07/11/13 16:17:00 DyMSbEtq
ちょうど、5分前に会社にたどり着いた彼は、遅刻しなかった事よりも5分前精神が守られたのが嬉しかった。
その日の彼は、忙しさも手伝って、子犬たちのことは帰宅時間まで忘れていた。
まっすぐ家についた彼は、帰るなり、段ボールを見て唖然とした。
段ボールの中が真っ赤に染まっている。
「中でこのチビたち喧嘩しやがったんだ!凶暴な犬め」
と思って一匹を拾い上げた。
血ではなかった。
真っ赤に見えたのは、子犬たちのウンチだった。
「こんなクソまみれになってたのか。かわいそうに」
彼は愕然と思った。そして、その子犬たちがいとしく思われた。
すぐに、一匹づつ洗面所で洗い、タオルを換え、朝、獣医に教わったようにミルクを飲ませた。
飲ませ終わって、冷静に見ると、3匹とも震えている。
寒いのだろう。彼は、床にタオルを敷いて、比較的きれいな段ボールをゴミ捨て場から持ってきた。
前のより大きいので、これで、クソまみれにはならないだろう。
彼は、ありったけのタオルを敷き詰めた。
翌日のコースは、スコアは、メタメタだった。頭には、子犬のことが離れない。
「やつら寒くはないかな・トイレは、どうすんだろう」そんなことばかり考えていた。
風呂好きの彼は、いつもはゆっくり浸かるのに、今日は、軽くシャワーを浴びただけで上った。
踊り場で、入浴者用のタオルの山を見つけた彼は、急に子犬の事が恋しくなり、
だれもいないのを確認して、ありったけのタオルをカバンの中に詰め込んだ。
つづく