬間移動ですよ。悟空さんのものとは少し違いますがね」
男が全て言い終わる前に、ヤムチャは腰を抜かしてそっくり返った。
そう、ヤムチャと界王神は面識がなかったのだ。
「あ…あ、あ、あなたが、か…界王神…様!!??」
「ヤムチャ…なんなのだ、カイオウシンとは…。ソンゴクウの知り合いのようだが」
「…今使ってる界王拳を教えてくれたのが、界王様。その上にもっと偉い人がいて、それが大界王様だ。で…更にその上に界王神様という宇宙で一番偉い人がいるんだ。それがこ

の人ってわけ」
「なるほど…よく分からないが宇宙の偉人なのだな」
マーリンは界王神を見ながら答えた。
ヤムチャは起き上がると、マーリンより前に出て界王神の耳元で囁く。
「か、界王神様…今日の行動を全部見てたって…もしかしてキスシーンも…?」
「え、あ…すみません、そんなことをするとは思わなくて、つい見ちゃいました……」
それを聞いて顔を真っ赤にするヤムチャだが、マーリンからはただコソコソと内緒話をしているようにしか見えなかった。

179:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:00 Vq.Wea2g
【75話】
「それで…界王神様。一体俺たちになんの用が…?」
ヤムチャはようやく真剣な顔付きになり、話を始める。
界王神も真面目な顔付きになった。
「はい、実は…界王神界におられる、大界王神様がお二人を見ていて『ここにつれてこい』と言っておりまして…早い話なのですが、わたしについて来ていただけませんか?悪い

ようにはしませんよ」
ヤムチャとマーリンは顔を見合わせる。
「大界王神様…悟空から聞いたことがある…。なんとかソードに封印されていたっていう例の…?」
「はい、そうです。直接話したほうが早いと思うので、とりあえず私の肩へ手を…」
「は、はい!」
ヤムチャは界王神の肩に手をあてたが、マーリンはそうしなかった。
「マーリン…?」
「マーリンさん、どうしました?」
「あいにくだが、わたしはソンゴクウを倒すための修行がある。私用ならソンゴクウとの戦いが終わったあとにしてもらいたい」
マーリンはきっぱりと答えた。
「マーリン…!界王神様に向かってなんてこというんだ…あはははっ…あーもうすいません界王神様、こいつちょっと寝ぼけているみたいで…」
ヤムチャは慌ててマーリンの口を押さえるが、タイミングが遅すぎる。
そんな二人のやり取りを見ていて、界王神はニヤリと笑った。
「マーリンさん、大丈夫です。今あなたたちが何をしようとしているか、全て知っていますから。それを知った上で、ついてきて欲しいと言っているのです」
妙に自信ありげな界王神の回答に、最初はついていく気はなかったのだが、マーリンは少し迷いはじめた。
「え…そうなんですか?じゃあ、俺たちが悟空を倒そうとしていると言うことも…」
「もちろん知っていますよ。今日の行動を見ていたと言ったじゃないですか。それより…今は一刻一秒も惜しいのではないですか?強くなるためにも…」
“強くなるため…”この一言が、マーリンにとって決定打だった。

180:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:04 Vq.Wea2g
【76話】
「…ヤムチャ、気が変わった。この人についていこう。きっと、何か考えがあってのことなのだろう」
「あ、ああ…」
二人は界王神の肩にしっかりとつかまった。
それを見て、プーアルは慌てて重力発生装置を元のカプセルに戻す。
そしてヤムチャの肩にプーアル、マーリンの腰にシルフもしっかりと捕まった。
界王神は再び軽く微笑む。
「それではいきますよ………カイカイ!」
界王神が奇妙な呪文を言い放ったと思うと、4人と1匹は地球上から姿を消した。

―ここは界王神界。
「さ、つきました」
さっきまで見ていた辺り一面の荒野が嘘のように、緑の草原が広がる。
その景色はとても自然が美しく、まさに界王神界という名に相応しい世界だった。
「ここが聖地・界王神界か…」
ヤムチャは声を漏らす。
「ヤムチャ、あそこに人がいるぞ」
隣にいたマーリンが数十メートル先を見ながらヤムチャに話しかける。
ヤムチャはその視線の方向に首を向けた。
すると、そこには一人の老人が立っていた。
その老人は界王神と同じような服装をしている。
ということは、この人が…?
「あなたが…大界王神様ですか?」
ヤムチャは老人に恐る恐る質問する。
「うむ、いかにも。こやつの15代前の界王神じゃ。よくきたのう、ヤムチャとやら…と、そこのギャルよ」
大界王神はほんの数秒だけヤムチャを見ていたが、その視線はすぐにマーリンだけに集中していた。
(この人…武天老子様と同じタイプだ…)
その様子を見て、ヤムチャは一瞬で悟った。

181:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:05 Vq.Wea2g
【77話】
軽い足取りで大界王神はヤムチャたちのほうへ近づいてくる。
「…ぎゃる?それは、わたしのことを言っているのか?」
目の前までやってきた大界王神にマーリンが質問する。
「お前以外にギャルはおらんじゃろう…ぬふふ」
そう言ってやらしい目つきになる大界王神。
マーリンはそれを無視するかのように、キリッとした目で大界王神を見つめる。
その鋭い視線に大界王神もすぐに気付いた。
「マーリンとやら…実に良い目をしておる。その何かを信じて疑わない目…目標のためには妥協を許さない目…そして、絶対に諦めない目じゃ」
目を見ただけで、大界王神はマーリンの性格を全て当てて見せる。
さすがに大界王神だけあって、ただのエロ爺ではないな、とヤムチャは思った。
「…大界王神様、さっそく彼らにご説明を…。地球の大会まで、残り2週間しかないみたいなので、あまり時間がありません」
ヤムチャたちを地球からここまで連れてきた方の界王神が割って入る。
「まあまあ、そう急かすでない…。とりあえず、お主はお茶でも入れて来るんじゃ」
「は、はあ…かしこまりました」
大界王神に命令され、界王神はお茶を入れに行った。
界王神ともあろうものが、地味にお茶入れをしているという光景にヤムチャは笑いそうになったが、どうにか堪える。
「さて…お茶はまだじゃが本題に入ろうかの」
大界王神は二人の前に立つと、背を向けて話始めた。
「…わしが今日、偶然地球を見ておったら、平和なのにも関わらず、大きな力と力が衝突しておった」
「俺たちのことですか?」
ヤムチャが間髪いれずに聞き返す。

182:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:06 Vq.Wea2g
【78話】
「うむ。何でお主らを呼び出したかと言うと、お主らが戦っている様子が目に入ったからなんじゃ」
「この星から…わたしたちを見たのか?」
マーリンが質問する。
この世界がどこだかは知らないが、地球とは明らかに別世界なのは確かだ。
とすると、ずっとここにいては自分たちが戦っていた様子も見れるわけないはず。
ならば、当然どうやって戦っている様子を見たのだろうかという話になる。
「わしの目は神眼で、全宇宙どこでも見渡せる。それに、この水晶球で見ることも可能じゃ」
大界王神は地面に転がっていた水晶球を指差した。
「例えば……ほれ、悟空たちじゃ。今は必死に修行しておる」
マーリンとヤムチャ、それにシルフとプーアルは小走りでその水晶球に駆け寄り、それを見つめた。
そこには確かに悟空や悟飯がパオズ山で修行している姿が映し出されていた。
「へー…テレビみたいだな、これ。ていうかピッコロも一緒なのか」
ヤムチャは感心したように言う。
その水晶球を見て、何故このような映像が映し出されるのか原理は分からないが、一応マーリンも納得する。
「なるほど…不思議な現象だが、世界中どこでも見渡せると言うのは事実のようだな」
「でも、大界王神様…偶然目に入ったってだけで、俺たちをここに?」
ヤムチャは続けて質問を重ねる。
「……もちろん、最初はその気はなかったんじゃが……悟空とのやり取りを見て、賭けてみとうなったのじゃよ、お主らに」
大界王神は神妙な顔付きになる。
「俺たちに…賭けてみたくなった?」
「あれだけの差を前にも、飽くなき向上心を持ち、何より“強さ”に欲があるお主らに、賭けてみとうなったんじゃ。時代が変わる瞬間を見たいと思わんかね?」
大界王神はヤムチャたちに何かを期待しているのか、気持ちを昂揚とさせながら喋る。

183:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:08 Vq.Wea2g
【79話】
「…話が見えません。どういうことでしょう?」
ヤムチャは焦っているかのように、核心に迫ろうとする。
大界王神は一息おき、ヤムチャたちに言った。
「…オホン。では、まずお主達に聞こう…今より強くなりたいかね?」
「はい、もちろんです」
「ああ、聞くまでもない」
ヤムチャとマーリンは大界王神の問いに即答する。
「……悟空たちを、倒したいかね?」
さっきより重い口調で大界王神は言う。
「……はい」
「…そのつもりでわたしは修行している」
二人はそれに対してかみ締めるように答えた。
大界王神はヤムチャとマーリンの顔を交互に数回見ると、ニコッと笑い再び口を開く。
「よろしい。お主たちを強くしてやろう」
「「…!?」」
ヤムチャとマーリンは顔を見合わせた。
強くしてやろうと言われても、痩せ細ったこの老人が、自分たちに一体何が出来るのだろう?
二人とも大体こんなことを考えていた。
「つ…つまり、大界王神様が直々に稽古をつけてくださるんですか…?」
ヤムチャは不安そうに大界王神に聞いた。
「稽古?そんなもんこの老体には無理に決まっておろう。それに、時間も足りない」
大界王神は首をゆっくりと振りながら断言した。
「じゃ、じゃあ一体……?」
「潜在パワーを引き出すのじゃよ。それで、お主達は今の何倍も強くなる」
大界王神は微笑みながらヤムチャとマーリンに向かって話す。
「潜在…パワー……?」

184:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:09 Vq.Wea2g
【80話】
「そうじゃ。要するに、眠っている力というやつじゃな。わしはそれを引き出すことが出来る」
ヤムチャはてっきり稽古をつけてくれるとばかり思い込んでいたので、予想外の大界王神の言葉に驚いていた。
それに、果たして自分には潜在能力…つまり、使わずに眠った力なんてあるのだろうかと疑問も抱く。
今備わっている顕在能力でさえ、限界を超えるぐらいの強さを身に付けたつもりなのに、今の何倍も強くなると豪語されては信じるほうが難しい。
仮に潜在能力があったとして、それを引き出したところでも、悟空たちと対等以上の実力になれるとも考えにくいのではないだろうか。
「…そんなことが可能なのか?」
マーリンも信じられない様子で界王神様に言った。
「ほっほ、わしにかかれば余裕じゃよ。見たところ、お主ら二人ともかなりの潜在能力が眠っておるのう…実にもったいないわい」
大界王神は笑いながら答える。
「大界王神様、お茶が入りました。ヤムチャさんたちもどうぞ」
「ああ、ご苦労じゃった」
大界王神は例を言うと、湯飲みを受け取りお茶を啜り出す。
どうやらプーアルとシルフは界王神の手伝いをしていたみたいで、プーアルからヤムチャ、シルフからマーリンに同じようにお茶が渡された。
しばらくお茶を飲んでいた大界王神だったが、半分ぐらい飲み干すと再びヤムチャたちに向き直る。
「で、どっちからやるんじゃ?わしはいつでもいいぞい」
大界王神は飲みかけのお茶を地面に置きながら、ヤムチャたちに質す。
「…どうする?マーリン」
ヤムチャは小声でマーリンに言った。
「そのパワーアップはどれぐらい時間がかかるのだ?」
その質問に大界王神が答える。
「うーむ、そうじゃな…個々の潜在能力の度合いにもよるが、儀式に5時間、パワーアップに20時間ってところじゃ。その間パワーアップを受けている者には、わしの目の前で座

ってもらうことになる」
「な…ながっ!」
ヤムチャは思わずいつものノリで突っ込んでしまった。

185:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:11 Vq.Wea2g
【81話】
「思った以上に長いのだな。そういうことなら、ヤムチャが先に受けてくれるか?わたしはその間一人で修行している。スーパーサイヤ人にもならなければいけないしな…」
マーリンは、ヤムチャに先に受けるように促す。
「ああ、分かった。マーリン、修行頑張れよ…期待しているからな」
「ふふ…こちらもパワーアップした後のヤムチャがどれほど強くなるかが楽しみなものだ」
言葉を交えた後、二人は小さく拳と拳を合わせると、お互い背を向け違う方向に歩み出した。
ヤムチャは大界王神の方向へ、マーリンは界王神の方向へとそれぞれ向かう。
「…それじゃ、大界王神様。…俺からお願いします」
ヤムチャは深く一礼をする。
「ふむ。ヤムチャからか、よかろう。じゃ、そこに座れ」
ヤムチャは言われたままに、その場に座り込む。
「よし、始めるぞい!…フンフンフーン♪フフーンフーン♪フフーンフフフンフン♪ヘイヘイ!」
何を思ったのか、大界王神は唸りながらその場で踊るような動きでヤムチャの周りをクルクルと回り始めた。
「…大界王様……パワーアップの方は一体……?」
「静かにしとれ!もう始まっておるぞ!フフーンフン!」
「あ…は、はい…」
大界王神の不可解な行動に、この人酒でも入ってるんじゃないかとヤムチャは疑ったが、大人しくしていることにした。
いよいよ、大界王神によるヤムチャの修行(?)が始まった。

186:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:16 Vq.Wea2g
>>176さん
ありがとうございます。
前の作者さんのように、絶妙な臨場感溢れる描写は
中々出せませんが、出来る範囲で頑張ります。
完結まではまだまだかかりそうですし、
更新ペースも速いとは言えませんが、
どうか、まったりと見守っていてください。

>>177さん
長々とありがとうございます。
この話を書くにあたって、一番難しそうだなと思ったのがパワーバランスなんですよね。
で、本題ですが、悟空や悟飯、ゴテンクスをマーリンが超えるのは無理なのではないか?とのことですが、
小説の中でマーリンが「普通にやっていては到底無理」とこっそり複線を出しています。
それが、結果的にこういう方向になったのですけれどね。
ちなみに、老界王神による潜在能力の開放については、書き始めの段階から
パワーバランスを調整する要因としてずっと考えていました。
それを、ちょうど界王神登場シーンを書く前のこのタイミングで言われてしまったので、
あまり言うことがないのですが…。
分かっていただきたいのは、>>177さんの助言によって、
「界王神の登場」という描写を追加し、今作品を矯正したわけではありませんので、
ご理解いただけたら何よりです。

187:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
08/12/26 21:18 Vq.Wea2g
それでは仕事に戻りますので、
また深夜か後日にでも書いていこうと思います。
では。

188:177
08/12/27 14:47 cki.ZM.6
>>177のことを書いた後にちょうど界王神が出てきたからビックリしたぜ。
うん、老界王神に潜在能力を開放して悟空達レベルになるのなら問題ないな。
俺も失礼なこと言ってすみません。この調子で書いていって下さい。
続きを楽しみにしてますよ。

189:Classical名無しさん
08/12/27 23:00 QECt5ra.
たしかに失礼だな

俺としてはマーリンが最初から3以上の能力があっても面白いと思ってる
しかし珍しくまともな界王神だwこの話では本領発揮しないのかな

190:Classical名無しさん
08/12/29 14:46 88V4xqNk
>>189
最初からマーリンが3以上ってのはおかしいだろ。
マーリンは昔、頑張って修行してスーパーサイヤ人の悟空を超えたのに
いきなりスーパーサイヤ人3以上の力だったら
あの時、頑張って修行をしたのはなんだったんだってことになるだろ。
前作を読めよ、厨房が。

191:Classical名無しさん
08/12/29 15:12 EGZ9jxGQ
熱い雰囲気だ。それだけヤムチャが好きなんだな

192:Classical名無しさん
08/12/29 22:34 j52b0wgQ
>>190
何様?端から見てて気分悪い
小学生みたいな文章だし荒らしにしか見えないぞ

193:Classical名無しさん
08/12/29 23:29 SxlqqIqI
1000人ヤムチャも期待

194:Classical名無しさん
08/12/30 09:56 XI/ODq9k
>>189-190>>192がこのスレの空気を読まないせいで
作者さんや無関係の人々も迷惑しています。
ケンカはどっちも悪いですから謝るか他スレに行くかして下さい。
だいたい>>188がちゃんと謝っていたのに>>189が余計なこと言うから
こんなことになったんですよ。てゆうか、本当にやめて下さい。

195:Classical名無しさん
08/12/30 10:34 S7M5HVB6
189は特に喧嘩売ったようにも見えないが…
自分の設定押しつけてそれに沿わない意見には即感情的な暴言吐いて口論を起こす輩が一番厄介。
書き手の人達のやる気も失せる

↓いつものたまヤムスレ再開

196:Classical名無しさん
08/12/30 11:37 XI/ODq9k
>>177>>188>>190>>194は俺です。
他スレで色々あったから、このスレの事でも少しのことで
ちょっとカッとなってしまって・・・

>>189>>192に謝る。暴言言ってゴメン。本当にすみませんでした。

197:189
08/12/30 13:02 /IhL9Mj.
>>196
後腐れ無く鎮めてくれてありがとう。
一応言っとくけど俺は初代もリアルタイムで見てたよ。
例えで言った最初から3以上ってのは
初代の後の空白の期間中に宇宙で超体験しててもいいし
面白くなるなら作者の裁量でどうとでも補整できるってフォローのつもりだった

198:196
08/12/30 19:28 smLedMgk
>>197
そのつもりだったんですか。これからは考えて書き込もうと思います。
あなたにも作者さんにも謝ります。本当にすみませんでした。

199:ジュン
09/01/01 00:34 PNL/YvkQ
謹賀新年あけましておめでとうございます。

200:Classical名無しさん
09/01/02 23:47 gMLrBu0Y
強さ最上主義のDB世界でヤムチャを活躍させるためには・・・

神龍にお願い「強さの基準を野球にしろー!!」
で、ベジータ&ナッパ+サイバイマンvsZ戦士連合軍で野球対決
操気弾の使えるヤムチャは変化球マスターとなり大活躍

201:Classical名無しさん
09/01/05 00:28 bDhsJWIs
つづきは?

202:Classical名無しさん
09/01/08 02:05 L/X0lwIQ
保守

203:Classical名無しさん
09/01/08 08:31 kwejSYmM
saiyan2の作者さん、ありがとう!
前作を読んだときこの二人がちゃんと出会えるのか不安だったから、
アフターストーリーを読めて、ホッとしています。
これからも楽しみに待っています!

204:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:19 RtIHakkU
あけまして、おめでとうございます。
今年もなにとぞよろしくお願いします。
かなり久々の書き込みとなってしまいましたが、その間にたくさんの書き込みが…。

争いに関してですが…揉め事にならないように、私が想定している、個々の戦闘力のまとめ表みたいなのを
作ろうかと思ったのですが、それこそ批判をモロにくらいそうなので結構迷っています。
うーん、どうしよう。
皆さんどう思いますか?

強さの概念には、個人個人のイメージがありますからね…。
それこそセオリー通り悟飯が最強だと思っている人もいれば、超3悟空の方が強いと思っている人もいそうですし、
はたまた王子信者…?いや、我らがヤムチャ様が最強?
思いは様々です。
イメージが全て、と言ったらそれまでなのですが。

>>203さん
こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます。
私自身、ヤムチャとマーリンをもう一度会わせたいという気持ちがあり、続きを書こうという決断に至りました。
所々既に矛盾が出てしまっているのですが…目を瞑って頂けると幸いですw

205:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:23 RtIHakkU
【82話】
その様子を、遠くでマーリンは界王神たちと見つめていた。
「ヤムチャ様…かわいそう」
「本当にあんなことして強くなるのかな…」
プーアルとシルフから見ても、あの動きは普通ではないらしい。
界王神も恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「……カイオウシンとやら。わたしも、あれと同じのを受けるのか…?」
「…ええ、多分……」
マーリンの問いに界王神が答えると、はぁ、と二人同時にため息が出る。

「それより、わたしから頼みがあるのだが…聞いてくれるだろうか?」
マーリンは界王神の方を見つめ、ヤムチャに聞こえないように静かに話しかける。
「なんでしょう?マーリンさん」
「瞬間移動で、ヤムチャの修行が終わるまでわたしを違う星に移動させて欲しい」
マーリンの突然の頼みに、界王神は少し戸惑う。
「構いませんが…どうしてですか?」
「わたしは今から修行をする予定なのだが、この場でやってはヤムチャの邪魔になってしまうかもしれない。それに、わたし自身も誰も居ない場所で一人で修行した方が集中できる…」
界王神からしたらサバサバした性格のように見えたマーリンだったが、ヤムチャを気遣う意外と優しい一面もあるギャップに驚いていた。
「なるほど…分かりました。移動しましょうか」
笑顔で界王神は答える。

206:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:24 RtIHakkU
【83話】
「すまない、感謝する…」
マーリンは界王神に礼を言うと、プーアルに近づいていった。
「プーアルとやら。先ほどの重力発生装置を借りてもいいか?」
「あ、はい!どうぞ!マーリンさんも修行の方、頑張ってくださいね!」
マーリンはプーアルからカプセルを受け取ると、コクリと頷いた。
「シルフ。お前はプーアルとここに残っているんだ。くれぐれも、ヤムチャの邪魔をしないようにな…」
「分かってるよ、お母さん。だけど、あんまり無理しないでね?」
シルフは先ほどから苦しそうに修行しているマーリンを心配していた。
「ああ、気をつける」
マーリンは優しく微笑むと、シルフの頭を撫でたあと、再び界王神のもとへと歩み寄っていった。
「準備はできましたか?この辺りで地球に近い環境の星と言えば、惑星クリケットですが……」
「そこでお願いしてもいいだろうか」
「分かりました。それでは行きますよ…!カイカイ!」
二人の体が白く光ったと思うと、次の瞬間にはマーリンと界王神の姿は消えていた。

207:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:26 RtIHakkU
【84話】
―所変わって、別の星に突然二人の人影…つまり、マーリンと界王神が現れる。
それと同時に、マーリンの体にズンと今まで感じていたものより強い重力が圧し掛かった。
もちろん界王神にも同じように重力が圧し掛かる。
周りを見渡すと、一面の砂漠の地平線が広がり、近くには大きなオアシスがあった。
どことなく、地球でヤムチャと共に修行した場所に環境が似ている。
意識を集中し気を探ると、かなり弱い気ではあるが、この星を支配する民族らしき者たちの気も遠くで感じられた。
この近辺には何も居ないようだ。
「惑星クリケット…と言ったか。なかなか良い星だな。地球より少し重力が高いみたいだが…」
「ええ。ここは地球の5倍ぐらいの重力ですからね。ですが、気中の窒素と酸素の濃度の割合、それから気温は地球とほぼ同じです」
マーリンはこの星の重力を確認するかのように、一歩一歩慎重に歩き始めた。
そしてシュシュシュ、と数十発パンチや蹴りの素振りをして見せる。
「なるほど…修行の環境には問題なさそうだ。ありがとう、カイオウシン」
「いえ、私に出来る手伝いはこのくらいですからね。礼には及びませんよ」
界王神は控えめな態度でマーリンに言った。
「…では、ヤムチャさんのパワーアップが完了したら、またここに迎えに来ます」
「分かった。わたしも、早速スーパーサイヤ人になるための修行に取り掛かる」
マーリンはその場で目を閉じると、静かに意識を集中し始めた。
「はい、素晴らしい戦士の誕生を期待していますよ。それでは……カイカイ!」
界王神はその場から消え去った。
わざわざ『カイカイ』と言わなければ、瞬間移動出来ないものなのだろうか…とマーリンは素朴な疑問を抱いていた。

208:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:30 RtIHakkU
【85話】

ゴゴゴゴ…

気を集中しているため、体の周囲100メートルほどの範囲で、重力を無視しているかのように、小さな岩の破片などが宙に浮く。
数十秒ほど経つとその岩の破片は、上から吊るされていた糸が切れたかのように無造作に地面へと落ちる…この現象が既に100回近く繰り返されていた。
これは、マーリンが精神を集中していることによって、そのとてつもない気が発生し、大気が不安定になり近くの空間が歪んでいるため起こっている。
マーリンはかつてないほど修行に集中していた。
ヤムチャと地球で買った服は既に脱いであり、自分の戦闘服に着替えている。
やはり、長年着ていた服の方が気持ちの面で落ち着くのだろう。
「……わたしは…勝たなければ……っ…」
苦しそうな声で独り言を漏らすと、彼女の長い髪の毛がゾワッと逆立つ。
「あと少し…!あと少しで……なれるっ…!」
そして、逆立った髪はわずかに金色の光を帯びたかと思えば、元の髪の色に戻ったりと点滅を繰り返していた。
「おそらく、この感じだ……このままの状態を維持をしなければ…!」
しかし、それも意識を長く集中することが出来ず、数十秒ほどでとまってしまう。
「はあ…はあ……あと後一歩が厳しいが、ここまでくれば時間の問題だろうな………」
疲労のせいで立っているのも辛いのだろう。
マーリンは地面に手をつき、四つんばいになると、肌が触れている部分の地面が流れる汗で段々と湿っていく。
そのままの体勢で少し休憩すると、マーリンは地面に置いていたスカウターを手に取る。
そして抜いていたバッテリーをセットし、電源を入れた。
どうやら内蔵されている時計が見たかったらしい。
「あれから…約9時間ほどか。ヤムチャは順調なのだろうか…」

209:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:32 RtIHakkU
【86話】
「………あの」
「………」
「……あのー」
「………」
「あの、大界王神様!!」
「…は、な、なんじゃ?そんな大声出して…」
ヤムチャの大声が界王神界に木霊する。
「今…寝てましたよね?」
「ば、バカモン!界王神ともあろうものが居眠りなんぞするわけないじゃろ!」
大界王神は胡坐を組みながら、片方の手の平を開き、その手を真っ直ぐとヤムチャに向けていた。
そしてもう片方の手は、ページをめくるためだろうか、雑誌のような物の上に置いてある。
首は斜めになり、口からは涎が垂れかけていた。
「………………」
疑いの眼差しでヤムチャは大界王神に視線を送る。
「…フン。それよりお主は余計な事を考えず精神を集中せい!その方がパワーアップの効果も高い」
「……わ、分かりました…」
疑いの気持ちは持ちつつも、ヤムチャは静かに目を閉じる。
…数分後、チラッと片目を開けて、大界王神の方を見ると…やはり眠っていた。
「…もういいや」
こんないい加減なことで果たしてパワーアップするのだろうか…ヤムチャの脳裏にそんなことがよぎる。
半ば諦めかけていたヤムチャであったが、大界王神の言葉を信じ精神を集中し続ける。
精神を集中している間に、ヤムチャは色々なことを思い返していた。

210:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:37 RtIHakkU
【87話】
初めて悟空たちと会った時、盗賊でワルだったヤムチャは、カプセルを奪うために悟空たちと対峙していた。
一度は狼牙風風拳で悟空をぶっ飛ばしたものの、結局とどめはさせずに退却。
今思えば、これ以来悟空とは一度も戦っていない。
ありそうで意外となかった対決と言えるだろう。
そもそも、唯一まともに戦える場である天下一武道会において、初戦敗退しか経験したことがない。
悟空は常に決勝まで残っていた為、もし自分が勝ち進んでいれば、いくらでも戦える機会はあったはず。
その頃はまた次回倒せばいい…また次回頑張ればいい…そんな風に思っていたヤムチャだったが、それ以来悟空を初めとする戦士たちは、天下一武道会に参加しなくなった。
魔人ブゥが現れる直前に、再び天下一武道会が開かれたが、その頃の悟空たちとヤムチャでは、圧倒的過ぎると言っていいぐらいの差が付いてしまっていた。
その為、ヤムチャは参加を断念するしかなかった。
悟空たちと勝負したい気持ちはあった…しかし、実力の差が開きすぎ、これでは勝負にすらなりえないと踏んだのだ。
自分の仲間が参加している中、自分だけ不参加というのは武道家として苦渋の選択ではあったが、あれはあれで正解だったのかもしれない、とヤムチャは思っていた。
無謀な挑戦と、僅かな可能性に賭ける勇気は違う。
どうせやっても今の自分では敵わない…ならやらなければいい…だけどいつかは必ず…。
ヤムチャはそうやって自分の行動を正当化し続けていた。
しかし、ヤムチャは分かっていた。
そんな気持ちのままでは、その“いつか”は永遠にやってこないということに。
そして、マーリンと約束した諦めずに戦うということを守れていなかったことに…。

211:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:39 RtIHakkU
【88話】
ヤムチャはたまにあることを考える。
悟空はサイヤ人だからずば抜けて強いと言うのもあるが、仮に悟空が地球人だったとしたら…自分は悟空に勝てるだろうか?
おそらく、勝てない。
というか、悟空が純粋な地球人だろうと、ベジータやピッコロはもちろん、現れる強敵全てに負けないのではないだろうかとすら思う。
つまり…自分は全て先入観で『サイヤ人だからあいつは強い』『地球人だから自分は勝てない』という風に決め付けているだけなのかもしれない。
もし悟空が地球人であっても、自分なりに修行や戦闘スタイルを工夫して、今と同じように、常に頂点を目指し続けるはず。
そして、今と同じように、実際頂点に立っているはず。
あくまで仮定の話でしかないが、ヤムチャが導き出した結論として言えることは、“地球人だから勝てない”というのは言い訳にならないということ。
確かにサイヤ人は強い。
体質的にも、地球人より有利であることは変わりない。
だが、自分はそういった問題以前に、気持ちの面で悟空に負けていたのではないか?
それが結果的に、実力の伸び具合の差…そして、今の実力差にそのまま反映しているのではないか?
そう思うと、今の自分と悟空との差の全てが納得行く。
そして、自分の中の自信は確信へと変わる。
今の気持ちは、悟空に負けないだけのものはあるということ。
それはつまり、悟空に勝てる要素は0ではないということに繋がる。
少なくとも…今の自分には、間違いなくそれが言える!

212:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:43 RtIHakkU
【89話】
仲間たちの中で、ヤムチャは武道家として最も惨めな人生を歩んでいた。
ご存知の通り、天下一武道会では全て初戦敗退。
サイヤ人の来襲に備えて修行したのに、その手下であるサイバイマンに自爆で殺される。
ドラゴンボールで生き返って、3年後に現れる人造人間に備えて必死に修行するも…20号に胸を貫かれ、瀕死の状態となる。
セルジュニアには腕を折られてなすすべすらなかった。
その後はほとんど戦っていない。
ヤムチャは思う。
自分ってなんなんだろう、と。
本来の自分なら、馬鹿馬鹿しくてとっくに修行なんて辞めてしまって、遊び呆けているだろう。
しかし、自分はまだ修行を続けている。
そう、マーリンと出会った事によって、自分の人生は大きく変わったのだ。
一度は悟空たちに追いつくことを諦めかけたが、それでも修行は続けていた。
それが最低限、自分に出来る全てだから。
女を愛しいと思ったことなんて殆どない。
自分にはプーアルがいるし、寂しさもさほどない。
長年付き合っていたブルマは、どういう風の吹き回しか、地球に住むようになったベジータと2年ほどでくっつき、子供まで作る。
普通はショックを受けて良いはずなのに、どういう訳か、不思議と不服はなかった。
むしろ清清しい気分である、といっても過言ではない。
その時はっきりとヤムチャは思った。
自分の中で、マーリンに対する想いはブルマを遥かに越えているということに。
そして再度自分の気持ちに気付く。
自分はマーリンのことを、本当に愛しいと思っているんだということに。

213:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:46 RtIHakkU

【90話】
―。
「フム…これは中々……」
大界王神が独り言を呟く。
そんなような事を思い返しているうちに、ヤムチャの潜在能力はどんどん解放されていった。
その声が聞こえ、ヤムチャの目がぱっと開く。
「…あ、今何かおっしゃいました?」
「いや、なんでもない」
ヤムチャは眠っていたわけではないのだが、意識が現実に戻ると、かなりの時間が経っていることに気付いた。
「それよりヤムチャよ、あと3時間ほどでパワーアップが完了する。もう少し辛抱せい」
「分かりました」
大界王神の隣には、山積みにされた大人向けの雑誌が何冊も無造作に置いてあったが、ヤムチャは突っ込むことすらしなかった。
(ヤムチャの奴…地球でそうとう修行を積んだのじゃな。修行の際解放されずに体に蓄積されたパワーが、見る見るうちに解放されていくわい…)
大界王神が想定していた以上に、ヤムチャのパワーアップに時間がかかっていた。
本来なら終わって良いはずなのに、ヤムチャからは力が湧き出るように解放され続ける。
「凄いですよ…ヤムチャさんは」
遠くでヤムチャの様子を見守っていた界王神は声を漏らす。
「そりゃそうだよっ!なんたってぼくのお父さんだからね!」
シルフは自慢げに話す。
「潜在能力、って隠されていた力って事ですよね?」
プーアルが界王神に尋ねた。
「ええ…そうです。凄いですよ本当に。あれだけ力を隠していたとは…さすがにご先祖様は見る目が違う…」
界王神は感心の余り、薄っすらと冷や汗すらかいていた。
「ヤムチャ様に、そんな力が…」
皆が見守る中、なおもヤムチャは隠された力を解放し続ける。

214:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/09 01:48 RtIHakkU
それでは、寝ます。
東京の方では明日みぞれが降るとかいう噂が…。

おやすみなさい!

215:Classical名無しさん
09/01/15 02:04 RMz2yFrk
更新乙です。戦闘力に関しては公開してくれた方が個人的にはよいです

216:Classical名無しさん
09/01/19 20:12 CfCS2fuI
保守

217:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:27 qGq8L4NM
>>215さん
ありがとうございます。
では、近いうちに戦闘力表を作っておきますね。

参考までに言わせて頂くと、フリーザを倒し、地球に帰ってきてから
少し修行をした悟空で、戦闘力500万弱という設定です。
これはSaiyanKiller作者さんが設定されたもので、それを基準に一覧表を作りたいと思います。
一部(公式?)ではフリーザ戦での悟空の戦闘力が1億を超えているという話もありますが、
SaiyanKiller作者さんと同じく、私はその数値に反対です。
これは個人のイメージもあると思うのですが、皆さんが思い通りの戦闘力数じゃなくとも、
どうにか納得して作品を読んで頂けると嬉しいです。

218:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:28 qGq8L4NM
【91話】
一方、マーリンも、空白の時間に修行をしなかったわけではない。
むしろ、かなり過酷なトレーニングをこなしていた。
それにも関わらず、現実は甘くなかった。
当時は悟空互角…いや、むしろ自分は勝負に勝つだけの実力があったはず。
それでも気を抜かず、地球から去った後の空白の時間にマーリンは常に悟空より多く辛い修行をしたつもりだ。
だが、久しぶりに会った悟空に圧倒的な差をつけられていて、自分の考えが浅はかであったことを知る。
何故、あれほどまでに差が開いてしまったのか。
やはり、スーパーサイヤ人に変身できないという事実が大きな要因だろう。
“海皇拳”を使えば、スーパーサイヤ人に匹敵する強さになるが、あれは体への負担も大きすぎるし、長時間持たないという欠点がある。
それに、スーパーサイヤ人は第2形態と第3形態があるらしい。
“海皇拳”はノーマルのスーパーサイヤ人と同等クラスになる変身ではあるが、スーパーサイヤ人2、スーパーサイヤ人3には到底及ばない。
一瞬で決着が付くとは思えないし、長時間持たない“海皇拳”では勝負になりえないだろうとマーリンは睨んでいた。
そう考えると、悟空に勝つにはまず、自分がスーパーサイヤ人になるというのが最低条件になる。

219:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:29 qGq8L4NM
【92話】
「クソッ…時間がないというのに……ッ!!」

ゴゴゴ…

大地が震える。
ヤムチャの話だと、今では子供でもサイヤ人の血さえ引いていれば、スーパーサイヤ人になれるらしい。
しかし、マーリンはなかなかスーパーサイヤ人になれずにいた。
そんな自分に、正直焦りを感じずにはいられない。
いや、“最初”は…焦りだった、といったほうが正しいだろう。
今となってはその焦りはやがて苛立ちに変わりつつあった。
いつまで経っても変身できない、自分に対しての苛立ちに。
時間が経てば経つほど、スーパーサイヤ人になれない苛立ち…即ち、怒りがマーリンに昂じる。
そして、その怒りは今、ピークを迎えた。
「わたしは…ならなければ…っはぁあぁ…!!」

ボワッ!!

マーリンが気合を込めた次の瞬間、自分自身が何かに変化したような感覚が起きた。
長い髪の毛が、重力を無視したかのように逆立ち、興奮状態のような落ち着かない気分になる。
マーリンはそのままの状態を維持すると、手の平を開いたり閉じたりし、それをジッと見つめていた。

220:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:31 qGq8L4NM
【93話】
そして、腕に軽く力を込めると、手の平の上にエネルギーを集中し始める。
「繰気弾…」
小さくそう言うと、マーリンの直径1センチ…ほんのビー球サイズほどの小さな気弾が現れた。
「この近くには、誰もいないはずだな…」
念のため、辺りの気を探るが人が居る気配はない。
戦闘力を0にまでコントロールしている者がいる可能性も0ではないが、幸い辺りは地平線のため、目で見ただけでも人がいないのは一目瞭然であった。
マーリンは確認を終えると、その気弾を思い切り前方に投げつける。

ギュゥゥウン!!

