08/09/28 20:43 zokAowNE
そこで空気読まずに投げてみる。
単行本完結したので大目に見てくれるとありがたい次第。
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「どうなんです?」
実際のところ、と。含み笑いの上に重ねられた言葉。
「分かったよ、正直に言えばいいんだろう?」
その問に、仕方がないとでも言ってみせるように肩をすくめながら、
彼女は答えた。
「なんだか久しぶりですね、絃子さんの部屋に来るの」
「君とは毎日顔を合わせてるから、そういう気はあまりしないけどね」
そうですか?、と言いながら両手に持った買い物袋をテーブルの上に
置く笹倉葉子。疲れた、と肩を叩くその仕草は、どちらかと言えばあまり
他人に見せられたものではないよなあ、などと溜息をつきつつ、部屋の
主たる刑部絃子は小さく肩をすくめる。
「ちょっと買いすぎなんじゃないか、それ。……で、今日は一体どんな
風の吹き回しなんだい?」
なんやかやと雑用を片付けていたら、今更出かけるには少しばかり
中途半端な時間になってしまった、そんな休日の昼下がり。そこに、
今から遊びに行きますから、と唐突に送られてきたメール。文面に
こちらの都合を問う言葉が一切い、という彼女らしさに苦笑しつつ、
了解の返事をしたのが小一時間ほど前のことになる。
「面白い土産物がある、っていう話だったけど」
「それはあとのお楽しみです」
こういう場合、十中八九ロクでもないことなんだよなあ、そう胸の
内でぼやく絃子をはぐらかすように、それにしても、とリビングから
歩を進める葉子。
「やっぱり広くないですか? ここ」
「かも、ね」