07/10/13 11:09:34
★ 集団を率いるためのリーダーシップとは
【平尾】 さらに、日本人は自分と他人との差異を認めることが上手くできない。本来なら、
その違いを認めて「自分にはできないけれども彼ならチームのためにこんなプレーができる」
という考えを持つことが、チームプレーには必要なんです。
【佐渡】 たしかに、そうですね。
【平尾】 数年前のアンケートなんですが、日本の社長室に飾ってある書画の中でいちばん
多いのは「和」という字だったそうです。日本人にはとても好まれている文字だそうですが、
その割に「和」のポリシーをわかっている人は少ない。「和」というのは“のぎへん”に“口”と
書きますよね。聞いたところによると、のぎへんというのは収穫したものを表し、口は食べるという
意味合いがあって、それによって一つの形を作るというのが、この文字の意味だそうです。
つまり、異なるものの融合なんですね。実際、「和して同ぜず」という言葉があるように、
同じになってしまってはしょうがない。ところが、実際にはみんなで同じことをすうのが
「和」だと思っている人が多いんです。
【佐渡】 違いを認めて、良さを引き出して一つにまとまることが、本当の意味での
「和」であるはずなのに・・・。
【平尾】 そうなんですよ。ところが、日本では均質的なものには非常に友好的な意識を持つけれど、
違うものに対しては違和感を覚えてしまう。たとえばグループの中で、一人だけ貧しいとか、
お金持ちだとか、あるいは職業が違うとか。先ほど、佐渡さんが言われたフルートの名手の場合も、
日本ではほかの楽団員と違って非常に不真面目で「和を乱す」と非難されてしまうでしょうね。
しかも、フルート奏者であるはずなのにフルートが上手いということはきちんと評価されなくなって
しまう可能性が大きい。つまり、人と違った個性を持つ彼は、そのままではオーケストラに
受け入れられない。だから、ほかの楽団員と同じになるか辞めるかのどちらかです。そうやって、
チームを均質的にすることが「和」だと思っている傾向がとても強い。周りの人と違うという部分を
認めるという尺度が日本と欧米とではものすごく違うように感じますね。
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