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【産経抄】8月18日
2009.8.18 03:08
「私の好きなジョン・スチュワート・ミルの言葉に“My work is done.”
というのがあります。死に近くなって、自分のやるべきことはやり遂げた…この一言を残
して世を去りたい…皆さんには、格段にそうあって欲しいと思います」。
▼平成10年、自民党内の勉強会に招かれた城山三郎さんは、こう呼びかけた。講演原
稿を読み直すと、きょう、衆院選の公示を迎える自民党の立候補者、とりわけ麻生太郎首
相にもう一度聞いてもらいたい、と思わずにはいられない。
▼城山さんは、代表作のひとつ『男子の本懐』の主人公で、ともに非業の死を遂げる、
浜口雄幸と井上準之助を取り上げて、政治家の原点とは何か、と問いかける。2人は、軍
部の反発を買い、国民から怨嗟(えんさ)の声が上がるのを承知の上で、強力な緊縮財政
をしき、金解禁を断行した。
▼浜口は、事を成すにあたって、「信念が兎の毛ほども揺らいではいけない」と言い、
その通りに生きた。井上は「遠図」あるいは「世語は欣(よろこ)ばず。楽在正論」と書
き残した。政治家は遠くを見ていなければならない。世間の評判は、気にしない。自分の
楽しみは正論にしかない、というのだ。
▼子ども手当や高速道路の無料化は、ばらまき政策だ。成長戦略がない。民主党の公約
への批判をいくら繰り返しても、「政権交代」という、自民党への大逆風は、一向に収ま
りそうもない。とすれば、麻生首相にできることは、たったひとつだ。
▼「政治家の原点」に戻って、投開票日まで、安全保障、消費税、そして憲法改正と、
日本のあるべき姿を愚直に語り続けてほしい。やるべきことをやり遂げたら、敗れても本
望ではないか。自民党らしさを取り戻せば、再生もそれだけ早くなる。