08/06/16 10:39:46
>>960
「情けは人のためならず」とか「お互い様」という言葉を知ってるかな?
人は自己中心、というのはある意味、真実を突いているとは思うが、
「だからそれでいいじゃん」ということではないと思う。
自分が幸せになりたいのであれば、だれもが幸せになれる世の中にしよう
という発想にならざるを得ない。
芥川の「蜘蛛の糸」を引用していた人もいたが、まさにあれと同じ。
「自分は努力した」「自分は才能がある」「自分は立派な人間だ」だから
選ばれたのだ、だから自分だけ特権を受ける資格があるのだ。こんな思いは
単なる傲慢、思い上がりでしかない。
神や仏と言われる、世界を上から見る存在の視点から見れば、人間の努力や
才能、あるいは人格なども、大差ない、小さな違いでしかない。
「蜘蛛の糸」の主人公は、ほんの小さな善行に目を留めて、たったそれだけ
のために地獄から救い出そうとしてくれた仏の寛大な慈悲に思い至らず、
あたかも自分がそれにふさわしい人間であるかのように錯覚し、他者への
思いやりや慈悲を持たなかったため、糸が切れてしまった。そこに含まれて
いる教訓をよく噛みしめるべきだ。
同じようなことはキリストも言っている。「多く赦された者は多く愛し、
少なく赦された者は少なく愛する」と。まず謙虚になって「自分はみんなに
生かしてもらっている」というところから、「だからみんなで幸せになれる
社会を作ろう」というところに進まなければ、人類に未来はない。