08/03/26 23:43:01 HSn7y74z0
「夏ならホームランで交代ですよ」
智弁和歌山高の高嶋仁監督がそう振り返ったのは、
3点リードの7回裏、無死から春原ケンジの本塁打をきっかけに
丸子修学館高に一挙4点を奪われた場面。
球が高めに浮き、球威もなくなりつつあった先発の岡田俊哉は限界だったが、続投を決断した。
「岡田は体がまだあんなでしょう(174センチ、63キロ)。
ピッチャーとしてはまだもうひと冬かかります。
スタミナはあんなもんですよ。でもまだ春。
もう春は(甲子園に)出て来とるんですから。
やっぱり常に夏のことを考えてますよ。
夏を考えたら岡田に完投させたかった」
高嶋監督は“春用”のさい配であることを隠さなかった。
「ああいう場面では監督が腹をくくらないとしょうがないんです。
それで負けたら? 腹くくってれば、何言われても平気ですよ」
結果的に続投は失敗。逆転勝ちで事なきを得たが、
高嶋監督は「失敗するからこそ得るものがある」と言う。
「今までに何度も失敗してますよ。
橋本(良平、現阪神)のときだって、何度失敗したか分からん(笑)。
でも、失敗したら選手も分かってるんです。
打てなかったら悔しくて練習しますよ。
橋本だって何度も失敗して、
秋の近畿大会では甲子園を決める1本を打ちましたからね(初戦の市尼崎高戦で本塁打)。技術的なものは教えられますけど、こういうものは教えられないんです」
やって失敗するのと、やらないで失敗もせずに終わる違い。
これが今後の選手の伸び率につながる。
だからといって、甲子園まで来てそれができるかといえば難しい。
誰だって「勝ちたい」のだから。
智弁和歌山高は春8度目の出場だが、
過去7回中、夏に甲子園に出られなかったのは2度だけ。
1996年以降の5度はすべて春夏連続出場している。
しかも2000年春準優勝→夏優勝、
02年春初戦敗退→夏準優勝、
06年春2回戦敗退→夏ベスト4
と春以上に夏に上位進出することが多い。
甲子園出場数も春8回に比べ、夏は倍近い15回だ。
“春用のさい配”
勝敗を度外視しても夏を見据えるさい配に、
夏に強い智弁和歌山高の秘密と高嶋監督のすごさを見た。