07/11/22 21:54:48 IyA8NFGh0
137 名前:U-名無しさん[] 投稿日:2007/11/22(木) 15:54:33 ID:nwdb8zTw0
Numberより 【黄色い地獄での消耗戦】
「失点したのに、なんで歌ってられるんだ?」隣のイラン人が眉をひそめた。
「俺たちは失点したら、文句だらけで応援なんかやめちまう。どうして日本人は・・・・」
日本人の僕には、彼らを納得させる言葉が見つからない。
「おい、あいつら何て歌ってるんだ?」
「世界に見せつけろ、俺たちの誇り、と歌っています。」
「すげえな・・・・・」
やがて、サポーターが勢いよく飛び跳ねだすと、いい歳をした男たちが一斉に、
「見ろよ、飛び跳ねてるぞ!面白いじゃないか!俺たちも飛び跳ねよう!」鼻息を荒くして、真似し始めた。
警備員のひとりが、僕の肩を叩く。
「おい、あの旗の顔はチェ・ゲバラだろう。どうしてフットボールにゲバラなんだ?」
興奮した様子で問いかけている。
「おお、ゲバラだ!」
周りのイラン人が写メールを採り始めた。イスラム革命の記憶が色褪せていないイランでは、
チェ・ゲバラは革命の志士として英雄視されている。そのゲバラが、どうして浦和の旗に―。
男たちが目を爛々と輝かせて、日本人の返事をいまかいまかと待っている。
「僕が思うに、様々な苦難を乗り越えて革命を成し遂げようとしたゲバラの精神を見習って、
死ぬまでチームを応援しようという心意気の表れだと思います。」
イラン人たちは深く頷き、一心不乱に声援を送る日本人を黙って見つめるのだった。