09/09/02 22:14:10
>>637
「公務中の公務員に肖像権は無い」というのは、「都市伝説」の類です。
そのような法律はありませんし、そのような判断をした最高裁判所の判決(判例)もありません。
なお、一般に、肖像権について裁判の争点となるのは、撮影された側が、撮影した側の違法性を訴える場合です。
「警察官によってデモ中に無断で写真撮影をされた」とか「法廷で被告人が無断で写真撮影された」とかが争点となるのです。
(違法収集証拠の排除の主張なり、損害賠償請求なり)
「公務中の公務員の肖像権」について正面からの判例がないのは、そのような訴えをする公務員がたまたま今までいなかったというだけに過ぎません。
肖像権の侵害は「個人の権利の侵害」なので、その損害賠償請求も、基本的には個人で対応することになるので、単に面倒だというだけなのでしょう。
今後、「公務中の公務員に肖像権は無い」などという妄説に従って「肖像権の侵害」が横行した場合には、訴えを起こす勇気ある公務員が出現する可能性があります。
(国・地方公共団体が雇用主の立場から、被用者である個々の公務員の職務中の権利を擁護する観点に立って、今後は一定の支援を検討する可能性も排除できません。)
また、妄説に従って行った「撮影行為」が何らかの刑罰法令(迷惑防止条例など)に触れるとして検挙された場合に、被告人が「撮影行為の正当性」を主張して、「公務員の肖像権」が争点となることがあるかもしれません。
これらの場合には、
>人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する。
>もっとも、人の容ぼう等の撮影が正当な取材行為等として許されるべき場合もあるのであって、ある者の容ぼう
>等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被
>撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、撮影者の上記
>人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである」
との判例(平成17年11月10日 最高裁判所第一小法廷判決)の考えに沿って、違法性の有無が個別に判断されることになるでしょう。