08/12/04 20:53:38
男は暗い部屋でひざをかかえてうずくまってた。
電気・ガス・水道・電話はとうに止められている。
男にはどうして自分が今の境遇にいるのかまったく理解できなかった。
父親は入院先の病院で死んでしまったし、看病疲れの母親はずっと寝たきりだ。
年金だけが頼りだから死んでもらったら困る。この公営住宅さえ追い出されるだろう。
面倒だけどレトルトのおかゆでもあげとくか。
生活保護を申請しても働けるはずの一点張り。なぜ?どうして?
どいつもこいつも役立たずだ!きっと社会が悪いんだ!
両親が元気だったころ、よくネットに書き込んだセリフが浮かぶ。
口に出してつぶやいてみた。「きっと社会が悪いんだ!」
静かな部屋に自分の声がむなしく響く。
あのころは、たしかニートと呼ばれていたな、でも今は…
男は鏡を見つめた。そこには、血色の悪い中年無職が映っていた。