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＜路木ダム＞建設根拠の浸水被害ウソ？ 熊本・天草市が調査
12月10日2時34分配信 毎日新聞
熊本県が同県天草市の路木川中流で建設計画を進める路木ダムについて、天草市は９日、
設置の根拠の一つとされる過去の住宅浸水被害が本当にあったかどうかを調査すると発表した。
市民団体が「別水系での浸水被害が、路木川で発生したかのようにされており、設置根拠は虚偽」と指摘していた。結果次第では建設計画が揺らぐことになりそうだ。
９２年に事業採択された路木ダムは、同市牛深地区などへの上水道供給と治水の二つが目的。治水に関し、県は路木川河川整備計画で「８２年７月の豪雨で、下流宅地に約１００棟の床上浸水があった」と記載していた。
しかし、地元市民団体が、被害状況をまとめた資料を天草市から入手し分析したところ、浸水被害は約５キロ離れた別水系のものだった。
現地での聞き取り調査でも、全５９世帯が「浸水被害の記憶はない」と答えたという。
県は「地元の要望書に浸水被害があったとされていた」と繰り返し、市は「治水は県の担当」としていた。
しかし、市民団体の度重なる指摘を受け、市は「説明責任を果たす必要がある」と判断し、独自調査を決めた。
当時の資料を探して確認するほか、住民への聞き取りなどをするとみられる。
調査時期は未定だが、ダム本体着工が０９年春に予定されており、県の新年度予算が編成される前に結論を出す方向だ。
市民団体「天草の海を考える会」の植村振作代表は
「真実から逃げられなくなったのだろう。ダム中止の方向に向かってほしい。上水道が必要なら、環境に負の影響を与えないやり方を考えるべきだ」と話した。
一方、蒲島郁夫知事は「調査には協力したい」と述べる一方、県が中心になって調査する考えはないことを示した。
路木ダムは天草市河浦町の路木川上流に県が計画。堤高約５３メートル、総貯水量２２９万立方メートル。
総事業費は約９０億円で、２０１３年度に完成予定。工事用道路などの周辺工事は終わったが、本体工事は未着工。
「川が流れ込む羊角湾の環境に悪影響を及ぼす」と反対運動が起きていた。【笠井光俊】