09/10/10 18:46:00
10歳の少女が、もじゃもじゃ頭のおじいさんから算数を教わっていた。
母親が恐縮していると、老人は優しく語った。「私はお嬢さんとお話をすること
によって、お嬢さんが私から学んだこと以上のことを学んだに違いない」(フィ
リップ・フランク著『評伝アインシュタイン』岩波書店)。天才科学者アインシ
ュタインにまつわる話だ
彼は人と話すことで、考えが整理されたという。そのため、どんなに忙しい時
でも、身近にいる学生との対話に時間を割いた。「語らい」は、天才科学者に不
可欠なものだったのである
何気ない会話の中で、思いがけないアイデアや解決へのヒントを見いだした経
験は、誰にでもあろう。特に自分とは地位や年齢や職業が全く違う相手との対
話ほど、予想外の触発を受ける場合が多いのでは
対話は成長のチャンスである。自身を見詰め、視野を広げ、思索を深める絶好
の機会である。「あの人と話しても……」と、自分から壁をつくっては、せっか
くの好機を逃してしまう
御書には「鏡に向って礼拝を成す時浮べる影又我を礼拝するなり」(769ページ)と。
無上の尊敬の念をもって接するならば、誰からも学べ、友情も広がる。澄み渡る秋空の
ような心で、真摯な語らいを広げたい。