08/12/13 12:42:28 1BBICSq40
この事実を報道すべきかどうか・・・新聞社は毎日、その選択に迫られながら仕事をしています。
記者が記者であるがゆえに、知り得た事実は報道すべきである。これが基本です。しかし
現実にはためらい、逡巡するケースが多々あります。最近、県内のあるショッピングセンターで
起きた事例もそうでした。
店の屋外にある受水槽から、一ヶ月も経過した遺体が見つかりました。自殺でした。
店内の飲食店などにはこの受水槽から配水されています。店はすぐに水道の供給を止め、保健所にも
通報して水質検査を行う一方、受水槽内の水を排出して消毒しました。
担当支局は遺体の見つかった翌日にはこの事実をキャッチしましたが、水質の安全が確認されたのだから
報道することは客の不安をあおることになる、と記事にはしませんでした。
しかし、これが裏目に出たのです。買い物客の間には、口づてなどで不安がいっそう広がり、他の新聞社が
報道し、本紙も改めて取材しなおして記事にしたという経過です。
読者からは「店の不祥事に配慮して書かなかったのか」とか「広告に影響するからか」といって批判が
寄せられました。そう指摘されても致し方ないのですが、そんな事情では全くありません。
事実を確かめた段階できちんと報道していれば、無用な不安も広がらなかった。
我々は、報道の基本姿勢に欠けていたと反省しきりです。
今回の件で、報道することの意義や新聞社への読者の期待を改めて考えさせられました。
教訓は、日々の報道に生かさねばなりません。
三重総局長 中西英夫
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