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2009年9月7日 朝日新聞 朝刊13版1面
リーマン・ショック1年 危機は去ったか
金融街、豪勢さは戻る
昨年9月15日、米国の証券大手リーマン・ブラザーズが破綻し、
世界経済は大嵐にのみ込まれた。それから1年。
ニューヨークの金融街、ウォールストリートの高級ステーキハ
ウス。経営者のデニス・タシノビックさん(31)は最近、上機
嫌だ。「ウォール街の活気が戻ってきた」
ある夜訪れた4人連れの大手証券社員らは1本4千㌦(約37
万円)のワインの大瓶を注文。店員らにも気前よく振る舞ったと
いう。売り上げは7月ごろから反転。1本5万~10万円のワイ
ンが売れ、客単価が上がったからだ。
米金融大手6社は4~6月期に全社が黒字になった。2社は上
場以来の最高益。社員の報酬も上向く,ゴールドマン・サックス
の4~6月の報酬総額は66億5千万㌦。1人1月あたり7万㌦
(約640万円)強だ。
業績と報酬を支えているのは、証券の売買での稼ぎだ。危機を
食い止めるために米連邦準備制度理事会(FRB)が銀行に低利
で貸すカネも元手になっている。安定してきた市場で株や債券を
買えば 「大きな利ざやがとれる」(大手金融幹部)。「隠れた
補助金」とも呼ばれる。
大恐慌の再来を防ぐため、米政府とFRBは異例の政策を繰り
出し市場の安定に努めた。「火元」の炎の勢いは確かに弱まった。
だが、米社会には失業率10%目前という重圧がのしかかる。金
融「復調」の足元は、もろい。 (ニューヨーク=丸石伸一)