06/04/26 21:40:08
今回の判決は、警察官が直接被害を把握していなくても、県警は客観的状況から警察権を行使すべきだった、と断じた点で画期的といえる。組織的な不作為が違法とされたわけで、問題の根が深く、深刻である。県警全体の危機意識が欠如していた。
事件後、県警はミスを認めて遺族に謝罪したが、裁判では一転して「捜査は適正」として否認した。こうした姿勢も不誠実と言わざるを得ず、遺族が不信感を募らせたのは当然である。
間違いやミスは起こりうる。それを率直に反省して再出発しなければ、また同じことが繰り返される。
判決後、会見した父親は「判決を警察改革の礎にしてもらいたい」と話した。被害者や遺族の無念を思うと何ともやりきれない。捜査の怠慢が招いた悲劇を肝に銘じて、二度とこのような不祥事を起こしてはならない。
警察の使命は市民の生命と財産を守ることに尽きる。わらにもすがる思いで助けを求める市民の声に真剣に耳を傾け、最悪の事態を想定して迅速に対応しなければならないのは言うまでもない。
治安の悪化で警察への期待が高まる一方で、捜査の不手際が相次いでいるのは残念でならない。組織の緩み、面倒な事件を避けようとする風潮はないのか。警察官一人一人の士気は高いか。一連の判決を警察全体への警鐘と受け止め、総点検してもらいたい。