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見えざるものへ―末木文美士「政治と宗教、実験の連続」(2009年09月18日 読売新聞)
総選挙は民主党の圧勝に終わった。変化を求めつつ、しかしどうなるのか不安で、誰もがその行方を
息をひそめて見守っているようだ。政治と宗教という観点から見れば、二つのことが注目される。
第一に、公明党が惨敗し野党に転落した。公明党は1964年に公明政治連盟を改組して設立され
、参議院のみならず衆議院にも議員を送り出して、その力を世間に認識させた。当時、創価学会は折伏
(しゃくぶく)活動が高揚した時期で、公明党の目的は国立戒壇の設立ということであった。
国立戒壇というのは、国全体が改宗して「南無妙法蓮華経」と唱える象徴的な場所である。
それ故、それは戦後の政教分離に対する正面からの挑戦であった。
しかし、勢力の伸長とともに世間の批判を招き、1970年には政教分離原則へと転ずる。
公明党が大きく変質したのは、1999年に自民党と連立するようになってからである。
確かに宗教関係勢力が与党の中核に入ったのは大きな意味のあることではあったが、次第に
自民党の政策に追随し、イラク派兵にも積極的に賛成するようになった。独自色を失って自民党と
運命共同体となり、創価学会は自民党の集票マシーンと化した。
公明党の動きは、宗教アレルギーの強い戦後の日本の中で、宗教教団がどのように
政治に関(かか)わることができるかという実験の連続である。
今回の選挙では、幸福実現党の失敗もまた、新宗教と政治の関係に一つの問題を投げかけた。
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