06/05/02 23:34:52
活字復興に水差すな--数学者・お茶の水女子大教授、藤原正彦さん
新聞の特殊指定がなくなったら市場原理だけが働いて、残るのは弱肉強食のけだもの
の世界だ。近年は「規制緩和」イコール善と政府も国民も考えているようだが、誤りだ。
規制は弱者を守るために必要なものだ。「規制緩和」の失敗は、大店法(大規模小売店舗
法)緩和のしわ寄せを受けた地方の駅前商店街の惨状を見れば分かる。競争は必要だが、
適切な規制の下でないといけない。
今回の問題で切り捨てられるのは過疎地の人々。値引き合戦になったら体力のある新聞
数社が市場を支配して、採算が合わなくなったらさっさと撤退するだろう。強力な販売店
が地域を支配した途端に値上げ、ということもあり得る。
欧米のように、宅配制度が日本ほど普及していない国に住むと痛感するが、新聞が毎日、
家に届けられるということの意味は大きい。わざわざ出かけて買いに行くのに比べ、読む
頻度が格段に高まる。新聞がいつでも手の届くところにあるということは、日本が世界に
誇るべき文化だ。
テレビがあればいい、という声もあろうが、それでは民主主義は育たない。国民の成熟
した判断力が民主主義の前提だからだ。新聞とテレビでは情報の量、深さについて決定的
な差がある。
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