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誤認逮捕 拘置中、父病死戻らぬ5年 男性「そっとしておいて」
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05年1月、福井市の福井刑務所を仮出所した男性は、更生保護施設から紹介された同市内の
土木会社で日給8000円の仕事に就いた。翌2月に13万円余りの最初の給料でレンタカーを借り、
故郷の氷見市に向かった。
冬空の下、両親が眠る墓の前で1人手を合わせた。「なんで僕が刑務所から出てくるまで生きていてくれなかったの」。
02年11月27日の判決が下るまでの拘置中に病気で亡くなった父親に語りかけながら、涙にくれたという。
05年7月に、男性は福井を引き払い、富山県に帰ってきた。所持金が少なくてJR高岡駅までの切符しか買えなかった。
午前0時ごろに駅に着き、「うちに帰らなきゃいけない」と、約20キロ・メートル離れた実家まで、足のマメをつぶしながら
歩き続けた。たどり着くと朝7時になっていた。
玄関のかぎは閉まっており、開いていたトイレの窓から中に身を滑らせた。誰もいない家の中に遺影を見つけ、「父は写真になってしまった」と思った。
3日間飲まず食わずで過ごしていたが、近所の女性が気付き、「おかえり」と言って米2合を分けてくれた。
そのとき初めて故郷に帰った思いがした。「救われた気がした。本当にありがたかった」
仮出所から2年。「後ろから冷たい視線で見られていると思うと、続く仕事も続かなかった」という。
葬儀業者やホテルの夜間フロントなど様々な仕事についたがいずれも数か月程度で辞めている。
「本当にそっとしておいてほしい」という男性。誤認逮捕が生んだ恐怖は、今も心をさいなみ続けている。