07/10/08 02:52:08
モラル低下が招く猫の悲劇 野良の殺処分増加の一途
ペットブームが社会に浸透する一方で、飼育放棄された動物、特に猫に関連したふん尿被害などのトラブルが後を絶たない。
鳥取県内で昨年度一年間に県が引き取った猫は二千八百匹余りに上り、そのほとんどが殺処分された。
行動が法で制限され、飼い主の意識も比較的高い犬とは対照的に、その数は増加の一途という。問われるのはやはり、飼う側の人間のモラルだ。
鳥取市で先日、野良猫をめぐるトラブルが、地域と動物愛護団体との摩擦に発展する騒動があった。
野良猫が増え、ふん尿や庭荒らしの被害に悩んだ市内の町内会が、住民や関係機関と協議の上で捕獲計画を打ち出した。
ところが、計画文書の写しが県外の動物愛護団体のインターネットサイトに掲載され、抗議や計画中止を求めるメールが県に殺到。
関連のブログには、捕獲された猫を引き取る県の姿勢を批判し、「抗議メールを送ろう」と呼び掛ける意見が書き込まれた。
町内会関係者によると、野良猫が増加したのは、地区外に転居した家主が定期的に戻って屋外の猫に餌やりをしていたのが一因という。
抗議メールに困惑した町内会は再度協議し、家主が給餌を中止したことで二十匹以上いた野良猫の数が減ったことが確認されたため、捕獲計画を取りやめた。
町内会長は「今後は飼い主のモラル向上に努めていく。野良猫対策を皆で話し合ったことで、住民の間で少なからず関心が高まった」と話す。
動物愛護法では、行政は住民などから要請があれば、犬猫を引き取ることになる。県が昨年度引き取った猫二千八百十三匹のうち、三分の二は所有者の分からない捨て猫や野良猫。県内では窓口となる各総合事務所で譲渡先を探すが、
猫の場合、引き取り手はほとんどない。譲渡されたのはわずか二十七匹だった。
県は十月一日から、殺処分数を少しでも減らそうと、所有者がはっきりした犬猫の引き取り手数料を有料化した。所有者責任で、必要な場合は避妊・去勢手術を施して無尽蔵な繁殖を防ぐなど、最後まで愛情と責任を持って飼う「終生飼養」を促す。
鳥取市内で動物病院を開業する獣医師は「猫は年四回発情することもあり、繁殖力は強い。野良猫に餌やりする気持ちが分からないでもないが、殺処分増加や病気のまん延など、無責任な行動が招く影響をよく考えてほしい」と話している。