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5月3日 朝日新聞東京版「声」欄
「大逆事件から百年の節目に」 無職 村田義彦(横浜市緑区 70)
本年は、「平民新聞」を創刊した幸徳秋水氏や、親交のあった医師の大石誠之助氏、
貧しい人々を助けた住職の高木顕明氏ら数百人が大逆事件で検挙されてから
百年目にあたる節目の年である。事件は貴紙が「ニッポン人脈記」に昨年5月から
連載されたように、天皇制国家における巨大な冤罪事件であった。
その大審院の特別裁判は1910年12月から非公開で行われ、一人の証人を
尋問することもなく翌月18日に判決が下された。そのわずか6、7日後に
幸徳秋水氏ら平均34歳の12人に死刑が執行された。
この事件は大日本帝国憲法のもとで起こった。私が6歳のまではこの憲法の下で
暮したが、私たちは憲法上「日本臣民」と記されていた。
私が7歳の時に現在の日本国憲法が施行され、私たちは「国民」と表現され、
主権が天皇から国民に移ったのである。
現憲法では、国民一人ひとりに基本的人権を保障している。11条や13条や
97条をはじめ、個人の尊厳と人権の尊重の理念がちりばめられている。
大逆事件のようなことが起きるとは考えにくいが、そうは言っても現実は油断
ならない。現憲法を絵に描いた餅にしないよう、不断の努力が必要と思っている。