風を切るような音と共に、気弾はグングンと前に進んでいく。
予想以上にスピードが速かったのか、マーリンは慌てて気弾を止めた。
既に1キロほど先に気弾は進んでいた。
マーリンは目が良いため、気弾がフワフワと空中で静止しているのが見える。
「この星の形を変えることになるかもしれないが、お試しに威力を見せてもらうぞ…それ!」
その気弾をマーリンが手で操作すると、真下に向かって急降下を始めた。
そして、気弾が地面に当たった刹那…

ドゴォォォーンン!!!!!!

白い光が一瞬だけ見えたと思うと、凄まじい爆発が起こり、鳴り響いた爆音が聞こえ、数秒遅れて突風が吹いた。
爆発の半径500メートルほどが蒸発する。
「……ふふふ…あはははは!!これだ…!」
思わず笑いがこぼれるマーリン。
そうでもないのかもしれないが、笑ったのはとても久々な気がする。

221:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:33 qGq8L4NM
【94話】
今の繰気弾は、まるで本気ではなかった。
それでいて、あの破壊力、あのスピード…全てが想像以上だ。
「1割の力でこれか…。素晴らしい…素晴らしすぎるぞ、スーパーサイヤ人の力…!」
マーリンはスーパーサイヤ人にになれたことに、歓喜していた。
そして、安心したせいか、急に体にどっと疲れが出る。
マーリンは修行を始めてから、今に至るまで、何も口にせず、ひたすら神経を集中し続けていたのだ。
とりあえず、喉が渇いたので、近くのオアシスで水を飲むことにした。
スーパーサイヤ人の状態を維持したまま、マーリンはオアシスへと向かう。
毒物の匂いがしないことを確認すると、ゴクゴクと勢いよく水を飲むマーリン。
鉄分が多いのか地球の水より若干苦いが、乾いた喉をオアシスの水が潤してくれた。
ふと自分の容姿が、水に映っていることに気が付く。
髪の色は完全に金色に変わって逆立ち、目はサファイアのような輝きを帯びていて、自分で言うのもなんだが神秘的だと感じた。
だが、顔付き…というより、目付きが若干悪者っぽい顔になっている。
「少し髪が長すぎるな…戦闘に影響が出るかもしれない。あとで切っておくか…」
長い髪の毛に人差し指をクルクルと絡ませながらマーリンは独り言を呟くと、スーパーサイヤ人を解いた。
それから10分ほど休憩すると、マーリンは先ほどプーアルから渡されたカプセルを取り出す。
疲れはほとんど取れていないが、勝つためには休むわけにいかない。
「スーパーサイヤ人になれてからが、本当の修行だ…」
ボタンを押下し、カプセルを放り投げると、重力発生装置が姿を現す。
ハッチを開け、装置の中に入ると、中心部にある重力メーターは5Gを指していた。
それは、この星の重力をそのまま指していた。
「なるほど…とりあえず、300倍の重力程度から徐々に慣れていくか…」
マーリンがボタンを操作すると、メーターは300Gを指す。
そして、腕立て伏せや腹筋などの基礎トレーニングを始めた。
今は徹底的に体そのものを鍛えて、実戦練習はヤムチャと組み手で鍛えれば良い。
体にかなり無理がきていたが、マーリンは苦痛で唸りながらも決して修行の手は休めなかった…。

222:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:35 qGq8L4NM
【95話】
「…パワーアップは終わりじゃ、ヤムチャ」
その大界王神の呼びかけで、ヤムチャは静かに目を開ける。
目を開けると、目の前にマーリンを除いた全員揃っていた。
シルフとプーアルが心配そうにこちらを見つめている。
「大丈夫…?お父さん…」
こくりと一度頷くと、ヤムチャはゆっくりと立ち上がった。
「これが…今の俺なのか……?」
ヤムチャは自分の体をすみからすみまで見ながら言った。
少し動かしただけでも分かる、今までとは明らかに違う体全身の感覚。
「どうじゃ?気分は」
大界王神はニヤニヤしながらヤムチャに話しかけた。
「…不思議な感じです。まるで俺が俺じゃないかのような…よく分からない気分だ…」
ヤムチャは真剣な表情で大界王神に言葉を返す。
「じゃろうな。今のお主は以前のお主とははっきり言って別人じゃ。もしかしたら、あのベジータぐらいならなんとかなるかもしれん」
「…え?ベジ……!?」
ベジータならなんとかなるかもしれない…その言葉に思わずヤムチャは声が詰まってしまう。
そして、ヤムチャは言い直すように改めて口を開いた。
「ベジータなら…なんとなかるかもしれない?…この俺が、ですか?」
「そうじゃ。しかし、何をそんなに驚いておるんじゃ?」
大界王神は不思議そうにヤムチャを見つめていた。
「そりゃ驚きますよ…自分がベジータに勝てるかもしれないだなんていきなり言われたら…」
「おかしいのう…お主たちは悟空を倒すつもりじゃなかったのかね?ベジータを倒せずに悟空が倒せるのか?」
「……!」
ヤムチャはハッとした。

223:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:36 qGq8L4NM
【96話】
大界王神は続ける。
「それに…かもしれない、というだけじゃぞ。ベジータは天才じゃ、そう簡単に勝たせてはくれまい」
確かに、大界王神の言うとおりだ。
自分たちはあくまで悟空を倒すつもりだったはずである。
ならば、悟空より弱いベジータを倒せる程度の実力は、最低限なければならない。
そのベジータも、悟空には敵わないが、かなりの実力者であることはヤムチャもよく知っている。
「…まあええわい。とりあえず、ヤムチャ、気を入れてみろ」
大界王神は少しヤムチャから離れると、ヤムチャに向かって言った。
「…はい!」
ヤムチャは厳しい目付きになると、全身の筋肉に力を入れ、気を練り始めた。
「んぐぐ……ッ!」
界王拳は使わずに、自分の発揮できる最大限の気を解放する。
「はッッ……!」

ボンッッ!!

爆発音のような凄まじい音をたてて、ヤムチャの周りに衝撃波のようなものが巻き起こる。
平らだった地面はへこみ、所々ヒビが入って歪な地形に変わっていく。
大界王神たちは吹っ飛びそうになるが、界王神が気のバリアのようなものを作り、どうにか踏ん張った。

224:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:38 qGq8L4NM

【97話】
「スゴイ…!元から凄かったお父さんの力が、更に上がっている……」
気を完全に読めないシルフでさえ、ヤムチャの飛躍的なパワーアップは感じ取ることが出来た。
「……な、なんなんだ…この、溢れんばかりの力は…」
ヤムチャは予想以上に膨れ上がっている自分の力を疑った。
大界王神は巻き上がった砂埃でゴホゴホと咳き込んでいたが、どこか満足げな表情を浮かべながら言う。
「そんなもんじゃないぞい。その状態で、界王から習った体の力を倍化させる技を併用してみるんじゃ」
「界王拳のことですね?…いきなり30倍試してみるか」
ボウッ、とヤムチャの体を赤いオーラが包む。
しかし、ここでヤムチャにとって予想外のことが起きた。
「…ん……あれ?これ、30倍だよな…?」
いつもなら苦労するはずの30倍界王拳なのだが、体の負担が予想以上に軽い。
「これなら40倍はいける……いや、50倍…!」
そう独り言を呟いて、ヤムチャは未体験ゾーンの50倍まで界王拳を引き上げる。
以前の自分だったら体全身の筋肉繊維がボロボロになるぐらいの負担があるはずだが、今のヤムチャには大した負担にならなかった。
50倍まで界王拳を上げても、まだちょっときつい程度だ。
「本当にかなり力があがっている…。いいのか、こんなことがあって…」
極端なまでにパワーアップした現実を、ヤムチャは受け入れるのを躊躇っていた。

225:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:39 qGq8L4NM
【98話】
「ヤムチャよ…一つ言っておくぞ。お主の仲間たちの潜在能力を、同じように引き出しても、ここまでパワーアップはせん」
大界王神が改まったようにヤムチャに向かって言った。
「それは一体…?」
「ずっと修行を続けておったろ、お主。その時に力は解放されず、体内に潜在パワーとして蓄積されていたんじゃ。それを今わしが引き出したんじゃよ」
「…そ、そうなんですか」
「つまりじゃな…それだけのパワーアップを果たしたのは、お主の努力の賜物であって、それ以外の何ものでもないんじゃ。分かるか?わしはキッカケを与えたに過ぎん」
「俺の…努力…」
いくら修行しても、悟空たちのようにヤムチャの力は伸びなかった。
修行すること自体、無駄なんじゃないかと何度も思ったことがある。
しかし、それでもヤムチャは修行をずっと続けていた。
その努力が今…長い月日を経て、ようやく今報われたのだ。
もちろん、ヤムチャの努力があったからこその話なのだが。
「はは…ははははっ!!こりゃいいぜ!!」
ヤムチャは50倍界王拳の状態で地面を蹴って高く跳躍すると、高速でビュンビュンと空を飛び始めた。
「軽いッ!今までの何倍も何十倍も体が軽い!しかもまだ余裕があるッ!」
ヤムチャはそう言って、力を持て余すかのようにはしゃぎ出した。
そんなヤムチャを見て、半ば呆れながらも笑みを浮かべる大界王神。
どうやら想像以上に力が伸びたようだ。

226:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:41 qGq8L4NM
【99話】
ヤムチャのパワーアップが完了して一段落すると、界王神は何かを思い出したかのように口を開く。
「あ、それでは…私はマーリンさんを迎えに行ってきます。カイカイ!」
その場から界王神が消えたが、1分もしないうちに戻ってきた。
その肩にマーリンを連れて。
「お母さん、おかえりー!ねぇねぇ、お父さんがスゴイパワーアップしたんだよ!」
シルフは駆けつけるようにマーリンに近づいていった。
そのシルフの言葉を聞き、マーリンの視線はヤムチャをとらえる。
「よう、マーリン。久しぶりだな…いや、そうでもないか」
ヤムチャは修行が長く感じたのか、マーリンと会うのが久々なような気がしてならない。
そんなヤムチャをジッと見つめていたマーリンだが、その口元が緩む。
「…ふふ、どうやら成功したようだな。気質自体が前とは違うものになっている」
「ああ。やっぱり、分かるか?まだまだこんな程度じゃないけどな」
ヤムチャはニヤリと笑う。
マーリンもそれを見て不敵にも笑い返す。
「わたしもお前にいいものを見せてやれそうなのだよ……ハッ!」
高い掛け声と共に、マーリンの髪の毛が逆立ち、長いプラチナブロンドの髪が一瞬で金髪へと変わる。
金色に輝くマーリンからは、傍に立っているだけで尻餅をつきそうな気迫さえ感じられた。
一同はその変貌に驚く。
「これ…さっきの男と同じ変身だ……!」
シルフは超化したマーリンを見て、悟空の変身と同じものだと瞬時に悟った。
「…!……こいつは驚いた。こんな短期間でスーパーサイヤ人になれるなんて…。しかも、お前それ―」
ヤムチャの次の一言で、更に驚くべきことが発覚した。

227:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:46 qGq8L4NM
【100話】
「…スーパーサイヤ人2じゃないか!?」
マーリンの体の周りにはビリビリと電流のようなものが流れている。
これは、スーパーサイヤ人2以上になると起こる特有の現象だというのを、ヤムチャは知っていた。
「なるほど…これがスーパーサイヤ人2、か。1と2の違いすらわたしにはよく分からないが…特に問題はないだろう」
マーリンは自分自身の体を見つめながら言った。
スーパーサイヤ人になったばかりの頃は、かなりの興奮状態で理性がほとんどぶっ飛ぶという話を1年前に行われたバーベキューの時に悟空から聞いたことがあった。
しかし、驚いたことに、マーリンはスーパーサイヤ人になった状態でかなり冷静に意識を保っている。
悟空たちのように、長い間スーパーサイヤ人を経験しているのならそれも頷けるのだが、たった数時間前にスーパーサイヤ人…しかも1を飛ばして2になった者が、そこまで自身をコントロールすることが可能なのだろうか。
サイヤ人ではないヤムチャには未知の領域で分からないことだったが、目の前に居る愛しき女性…マーリンは只者ではないという現実を再確認した。
(ていうか、一応“穏やかな心”の持ち主なんだな、マーリンって…)
マーリンには失礼だったが、心の中でヤムチャはそっとそう思う。
「さ、さすがは俺の弟子、ってところかな…」
強がっているヤムチャだったが、若干顔が引きつっているようにも見える。
「ふふ、よく言う…」
マーリンは軽くそれを受け流すと、超化を解いて普通の状態に戻る。
「さて…次はわたしの番か」
大界王神の元へとゆっくり歩みだすマーリン。
しかし、大界王神はマーリンの接近に気付いているのにも関わらず、何故かそっぽを向いていた。

228:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:47 qGq8L4NM

【101話】
「あの…気付いているだろう?」
明らかに自分を無視している大界王神を相手に、横から声をかけるマーリン。
「お主…そんな服を着たままわしの術を受けようというのか?」
大界王神は深刻な顔付きになっていた。
「服…?ああ、確かに惑星クリケットで修行している途中で戦闘服に着替えたが…それに何か問題があったのだろうか…」
「大有りじゃい!そんな服を着ていたら、胸やクビレのラインがよく見えんではないか…オマケに露出も少ないとあってはモチベーションも下がるわい…」
「…………そう」
マーリンは大界王神が何を意図して言っているのかよく分からなかったが、物凄く下らないこじ付けをしているのだけは、なんとなく想像が付いた。
冷たい視線で大界王神を見つめるマーリン。
同じように界王神、シルフ、プーアルも冷たい視線を大界王神に送る。
ヤムチャだけは彼の言っていることにちょっと納得していた。
「あ、そうかい。そういうことなら別にいいんじゃよー?わしはこのまま昼寝でもしようかなー?」
大界王神はその場で寝転がると、肘を地面につきながら昼寝の体勢に入ろうとした。
「…着替えればいいのか」
マーリンは折れたのか、ため息をつきながら大界王神に言った。
「そーいうことじゃ」
「分かった…」
マーリンは力なく頷くと、少し離れた木陰まで武空術で飛んでいく。
時間の無駄だと思ったのだろう。

229:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:48 qGq8L4NM
【102話】
ヤムチャから偉い人と聞いていたので、まさかこんな不意打ちがくるとは思いもしなかった。
ぶっ飛ばしてやろうかと思ったぐらいであったが、そんな事をする時間すら惜しいとマーリンは感じていた。
マーリンは木陰に入ると静かに服を脱ぎ始める。
遠くでその方向を凝視する大界王神だったが、木が邪魔で着替えを見ることが出来ない。
「わし…神眼で覗いちゃおうかな」
「ダメです」
「相変わらずかたいのう…面白くない奴じゃ」
「かたいとか面白くないとか、そういう話じゃありませんよ…これ」
「フン。ギャグの通じん奴め」
「…どう見ても本気だったじゃないですか」
「いいや、ギャグじゃ」
いつの間にか界王神同士で言い争いが起きていた。
それを聞いていたとシルフは、これが宇宙で一番偉い人たちの言い争いとはとても思えなかった。
マーリンが着替え終わった頃に、ヤムチャはプーアルを肩に抱きながら、さりげなくその木陰へと移動していた。

230:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:49 qGq8L4NM

【103話】
「とんだ災難だったな」
苦笑いしながら言うヤムチャ。
「全くだ。もしあれがカイオウシンという偉人でなければ普通にぶっ飛ばしていた」
アタッシュケースに戦闘服を詰め、カプセルのボタンを押しながらマーリンが言った。
「はは、おっかねーな。それよりマーリン…髪、切ってやろうか?」
「…え?」
「いや…ほら、長いじゃん、髪。見る分には綺麗でいいんだけど、戦闘だと結構邪魔にならないか?」
予想外だったのか、ヤムチャの突然の提案に悩むマーリンだったが、ちょうどさっき、自分でも髪を切りたいと思っていたところだったのを思い出した。
「…分かった。ヤムチャ…上手く切れる…?」
「ははん、実は俺…若い頃は美容師を目指してたんだぜ?4日で挫折したけど」
「それは、大丈夫と言うのだろうか…ふざけて変な髪形にしたらお前の顔の原型が変わるかもしれないからな…」
マーリンは拳をボキボキならしながら脅しをかけるが、ヤムチャは既にプーアルが化けたハサミを持っていて、やる気満々だった。
渋々ヤムチャの散発提案を承認するマーリン。
「セミロングでいいか?」
「セミ…なに…?」
「んと、肩に届くぐらいの長さって意味だ」
「結構短くなるな…もう少し残したいのだが…」
「じゃあ、胸辺りまででいいかな」
「うん」
大雑把そうに見えたヤムチャだったが、意外と慎重な手付き且つ、素早くマーリンの長い髪の毛を捌いていく。

231:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:51 qGq8L4NM
【104話】
「出来た!短くするだけだったし、俺でも結構スムーズに出来たな」
「ほーう…楽しみだ」
切り始めてから2分ほど経つと、ヤムチャが嬉しそうに叫ぶ。
ヤムチャはかなりゆっくり切ったつもりだったが、常人視点だとありえない速さだ。
超人故に出来る早業である。
「プーアル、鏡に化けてやれ」
「はい!変化!」
プーアルは手鏡に変身すると、フワフワとマーリンの目の前まで飛んでいった。
「…どうですか?マーリンさん」
恐る恐るプーアルがたずねる。
「上出来、だな…意外と」
どうやらマーリンは自分の髪に満足したようだ。
前が長すぎたため、結構ばっさりと切っているが、見た目的には特に違和感もない。
今は初めてヤムチャに会った時と同じぐらいの髪の長さになっている。
もしかしたら、ヤムチャはそれを意識してこの長さにしたのかもしれない。
毛先もしっかりと見栄え良く揃えてあり、なかなか様になっているように見えた。
「んじゃ…修行頑張れよ。ただ座っているだけだけどな」
「ああ、上手くいくといいんだが…」
先ほどのエロジジイの顔が頭に浮かんで、何か変なことをされるんじゃないかと少し不安そうな表情を浮かべるマーリン。
「心配か?大丈夫大丈夫。お前は潜在能力の塊だからな、きっと凄い戦士になるぞ」
そっちの心配じゃないんだけど…と思ったマーリンだったが、口には出さずに再び大界王神の元へと向かう。

232:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:53 qGq8L4NM
【105話】
「待たせてすまない。はじめてくれるか」
マーリンは先ほどの気持ちを心の奥にしまい込み、再び大界王神の前に立つ。
大界王神はそれを見て、大きく頷くと、ジロジロと体をなめ回すように見つめはじめた。
「…うーむ。やはり、お主はいい体格をしとるの。顔立ちもわしの好みじゃ。まあ、そこに座れ」
「……」
マーリンは言われた通り、大人しくその場に座り込む。
しまい込んだはずの気持ちが、再び頭に浮んできた。
果たして、自分はこのきついきつい修行(?)に耐えられるのだろうか。
ある意味今までで一番辛そうな修行に、不安が頭によぎるマーリンだったが、既に大界王神の修行は始まっていた。
「ほれ、集中せい!余計な雑念が混じるとパワーアップ効果も減るぞ」
自分は雑念の塊の癖によく言うヤツだ…マーリンは静かにそう思った。
ヤムチャは腕を組みながら先ほどの木陰に寄りかかり、その様子を見つめていた。
いつの間にか隣に界王神も立っている。
「そういえば、俺の時は儀式に5時間かけていたけど…今回はやらないみたいですね」
ヤムチャは界王神に話しかける。
「ああ…あれは気分の問題だと思いますよ、多分」
「ていうことは……別にやってもやらなくても良いってこと…ですか?」
「おそらく…」
思わず、界王拳を10倍ぐらいまで上げて、ドスーンとずっこけるヤムチャであった。

233:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:55 qGq8L4NM
【106話】
それから3時間ほどが経った。
「88……んくっ…89…!」
ヤムチャは重力発生装置に入り、500倍の重力で基礎トレーニングを始めていた。
既に腕立て伏せと腹筋100回を終え、現在は背筋100回に取り組んでいた。
出来るだけ気は使わず、生身に近い状態で体を徹底的に虐めている。
以前なら、500倍の重力なんて気を入れた状態でも厳しかったのに、今はギリギリトレーニングが出来るレベルにまで力が上がっていた。
一方、マーリンと大界王神は無言で座っていた。
ヤムチャの時は雑誌を見ながら手を翳(かざ)しているだけだったが、今回はそんなものは見ずに、じっとマーリンを見つめ続けていた。
「お主……辛い過去を経験したんじゃな」
「…!?」
何を思ったのか、唐突に大界王神が口を開く。
「故郷をサイヤ人に奪われ、両親も幼いうちに亡くし、皮肉にも父親はその故郷を奪ったサイヤ人だった…。それ故に以前はサイヤ人に尋常じゃない恨みを持っておった。…今は違うみたいじゃが」
「どうして…それを知っている…?ヤムチャから聞いたのか?」
マーリンは少し動揺した。
「いや、聞いとらんよ。人の心の中がなんとなく分かるんじゃ、これだけ長く生きとるとな…」
大界王神はニコニコしながら言う。
その笑顔が以前なら気味が悪かったが、今では何故か優しく感じられた。
何も聞かずして心を読めるだなんて、超能力の類以外では聞いたことがない。
マーリンは初めて、この目の前にいる老人…大界王神が凄い人だと思い始めた。
「確かに…わたしの過去を遡ると、余り良い道を歩んできたとは言えないな…」
どこか暗く、自嘲気味にマーリンは言った。

234:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:57 qGq8L4NM
【107話】
物心ついた頃から、彼女は戦場に居た。
それが当たり前となり、永遠とも思えるような戦いの日々が繰り返されていた。
今ではすっかりなくなったが、戦いにおいて生きるためとは言え、無差別に命を奪っていた時期もある。
そして、宇宙に散らばっていたはぐれサイヤ人を根こそぎ排除してきたという事実も。
昔のマーリンの心は冷徹で、その手は血塗れていた。
地球にやってきてヤムチャと出会ってから、心身ともに全てが変わるわけだが。
忘れかけていた昔の記憶が、少しずつ頭に蘇る。
いや、罪の意識があったため、忘れようとしていた、といった方が正しいかもしれない。
その罪滅ぼしのためか、地球を去ってからは“侵略された星を取り戻す仕事”をこなす様にしていた。
これなら悪者は完全に相手であるため、心置きなく戦える。
かつてサイヤ人に侵略され、破滅の運命を歩んだ自分の星とその星を重ねて、それを守るかのように。
「わ…わたしは……」
上手く言葉に出来ず、出掛かった言葉が詰まる。
「大丈夫じゃよ。もう以前のお主ではない。本当に運が良かったのう、偶然とはいえ地球に降り立ったのは」
「…地球は…ヤムチャは、本当にわたしの運命を大きく変えてくれた」
「そう思っているなら、なおさら自分の運命を恨んじゃいかん。お主が重ねてきた行動や出来事の一つ一つが、結果的にお主をここに導いたのじゃから。言わば必然的じゃったの

かもな…お主が地球に行くというのは」
どこか深い話をされて、感傷に浸るマーリン。
「話し込んでしまったな。さて、再開じゃ」
「ああ、頼む…」
次第に、マーリンは大界王神を信じ始めた。

235:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:58 qGq8L4NM
【108話】
「98…99…100ッ!……ふう、早くも全身が筋肉痛だぜ」
背筋100回が終わり一息つくと、ヤムチャは地べたに寝転がった状態で床を蹴り、クルクルと体を回転させながら派手に立ち上がった。
トレーニングは既に3週目を迎えていて、汗で全身がびしょ濡れになっている。
こんな部屋に居ては、何もしていなくても体に負荷がかかるのに、その状態でトレーニングをすることは過酷を極めた。
500倍の重力といったら、常人なら何も出来ずペチャンコに押しつぶされてしまうレベルの高重力である。
体重60キロの人間だったら、その500倍…3万キロ、つまり30トンになるということだ。
体が強くなったとは言え、さすがに飛ばしすぎたか…とヤムチャは思った。
「少し休もう…」
部屋の重力を元に戻すと、体がフッと軽くなったように感じた。
手を羽ばたけば武空術なしでも空を飛べそうな勢いだ。
マーリンの様子も気になった頃なので、ヤムチャは数時間ぶりに重力発生装置から出た。
「ヤムチャ様、お疲れ様ですー!」
プーアルがタオルを差し出しながらヤムチャに近づいていった。
「ああ、すまん」
ヤムチャは礼を言うと、タオルを受け取り体中の汗を拭う。
と、マーリンの方を黙って見つめているシルフに気付き、ヤムチャは汗を拭きながら声をかける。
「シルフ、どうだ?母さんの様子は」
「なんか、凄い集中しているみたいだよ。さっきから微動だにしない…」
そう言われてマーリンを見てみると、確かに完全に精神を統一している。
動いているのは風によって僅かに棚引く髪の毛ぐらいだった。
それを見てヤムチャは意外そうな顔を浮かべる。
「なんだよ、マーリンのヤツ。さっきまであれだけ胡散臭そうにしていたのに」
チェッと舌打ちするヤムチャだったが、言葉とは裏腹に、トラブルもなく修行が進んでいるようでほっと胸を撫で下ろす。

236:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 00:59 qGq8L4NM
【109話】
「そういえばシルフ、お前もマーリンみたいに強いの?」
何気なく、ヤムチャがシルフにたずねた。
「ぜんぜん…。お母さんは、『お前はわたしよりもヤムチャよりも強くなるはず』って言ってるんだけどね…とてもそこまで強くなれる気がしないよ」
ヤムチャの言葉でシルフは暗い表情になってしまい、何か悪いことを聞いてしまったかのような気がした。
「で、でも…お前はまだ小さいし、多分近いうちにグーンと力が伸びると思うぜ?マーリンの言うように、俺たちを超えるぐらいのな。サイヤ人の血も引いてるしさ」
「そうかなあ…」
「そうさ。まあ、5歳6歳でもスーパーサイヤ人になれる化け物もいるわけだが…そういうのは例外で…」
すると、シルフは何かを考え始めたが、すぐに答えが出たみたいだ。
「お父さん…大会が終わったら、ぼくに稽古つけてよ!」
一瞬驚くヤムチャだが、すぐに笑いながら答える。
「はは、そういう所はマーリンそっくりだな、お前。俺の稽古は厳しいぜ?」
「うん…大丈夫だから!見てよ、ぼくだってロウガフウフウケンできるんだから!」
ヤムチャから少し距離をとると、自慢げにブンブンと拳を振り回すシルフ。
確かにスピードはまずまずといったところだが、実戦で使えるレベルには到底なかった。
「仕方ねえなあ…まずは狼牙風風拳より、基礎トレーニングで肉体の鍛錬をする。それから精神統一と、俺の肩揉み。どう?やれそう?」
「うんっ!約束だからね!」
目を輝かせてシルフはヤムチャに抱きつく。
やれやれと呟くヤムチャだったが、内心は自分自身もシルフの成長を楽しみにしていた。

237:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:03 qGq8L4NM
【110話】
それから…時間は流れ、マーリンが座りだしてから丸一日が経とうとしていた。
やりすぎて何セット目かすら分からなくなったトレーニングを終えると、ヤムチャが重力発生装置から出てくる。
重力は500倍では物足りないらしく、650倍まで上げていた。
「そろそろ…あいつも終わる頃かな」
ヤムチャはマーリンの方に視線を向ける。
相変わらず、目を瞑ったまま岩のように全く動かないマーリン。
よほど集中しているのだろう。
ヤムチャとマーリンは不眠で修行に打ち込んでいたが、プーアルとシルフは疲れたのか眠っている。
「そろそろええぞ…マーリン」
とうとう大界王神が口を開いた。
マーリンのパワーアップが終わったのだ。
その言葉を聞き、ゆっくりと目を開けるマーリン。
長い間目を瞑っていたため、眠っていたわけではないのだが数秒間景色が霞んで見える。
ぼんやりと見える大界王神の顔。
マーリンは完全に視力が回復すると、黙ってその場に立ち上がった。
そして自分の手先から足先まで、ゆっくりと見渡す。
「違う。手、足、いや、体全体の感覚そのものが違う」
「そりゃあ、わしがパワーアップさせてやったんじゃから当たり前だ。ほれ、早速スーパーなんちゃらの要領で気を入れてみい」
「む…普通にスーパーサイヤ人に変身すればいいのだろうか?」

238:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:04 qGq8L4NM
【111話】
「安心しろ、スーパーサイヤ人にはならん。そもそも、スーパーサイヤ人なんて邪道じゃわい!1000年に一度の戦士だかなんだか知らんが、元々邪悪な心が基に生成された変身に

過ぎん」
やたらとスーパーサイヤ人を批判する大界王神。
過去に何かあったのだろうか。
「とりあえず…やってみるぞ」
マーリンが大きく息を吸い込んだ。
その息遣いが聞こえそうなぐらい場に静寂が走る。
そして、一気に気を高めだすマーリン。
地面が僅かに揺れたと思うと、その揺れは徐々に激しさを増し、最終的には立っているのすら厳しいほどの揺れに変わる。
「はあああああ…ッ!!!」

ボフゥゥゥウゥゥンンッッッ!!!

ヤムチャの時と同様に爆音が轟き、かなり離れていたヤムチャまで足に力を入れて踏ん張らなければ吹っ飛ばされそうになるぐらいの突風が吹く。
一瞬でマーリンの範囲数十メートルにクレーターができ、凄まじい地面の揺れにプーアルとシルフも慌てて目を覚ました。
「あれが…お母さん…!?」
「す、凄いな…!見た目はほとんど変化ないのに…桁違いの強さになってやがる」
ヤムチャが小さく独り言を漏らす。
かなりのパワーアップを果たしたヤムチャだが、マーリンのパワーアップはそれ以上だった。
元の戦闘力が高い分、パワーアップの割合もその分大きいのだろうか。
スーパーサイヤ人の状態でもないのに、マーリンの体に途轍もない力が駆け巡る。
「信じがたいことだ…。スーパーサイヤ人の状態より、遥かに力が漲っている。わたしにここまで力があったのか…」
ヤムチャの体から冷汗が流れる。
いつの間にか、少しだけ身体も震えていた。

239:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:07 qGq8L4NM
【112話】
「……手の爪の先端まで力が漲ってくるようだ」
マーリンは大喜びしていいはずなのだが、余りに凄まじいパワーアップに、つい喜ぶことすら忘れてしまっていた。
「それにしても、このマーリンの気…どこかで感じたことがあるようなないような…」
遠くから見つめているヤムチャはふとその事で考え込むが、答えは出てこない。
すると、大界王神が呼ぶ声がする。
ヤムチャはすぐに駆け寄った。
「オホン。これにてわしらの役目は終わりじゃ。後は下界で大会まで修行を重ねることじゃな」
「はい!」
「無論、そのつもりだ」
ヤムチャもマーリンも大満足といった様子で、勢いよく答える。
大界王神は続けた。
「それからヤムチャよ。お主は以前、地球人は不利、サイヤ人は有利…そんな風に考えておったな?」
「え、ええ…まあ…そうだったかな…」
ヤムチャは不意を撃たれたのか、あやふやに答える。
大界王神の読心術によって、ヤムチャの頭の中は全て見透かされていたのだ。
「確かにサイヤ人のような圧倒的な力強さはないが、地球人は決して弱くはない。それに、サイヤ人にも負けん武器もある」
「と言いますと…?」
「まあ、それはいずれ分かるじゃろ…近いうちにな」
大界王神はホッホッホと意味深に笑う。
サイヤ人にも負けない武器…一体なんのことを言っているのだろう?
「地球まではわたしが送ります。地球の大会、是非見物させてもらいますよ」
ヤムチャ、マーリン、シルフ、プーアルの4人とも界王神の肩につかまる。

240:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:09 qGq8L4NM
【113話】
「本当に…本当に、お世話になりました!」
ヤムチャは一度肩から手を離し、最後に深く一礼する。
マーリンもそれを見て、口を開いた。
「わたしからも礼を言う。大会が終わったら、何らかの形であなたたちに礼をさせてくれ…」
マーリンの発言に対し、一瞬やらしいことを閃いた大界王神だが、最後は界王神らしく決めようと思い格好をつける。
「礼は地球の大会を見れるだけで十分じゃ。見せてくれよ…お主たちの暴れっぷりをな」
にこやかな表情でヤムチャたちに手を振る大界王神。
「それでは、地球へ移動しますよ!準備はいいですね?…カイカイ!」
4人と1匹がその場から消える。
つい数秒まで賑わっていた界王神界に、かつての静寂が戻った。
「頑張るんじゃぞ、ヤムチャ、マーリン…」
大界王神は届かない心の声をそっと口に出す。
「しかし、ヤムチャもマーリンも想像以上に力が上がったのう…。特に、あのマーリンというムスメ…以前ここにきた孫悟飯の息子のようなパワーじゃ。悟空たちが驚く顔が目に浮か

ぶわい」
そう言いながら、既に入れてあるお茶を寂しそうに飲み干した。

241:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:15 qGq8L4NM
【114話】
同時に、地球に4人と1匹の影が現れる。
「さ、地球に着きましたよ」
ヤムチャたちが辺りを見渡すと、そこは界王神界に行く前までいた荒野だった。
実質二日ぶりぐらいなのだろうけど、やけに懐かしい気分になる。
「わざわざ送っていただいてすみません、界王神様」
「いえいえ。情けない話ですが、この星々間の移動ぐらいしか私に手伝えることはありませんので…」
恥ずかしそうに笑いながらそう言うと、界王神は続ける。
「また、機会があれば会いましょう、皆さん!それでは……カイカイ!」
界王神はそう言うと、跡形もなく姿を消した。
しばらく間を置いてから、マーリンが口を開く。
「実に不思議な連中だった。瞬間移動は出来るし、パワーアップまでしてくれるとは…全く、ヤムチャに会うと相変わらず驚くことばかり起こる」
すると、ヤムチャは困ったような顔で答えた。
「でも、さすがに今回の事は俺にも予想外だった。まさか界王神様が直々にコンタクトをとってくれるなんてな…。モチロン、嬉しい誤算ではあるけどさ」
途轍もないパワーアップを果たした二人だったが、まだ戦いでその力を試していないため、いまいち実感が沸かないというのが正直なところである。
出来れば今すぐにでも己の力を戦闘で試したい。
しかし、二人とも彼是50時間以上睡眠をとっていないことに気付いた。
不思議なもので、今まで平気だったのに、そう考えた途端、極度の睡魔が二人を襲う。
話し合いの末、ヤムチャの提案により、二人は一旦修行は休憩して睡眠をとることにした。
ヤムチャの住処である洞窟に入り横になると、2人は1分もしないうちに深い深い昏睡へと堕ちていった…。

242:SaiyanKiller2 ◆EqApAczzj2
09/01/20 01:17 qGq8L4NM
【115話】

「ケッ…抵抗しても無駄なのは分かっている。早く殺せよ。それでお前の気が済むならな」
闇の中に男と女が立っている。
男は傷だらけだったが、女はほとんど無傷だった。
どうやらこの女がとことん痛めつけたらしい。

ズァッ!!

そして、止めを刺すためか女性の手からエネルギー波が放たれた。
言うまでもなく、男の体は粉微塵にバラバラになる。
唯一…体の一部である尻尾だけが、原形をとどめて無残にも地面に転がっていた。
「勘違いしているようだな。お前の死を持っても、わたしの怒りは消えないのだよ」
女性は捨て台詞でそう言い放つと、砂煙の中一歩、また一歩とその残骸に向かって近づいていった。
エネルギー波によって、地面のあちらこちらに火の粉が飛び散ったため、夜なのに昼間のような明るさになる。
その炎の明るさが、女性の顔がはっきりと照らし、映し出す。
それは…紛れもない若き頃の自分の顔だった。

ビュンッ!

その時、自分の顔の僅か数十センチ隣を弱弱しいエネルギー波が通過した。
当たってはいないのだが、エネルギー波が通過した際、一瞬真空状態になったためか、彼女の頬に軽い切り傷が出来た。
「お前は…サイヤ人を見くびりすぎだ」
と、バラバラになったはずの男の声が聞こえる。
辺りを見渡すと、エネルギー波を受ける際にわずかに体をずらしたのか、その体は上半身だけだった。
「…ククク…サイヤ人を倒しまくっているらしいが、お前自身がサイヤ人にやられる日もそう遠くは」
「死ね」
全て言い終わる前に、先ほどの倍はあろうかという威力のエネルギー波を男に向かって放つ。
再び爆発が起きると辺りは業火に包まれ、今度こそ男の体は跡形もなくバラバラになった。
その死に様を見て、女性は狂気に満ちたように、どこか不気味な薄ら笑いを浮かべている…。
そして、その世界は闇へと戻っていった。


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