08/06/28 11:10:21 mJxcKNze
6月4日、東京高裁は、これまで25年以上もの間、頚椎捻挫として誤認定され続けてきた被災労働者の労災再発申請裁判の控訴審で
「頚髄不全損傷認定と、その神経因性膀胱との因果関係」を認める被災者側逆転勝訴の判決を下しました。
20日、国側は上告を断念、判決は確定したのですが、この裁判、被災者が被災してから、実に25年以上もの月日が経過しております。
被災者は、頚椎捻挫として12級の認定の後遺障害等級認定を不服として、審査請求、再審査請求(いずれも棄却)後、
提訴に及びましたが最高裁まで敗訴。
再び再発申請で審査請求、再審査請求(いずれも棄却)後、提訴、一審の東京地裁では敗訴しましたが、
最新の医学的知識をもつ専門医等の意見書による緻密な立証が奏功しての逆転判決を勝ち得たものです。
ここで問題になるのは、労働局の審査官、局医と呼ばれる医師、労災側に協力する鑑定医、
審査会における医師委員の医学的専門知識の根本的な欠如です。
特に、脊髄疾患における日本の整形外科学会の保守的な態度(勿論、例外はありますが)は、
頚椎に骨傷がなければ神経学的検査を軽視し、脊髄損傷を認めない前時代的医学的立場をとり、
骨傷が認められる場合が少ない脊髄(頚髄)不全損傷を頚椎捻挫、外傷性頚部症候群として安易に誤認定してしまう大勢が支配的であるということです。
欧米では脳神経外科学会が脊髄疾患を神経学的立場から脊髄外科学会として脊髄疾患に対応しているのが趨勢です。
これは労災側に限らず、裁判所のこれまでの判例からも伺えるところです。