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6月11日高知新聞投稿欄「声 ひろば」
幼稚な憲法論議はもう許されない
窪田剛介(78歳、高知県高知市)
国民投票法が成立し、遠からず改憲の是非について国民自身の判断が求められる。従って、
有権者一人一人が既成概念にとらわれず「日本国憲法」と真摯(しんし)に向き合い、正体
を見直す努力を怠るなら、当事者能力を欠いたままその日を迎えることとなる。
ところが、現状は甚だ心もとない。最近あちこちで憲法論議が盛り上がり始めたこと自体
は結構な風潮である。本欄でもその主張を拝見するが、残念ながら言い古されたパターンを
繰り返すのみの護憲論が圧倒的に多い。相変わらず現行憲法をめぐる問題点がすべて抜け
落ちている。
特に、第九条については、近隣国のプロパガンダのごとく「これを変えれば軍国主義が
復活し、再び戦争をする国になる。この条文さえあれば国が守られ、平和が維持される」と
叫ぶのみで、納得できる根拠は何も示されない。つまり、今日の極めて過酷な世界情勢と、
国益が激しくぶつかり合う国際関係を無視した戯言(ざれごと)と言うと言い過ぎだろうか。
広辞苑では、憲法とは「国家存立の基本的条件を定めた根本法。国の統治権、根本的な
機関、作用の大原則を定めた基礎法で、通常他の法律・命令を以(もっ)て変更を許さない
国の最高法規とされる」とある。すなわち、憲法の理念を超えた法律の改正や制定は許され
ない、といった意味だろう。ならば「国家存立」にとって、現行憲法施行から六十年を経過
した今日、そして将来も全く変更しないままで差し支えがあるのかないのか、そこから発議
しなければ話にならないだろう。
いずれにせよ、従前のように最初に結論ありきで、現実無視の護憲論が主流を占めるような
論議は排除しなければ、真の憲法論議とは言えないだろう。もう幼稚な憲法論議は許されない。