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八ツ場ダム、4割が「1社応札」 09年発注の土木工事
2010年3月3日 朝刊
八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)に関し、2009年に国が発注した土木工事66件の一般競争入札で、約4割が1社しか入札価格を提示しない「1社応札」だったことが2日、分かった。
全入札の平均落札率(予定価格に対する落札価格の率の平均)も約95%と高かった。
市民団体「八ツ場ダムをストップさせる千葉の会」の調査を基に、本紙がまとめた。
同会は「『1社応札』が多くなれば一般競争入札の目的である競争原理が働かない」と批判。
今後、談合の疑いが強い情報を会計検査院に提供し、必要な措置をとるよう働き掛けることを検討している。
国土交通省関東地方整備局の「入札結果データ」によると、同局八ツ場ダム工事事務所が行った、契約日が09年1~12月末の土木工事の入札件数は66件。
このうち、はじめから1社しか入札に参加しなかったのが17件、入札に参加した業者が1社を除いて入札を辞退し、結果的に1社しか入札価格を提示しなかったのが8件。計25件は全体の約4割にのぼる。
関東地方整備局契約課では「結果的に1社応札になったものもあるが、入札は業者側がほかに応札業者がいるかどうか分からない状態で行っており、談合の事実はない」と、入札は適切に行われていると説明している。
ただ同課は「(応札企業が)1社でいいかどうかについては、いろいろな角度から分析しており、資格要件の緩和や周知方法の検討など、対策も考えている」と、応札業者数を増やすための改善策も検討中であることを明らかにした。
八ツ場ダムをめぐり、国は03年に、当初の事業費2110億円を4600億円まで増額すると公表した。
しかし08年度末までに、付け替え国道の事業費執行率が89%に達しているにもかかわらず、09年度9月段階の完成区間は50%未満にとどまる。
地滑り対策にも数100億円が必要と予想され、総事業費はさらに膨れあがる見込みだ。